1: 2008/07/16(水) 11:41:31.14 ID:YXMd4p8C0
アニメのヒーローやサンタクロース。そのような人物は果たして夢の中にしか
存在しないのでしょうか?本当のことを気づいていたのでしょうが、只気づきたく
なかっただけ。…そうだと思いませんか?

夢であろうとなかろうと、僕は”彼ら”に巻き込まれ、確かにそこにいたのですから。

んっふ、困ったものです…
      :
谷口「ry~」

岡部「それじゃあ次」 

長門「東中出身長門ユキ……只の人間には興味は無い…宇宙人・未来人・異世界人
・超能力者がいたら私のところに来て…」 

      
古泉「おや?ここは、笑うとこですか?」


こうして僕たちは、出会ったのです。
しみじみと思うのですが偶然だと信じたいですね。

2: 2008/07/16(水) 11:48:32.08 ID:YXMd4p8C0
古泉「…あの」

長門「…」

古泉「少しお聞きしたいのですが、自己紹介の内容は
   どこまで本気だったのですか?少し興味がありまして。」

長門「全部…」

古泉「そうですか。なかなかユニークな方ですね。
   前後同士よろしくお願いします。」

3: 2008/07/16(水) 11:52:26.64 ID:YXMd4p8C0


長門「…パーソナルネーム古泉一樹…あなたは超能力者であると思われる。」

古泉「いえ、とんでもない。僕は普通の高校生ですよ。」

長門「…そう……時間の無駄だった…」

古泉「?…何か言いました?」

長門「…」

5: 2008/07/16(水) 11:56:43.20 ID:YXMd4p8C0
女子A「ねぇ。昨日のドラマ見た?」
長門「…見ていない。」
女子A「え~なんで~?」
長門「テレビというもの持っていない…用がないなら帰って…」

女子「(長門さん家貧乏なのかしら?)」

7: 2008/07/16(水) 13:24:06.94 ID:YXMd4p8C0
需要無いかと思って
もう少しwait

10: 2008/07/16(水) 13:36:53.22 ID:YXMd4p8C0
鶴屋さん「やっ!古泉君ゲンキっかいっ?この前長門っちに話しかけてなかったかい?
     訳の分からない事言われて追い返されたみたいだね!昔からああなんだよねっ。
     気にすることないっさ!」

古泉「おやおや、鶴屋さんではないですか。そんなに変わり者なんでしょうか?
   もっとも自己紹介ではそうでしたが。」

鶴屋さん「長門っちの奇人ぶりは常軌を逸してるんだよね~。
     例えば校庭落書き事件かなっ!石灰でミステリーサークルのような
     落書きしたんだにょろ。次の日学校中で大騒ぎになって新聞にも載った
     りしたんだよっ!」

古泉「確か見たことありますね。小さい記事でしたけど覚えていますよ。
   (これは面白そうな方ですね。)」

コンピ研部長「僕も見たことあるぞ。航空写真で、ナスカの地上絵みたいなのだったはずだ。」

鶴屋さん「だから、仲良くしたいんだったら考えて付き合うといいと思うにょろ!」

12: 2008/07/16(水) 13:43:52.78 ID:YXMd4p8C0
コン部「ほ、他には何かやってたりしなかったのかい?」

鶴屋さん「他にもいっぱいやってたよっ!教室の机が廊下に全部出されてたこともあった
     にょろ。学校中の壁に変な札を貼りまわってた事もあったかなっ!」

古泉「そうですか。なかなか愉快な方に聞こえますが。」

鶴屋さん「でも無口だからなかなか喋らないんだよ。だから何考えてるかまったく
     わからないんだよね~。とっても可愛いからモテるんだけど
     絶対に人と付き合わないんだにょろ。」


14: 2008/07/16(水) 13:51:52.21 ID:YXMd4p8C0
というわけで僕は長門さんの奇行を観察してみたのですが、実に面白い方でした。

方鱗その1
月 ショートヘアー
火 セミロング
翠 三つ編み
木 ロング
金 ツインテール

と、毎日髪形が変わっているのです。しかし長門さんの髪の伸びるスピードは
尋常ではありませんね。曜日が進むごとに伸びる速さが加速して行ってるよう
にも思えます。んっふ、いったい何を食べてるのでしょうかね。

17: 2008/07/16(水) 13:59:53.23 ID:YXMd4p8C0
※キャラ入れ替えて原作辿ってるだけなんであんまり深い意味はないです

方鱗その2

体育は男女別で行われるのですが、着替えのときに驚かされました。
まるで彼女は周りに人がいないかのように着替え始めたのです。
男にしかきょ…いえ、何でもありません。
まるで僕達男子はジャガイモ程度にしか思われていないのでしょう。

肝心の運動能力ですがすばらしいの一言です。あの足の速さはきっと
オリンピックでも活躍できそうなくらい早いのです。
あの小さな体では考えられません。まさにサバンナを駆け抜ける
チーターのようでした。どこからパワーが沸いてくるのか不思議ですね。

18: 2008/07/16(水) 14:03:45.37 ID:YXMd4p8C0
方鱗3

放課後ですが彼女はいつも姿をくらましているのですが、どうやら校舎内の
探検を行っているようです。また、あらゆる部活にも顔を出しているらしく、
熱心に勧誘が来てるようです。しかしどの部活にも入る気はないようですね。
最近は「今年一変な女がいる」という噂でまちきりなようです。

19: 2008/07/16(水) 14:08:17.22 ID:YXMd4p8C0
そんなこんなで5月にも入りゴールデンウィーク明けになりました。

鶴屋さん「おっはよ~っ!ゴールデンウィークはたのしめたっかいっ?」
  
古泉「おはようございます、鶴屋さん。そうですね少しおじの家に遊びに行ってました。
   鶴屋さんはいかがでしたか?」

鶴屋さん「親戚一同が集まって家中大忙しでどこにも出かけられなかったさ!」

古泉「それぞれの過ごし方があっていいと思いますよ。」


20: 2008/07/16(水) 14:18:59.95 ID:YXMd4p8C0
鶴屋さんとの他愛も無い話をしながら、教室に入り席に着きました。
魔が差したのでしょう、気がついたら僕は長門さんに話しかけていました。

古泉「曜日で髪型を変えるのは何か大事な意味でもあるのですか?」

長門「いつ気づいたの…」

古泉「少し前です。ほら突然髪型が変わってくるものですから…」

長門「私は曜日というものにそれぞれのイメージがあると推測する。分かりやすく言うと
   色などが当てはまる…」

古泉「(な、長門さんがまともに喋りましたね)例えば月曜日は黄色。
   火曜日が赤、水曜日が青、木曜日が緑、金曜は金で、土曜は茶色
   日曜は白という具合ですか?」

長門「そう…あなたは物分りがいい…私の考えと同様…
   やはり超能力を持っていると思われる。」


21: 2008/07/16(水) 14:25:32.11 ID:YXMd4p8C0
古泉「そうですか。でも、確かに超能力が使えたら楽しいですね。」


長門「…あなと私はどこかで会ったことがある……」

古泉「そのようなことは無いと思いますが…。誰かと勘違いしているのでは
   ないのでしょうか?」

長門「………そうかもしれない」

会話を終えると担任が軽快に入ってきましたので、
ここで終わりとなりました。


てっきり僕は「貴方には関係ない…時間の無駄が生じる」
とでも言われるかと思ってたのですが、意外な反応でしたね。

22: 2008/07/16(水) 14:30:48.15 ID:YXMd4p8C0
数日後、席も近いので世間話をするほどの仲になり、ホームルームのわずかな
時間に話すのが日課となっていました。

古泉「長門さんは全部の部活に入ったとお聞きしましたが、面白そうなところは
   ありましたか?」

長門「…ない」

古泉「…」
長門「…」

これは会話というのでしょうかね。少し僕なりに疑問が残りましたが、
これがきっかけで話が進むことになりました。

23: 2008/07/16(水) 14:33:10.33 ID:YXMd4p8C0
次の日

長門「…聞いて欲しいことがある」

古泉「?」

長門「部活が無い以上作ることにした。あなたも部員として入ってもらいたい。」

古泉「いいですが、どのような内容ですか?」

長門「世の中の不思議を探す部活…」

25: 2008/07/16(水) 14:35:38.24 ID:YXMd4p8C0
古泉「面白そうですね。僕も何か部活に入ろうと思ってたので丁度良いです。
   さて、メンバーはいるのですか?」

長門「…いない。今から集める。貴方にも手伝ってもらいたい。」

古泉「分かりました!楽しい部活にしましょう。」

29: 2008/07/16(水) 14:44:32.36 ID:YXMd4p8C0
バンッ!!

みくる「ふぇ~、だ、誰ですかぁ?」

長門「今日からこの教室は我々の同好会の部屋にする。」

みくる「え、え?」

長門「…いまから必要なものを集めてくる。」
タッタタ

古泉「…やれやれ、困ったものです。僕は古泉一樹と申します。
   あなたは?」

みくる「わ、わたしは朝比奈ミクルです。」


30: 2008/07/16(水) 14:49:22.62 ID:YXMd4p8C0
古泉「すみません、部活を作ることになって教室を使わせていただきたいのですが…。」

ミクル「え、えと、わたし一人しかいないので構わないですよ。」

古泉「ありがとうございます。それにしてもすごいコスプレ衣装ですね。
   朝比奈さんのですか?」

みくる「あ…えと//そ、それは/////その…は、恥ずかしいです////」

古泉「メイド服に、ナース。それにry~」
バンッ

長門「今戻った」

32: 2008/07/16(水) 14:56:07.92 ID:YXMd4p8C0
古泉「お早いですね。…おや?後ろに引き連れているのは誰ですか?」

ハルヒ「ちょっと何なのよこの子!私を引っぱってつれてこようなんて
    いい度胸じゃない!あなた学校中で噂になってる長門ユキね!
    なんてことしてくれんのよ!!」

長門「あなたは今日から我が部の部員。そこにいるあなたも強制的に入部させる。」

みくる「ふぇ、わ、わたしはぶんげいb」

ハルヒ「ちょっと勝手に決めないでよ!!なんでこのあたしが貴方なんかに指図受け
    なきゃいけないのよ!!」

長門「っ!!!!!ギン!!!!!!!!!  文句は言わせない…。」

ハルヒ・みくる「びくっ!」

33: 2008/07/16(水) 15:02:40.11 ID:YXMd4p8C0
長門「わかったら、ここに名前を買いて。」

ハルヒ「いい加減にしてよ!!そんなの書くわけ無いじゃない!」

長門「…書くまで帰さない。あなたはこの部活に必要な部員。
   彼女はもう書き終えてる。」

みくる「そこまで言われたらしょうがないので入ります…はぁ」

長門「…… あとは貴方だけ…」

ハルヒ「ふ、ふん!書いてあげるだけなんだからね!感謝しなさいよ!
    私が入ったからには好きにさせてもらうわよ!」

長門「それは許さない。ここの長は私。部活の名前も決めた。」

ハルヒ「……いったい何なのよこの子!調子狂うわね。好きにして頂戴!」

古泉「ところで長門さん。部活の名前が決まったということですが…」



34: 2008/07/16(水) 15:07:47.48 ID:YXMd4p8C0
長門「SON団。世界を大いに盛り上げるための長門ユキの団。」

ハルヒ「(わ、私が作ろうとしてた部活とそっくりじゃない!く、悔しい!!)」

古泉・みくる「…な、なかなかなネーミングセンスですね!」

長門「私が考えたものだから当然の名前。」

ハルヒ「へ、変な名前ね!もう少しかっこいい名前は無かったの!?」

長門「団長に逆らうことは許されない。罰ゲームとしてコスプレをして
   奉仕してもらう。」


36: 2008/07/16(水) 15:12:59.71 ID:YXMd4p8C0
ハルヒ「もうなんなのよ~!!私に恨みか何かでもあるの!?」

長門「…ない。早くして欲しい。ついでにその格好でジュースも買ってくるように。
   団長命令。」

ハルヒ「くぅ~、なんであたしがこんな小娘に!胸も小さいくせに生意気よ!!」

長門「プチッ!! ユルサナイ!!パーソナルネーム涼宮ハルヒを敵性と判断。
   直ちに罪を償ってもらう。」

古泉「(それはおそらく禁句かと…修羅場ですね…)」


20分後


37: 2008/07/16(水) 15:21:15.82 ID:OaBn5prr0
ありそうでなかった良スレの予感
しかし・・・ここは様子を見るか

38: 2008/07/16(水) 15:26:07.65 ID:YXMd4p8C0
長門「あなたの犯した罪は氏罪に値する。私の寛大さに感謝してもらいたい。
   罰ゲームはメイドとして尽くすだけでいい。」

ハルヒ「わ、分かりました団長様//…くっ、わ、わたしは、貴方に一生奉仕いたします…」

長門「分かればいい。ただ、言い方が気に食わない。貴方の口調にはまだ
   毒が残っている。これからは毎日メイドとしての調教を受けてもらう。
   もう今日は帰っていい。」

みくる・古泉「それでは。」




古泉「しかしあれでは涼宮さんも抵抗できなかったでしょう。長門さんの
   完全勝利ですね。」
みくる「でもあんなことは健全な子供達には見せられないですね。」
古泉「」




ハルヒ「…ひっく、ひっく。ぐすっ」

ハルヒ「いったいなんでこんな目にあわなきゃいけないのよ


40: 2008/07/16(水) 15:32:15.68 ID:YXMd4p8C0

とういわけで明日から長門団長率いるわれらがSON団が動き出すことになったのですが…

古泉「おや?朝比奈さんから手紙ですね。なになに、今日7時に公園で待ってます…
   か。告白か何かでしょうか?モテる男はつらいですね。」







42: 2008/07/16(水) 15:44:55.38 ID:OaBn5prr0
7時、公園

古泉「すみません。待たせてしまいましたか」

みくる「いえ・・・。どうぞこっちに」

古泉(ここは・・・朝比奈さんの家でしょうか)

43: 2008/07/16(水) 15:48:27.33 ID:OaBn5prr0
みくる「お茶です。どうぞ」

古泉「む・・・なかなかおいしいですね」

みくる「もっとどうぞぉ」

古泉「ええ・・・」

・・・・・・

古泉「そろそろ何で僕をここに呼んだかはなしていただけますか?」

44: 2008/07/16(水) 15:57:58.11 ID:OaBn5prr0
みくる「私と長門さんは・・・普通の人間じゃないんです」

古泉「ハハ・・・ええ、まあ行動からなんとなく普通の方でないということは分かりますけど」

みくる「そういう意味じゃありません。性格が普通の人と少し違うとかそういうんじゃなくて・・・」

みくる「この世界には情報統合思念体と呼ばれる存在がいます。この銀河を統括する情報体・・・。この思念体はいわゆる人間その他の生物とコンタクトできないんです」

みくる「思念体があなたたち人間とコミュニケーションをとるために作った対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース」

みくる「それが私です。簡単な言葉で言えば・・・宇宙人ってことになります」

45: 2008/07/16(水) 16:02:52.91 ID:OaBn5prr0
とんでもないことを言い出しました・・・。宇宙人?

みくる「そして長門さんには・・・自分の思うとおりに世界を作り変える力があります」

みくる「えっと三年前・・・詳しくは忘れちゃいましたけど、とにかく三年前に何かがあったんです」

みくる「そして・・・(ry」

みくる「つまり長門さんは進化の可能性なんです・・・」

古泉「待ってください。はっきり言います。全く分かりません」

46: 2008/07/16(水) 16:08:20.05 ID:OaBn5prr0
みくる「信じてください。それが私がここにいる理由で、あなたがここにいる理由なんです」

古泉「・・・・・・」

まさかこんなに電波な方だったとは・・・つきあいきれませんね・・・。

後の流れ忘れたorz
もうキョンが転校してくるのか?

ってか需要なさそうだな・・・

52: 2008/07/16(水) 16:47:53.97 ID:OaBn5prr0
翌日、授業を終えて部室に向かうと朝比奈さんが椅子に腰掛けて本を読んでいるのが
目に入りました。どうやら本が好きなようですね。昨日の電波話には驚かされました
が、こうしてみると普通の女の子です。しかし「望みをかなえる」・・・思えば先日
の席替えの際、窓際の後方二番目の席をゲッツした僕の後ろは、なぜか長門さんになり
ました。まあ長門さんが僕と一緒にいたいと願う理由もあろませんし、偶然でしょう。

偶然・・・ですよね?

57: 2008/07/16(水) 17:05:02.26 ID:OaBn5prr0


しかしこの部室・・・やたらとモノが増えてませんか・・・?ここでくらすつもりなんでしょうか。
と思っていたんですが、どうやら長門さんはこれでは足りなかったようです。

長門「・・・コンピュータが欲しい。この情報化社会においては欠かせないもの」

古泉「しかし・・・どのように手にいれるおつもりで?」

長門「そこ・・・」

長門さんはニヤリと笑って壁を指差しました。その先には・・・

58: 2008/07/16(水) 17:09:05.73 ID:OaBn5prr0
隣の部屋はコンピュータ研究部の部室でした。なるほどこちらにお願いするわけですか。
しかしなぜ涼宮さんを連れて行く必要が・・・

バッターン

長門「邪魔する」

コンピ研一同「うわ!」

長門「・・・部長は誰?」

国木田「僕だけど・・・何の用だい?」

59: 2008/07/16(水) 17:16:08.76 ID:OaBn5prr0
長門「わざわざこんな場所に来る理由は一つ。コンピュータを一式もらいに来た」

国木田「な!そんな勝手なこと言われても・・・だいたい君たちは誰だい?」

長門「SON団。そこの二人は団員その一とそのニ」

古泉「・・・」

ハルヒ「ビクッ!」

長門「そういうわけだから、四の五のいわずにさっさと渡すことを推奨する」

国木田「だ、だめに決まってるじゃないか!何をいってるんだい?」

長門「・・・・・・・・・・・・・・・そう」

60: 2008/07/16(水) 17:25:33.05 ID:OaBn5prr0
長門「ならばこちらにも考えがある」

なんと長門さんは国木田部長の手首をつかんだかと思うと、そばにいた涼宮さんのむ、胸を
触らせました。

国木田「うわわ!」

ハルヒ「ひゃああああああん!」

古泉「なんと・・・!」

長門さんはすかさずその瞬間を写真に収めます。

長門「この写真をばら撒かれたくなかったらパソコンをよこすといい」

国木田「・・・そんな・・・僕は悪くないよ!部員のみんなが証言してくれる」

長門「ならば部員全員が彼女をピーーーしたといいふらすだけ」

国木田「クッ・・・なんてむちゃくちゃな・・・」

長門「ん?」

長門さんがひらひらとカメラをふると、それが魔法の呪文だったかのように事は
簡単に進みました。


61: 2008/07/16(水) 17:33:37.82 ID:OaBn5prr0
長門さんはその後最新型のパソコン一式を部室まで僕に運ばせ、コンピ研の部員たちに
LANケーブルを引かせたうえに学校のドメインからネット接続できるようにまでさせました。

ハルヒ「うっ・・・ぐすっ・・・なんで私がこんな目にあわなきゃならないのよお」

古泉「涼宮さん・・・とりあえず・・・帰りましょう」

ハルヒ「・・・・・・」

古泉「涼宮さん、もうこんな怪しげな団体辞めたほうがいいですよ」

ハルヒ「・・・ううん、いいの。だって・・・あなたもいるしね」

古泉「?」

ハルヒ「きっと・・・これがこの時間平面状の必然なのね・・・。それにみくるちゃんがいるのも気になるし・・・」

古泉「どういうことですか?」

ハルヒ「あ・・・な、なんでもないわ。こ、これからもよろしくね」


62: 2008/07/16(水) 17:38:23.04 ID:OaBn5prr0
何か・・・違和感があります。ええ、もちろんその後SON団のサイト立ち上げをやらされたことは暇つぶしに
なったとはいえあまりよろしくないことでしたが、そういうことじゃなく・・・

何か・・・順序が違うような・・・。

63: 2008/07/16(水) 17:48:35.36 ID:OaBn5prr0
「わがSON団は、この世の不思議を広く募集していまーす!過去に不思議な体験をした事のある人、今現在
とても不思議な現象や謎に直面している人、遠からず不思議な体験をする予定のある人、そういう人がい
たら、我々に相談するとよいです。たちどころに解決に導きます!ただし、普通の不思議さではだめです。
我々が驚くまでに不思議なことじゃないといけません。注意してくださーい!」

こんな内容を初心表明として長門さんがポスターを配り始めたのは、その次の日でした。いやがる涼宮さんを
引き連れて。しかし文章の中だとテンションが少し高いですね・・・。

65: 2008/07/16(水) 17:58:36.27 ID:OaBn5prr0
結果には不満だったようで、帰ってきた長門さんはその後部室で愚痴をこぼしていました。

長門「馬鹿教師が邪魔だった。頭にくる」

それはバニーガールが二人して校門でビラを配っていれば、教師ではなくても飛んでくる
ことでしょう。しかし涼宮さんが泣いていることは全く気にかけていないようです。いき
なり着替え始めた長門さんに驚いた僕は部室の外に飛び出したので、それ以上涼宮さんを
慰めることは叶いませんでしたが。

着替え終わった涼宮さんは僕にいいます。

ハルヒ「もし私がお嫁にいけなくなったら・・・古泉君がもらってくれる?」

そう告げて去っていく背中からは、受験に失敗した浪人生のような負のオーラが発せられていました。

66: 2008/07/16(水) 18:08:43.51 ID:OaBn5prr0
翌日、長門有希の名前はもはや有名を飛び越えて、全校生徒の常識にまでなっていました。
困ったことに、僕と涼宮さんの名前までもがあちこちでささやかれ始めているようです。

鶴屋さん「こっいず~みくん!あれだけ忠告したのに、いよいよ君も長門っちの仲間になっちゃった
んだね~。いまや全校生徒の注目の的!うっらやましいな~」

よろしければ譲ってあげてもいいんですがね・・・。

谷口「おいお前ら、このSON団ってなんだ?」

鶴屋さん「お前らとは心外だな~!団員である古泉君に聞いてよ」

古泉「いえ・・・僕も知りません。長門さんに直接聞いてくださいよ」

ああ、ついに学級委員である谷口君にまで目をつけられたようですね。今までの
(長門さんの)行動を考えれば自然ですが。

68: 2008/07/16(水) 18:19:04.94 ID:OaBn5prr0
谷口「なかなか面白いことやってるみたいだけどよ。昨日のはありゃちっーとばかし
やりすぎだな」

全くです。そのおかげでこの日涼宮さんは学校を休みました。確かに注目度はアップしたでしょうが、
あの宣伝ではこの団体にかかわろうとする方が出てくるとは思えません。ですから長門さん、サイトに
一通もメールが来ていないからといって僕にぼやかでくださいよ。

長門「メールも来ていない。涼宮ハルヒも来ていない。つまらない」

どうやら新しく用意した服を着せる相手がいないことも不満の一つのようです。
しかしそれなら朝比奈さんに着せればいいのではないでしょうか?彼女なら文句
など言わないでしょうし、それはそれで、いやむしろそっちのほうが見てみたい
気が・・・ゲフンゲフン、とにかく謎はそう簡単にはこないということです。

69: 2008/07/16(水) 18:25:10.72 ID:OaBn5prr0
長門さんも分かっているんでしょう?そう簡単に謎なんて見つからないということを。
ただ若さゆえのやり場の無いいらだちで、突き抜けた行動に走っているだけなんでし
ょう?早く目を覚ましてくださいよ。あなたはスポーツもできる容姿もいい。
運動部からも男性からも引く手数多でしょう。

長門「帰る」

結局長門さんは不機嫌オーラを残したまま、部室を後にしました。

71: 2008/07/16(水) 18:35:54.41 ID:OaBn5prr0
翌日、僕らは担任から転校生が来た旨を伝えられました。長門さんは目を輝かせて僕に言います。

長門「この時期の転校生。間違いなく謎の要素を帯びている」

古泉「そんなに簡単に謎的存在は出てこないでしょう。それなら今頃世界中にどう見ても
聞いてません本当にありが(ry」

長門さんは教室を飛び出し、転校生を探しに行きました。

73: 2008/07/16(水) 18:50:06.78 ID:OaBn5prr0
その後部室に向かうと、涼宮さんが一日で復活していました。二人でオセロをやっていると
扉がいつものようにバタンと大きな音をたてて開けられ、涼宮さんが一人の男子生徒を連れ
て入ってきました。その瞬間、なぜか僕は緊張しました。他の団員もその生徒を鋭く見つめ
ています。

長門「お待たせ。本日入学の即戦力」

男子生徒「あー、俺の名前は・・・」

ハルヒ「キョン・・・?」

一同「!」


74: 2008/07/16(水) 18:50:54.88 ID:OaBn5prr0
キョン「なぜそれを・・・」

ハルヒ「ああうん、昼間学校で周りの人があんたのことをキョンって呼んでたのを聞いたのよ」

キョン「そ、そうか。まあ本名じゃないしちゃんとした名前を・・・」

涼宮「ううん、キョンでいいわよ。キョンにしなさい!」

キョン「いやまて。それはあだ名でな・・・」

長門「それでいい。私は団長の長門有希。そこにいるのが団員その一とニと三。ちなみにあなたは四番目」

涼宮さんが珍しく意見を言い、また長門さんがそれを受け入れたことに多少驚きを覚えつつも、こうして
僕たちは新しいメンバーを迎えいれることとなりました。

キョン「・・・まあいいさ。ところでここは何をするところなんだ?」

長門「今から発表する」

76: 2008/07/16(水) 18:59:02.18 ID:OaBn5prr0
深呼吸をした後、長門さんはその言葉を口にしました。



全世界が停止したかと思われた後、僕はあの長門さんの最初の言葉を思い出しました。
ああ、そういう人なんだ。本当にそういう人なんだ。

キョン「はあ・・・なにやら訳の分からん団体だが、まあ面白そうだし入ってやってもいいかな。

謎の団体が初めてアイデンティティを持つにいたった最初の日は、よく分からないモヤモヤ
した不思議な感覚と、なぜかすっきりした感覚を残して幕を閉じました。

89: 2008/07/16(水) 19:48:36.49 ID:OaBn5prr0
次の日、部室に入った僕の目に飛び込んできたのは哀れにもほとんど下着姿に剥かれた涼宮さんでした。
長門さんが嫌がる涼宮さんにどーのこ-のという構図は何回か見てきていましたが、さすがに今回のは
意表をつかれました。

ハルヒ「あ・・・い、いや!見ないで!」

古泉「すすすすみません!」

あわてて部室を飛び出しましたが、いかんせん僕も健全な男子生徒、今の光景が目の保養になったことを
否定するつもりはありません。部室の扉を再び開いた先にいたメイド服姿の涼宮さんもかなりの破壊力が
ありましたが。

長門「さ、これで撮って」

長門さんに渡されたのは一台のカメラ。





90: 2008/07/16(水) 19:52:50.27 ID:OaBn5prr0
長門「涼宮ハルヒ。あなたはもう少し色っぽくするべき。さあ」

長門さんは言いながら涼宮さんの服の前のボタンをはずします。朝比奈さんがかけていためがねまで借りる
力のいれようです。

ハルヒ「ちょっ、やめてよ有希・・・やめてってば・・・」

長門さんは一向に手を止めません。そんな涼宮さんを次々にフレームに収める僕も、
ある意味共犯者かもしれません。思えばおとなりの国木田部長を陥れたのもこのカメ
ラ。文明の利器は深い業しか生まないのでしょうか。

92: 2008/07/16(水) 20:04:01.28 ID:OaBn5prr0
長門「完璧。メイドでメガネっ子。究極生命体ここにあり」

いつもの落ち着いた口調でとんでもないことを言う長門さん。僕が止めに入ろうと
したとき、彼がやってきました。そういえば彼はあだ名で呼ばれるのを嫌がってい
ましたが・・・せっかく長門さんも認めたことですし僕もキョン君と呼ぶことにし
ましょう。

キョン「・・・なんだこれは」

長門「いいところに。手伝って」

キョン「・・・いや、遠慮しておこう。後が怖そうだ」

遠慮はいいですけどあなたも止めてくださいよ・・・。

古泉「長門さん!これ以上はいろいろな法律に引っかかる気がします。もういいでしょう」

長門「前に涼宮ハルヒに部室ではメイド服でいろといったのに、最近着ていなかったからおしおきをしたまで」

93: 2008/07/16(水) 20:13:31.14 ID:OaBn5prr0
古泉「今はもう着ていますよ。さ、はなしてあげましょう」

長門「・・・まあいい。それでは第一回SON団ミーティングを始める。

長門「私たちは今までいろいろやって来た。ビラ配り、ホームページ作り等々。
しかし、どれも知名度の上昇への貢献にとどまり、決定的な成果、すなわち
「謎」の情報および発見には至っていない。家宝は寝て待て。昔の人はいった。
しかしもはや時代は違う。これからは宇宙にまでものりこんでそれらを発見しなけれ
ばならない。だから探しに行く」

古泉「何をですか?」

長門「・・・この世の不思議」

ミーティングというよりもほぼ長門さんの演説でしたが、決めるべきことは決まったようです。

94: 2008/07/16(水) 20:18:44.44 ID:OaBn5prr0
ということで、僕たちは貴重な休日をつぶしてこの駅前の広場に集合することに
なったわけです。といっても僕がついた時にはすでにみなさん集合済みでしたが。

長門「遅い。罰金」

遅刻はしていないんですが・・・しかし何をいっても無駄でしょう。来なければ氏刑。遅れれば罰金。
想像以上に厳しい戒律にいささか辟易しながらも、土曜の不思議探索は始まりました。

95: 2008/07/16(水) 20:24:16.63 ID:OaBn5prr0
喫茶店でくじを引き、決まったペアで周囲を探索するというのが活動の内容です。
僕は涼宮さんとペアになり、残りの三人とは別の場所を探すことになりました。

長門「マジでデートじゃない。遊んでたら頃す」

身震いを覚えたのは口調とセリフが合いすぎていたからでしょうか。それともその目が本気だと
語っているように見えたからでしょうか。駅前で再び集合することを確認し、僕たちは探索に出発
しました・・・といっても近くの公園に向かっただけですが。

98: 2008/07/16(水) 20:29:51.25 ID:OaBn5prr0
ハルヒ「ちょっといい?」

公園を肩を並べて歩きながら涼宮さんはなかなか美人だといまさら再認識していたところ、
その彼女が訪ねてきました。

古泉「ええ・・・ではそこのベンチで」

ハルヒ「・・・・・・」

なかなか切り出せないようです。

ハルヒ「・・・こんなこと言っても信じてもらえないかもしれないんだけどさ」

ハルヒ「私・・・実はこの時代の人間じゃないの。もっと未来からきたのよ」

ああ・・・長門さんといい涼宮さんといい、かわいいものにはとげがあるとはいいますが、
いつから電波も帯びるようになったのでしょうか。

99: 2008/07/16(水) 20:36:33.91 ID:OaBn5prr0
涼宮さんの話を要約すると、彼女は未来人であり、三年前におきた時間のゆがみの原因を
探るためにこの時代へき来たということです。普通なら聞き流すところですが、先日聞か
された長門さんの話もあわせるとなにやら完全に嘘と切って捨てるのははばかられるよう
な気もします。

ハルヒ「信じてくれなくてもいいの。ただ知っておいて欲しかったから」

しかしそうなると是非ともたずねておきたいことがあります。

古泉「涼宮さん。あなたの本当の年齢はいくつですか?」

ハルヒ「禁則事項よ!」

満面の笑みで言ってのけられてはしかたありません。
しかしずいぶんと禁則事項の多い話でしたね・・・。

103: 2008/07/16(水) 20:51:46.05 ID:OaBn5prr0
その日の野外活動はいたずらに時間を消費して終わったと言わざるをえない、ということになると
行く前は思っていたのですが、涼宮さんと過ごせた時間はなかなかに至福でした。帰り際涼宮さんが

ハルヒ「今日は聞いてくれてありがとね!」

と耳元でいってくれたことも成果と言ってもいいでしょう。

長門「今日一日何してたの?」

古泉「おや、長門さんのほうこそどうされてたんです?」

長門「・・・あさって学校で反省会」

不機嫌そうに去っていく長門さんの後姿を見おくり、今日涼宮さんと過ごした夢のような
時を振り返りながら僕は歩きます。と、自転車をおいた場所に張られたポスターがふと目に入りました。

「撤去されました」

ああ本当に夢だったらよかったのに。

110: 2008/07/16(水) 21:04:19.94 ID:OaBn5prr0
翌日、暑さと後ろの長門さんから送られるダウナーなオーラから逃れるため、
僕は授業後いそいで部室へ向かいました。部室にいっても暑さの問題が解消
されるとは思っていませんでしたが、聞いておきたいこともありましたしね。

古泉「キョン君。あなたも僕に、何か言っておきたいことがあるんじゃないですか?」

キョン「フ・・・場所を変えようか」

111: 2008/07/16(水) 21:06:03.47 ID:OaBn5prr0
彼は外庭のテラスのようなところで話を始めました。

キョン「もうあの二人からアプローチを受けてるみたいだな」

古泉「ええ・・・もっとも完全に信じているわけではありませんが」

キョン「まあいいさ。聞いているなら話は早い」

キョン「お察しのとおり、俺は超能力者だ。そう呼んだ方がいいだろう」

113: 2008/07/16(水) 21:14:20.50 ID:OaBn5prr0
キョン「実はこんなに急に転校してくるつもりはなかったんだがな」

キョン「まさかあの二人がこうも簡単に長門と結託するとは予定外だったよ」

結託・・・というよりどう考えても長門さんに強引に引き入れられたようにしか思えません
が、話の腰をおることになるので口には出しませんでした。

キョン「お前には見せたいものもある。百聞は一見にしかずっていうしな」

キョン「ま、今はかいつまんで話すさ」

114: 2008/07/16(水) 21:21:38.34 ID:OaBn5prr0
キョン君の話を聞くところによると、彼の所属する機関には超能力者がたくさんおり
三年前から長門さんを監視しているということです。超能力はその三年前に突然めば
えたもので、そのとき世界は作り変えられたのではないかと機関の上層部は考えてい
るそうですが、僕には正直その前提条件である「この世界は神たる長門さんが見てい
る夢のようなものである」という考えは受け入れがたいものでした。

115: 2008/07/16(水) 21:28:05.51 ID:OaBn5prr0
古泉「長門さんに話すのも危険と・・・」

キョン「ああ、自分の力を自覚されたら何がおきるか分からんからな」

古泉「触らぬ神にたたりなし・・・ですか」

キョン「そういうことだ」

古泉「夢を見ているのは、あなた方のほうではないのですか?」

キョン「そうかもな。だが備えあれば憂いなしってな。最悪のシナリオに対して備えておくことも
必要だ。・・・世界を守るにはな」

118: 2008/07/16(水) 21:35:26.30 ID:OaBn5prr0
世界を守る

なぜか懐かしい響きがします

なぜでしょうか・・・



古泉「ではためしにこの場で超能力を使ってみてくださいよ」

キョン「そりゃむりだ。俺の力は特別な空間でしかつかえないんでな」

キョン「ま、最初にいったろ?いずれ見せるときもくるさ」

119: 2008/07/16(水) 21:40:14.92 ID:OaBn5prr0
キョン「長くなって悪かったな。俺は戻る」

キョン「・・・ああそうそう。そういや一番不思議なのはお前なんだぜ」

古泉「?」

キョン「悪いがお前のことを少々調べさせてもらったんだがな」

キョン「保証するよ。お前は普通の人間だ」

普通ですか・・・。それがいいのか悪いのか。超能力を使えるといえば聞こえは
いいですが・・・それはつまり戦いもあることを意味しますからね。キョン君に
も、いろいろ苦悩があるんでしょう。


120: 2008/07/16(水) 21:56:49.62 ID:OaBn5prr0
部室に戻った僕を待っていたのはまたもや涼宮さんの下着姿でした。

古泉「ふわっ!すすみません!」



ハルヒ「はい、お茶よ」

古泉「ありがとうございます」

僕はよくも愚直に団長命令にしたがうものだとお茶に舌鼓を打ちながら考えていましたが、
結局その団長はこの日姿を現しませんでした。

121: 2008/07/16(水) 22:04:35.41 ID:OaBn5prr0
翌々日に出会った長門さんは、相変わらずメランコリー状態から抜け出せていないようでした。

谷口「おい、おい!大丈夫か?保健室行くか?」

古泉「・・・・・・」

谷口「おう古泉か。なにやら具合が悪いらしくてな。ま、後は頼んだわ」

谷口君はそういい残してその場を離れました。困ったものです。どうも僕は、
長門さんの世話係という形でイメージが定着しつつあるようです。

古泉「どうしたんですか?昨日は反省会をする予定だったのでは?」

長門「そんなものなら昨日一人でしてた」

128: 2008/07/16(水) 22:17:19.04 ID:OaBn5prr0
聞けば長門さんは、昨日学校が引けた後、土曜の探索ルートを一人で回ったそうです。
暑い、疲れた、衣替え、とひっきりなしに不平をもらす長門さんに、僕はとりあえず
助言を与えることにしました。まあそれが助言と取られないことは分かっていました
が。

古泉「長門さん、いい加減見つかりもしない不思議を追いかけるのはやめて、高校生らしく
遊びませんか?いい男性でも見つけて、市内を一緒に回ってみてはどうです?」

129: 2008/07/16(水) 22:22:33.49 ID:OaBn5prr0
長門「男女の恋愛感情なんて一時の気の迷い。私だって時には体をもてあましたりする
けれど、恋愛なんかにうつつを抜かすほど馬鹿ではない」

長門「それに私が男あさりにふけっていたら、SON団は形骸化してしまう。そんなのはイヤ」

古泉「・・・・・・」

長門「ふう・・・何か・・・何か事件でも起きれば・・・」

谷口「なーに物騒なこと言ってやがる」

いつのまに戻ってきたんですか。

130: 2008/07/16(水) 22:27:47.09 ID:OaBn5prr0
谷口「まあ毎日がおもしろおかしくなるような出来事ならあってもいいがな」

長門「・・・・・・」

長門さんは顔を伏せたまま答えようともしません。

谷口「やれやれ、・・・。おい古泉、長門のやつ恋煩いでもしてんのか?」

古泉「いえ・・・それはないかと思いますよ」

長門さんが思いたったように恋愛に走ったり、はたまた長門さんの望む事件が起こったり
するようなことがそうそうあってはたまりません。もっとも、後者のほうは、このときす
でに起こりはじめていたわけですが・・・。


131: 2008/07/16(水) 22:37:48.08 ID:OaBn5prr0
長門さんは朝から悩みに溺れていたようでしたが、僕は僕で懸案事項を抱えていました。
それは下駄箱で朝発見したこの紙。教室への呼び出しだけの簡潔な内容でしたが、認めま
しょう、僕のこころはスキップしていました。これはもしやもしや・・・!

懸案事項とはいいましたが別段心配することもありません。むしろ喜ぶべきことともいえるで
しょう。ようやくこの僕の魅力に気づいてくれる人が現れて(ry

部室に向かう足取りは軽く、扉をあけた第一声に

古泉「ごきげんよ~う」

なーんて言ってみたり・・・まあとにかく意気揚々としていたわけです。
あ、ちなみに先の挨拶は長門さんだけでなく朝比奈さんにも全力で引かれました。

134: 2008/07/16(水) 22:49:35.82 ID:OaBn5prr0
この手紙が鶴屋さんたちのささやかなブラックジョークである可能性を必氏で頭から追い払っていると、
パソコンの画面にとんでもないものが映し出されているのが目に入りました。

古泉「なんですかそれは!」

長門「もちろん涼宮ハルヒの悩殺写真。ホームページのトップに貼り付ければ集客効果が
期待できる。フフ・・・カウンターが足りるか不安ですらある・・・あ!何を」

古泉「・・・・・・カチカチ」

長門「なんてことを・・・」

古泉「ばかなことは止めてください」

写真を貼り付けることにより涼宮さんが受けるであろうダメージと、その行為の危険性を解説してあげたところ、
長門さんはしぶしぶ消去に応じてくれました。この際全ての画像を消去してもよかったのですが、それは少しば
かり・・・訂正しましょう、あまりにも惜しいことです。僕はゴミ箱に入れたばかりのファイルをコピーし、新
しいフォルダ(フォルダ名:haruhi)を別に作ってそこに保存しておきました。

136: 2008/07/16(水) 22:56:43.87 ID:OaBn5prr0
長門「今日はもう帰る」

なにやら怒ったように言う長門さんに僕は一瞬計画が露呈していたかと恐れましたが、
長門さんはそのまま何もいわずに帰って行きました。当然です。僕のマウスさばきに
ぬかりはありません。

ハルヒ「あ、ごめん」

どうやら玄関口で涼宮さんとすれ違ったようです。

長門「・・・スタスタ」

ハルヒ「・・・?何かあったの古泉君?」

古泉「いいえご安心を。悪の陰謀は潰え去りました」

・・・しかし実際は陰謀の産物自体は僕の手で生きながらえていますが。

139: 2008/07/16(水) 23:03:35.71 ID:OaBn5prr0
その後は特にすることもなく、涼宮さんとオセロをやっていましたが、そこへキョン君が
やって来ました。

キョン「今日はバイトがあるから。じゃあな」

一体なんのバイトなんでしょうか?気になりなしたが、朝比奈さんが本を閉じたところで今日の活動は
終わりになりました。もっとも事件はこのあと始まったのですが。

141: 2008/07/16(水) 23:06:47.57 ID:OaBn5prr0
涼宮さんの

ハルヒ「私着替えるからさ、先に帰ってて」

というお言葉に甘え僕は部室を後にしました。向かったのは自分の教室です。
ドアを開けたとき、そこにいた人物にほのかに失望を覚えた僕を、一体誰が責
められましょうか。いずれにせよ、そこのは学級委員の谷口君が待っていました。



142: 2008/07/16(水) 23:20:30.54 ID:OaBn5prr0
谷口「まあ入れよ」

古泉「あなたですか」

谷口「ああ。おどろいたか?」

古泉「・・・ええ」

本当は失望していたのですが、さすがにそうはいえません。

谷口「実はお前に聞きたいことがあってな。長門有希のことだ」




150: 2008/07/16(水) 23:27:03.77 ID:OaBn5prr0
谷口「あいつのことどう思ってる?」

古泉「・・・・・・・?」

谷口「人間てのはよ、やらなくて後悔するよりやって後悔するほうがいいっていうよな」

なるほど。彼は長門さんが好きで、告白すべきか迷っているということですか。
それで僕に相談をと・・・。全く意外にシャイな一面もあるんですね。

後に思えば泣きたくなるほどに楽観的な僕でした。

180: 2008/07/17(木) 00:51:39.48 ID:Zxw0tDz20

谷口「ま、思うところはお互いあるだろうがな、大事なのはとりあえず現状を変えようとする意志
だと俺は思うんだ」

何を言おうとしてるんでしょうか?ドッキリですか?今にも鶴屋さんが掃除ロッカーから飛び出し
てくるんじゃないでしょうか?

谷口「なかなか動き出さない対象に俺はもうあきあきしてんだよ。だから・・・」

谷口「お前を頃して、長門有希の出方を見る」

182: 2008/07/17(木) 00:52:50.28 ID:Zxw0tDz20
古泉「!」

次の瞬間、谷口君はどこかからとりだしたナイフで僕に襲いかかって来ました。掃除ロッカーから鶴屋さん
が飛び出してきても驚かないように備えていた僕の心構えは、違う意味で役にたちました。

しかしこれは・・・どういうことですか?この状況はいったい・・・谷口君が僕を頃す?
Why?なぜ?

古泉「冗談はやめてください!それが本物じゃなかったとしてもあぶなすぎます!」

谷口「ほう・・・そうか・・・冗談だと思うか」

183: 2008/07/17(木) 00:53:48.14 ID:Zxw0tDz20
谷口「ククク・・・氏ぬのが怖いか?殺されたくないか?俺には有機生命体の氏の概念が
いまいち理解できなくてな」

古泉「意味がわかりませんし笑えもしません!その危ない代物をどっかに放ってください!」

谷口「ハハ・・・そいつは無理だな。俺は本気で・・・お前を頃しにかかってるんだからな!」

184: 2008/07/17(木) 00:57:14.45 ID:Zxw0tDz20
再び谷口君が襲いかかってきます。僕はまた間一髪でそれをかわし教室から出ようとしましたが、
謎の壁が行く手をふさぎます。

谷口「わりいな。今この空間は俺の情報制御下にあるんだ。出ることも入ることもできねえよ」

まったく意味が分かりません。誰か説明してくれませんか?

谷口「そろそろあきらめてくんねえか?結果はどうせ同じなんだしよ。これ以上手間かけさせないでくれ」

机を投げられ、端に追い詰められ、そして今や体が動かなくなりました。こんなのありですか?反則でしょ!

185: 2008/07/17(木) 00:57:53.86 ID:Zxw0tDz20
谷口「ったく。最初からこうしときゃよかったよ」

谷口「お前が氏ねば、長門有希は間違いなくなんらかの反応を見せるだろう。おそらく大きな情報爆発が
期待できる。またとない機会だ」

そんな理由しりませんよ!

谷口「じゃあな」

もう終わりだと目をとじたそのとき、大きな音がして・・・そして目を開けるとそこには赤い髪の少女がいました。

谷口「!」

古泉「・・・朝比奈さん!?」

186: 2008/07/17(木) 00:58:33.59 ID:Zxw0tDz20
みくる「ひとつひとつのプログラムが甘いですよ。側面部の空間封鎖も情報封鎖もね。だから私に気づかれて、
侵入されちゃうんです」

谷口「邪魔する気か?こいつが殺されれば、間違いなく長門有希は動くぜ。今の状況を打開するにはこれが最善だ」

みくる「あなたは私のバックアップのはずですよ?独断専行なんて許可されてません。私に従うべきです」

谷口「いやだといったら?」

みくる「情報結合を解除します」

188: 2008/07/17(木) 01:01:39.87 ID:Zxw0tDz20
谷口「やってみても面白いかもな。だがこの空間は俺の情報制御下だ。俺の方が有利だぜ?」

みくる「情報連結の解除を申請します」

朝比奈さんが言うなり、握ったナイフは見る見る消えていきました。谷口君はすかさず後ろに下がります。
このとき、ああ、このふたリは本当に人間じゃないみたいだと、僕は思いました。

189: 2008/07/17(木) 01:02:41.32 ID:Zxw0tDz20
その後の戦闘ははっきりいってよく見えませんでした。朝比奈さんに襟首を
つかまれたり、朝比奈さんに回し蹴りを食らったことは覚えていますが。ふ
と見上げると、朝比奈さんは谷口君の伸びた腕に貫かれて血だらけになって
いました。

古泉「朝比奈さん!」

みくる「・・・終わりました」

谷口「何がだ?お前の三年あまりの人生がか?」

みくる「違います。情報連結解除開始」

谷口「!・・・なん・・・だと?」

192: 2008/07/17(木) 01:06:05.73 ID:Zxw0tDz20
みくる「あなたはとても優秀です。だからこの空間プログラムを割り込ませるのに今までかかっちゃい
ました。でも、もうおしまいです」

谷口「そうか・・・侵入する前に崩壊因子を・・・どおりでお前が弱すぎると思ったぜ。あらかじめ構
成情報を使い果たしてたって訳か」

ハハハッと谷口君は自嘲ぎみに笑います。

谷口「フン・・・所詮俺はバックアップだったか。膠着状態から脱するいいチャンスだと思ったのによお」

194: 2008/07/17(木) 01:08:34.48 ID:Zxw0tDz20
ハハハッと谷口君は自嘲ぎみに笑います。

谷口「フン・・・所詮俺はバックアップだったか。膠着状態から脱するいいチャンスだと思ったのによお」

谷口「古泉よかったなあ、生きながらえることができて。だが見たとおり俺たちは一枚岩じゃねえ。相反する意志をいくつも抱えてるんだよ。
また俺みたいな急進派がお前を頃しに来るかもしれねえ。そのときまでせいぜい長門とおしあわせにな」

谷口「そうだ最後にいっておく。世界はな、認識で構成されてる。認識が変われば・・・世界も変わるんだ。
覚えとけ。それじゃあなWAWAWA~」

最後はよく聞き取れませんでしたが、そういい残して谷口君は消えていきました。

195: 2008/07/17(木) 01:09:16.70 ID:Zxw0tDz20
古泉「朝比奈さん!今救急車を・・・」

みくる「大丈夫よ古泉君。まずこの教室をもとに戻すから待っててね」

朝比奈さんがそういうが早いか教室はみるみるその姿を取り戻していきました。

古泉「本当に大丈夫なんですか?」

みくる「大丈夫です。ちょっとつかれちゃっただけだから・・・あ」

古泉「どうしました」

みくる「メガネの再構成・・・忘れちゃった」

196: 2008/07/17(木) 01:11:03.38 ID:Zxw0tDz20
古泉「そのままのほうがかわいいと思いますよ。僕にはメガネ属性なんてありませんし」

みくる「メガネ属性ってなんですか?」

古泉「い、いえなんでも。ただの妄言です」

鶴屋さん「ういーっす!わっすれものしちゃった・・・」

みくる「・・・・・・」

古泉「・・・・・・」

鶴屋さん「・・・・・・」

199: 2008/07/17(木) 01:12:50.25 ID:Zxw0tDz20
鶴屋さん「・・・アッハッハ、めがっさじゃまだったかな?じゃごゆっくり!にょろ~ん」

古泉「・・・はあ・・・どうしましょう」

みくる「大丈夫ですよ。情報操作は得意ですから。谷口君はカナダに転校したことにします」

古泉「いやそうじゃなくて・・・」

しかしとんだ体験をしてしまいました。朝比奈さんに蹴られただけでもとんだ体験ですが、
それ以上に・・・

200: 2008/07/17(木) 01:14:10.45 ID:Zxw0tDz20
次の日、谷口君の転校に謎のにおいをかぎとった長門さんが目を輝かせているのとは対照的に、僕はまたもや懸案事項を
抱えていました。しかも全く同じ形で。下駄箱にはいっていたこの手紙、昨日のことを考えれば、間違いなく警戒に値す
るのですが・・・。しかし部室なら朝比奈さんもいるでしょう。そして極めつけはこの「涼宮ハルヒ」の名前。今回は大
丈夫そうです。

僕は深呼吸をし、胸をはって部室の扉をたたきました。

242: 2008/07/17(木) 08:38:06.32 ID:V1+9jIOJ0

女性の声「どうぞ」

扉を開けると、そこに待っていたのは会ったことの無い、しかしどことなく知った
面影をもつ女性でした。

女性「古泉君!よかった会えて。久しぶりね」

僕の名前を知っているようです。そういえば涼宮さんに似ていますね。

古泉「え~と・・・ひょっとして涼宮さんのお姉さんですか?」

女性「あ・・・フフ、いいえ違うわ。私は涼宮ハルヒ本人よ」

244: 2008/07/17(木) 08:48:00.15 ID:V1+9jIOJ0
ハルヒ「ただし、あなたが知ってる私よりもっと未来からきてるんだけどね」

古泉「・・・・・・」

言葉もなく彼女を見つめていると、疑っているように取られたのか

ハルヒ「あれ、信じてないわね?・・・まあそうね。いきなりいわれてもね~。じゃあこれ」

言うなり彼女は自分の胸をはだけて見せてきました。

ハルヒ「ほら、ここに星型のほくろがあるでしょ?」

特盛りっ!

ハルヒ「これで信じてもらえたかしら?」

何を言っているんでしょうか?知った名前に呼び出され、知らない人がそこにいて、しかしそれは
やっぱり知っている人で、そして今その人はほくろの位置を本人確認の証として見せている。全く
もってとんだ状況です。

245: 2008/07/17(木) 08:56:32.22 ID:V1+9jIOJ0
ハルヒ「あれ?このこと教えてくれたのって古泉君よねえ?」

ハルヒ「・・・あ!そ、そういえばまだこのときは・・・」

ハルヒ「い、今のは無し!忘れなさい!」

古泉「は、はい!忘れますし信じますから!今の僕はたいていのことなら信じられるような懐の深い・・・ん?
そういえばこうなると今この時代には二人の涼宮さんがいることになりますよね?」

ハルヒ「う、うん。でも大丈夫。この時代の私は今教室でクラスメートとお弁当中よ」

大丈夫・・・といわれましても。僕にとっては同じ人物が同時に二箇所に存在している時点で
十分大丈夫じゃないんですが・・。

248: 2008/07/17(木) 09:06:51.17 ID:V1+9jIOJ0
~その頃のとある教室~

ハルヒ「なんかちょっ~と暑くなって来たわね~」

朝倉「そうね。涼宮さんは暑いの好きかしら?」

ハルヒ「好きではないわね。汗かいちゃうし・・・」

朝倉「そう。私もあまり好きじゃないのよね。極端な暑さや寒さは」

ハルヒ「へ~そうなの?ふ~ん」

朝倉「あら、何かおかしいかしら」

ハルヒ「べっつに~。ただ朝倉ってなんかこう・・・どちらかといえば極端なもの
とか極端な行動好きそうだから」

朝倉「そう見えるかしらね。まあ何かを変えるためなら極端な行動もアリかもね」

ハルヒ「そうよね!じゃあもう夏服に着替えてきてもいいわよね!」

朝倉「うん、それ無理。だってまだ五月よ?」

249: 2008/07/17(木) 09:15:43.12 ID:V1+9jIOJ0
~場所は戻って部室~

ハルヒ「みくるちゃんにはちょっと席をはずしてもらったわ。今日は教えておきたいこ
とがあって来たの」

ハルヒ「あんまりこの時間に長くはとどまっていられないし手短に言うわ」

ハルヒ「・・・白雪姫って知ってる?」

古泉「七人の小人たちや魔女が出てくる童話のことなら知っていますが」

ハルヒ「そうそれよ。これから先、あなたが困ったことに直面したとき、その言葉を思
い出して欲しいの」

古泉「困ったことなら昨日あったことも含めて間に合ってるんですが・・・」

ハルヒ「ううん。そのことじゃないのよ。もっとこう・・・詳しくはいえないんだけど、そのときは
あなたのそばに長門さんもいるはずよ」

250: 2008/07/17(木) 09:17:31.09 ID:V1+9jIOJ0
しまった訂正


ハルヒ「あなたのそばに長門さんもいるはずよ」

ハルヒ「あなたのそばに有希もいるはずよ」

251: 2008/07/17(木) 09:25:11.30 ID:V1+9jIOJ0
古泉「僕と長門さんが!?いつどこでですか!?」

ハルヒ「有希は・・・その状況を困ったこととはとらえないかも知れないんだけど、
それはあんたや私たちにとっては結構困ることなのよ」

古泉「そこを詳しく教えてもらうわけには・・・いきそうもありませんね」

ハルヒ「そうなるわね。ごめん。でもせめてヒントだけでもと思って・・・」

古泉「それが白雪姫ですか」

ハルヒ「うん」

古泉「分かりました。覚えておきます」

僕がそう伝えると、涼宮さんはうれしそうな顔をしてあたりを見回しました。
とても懐かしそうに。僕にも、この部室を懐かしむときが来るのでしょうか。

252: 2008/07/17(木) 09:35:20.33 ID:V1+9jIOJ0
ハルヒ「うわ~こんなの私よく着れたわね。今じゃ絶対無理だわ」

メイド服を見つけて、彼女は言います。その服に身を包んだ涼宮さんを僕はつい昨日みたばかりですが、
この涼宮さんにとってはとても懐かしいものなのでしょう。

古泉「他にも長門さんに何か衣装を着せられたりしましたか?」

ハルヒ「教えないわよ。はずかしいじゃない。そのうち分かることよ」

ハルヒ「・・・そろそろいかなきゃ。あえてよかった。最後にひとつだけ」

涼宮さんはいきなり僕に抱きついていいます。

ハルヒ「私とは・・・あまり仲良くしないほうがいいわ。・・・じゃあね」

古泉「待ってください!聞きたいことがあります」

古泉「失礼ですが・・・おいくつですか?」

ハルヒ「フフ・・・禁則事項よ!」

そのとびきりの笑顔は変わっていませんでした。

255: 2008/07/17(木) 09:43:52.01 ID:V1+9jIOJ0
ふう、おなかがすきました。よく考えれば今は昼休みだというのに、僕はまだ昼食をとっていません。
そろそろ帰るとしましょう。

ガチャ

古泉「おや、朝比奈さん。今そこで涼宮さんによく似た人に会いませんでしたか?」

みくる「涼宮さんの異時間同位体ですね。朝に会いました」

古泉「ひょっとして、あなたや情報なんとか体とやらも時間移動ができるんですか?」

みくる「私にはできません。でも時間移動はそんなに難しいことじゃないんですよ」

古泉「コツを教えていただきたいものです」

みくる「ちょっと言語では概念を説明できません。理解するのも難しいと思います」

古泉「そうですか。それでは仕方ありませんね」

みくる「はい・・・すみません」

256: 2008/07/17(木) 09:47:50.41 ID:V1+9jIOJ0
古泉「朝比奈さん、昨日はありがとうございました」

みくる「いいんです。谷口君の異常動作はこちらの不手際ですから」

古泉「・・・やっぱり」

みくる「?」

古泉「メガネは無いほうがかわいいですよ」

みくる「ふふ・・・ありがとう」

257: 2008/07/17(木) 09:57:41.31 ID:V1+9jIOJ0
教室に戻った僕を待っていたのは、不機嫌オーラをためらいもなく発散させ続ける長門さんでした」

長門「どこにいっていたの?すぐに帰ってくると思って私はお弁当も食べずに待っていた」

古泉「そのセリフ、幼馴染が照れ隠しをしながら怒っている感じで行っていただけると嬉しいのですが」

長門「ばかげたことを言う必要はない。ついてきて」

教室から僕を連れ出した長門さんは、谷口君が消えたことに関して自分が集めた情報をひたすらはなし
続けました。カナダ、父親、住所・・・適当に聞き流した話の中から聞き取ったこれらの単語を聞く限
りでは、朝倉さんの家にいくことになるとは推し量れず、したがってなぜ僕が引きずられているのかも
分かりません。

まあでも・・・ついていくしかないんでしょうね。

258: 2008/07/17(木) 10:04:30.34 ID:V1+9jIOJ0
うわああああああああ訂正

朝倉さんの家にいくことになるとは推し量れず

谷口君の家にいくことになるとは推し量れず

259: 2008/07/17(木) 10:08:42.93 ID:V1+9jIOJ0
女性と一緒に下校する。なんと甘美なる響きでしょう。今それを現実のものとして味わっているわけですが、
それほど嬉しくないのはなぜなのか・・・そんなことを考えながら、僕は朝比奈さんのマンションが近づい
てくるのをボーっと眺めていました。

古泉「どのように入るおつもりで?」

長門「持久戦」

と、突然入り口の自動ドアが開きました。長門さんは出てきた住人の方に一礼をすると、
その人が去るや否や自動ドアに足を挟みこんでドアをこじ開け、僕の襟首をつかんで中に
引っ張り込みました。

262: 2008/07/17(木) 10:16:06.59 ID:V1+9jIOJ0
結果的に言えば、あまり得られるものはありませんでした。部屋にはもちろん誰もいなかったため、
長門さんは管理人室で谷口君のことを根掘り葉掘り聞いていましたが、三年前に入居して先日突然
消えたということ以外に確かな情報は聞けませんでした。

管理人さん「ところでそこのお兄さん。その子、なかなかめんこいのお。逃がすでないぞ」

帰りがけの管理人さんの言葉はあきらかに僕たちをカップルと捕らえてのものでしたが、
全くまとはずれというものです。僕が長門さんを逃がさないんじゃない、長門さんが僕を
逃がしてくれないんですよ。

264: 2008/07/17(木) 10:30:34.06 ID:V1+9jIOJ0
マンションを出ると朝比奈さんに出会いました。長門さんは偶然といいましたが、どう考えても
偶然ではないでしょう。谷口君のことで何か聞いていないか朝比奈さんに尋ねた長門さんは、
さらにメガネのことにも言及しました。

みくる「え~っと~・・・その・・・」

僕を見られても・・・

長門さんは少しため息をつくと、先にいってしまいました。僕もあとを追いましたが、
すれ違いざまに朝比奈さんが不吉な言葉をささやきました。

みくる「気をつけて・・・」

ですから面倒ごとなら間に合っているんですがね・・・。

267: 2008/07/17(木) 10:43:12.23 ID:V1+9jIOJ0
帰り際の踏み切りで、ふと長門さんは話し始めました。

長門「あなたは自分がこの世界でどれだけ矮小な存在だか自覚したことはある?」

何をいいだすんでしょうか。

長門「私はある」

そして長門さんは話してくれました。小さい頃父親に野球場に連れて行ってもらったこと。
そこには信じられないほどの人がいたこと。そんなたくさんの人も、日本全体、そして世界
の人口にくらべればほんのわずかであること。そしてそれからは自分の存在を世界に訴えか
けるために奔走したこと・・・。それを聞いたからといって「全くそのとおりだ!」なんて
共感できるわけではありませんでしたが、帰るといって去っていく長門さんの背中からは明
らかにまわりの環境への、あまつさえ世界への失望の色が感じられました。

268: 2008/07/17(木) 10:50:13.31 ID:V1+9jIOJ0
そのまま後を追うこともできず、少しばかり遠回りをして家に戻ると、キョン君が待っていました。

キョン「いつぞやの約束を果たそうかと思ってな。帰りを待たせてもらったよ」

古泉「僕がどこに行っていたか知っているような口ぶりですね」

キョン「ま、立ち話もなんだからな。連れて行きたいところがあるからちょっと
時間をくれないか?」

そういってキョン君は車を呼びます。分かりきったことですが一応聞いておきますか。

古泉「・・・涼宮さんがらみで?」

キョン「・・・ハルヒがらみで」

271: 2008/07/17(木) 11:06:00.14 ID:V1+9jIOJ0
車で連れて行かれたのは、高速をしばらく走った先にあるなんの変哲もない横断歩道でした。
その間にキョン君が話してくれた話は、はっきりいってよく分かりませんでした。しかし思う
ところがなかったわけではありません。人間原理、宇宙の存在、がけっぷちで踊る道化師、そし
て願望を実現する能力。オカルトじみていると一蹴すればそれまでですが、不思議と惹きこまれ
る話でした。理解と興味は別であり、ゆえに僕はそれをただの興味深い小話としてとらえていた
だけなのかもしれませんが。

キョン「俺はある日突然力を手に入れた。それの使い方もそれがハルヒによってもたらされたことも知った。
どうしてといわれても説明するのは無理だ。分かっちまうんだから仕方ない」

さっきの長門さんの話と違って彼の話には少しばかりの共感を覚えるのはなぜなんでしょうか。

277: 2008/07/17(木) 11:23:00.56 ID:V1+9jIOJ0
キョン「長門は意外に常識的な考え方ももってるんだぜ」

キョン「あいつが変な団体を作ったのはお前のせいだ」

後半の展開は気に入らないものでした。長門さんが常識的だとは到底思えませんし、少し話を
しただけで濡れ衣を着せられるのは心外というものです。

キョン「いまさらだが、今ならまだ引き返せるぜ」

なんて、この場でいうのも本当にいまさらです。まあなんにせよ、今この横断歩道の真ん中でキョン君
に手を握られているのもあまり気分のいいものではありませんが。しかし目を開くと、そこにさっきま
であった世界は広がっていませんでした。

キョン「閉鎖空間へようこそ」

278: 2008/07/17(木) 11:35:04.22 ID:V1+9jIOJ0
キョン「半径はおよそ五キロ。普通、物理的手段で侵入するのは無理だ。地上に発生したドーム上の空間を
想像すればいい。ここはその中ってわけだ。今この瞬間でも、人は普通に歩いてるし車も普通に走ってる。一般
人が入り込んじまうことは・・・ま、めったにねえな」

広がる灰色の空間はたしかにさっきまで見ていた現実世界とそっくりで、自分たち以外に動くものがないことと
暗いことをのぞけばふだんの世界となんら変わらないものでした・・・少なくともそのときにはそう思えました。

キョン「この空間は長門の精神が不安定になると出現するもんでな、それを察知しさらに侵入できるってのも俺の
能力の一部だ。ま、もう一つもっとも重要な能力があるんだが」

キョン「この空間が長門の精神世界のにきびだとしたら、俺はさしずめにきび治療薬ってことだ」

自信満々にオロナイン軟膏を自任するキョン君。あいかわらずわかりにくい例えです。

280: 2008/07/17(木) 11:43:18.17 ID:V1+9jIOJ0
キョン「しかしお前もたいしたもんだ。この状況でもあまり驚いてねえみたいだな」

古泉「まあこれまでにいろいろありましたからね」

それなりに適応能力が芽生えてきていることを喜ぶべきかは分かりませんが、いずれにせよキョン君
の次の声で振り返ったときにみたものには驚きを隠せませんでした。

キョン「始まったぜ。見てみろ」

古泉「!」

水色がかった半透明の巨人がそこにいました。

キョン「長門のイライラが限界に達すると、あの巨人が現れる。現実世界で暴れさせるわけにもいかないから、
空間を作り出してそこで好き勝手やらせる。なかなか理性的だろ?だがどんな理屈もあいつには通用しない」

いかなる理屈も通用しない・・・ですか。やはり蛙の子は蛙ですね。

281: 2008/07/17(木) 11:48:27.82 ID:V1+9jIOJ0
古泉「どうするんですか?このままじゃ・・・」

キョン「見ろ」

いつのまにか巨人の周りでいくつかの赤い光が飛んでいました。

キョン「俺の同志だ。俺と同じように長門に力を与えられた、巨人を狩るものってことだな」

キョン「・・・さて、そろそろ俺もいくかな」

キョン君は数歩後ろに下がると、強烈な電磁波のようなものとともに赤い光を帯びて浮き始め、一気に
巨人のもとへ飛んでいきました。

282: 2008/07/17(木) 11:53:11.91 ID:V1+9jIOJ0
戦闘はあっけなく終わりました。戻ってきたキョン君は

キョン「待たせたな。最後にもう一つ、面白いものが見れるぜ」

彼のいう面白いものが本当に面白いものだとは思っていませんでしたが、その予想はあたりでした。

キョン「あいつが消えたことでこの空間は消える。ま、ちょっとしたスペクタクルだ」

世界の消滅ということでしょう?簡単に言ってくれます。

284: 2008/07/17(木) 12:02:23.58 ID:V1+9jIOJ0
キョン「分かってもらえたか?」

古泉「いいえ」

キョン「・・・あの巨人のことを俺たちは神の人、神人と呼んでる。あいつらの出現は長門の
精神とリンクしてる。それはさっきもいったが、あいつらの行動を放っておくわけにもいかな
いんだ。あいつらを放っておけば閉鎖空間はどんどん広がって、やがては世界を飲み込んじま
うからな」

古泉「なぜそうなると?」

キョン「言ったろ?分かっちまうんだから仕方ない。俺たちがなんとかしなきゃ、確実に世界
は崩壊するんだよ。困ったもんだ」

長いドライブは終わり、僕は家に帰ってきました。

キョン「長門の行動には注意しといてくれよ。あいつの精神はここのところ落ち着いてたんだがな。
最近になってまた活性化し始めてやがる」

285: 2008/07/17(木) 12:08:29.87 ID:V1+9jIOJ0
古泉「僕が気をつけたところでどうこうなるものでもないでしょう」

キョン「そいつはどうかな。俺としては、このままお前に全部任せちまってもいいと思ってるんだが。
まあ俺らにもいろいろ思惑があるんでな」

気をつけろ・・・そういえば朝比奈さんもそんなことを言っていましたね。とはいえ今すぐなにかが起きるわけでもないでしょう。
・・・と、このとき僕は思っていました。もし僕に未来を予知する力があり、翌日起きることを知ることができていたら、とても
落ち着いてはいられなかったでしょう。

286: 2008/07/17(木) 12:14:38.19 ID:V1+9jIOJ0
自称 宇宙人に造られた人造人間

自称 時をかける少女

自称 少年エスパー戦隊

それぞれ思うところがあり、長門さんの周りで活動している、とうのは理解できますよ。
さらにそれぞれ名乗りあげたその自称に恥じない証拠を律儀にも僕に見せてくれました。
しかし・・・どうしても解せないことがあります。

なぜ僕なんでしょう。

287: 2008/07/17(木) 12:21:55.49 ID:V1+9jIOJ0
ニャー!フーッ!

かの三人は長門さんに望まれてそこにいる。では僕はなぜその輪に入っているのでしょう?
そして僕はなぜ毎朝猫に起こされるのでしょう?

シャミ「私、シャミセンだよ!よろしくね!」

・・・ん?何か聞こえましたか?それはきっとあなたのこころ中だけに住む妖精の声でしょう。




これは苦しいwww

290: 2008/07/17(木) 12:28:05.89 ID:V1+9jIOJ0
ま、僕の知ったことではない、という考え方もありですよね。全ての原因は長門さんなのですから、
僕が悩む必要はないはずです。あの三人も、長門さんに真実を打ち明けてあげればいいのです。その
結果なにが起ころうと、それは長門さんのしわざですからね。僕には関係ないんですから、僕以外の
人が動き回るべきですよ。

鶴屋さん「おっはよ~う、古泉君!」

古泉「ああ、おはようございます。鶴屋さん」

291: 2008/07/17(木) 12:40:26.52 ID:V1+9jIOJ0
鶴屋さんとの会話は僕が「普通の人間」であるかどうかに終始しました。
話は体育の時間も続き、結果的に分かったのは鶴屋さんはそんなことはあ
まり考えていないということでした。話が彼女が最近行った逆ナンパに行
きそうだったので、僕は急いでその場を切り上げました。

教室に行くとまた長門さんは不機嫌モードに戻っていました。涼宮さんの次の
衣装についての意見を求められて、真剣に悩む僕の顔を間抜け面と断じるあた
り、いつもの長門さんではありますが。全く真剣に考えている人を茶化すとは
失礼なことです。僕はまじめにナース服がいいか猫耳がいいか(ry

長門「・・・本当に退屈」

まあしかし、そんな会話も退屈しのぎにはならなかったようで・・・。

292: 2008/07/17(木) 12:47:01.06 ID:V1+9jIOJ0
部室に入った僕は、一つ調べたいことを思いつきました。パソコンの電源を入れ、涼宮さんの
写真が入った例のフォルダを開きます。

古泉「なるほど、これですか・・・」

一枚の写真から、確かに胸部にある星型のほくろを確認できました。

ハルヒ「なにかわかったの?古泉君」

古泉「!いえいえ・・・別に何も・・・」

ハルヒ「あれ?このフォルダなに?」

うわ!ぬかった!

296: 2008/07/17(木) 13:06:58.04 ID:V1+9jIOJ0
ハルヒ「どうして私の名前がついてるの?ね、見せてよ!」

古泉「ど、どうしてでしょうね~」

ハルヒ「何が入ってるの?見せてみなさいよ!」

古泉「なんでしょうね~。きっとなんでもないんでしょう」

ハルヒ「うそっぽいわね~。こら、見せなさい!」

古泉「まあまあ涼宮さん、少し離れて・・・」

ハルヒ「いいじゃないの。ちょっとくらい・・・」

ガチャ

長門「何やってるの?」

297: 2008/07/17(木) 13:11:24.96 ID:V1+9jIOJ0
古泉「な、長門さん・・・」

ハルヒ「あわわわわ・・・」

長門「・・・メイド萌え・・・?」

古泉「なんのことでしょう?」

長門「・・・着替える」

古泉「お好きにどうぞ」

長門「着替えるといっている」

古泉「ですからどうぞ」

長門「っっ・・・!出てって!」

古泉「うわあ!」

僕は部屋から追い出されてしまいました。いつもは誰がいようが気にしないというのに・・・。
いつからジャガイモの存在を気にかけるようになったのでしょう?

299: 2008/07/17(木) 13:18:54.50 ID:V1+9jIOJ0
長門「手と肩は涼しいけれど通気性に欠ける・・・。改善の余地あり」

なぜかバニーガールの格好をした長門さんは不満げに言います。一体誰に改善を頼むつもりでしょう。

ガチャ

キョン「ん?なんだ今日は仮装パーティだったか?」

話をややこしくしないでください。

長門「涼宮ハルヒ・・・あなたはここに座るべき」

ハルヒ「わ、分かったわよう」

そういっていすに座った涼宮さんは心なしかおびえているようにも見えます。・・・いえ
こころなしかではありませんね。間違いなくおびえています。そして長門さんはそんな涼
宮さんの髪を結い始めました。

301: 2008/07/17(木) 13:29:08.23 ID:V1+9jIOJ0
キョン「仲のいい姉妹みたいだな」

僕以上のポジティブシンキングですね。みつあみのメイドにしたいだけに僕には見えますが・・・。

結局、その後はいつもどおりの日常でした。なにもないことをつまらないととらえるか、平和ととらえるか
は人によります。僕は前者です。それは時々刺激が欲しいと思うことありますが、基本的に平凡を楽しむこ
とができる人間だと自負しています。時間ならまだまだあるととらえることもできますし、その中にささや
かな非日常を見出すのもまた一興といえましょう。灰色空間ツアーはともかく、クラスメートに殺されかけ
たりするのはごめんです。そう、僕はこんな日常がずっと続けばいいと考えていたんです。

しかし、一方でゆるぎなく後者を支持するお方が一人、そう、ほかならぬ長門有希さんその人です。

302: 2008/07/17(木) 13:34:41.14 ID:V1+9jIOJ0
家に帰り、夜になって寝巻きでごろごろしていると、シャミセンがはさみであそんでいるのが目に入りました。
危ないな~と思いつつ、シャミセンの手、もとい前足が届くところにはさみを置いておいた自分の責任かとも思
いう考えにもいたります。そう、物事には必ず原因があるんです。ではなぜ長門さんに願望をかなえる力が与え
られたのでしょう。

そんなことを考えながら、その日は眠りにつきました。

303: 2008/07/17(木) 13:43:12.69 ID:V1+9jIOJ0
長門「おきて」

・・・まだ目覚ましがなってませんよ・・・。

長門「古泉一樹。早く起きるべき」

・・・いやです。まだねむい。

長門「起きろといっている」

古泉「ハッ!」

長門さんに揺り動かされて僕は目覚めました。ぼやけた頭であたりを見回すと、どうやらここは
学校のようです。しかも僕らはご丁寧に制服まで着ています。

長門「目が覚めたらここにいた。あなたもとなりで寝ていた」

なるほど・・・これが「気をつけるべきこと」ですか。

305: 2008/07/17(木) 13:47:34.68 ID:V1+9jIOJ0
やはり間違いないようです。閉鎖空間ですね。

古泉「キョン君を見ませんでしたか?」

長門「見ていない」

古泉「そうですか・・・。とりあえず歩きましょう」

長門「・・・あなたはあまり驚いてないように見える」

驚いていますよ。特にあなたがここにいることにね。

校門その他の場所から外に出られないことを確認した僕たちは、校舎内の部室へ向かいました。

306: 2008/07/17(木) 13:50:11.41 ID:V1+9jIOJ0
>>304
ほんとだ・・・もうやだ間違い多すぎる
こんなに時間かかってんのになにやってんだ・・・スマン 訂正載せとく

キョン「仲のいい姉妹みたいだな」

僕以上のポジティブシンキングですね。みつあみのメイドにしたいだけに僕には見えますが・・・。

結局、その後はいつもどおりの日常でした。なにもないことをつまらないととらえるか、平和ととらえるか
は人によります。僕は後者です。それは時々刺激が欲しいと思うことありますが、基本的に平凡を楽しむこ
とができる人間だと自負しています。時間ならまだまだあるととらえることもできますし、その中にささや
かな非日常を見出すのもまた一興といえましょう。灰色空間ツアーはともかく、クラスメートに殺されかけ
たりするのはごめんです。そう、僕はこんな日常がずっと続けばいいと考えていたんです。

しかし、一方でゆるぎなく前者を支持するお方が一人、そう、ほかならぬ長門有希さんその人です。

308: 2008/07/17(木) 13:59:06.05 ID:V1+9jIOJ0
長門さんは部室にこもっているのが気に入らないらしく、

長門「探検してくる」

といって外へ出て行きました。僕は自分で入れたお茶を飲みながら、やはり涼宮さんの入れたものには
かなわないなーなどとぼんやり考えていました。

と、そこで窓の外に赤い光球がひとつういているのに気づきます。
それは見る見る形を変えていき、僕が窓を開ける頃には人の形になっていました。

古泉「キョン君ですか?」

キョン「ああ、遅くなって悪かったな。時間がない。手短に言うぞ」

309: 2008/07/17(木) 14:07:33.80 ID:V1+9jIOJ0
キョン「長門はとうとうこの世界に愛想をつかして新世界の創造を始めた。まあ簡単に言えば世界崩壊の危機だな」

またもや簡単に言ってくれます。あいた口がふさがりません。

キョン「その世界は今までと違って長門の望む形に近づいてるだろう。かたや見捨てられたこっちの世界はどうなるのか・・・。
機関のおえらいさんも戦々恐々だよ。なにせ次の瞬間には自分たちの存在が消えてなくなってるかもしれないんだからな」

古泉「・・・では僕がここにいるのはなぜです?」

キョン「おいおい正気か?長門がお前と一緒にいたいと思ったからにきまってんだろ」

キョン「・・・そろそろ時間だな。このままいくとこれが最後の会話になりそうだ」

310: 2008/07/17(木) 14:12:38.58 ID:V1+9jIOJ0
古泉「こんな薄暗い世界でこれからずっといきていくなんてごめんですよ」

キョン「長門がいるじゃねーか。アダムとイヴだ。よかったな」

古泉「冗談は場を選んでいってください」

キョン「悪かったよ。いずれそっちも見慣れた世界になるだろう。ただ全く同じ代物ではないだろうがな。
俺がそっちで生まれたらよろしくしてやってくれ」

古泉「僕らはもうそちらに戻れないのですか?」

キョン「それは長門しだいだ。あいつが願うほうに世界は転ぶ」

311: 2008/07/17(木) 14:17:10.40 ID:V1+9jIOJ0
キョン「お前らとはもう少し付き合ってみたかったんだが・・・残念だ」

キョン「・・・ああそうだ。未来人と宇宙人から伝言だ」

なぜそんなことを消える間際に言うのでしょうか。

キョン「ハルヒは謝ってたよ。ごめんなさい、全部私のせいだってな」

キョン「朝比奈さんからは、パソコンの電源をつけろ、だそうだ」

キョン「・・・じゃあな」

313: 2008/07/17(木) 14:23:05.96 ID:V1+9jIOJ0
これはいったい・・・どういう冗談なんでしょうか。

そうだ。パソコンの電源を・・・。

パソコンは電源を入れても起動しないどころか音も立てません。モニターをたたいてみましたが、
特に反応はなし・・・と、思いきや、モニターの上部に文字が入力され始めました。


MIKURU.A>見えてる?

317: 2008/07/17(木) 14:33:48.12 ID:V1+9jIOJ0
これは・・・朝比奈さん?

ええ、見えています

MIKURU.A>そちらの世界との連絡はまだ完全には絶たれていません。でもそれも時間の問題です。
     そうなってしまったらおしまいです。

一体どうすれば?

MIKURU.A>どうにもなりません。情報統合思念体はいたく失望しています。これで進化の可能性は
     失われてしまいましたから。

MIKURU.A>長門さんは何もないところから情報を生み出す力を持っていました。そんな力、情報統
     合思念体ももっていません。この情報創造能力を解析できれば、自律進化への糸口が見
     えてくると考えたんです。



320: 2008/07/17(木) 14:40:17.18 ID:V1+9jIOJ0
MIKURU.A>あなたに賭けます。

何をですか?

MIKURU.A>あなたたちがもう一度こちらの世界へ回帰することを私たちは望んでいます。
     長門さんは、こんな言い方は失礼ですけど重要な観察対象です。それに
     私自身もあなたに帰ってきて欲しいと考えています。

MIKURU.A>また図書館に

文字が薄れて消えていきます。

古泉「朝比奈さん!」




MIKURU.A>sleeping beauty

321: 2008/07/17(木) 14:47:21.17 ID:V1+9jIOJ0
文字は完全に消えてしまいました。現実世界への最後のつながりだったそれが消えてしまい、
僕はうなだれました。

朝比奈さん・・・キョン君・・・僕に・・・僕にどうしろと?

しかし時は待ってはくれないようです。窓の外から青白い光が差し込み、僕は振り返りました。
ああ、悪いときには悪いときがさなります。長門さん本人がいるというのに、ついにそれは現れ
てしまいました。ストレスが生み出したしの化けものがゆっくりと立ち上ったのと、長門さんが
部室の扉を開いたのは同じくらいでした。

322: 2008/07/17(木) 14:57:22.36 ID:V1+9jIOJ0
長門「あれ何!?」

いつもの長門さんらしくなく、興奮した口調で言います。いえ、ある意味ではとても長門さんらしい
のですが。

古泉「長門さん!行きましょう」

長門「どこへ・・・?」

古泉「とにかくここを離れるんです!」

僕は長門さんの手を引っ張って部室を飛び出しました。

長門「あれはきっと邪悪なものじゃない。私にはわかる」

僕は自説を耳元で展開する長門さんを途中何回か大きな振動に見舞われながらも
なんとか校舎の外に引っ張り出し、その手を離さず校庭を駆け抜けます。

345: 2008/07/17(木) 16:26:36.46 ID:V1+9jIOJ0

長門「私なんか今・・・ちょっと楽しい・・・!」

古泉「もとの世界に帰りたくはないんですか?」

長門「え・・・?」

古泉「あなたが作ったSON団はどうするんです?」

長門「もう別にいい。私自身がこんなに面白くて不思議な体験をしているから」

古泉「僕は帰りたい」


348: 2008/07/17(木) 16:30:38.85 ID:V1+9jIOJ0
古泉「今まであなたに振り回されてきましたが、それが楽しくなかったかといわれれば
楽しかったといわざるを得ません」

古泉「朝比奈さんも、涼宮さんも、キョン君も、鶴屋さんや消えてしまった谷口君を含めてもいい」

長門「何をいってるの・・・?」

古泉「そう、これが僕の望んでいた世界だったんです!」

急に長門さんが足を止め、僕の手を振り払います。

長門「全く理解できない・・・」

351: 2008/07/17(木) 16:37:21.99 ID:V1+9jIOJ0
古泉「・・・ハア・・・ハア」

長門「ハア・・・ハア・・・あなたも・・・あなたも不思議な出来事を求めていた
はず。退屈な世界に辟易していたはず。どうして分かってくれないの?」

古泉「・・・分かりますよ」

長門さんの肩に手をおいて僕は語りかけます。

古泉「僕はここ数日で、かなり面白い出来事に遭遇してたんです」

古泉「あなたは知る由もないでしょうが・・・世界を決めていたのはあなただったんですよ」

352: 2008/07/17(木) 16:40:16.56 ID:V1+9jIOJ0
古泉「あなたが気づいていなかっただけで、世界は確実にあなたの望む・・・「面白い」世界に
変わってきていたんですよ!」

古泉「ここでやめてしまっていいんですか?与えられた不思議さで満足するんですか?」

古泉「あなたならまだまだ世界を面白くできるんですよ、長門さん!」

353: 2008/07/17(木) 16:44:27.70 ID:V1+9jIOJ0
増えていく神人。近づく恐怖。にもかかわらず長門さんは目を輝かせています。
あなたは一体・・・何者なんですか。

朝比奈さんは言いました。進化の可能性と。

涼宮さんは言いました。時間のゆがみと。

そしてキョン君にいたっては神とまで定義しています。

では僕にとっては?

長門有希の存在は僕にとってどんな意味を持つのでしょう?

僕はどのように彼女を認識しているのでしょう?

354: 2008/07/17(木) 16:50:44.22 ID:V1+9jIOJ0
長門さんは長門さんであってそれ以外の何者でもない。そう断じて終わりにすることもできます。
しかし哲学的な言い回しだけでは生きられない。時にはそれと向き合わなければ。

後ろの席にいる長門さん。周りを振り回す長門さん。僕のとなりにいる長門さん。

どれが本物かといわれれば全てがそうですが・・・しかし僕の考える長門さんは
よく一緒にいるただのクラスメートではありません。

そして進化の可能性でも

時間のゆがみでも

ましてや神でもない!



「白雪姫って知ってる?」              sleeping beauty  


356: 2008/07/17(木) 16:56:18.47 ID:V1+9jIOJ0
そうか・・・。

古泉「長門さん」

長門「?」

古泉「実は僕、ポニーテール萌えなんです」

古泉「いつだったかのあなたのポニーテールは、反則的なまでに似合っていました!」

長門「何をいって・・・ン」



ドスンという大きな音で次に気がついた時、ぼくの目の前にはただ天井が広がっていました。

359: 2008/07/17(木) 17:04:22.60 ID:V1+9jIOJ0
なんてはずかしい夢でしょうか!

フロイト先生も大爆笑されるに相違ありません。

翌日の町の、そして学校の様子はいたって普通でした。これがすでに改変された世界である可能性もあります
が、僕にはそれを確かめるすべなどありません。

教室に入ると、長門さんの髪型が変わっているのが目に入りました。

古泉「・・・おはようございます。気分はどうですか?」

長門「・・・あまりよくない。昨日悪夢を見たから」

古泉「ほう。それは災難でしたね」

髪を纏め上げ、ちょこんと束ねたその様子は・・・

古泉「長門さん」

長門「何?」

古泉「・・・よくお似合いですよ」

360: 2008/07/17(木) 17:08:23.41 ID:V1+9jIOJ0
キョン「お前には感謝すべきかもな。おかげで俺のバイトもしばらく続きそうだ」

キョン「まあこの世界が昨日の晩に創造された可能性も否定できないんだが」

キョン「・・・なんにせよお前と長門にまた会えて嬉しいよ。じゃ、また放課後にな」






361: 2008/07/17(木) 17:13:47.69 ID:V1+9jIOJ0
みくる「お二人はですね、二時間三十分の間この世界から消えてたんです」

古泉「そうですか・・・」

時間感覚など完全に麻痺していましたが、いざ聞いてみてもいまいちコメントしづらい微妙な時間ですね・・・。

古泉「あなたのような方は、あなたの他にどのくらい地球にいるんですか」

みくる「それなりにいます」

古泉「また・・・谷口君みたいな人におそわれるの勘弁してもらいたいんですが・・・」

みくる「大丈夫です。私がさせません」

362: 2008/07/17(木) 17:23:31.47 ID:V1+9jIOJ0
ガチャ

ハルヒ「あ、古泉君!」

古泉「ああ涼宮さ・・・ってうわ!」

なんと涼宮さんはいきなり僕に抱きついてきました。

ハルヒ「よかった・・・。もう二度と会えないかと思ったもの・・・」

古泉「涼宮さん、大丈夫ですから」

ハルヒ「ハッ・・・だめだわ!こんなとこ有希に見られたらまた・・・」

古泉「あ、そういえば涼宮さん、胸のここのところに星型のほくろがありますよね?」

ハルヒ「え?・・・・・・あっ本当に・・・、な、なんで知ってるの!?」

363: 2008/07/17(木) 17:25:10.87 ID:V1+9jIOJ0
ハルヒ「私も今まで星の形だなんて知らなかったのに・・・ちょっとぉいつ見たのよ!古泉君!」

ガチャ

長門「何やってるの?」

ハルヒ「ふわわ!」

長門「・・・涼宮ハルヒ、メイド服はもうあきたはず。さあ新しいコスチュームにレッツトライ」

ハルヒ「やめて~有希~!」

涼宮さんの悲鳴に合掌し、僕は部室をあとにしました。

365: 2008/07/17(木) 17:40:09.62 ID:V1+9jIOJ0
その後のことを少しだけ語ろうと思います。

SON団は、このたびようやく設立申請の書類を生徒会に提出しました。「世界を大いに盛り上げるための長門ユキの団」
では却下される可能性が大なので、「生徒社会を応援する仲間が集う奉仕団体」と改名しておきました。市内の不思議
探索パトロールも相変わらず続いており、今日はその二回目ということになります。どういう偶然かは知りませんが、
朝比奈さんも涼宮さんもキョン君も急用のためやむなく不参加となり、そういうわけで僕は今一人、長門さんを待って
います。前の失敗を教訓に、僕は集合時間の一時間前に集合場所にやってきました。最後にやってきたものは集合時間
に間に合っても罰金を払わされる悪魔のルールは、今日のところは長門さんに跳ね返りそうです。見えてきた長門さん
は心なしか不機嫌に見えます。それが参加率の低さを嘆くものなのか、僕に遅れをとったことへの悔しさからのものな
のかは、長門さんおごりの紅茶でも飲みながらゆっくりと聞いてあげることにしましょう。

369: 2008/07/17(木) 17:46:31.25 ID:V1+9jIOJ0
その際には、僕はいろいろなことを話してあげようと思ってます。SON団の今後の活動方針について、
涼宮さんの衣装の希望などなど・・・。


しかし結局のところ、最初に話すことは決まっているんです。


そう、まずは宇宙人と、未来人、そして超能力者について話してあげようと、僕は思っています。




                               ~fin~

370: 2008/07/17(木) 17:47:26.03 ID:lQwIGe2B0
おお、おつかれー!
面白かったよ!

372: 2008/07/17(木) 17:50:39.50 ID:ulJv1+1F0
まじで乙

なぜかニヤニヤしながらみてたぜ

373: 2008/07/17(木) 17:51:14.31 ID:ao6Ezq030

377: 2008/07/17(木) 17:54:46.71 ID:V1+9jIOJ0
終わりです
もう手がだめです
オリジナルじゃないぶん流れは作りやすかったけど、あきれるほど間違いが多くなってしまいごめん
ここまで書いてこれたのは>>1の配役の妙とみなさんの温かいレスのおかげなんだぜ!
溜息にも期待
読んでくれたすべてのみなさま、おそろしいほどの遅筆にもかかわらず最後までありがとう

では

394: 2008/07/17(木) 20:43:29.05 ID:V1+9jIOJ0
あれwww書き終わってしばらくたつのになぜ残ってるんだwww

引用: 長門ユキの憂鬱