1: 2016/06/02(木)08:23:33 ID:a8m
ベタな前付けですがですがキャラ崩壊あるのでご了承ください

2: 2016/06/02(木)08:24:01 ID:a8m
千秋「花魁…………それは江戸の華。気高く、上品で、世の女性から羨望の眼差しを浴びていた存在」

千秋「更に和歌、華道、着つけなどの教養にも秀でていたのね」

千秋「その上、遊女を従えつつ一人前へ育て上げていくリーダーシップをも揃えた人情深き者もいたらしいわ」

千秋「それが花魁………現代にはない女性が目指す完璧な姿」

千秋「のはずなのに………」

麗花「わぁ~っ。この着物とってもステキ!髪飾り重~いっ!けどカワイイ~♪」

千秋(この人、私と同い年よね…?)
ミニッチュ アイドルマスター ミリオンライブ! 北上麗花 ビッグ 缶バッジ
3: 2016/06/02(木)08:24:57 ID:a8m
千秋「ちょっとあなた…えっと、北上さん?」

麗花「はい!北上です!」

千秋「あなた、花魁がなんだかわかっているの?」

麗花「え~っと…高校生探偵が言いそうなセリフだよね!」

千秋「………?」

麗花「『おい!蘭!しっかりしろ!らぁああああああん!』って♪どうですか?似てましたか?」マンゾクゲ

千秋「」イラッ

4: 2016/06/02(木)08:25:41 ID:a8m
千秋「ふざけないでちょうだい………?北上さん」

麗花「はぁ~い、ごめんなさ~いっ」

千秋「まったく…こんな方と共にこの役を全うできるのかしら………」

麗花「大丈夫じゃないかも知れないけれど千秋さんなら花魁を素敵に演じることができると思うな!」

千秋「えっ…ありがとう…………………って大丈夫じゃないのはマズいでしょ!」

麗花「う~ん………あ、そっかー!じゃあちょびっと、歯磨いてきますね!」

千秋「はっ!?」

5: 2016/06/02(木)08:26:11 ID:a8m
ーーーーー


麗花『なんの因果に、今日の約束はしたぞ………!』ホロリ


千秋(なんだかんだ言ってこの妖艶な演技………北上麗花、噂通りの天才肌ね)



麗花「千秋さーんっ!お疲れさまー!どうですか?私の花魁!」

千秋「お疲れ様。ええ、とても美麗だったわ。私はまだ動きが固くて、役になりきれていない」

麗花「………千秋ちゃんって、普段から花魁みたいな雰囲気あるよねーっ」

6: 2016/06/02(木)08:26:39 ID:a8m
千秋「そう?よくわからないわ」

麗花「演じる、じゃなくて、千秋ちゃんがなりたい花魁に近づくよう振る舞えばいいんじゃないかなぁっ」

千秋「私の、花魁………?」

7: 2016/06/02(木)08:27:23 ID:a8m
ーーーーー

千秋(私は全然、花魁なんかじゃないわ………)

千秋(それに、私がなりたい………目指すのは………)

千秋(………………………トップアイドル…………そうだわ…!)

千秋(トップアイドルを花魁と置き換えてみて、私のトップアイドルとしての姿を表現するのよ…!)

千秋(私が歌に気持ちを込めるように、昂って、扇情的に………!)


千秋『何がさて、かねてより置く身なれば………、只今…果てようぞ………!』ガッ

8: 2016/06/02(木)08:28:40 ID:a8m
ーーーーー

麗花「千秋ちゃん!お疲れさま~っ!」

千秋「北上さん、お疲れ様」

麗花「千秋ちゃんの終盤の演技、私はすーっごく良かったなって思うんだけど千秋ちゃん自身はどうだった?」

千秋「ええ、私も手応えはあったわ」

麗花「(*´v`*)」

千秋「なによその満面の笑みは…」

千秋「……………まぁ、うまくやれたキッカケはあなたの一言のおかげよ。ありがとう」

麗花「へっ?私なにか言ったっけなー?」

9: 2016/06/02(木)08:34:58 ID:a8m
千秋「言ったじゃないの!『あなたのなりたい花魁になれ』って!」

麗花「えっ?私、そんな意味不明なこと言ってたんですか!?」

千秋「イミフっ………自分で言っといてなんなのよもう!」

千秋「それに……、意味不明なんかじゃないわ。私にとっては有効なアドバイスだった………」

千秋「だから………,麗花「それじゃあうまくいったことだし打ち上げしましょ、そーしましょーっ♪」

千秋「もう、人の話を聞きなさいよ………」

千秋(感謝してるのに………)

10: 2016/06/02(木)08:35:44 ID:a8m
ーーーーー





麗花「たっだいま~我が家~♪」

千秋「お、お邪魔します………」

ゴッチャリンコ

千秋「まったく…なんて散らかっている部屋なの」

麗花「まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしないっ」

麗花「さて…と、飲みましょ飲みましょ~♪」テキパキ

11: 2016/06/02(木)08:36:05 ID:a8m
千秋「私、こういうお酒は飲んだことないわ」

麗花「私もあんまりないけどね~」ルンルン

千秋「北上さんは一応、20歳ですよね?」

麗花「うん!けどあんまりお酒とかそういうのには興味ないかなっ。ウチの事務所にも呑んべえさんいるけど正直バカみたいだなーって思ってるし」

千秋「ふぅん…………………えっ、今さらっと酷いこと言ったわね」

千秋「………じゃあ、なんで今日はよりによって私と」

麗花「なんとなく♪」

千秋(帰ろうかしら………)

12: 2016/06/02(木)08:37:33 ID:a8m
麗花「それじゃっ!今日の収録お疲れさまと、千秋ちゃんと仲良くなった記念にカンパ~イっ」カチャッ

千秋「仲良く………ふふっ、そうね…カンパイ」カチャッ

ゴクゴク

千秋「あら、チューハイというものも普通に美味しいのね。今までカクテルしか飲んだことなかったから新鮮」

麗花「ねぇねぇ千秋ちゃん、チューハイって言葉の由来知ってる?」

千秋「知らないけれど、おそらく焼酎ハイボールの略かしら?」

麗花「のんのんのん、ふせいかーい♪正解はハイっ!ちゅーっ♪って意味なの♪」チュッ

千秋「あなたもう酔ってるの?」

13: 2016/06/02(木)08:38:04 ID:a8m
千秋「今さらだけど、こんなに飲んでしまったら歩いて帰れないわね…タクシー呼ぶか、プロデューサーに迎えに来てもらうか…」

麗花「もちろん泊まってください♪」

千秋「強制!?でも私着替えも何も用意していないわ」

麗花「パジャマは………こういうのしかないけど大丈夫かなー?」←かわいい感じのパジャマを発掘しながら

千秋「そ、それでいいわっ(ウズッ。それじゃあ、泊まらせてもらうわよ」

麗花「やったぁ!明日の私服は気に入るのがあったら私の着てもいいよーっ」

千秋「それは…また考えておくわ」

麗花「えっ?下着はさすがに恥ずかしいよ~///」クネクネ

千秋「誰もそんなこと頼んでない!///」

14: 2016/06/02(木)08:38:58 ID:a8m
ーーーーー

麗花「ZZZ ………」スーッスーッ

千秋「はぁ………やっと寝静まったわ………」

千秋「ふぁ………私も眠い…シャワー借りて、寝させてもらおうかしら………この足の運び場もない床で」



シャー………


千秋「ふーっ………」カポーンッ

千秋「成り行きでこんなことになっちゃったけど、たまにはこういうのも楽しい………」シャワシャワ

千秋(アイドルになってから………いえ、アイドルになる前からもこんな日はなかった)

千秋(アイドルにはこういう日常も大切なのかしら、北上さん………)

15: 2016/06/02(木)08:39:52 ID:a8m
麗花「呼んだー?」ガチャ

千秋「ひゃっ!?ちょっと!北上さん!?」

麗花「そろそろ、私のことは麗花って呼んでほしいなー♪」

千秋「そうじゃなくて!裸よ!裸!お互い!ていうか『呼んだ?』って………呼んでないわ!」

麗花「えーっ?千秋ちゃんの声が聞こえた気がしたのになーっ」

千秋(絶対声に出してない、心で思っただけで!そもそも思う前から入ってきてたし!何者なのこの人は!?)

千秋「わかったから、とりあえず一旦出て、服着て待ってて!勝手に使ったのは失礼だったわ!」

16: 2016/06/02(木)08:40:13 ID:a8m
麗花「はーい………」パタリ

千秋「まったくもう………」



麗花「隙ありーっ♪(ガチャ」ダキッ

千秋「っっっっっっ!????////」ビクッ

麗花「そんな嫌わないでよ~。ねっ?いいことしよっ♪」

千秋「…っ!……ぁ………んっ!///////」

麗花「ねえ………裸でシャワー入りっこしたら…次は一緒にベッドで寝ないといけないんだよ…………」

千秋「嘘………おっしゃ…………っっっっっっ………///////」

17: 2016/06/02(木)08:40:44 ID:a8m
ーーーーー


チュンチュン
  チュンチュン




麗花「ZZZ 」スピースピー


千秋「これも…アイドルの試練なの………ね………」

19: 2016/06/02(木)08:45:48 ID:a8m
???「こんな終わりで私が満足するわけないっ…時間を巻き戻すわ…!」

23: 2016/06/08(水)14:09:59 ID:Y5N
麗花「ねぇ、千秋ちゃん。両親とは仲が良い?」

千秋「?…別に、普通に良いと思うけど?」

千秋「それに、自分で言うのも癪だけど、結構良いとこの家で育ったと思ってるわ」

麗花「そうなんだー………」

千秋「急にどうしたの?」

麗花「千秋ちゃんは知ってた?花魁のほとんどは、年少期に親に捨てられたり、借金の肩代わりとして売られて、遊郭に入っていったのよ」

千秋「えっ………?」

24: 2016/06/08(水)14:10:50 ID:Y5N
麗花「遊郭は政府公認の、云わば◯◯。合法なの」

麗花「そうして、たぎって女を求める男から貢いでもらって、借金を返済していくのよ」

千秋「麗花…急にどうしたの…?」

麗花「私も、物心ついたときから両親がいなかったの」

千秋「っ………」

麗花「温かい両親に、居心地の良い家族に恵まれてるお嬢様のあなたがお…トップアイドルを目指すなんて………」

麗花「虫酸が走るわ」

千秋「なっ………」

25: 2016/06/08(水)14:11:40 ID:Y5N
千秋「私だって私なりの夢が……………」

麗花「人生のまともなレールは生まれたときから敷かれていたのにそれから外れて目指すものはトップアイドル?」
麗花「アイドルの世界は遊郭と同じ。落ちぶれた女が人生の再起を懸けて争う舞台」
麗花「あなたのように上品を気取りながら口だけでいっぱしトップアイドルを語っているのを聞くとヘドが出る」

千秋「なんで…私は本気よ…」

麗花「本気なら、普段の私のように、バカでちゃらんぽらんに振る舞える?」
麗花「つくづくアイドルと花魁には通ずる点があるわ。花魁だって個性が物言うのよ。アピールの仕方、男への攻め方も、ね。だから誰もやりはしない方法をあえて貫く」

26: 2016/06/08(水)14:12:08 ID:Y5N
麗花「そうして特殊な◯◯をもつファンがついてくる。これが一番効率的な売れ方、わかる?」
麗花「トップアイドルに届かない、いつまでもくすぶってるあなたのような人は一度バカになってみてはどう?そうすればなにか見つかるんじゃないかしら?」
麗花「もっともそれぐらいして初めてわかるのよ、お…トップアイドルへの道筋が」
麗花「もしかしたら自分が自分でなにがなんだかわからなくなるかもしれない。私本来の姿ではない」
麗花「でもそれでいいの。もっともっと壊れてこそ染まるもの。売れるわ」
麗花「そして私はただ、あなたに言いたい」
麗花「アイドルを……………ナ メ る な」

27: 2016/06/08(水)14:12:48 ID:Y5N
千秋「っ…!!?」グッ

麗花「もうあなたは十分に花魁を味わったでしょう?」ギュゥゥゥゥ

千秋「ぅあっ……………かっ…………」ミシミシ

麗花「とけて」




ーーーーーーーーー

28: 2016/06/08(水)14:13:25 ID:Y5N
ーーーーー

目が覚めると、私はあのスタジオに一番近い公園のベンチにいた。
服は昨日から私が着ていた、自分のものだった。
公園にあった時計の針は5時あたりを指していたが、日が昇っていてあたりは明るく鳥が鳴いている。
さいわい、誰も私を見かけなかったのだろうか、ごくごく平凡な風景が広がっている。


北上麗花。


数時間前、あの人は瞋恚の炎に満ちた瞳で私に訴えてきたのを私は克明に覚えている。
あれは一体なんだったのか。真実なのか虚言なのか。正直、ここまできても、あの人の言うことに信憑性を感じられない自分がいる。


もう一度、真剣に話をしてみたい。
もし私が間違っているのなら改めたい。



だけど私はその時、どうしても、どうしても、彼女の家の道順を思い出せなかった。
彼女の家は、どこか………遠くにあったのだろうか、この世には今は無いのではないか、という錯覚に私は陥っていた。

29: 2016/06/08(水)14:15:09 ID:Y5N
もはやアイマスとはまったく関係がない背景設定

千秋たちが収録をしているスタジオは、偶然吉原遊郭の遊女たちの墓の近所だった。だが、実際のそれは、墓というよりは、規律を破った遊女や活動不能となった遊女が、既に溜まっていた屍に積まれて生き埋めにされる、墓とは言い難い、墓のような所である。
麗花は、若くして性病にかかり、それがきっかけで命を落とした未成年の遊女だった少女の霊の、憑依の対象者となった。
その少女は、親に捨てられ遊郭へ行き着いた。
少女はいかにして自立できるか、稼ぐことができるかを考えた結果、礼儀・作法を棚に上げ、身体を◯◯ことを念頭に置いて活動をしていく。
他の遊女に反感を買いながらも、接待において業績を上げていった少女は親方に特別に許され、毎夜毎夜◯◯◯◯を交わす日々を重ねる。それは依存症になってしまうほどだった。
そして、ある1人の遊女が、その夜の接待を終えて帰ろうとしていた明け方の路地裏で、偶然その少女が、営業とは異なる場でしていた行為を目撃する。
依存症の少女は、遊郭へ訪れない庶民にも手を出そうと、逢引きをしていた。
遊女の証言によってそれが親方に発覚された少女だったが、初めは業績が影響してか、注意などの処分で済まされた。

30: 2016/06/08(水)14:17:03 ID:Y5N
だがこの時に少女は梅毒をもらっていた。
しかし、初期症状が◯◯にしか現れなかったのを好しとし、少女はその後それを隠しつつ潜伏期間中も接待、そして◯◯◯◯を重ねていった。私だけこんな目に遭うのは理不尽だ、お前も女の苦しみを味わえ…と唱えながら。
結果、吉原には梅毒が蔓延、利用客は大幅に減り、遊郭は大赤字となる。
そして、遊女の中で一番最初に梅毒の症状が出た少女がこの状況の発端とされ、親方、そして反感を売られていた他の遊女から体罰、暴行を受ける。
梅毒によって顔面が溶け落ちながら撲殺されていく様はさぞ恐ろしくて。
最期は半殺しにされたところで生き埋めにされた。
その少女は花魁にも美人にも、そして自分がなれなかった大人に強い嫉妬と嫌悪感を抱きこの世をさまよう亡霊となった。
数百年後、花魁の役柄を演じる千秋を見出だし、麗花を利用してとり憑き、苦しめようとする。
依存症は、対象の性はなんでも構わなかったのかもしれない。

31: 2016/06/08(水)14:18:32 ID:Y5N
「千秋ちゃん!ちーあきちゃーんっ!」



聞き覚えのある声が静寂に響いた。

麗花………?


「ねぇねぇ!なんだか私、霊にとり憑かれていた感じがしたの!」

あなた…まだそういうことを言うの…

「だからやっつけたよ!」プップカプー

そう、おめでとう…

「でも…その、さっきは…千秋ちゃんの傷付くようなことを言っていたよね…」

いえ…いろいろ実感したわ…お陰で自分を見つめ直せることができた

「怒ってる…?」
そんなことないわ、だって…

「千秋ちゃんは………」
私は

32: 2016/06/08(水)14:22:04 ID:Y5N
おわり
板違いも甚だしくてすみません
でもボイスドラマの霊花さんにはもっと怖くて狂ってほしいな

引用元: 黒川千秋と北上麗花のSS