1: 2024/05/12(日) 22:17:10 ID:PxZQxrQ200
メイ「幼馴染ではないだろ」

四季「じゃあ何?」

メイ「とも──……腐れ縁」

四季「腐るほど長いならもう幼馴染で良い」

メイ「私たちの関係は足が早いんだろ」

四季「傷つきやすいピュアな関係って事?」

メイ「私たちには円遠い言葉だな」

四季「私の心はいつもPure」

メイ「お前の心がピュアなら全人類の心はピュアだよ」

2: 2024/05/12(日) 22:21:49 ID:PxZQxrQ200
四季「そうは言っても私のこの恋心は純度百パーセント」

メイ「……」

夏美「何話してんですの?」

メイ「心のピュアじゃない奴が来たな」

夏美「マニーの為なら純粋さも捨てられるのがオニナッツですの」

四季「心の穢れた夏美ちゃん、私とメイの関係って何?」

夏美「メイがさっさと抱けばいいですの」

メイ「馬鹿なのか?」

四季「いいね。正解」

メイ「馬鹿なのか……」

4: 2024/05/12(日) 22:31:14 ID:PxZQxrQ200
夏美「実は私四季とメイの馴れ初めを知らないんですの」

メイ「あれ。そういえばそうだったか。まあ知ったところで何にもならない──」

四季「Liella!では必修。夏美ちゃんはまだ履修してないなら今履修しよう」

夏美「まあなんとなく察せるんですの。大方メイが『四季、お前の事なんかほっとけないんだよ』とかなんとか言ったんですの」

四季「……」
メイ「……」

夏美「今日日そんな使い倒された少女漫画のネタみたいなことありますの!?」

メイ「そんないいもんじゃねえよ!」

四季「……冗談抜きで結構そんな感じだと思う」

夏美「ならちゃんと責任取ったほうがいいですの」

四季「だって」

メイ「なにがだって、だよ。そもそも今のお前の世界はあの狭い科学室だけじゃない。もう私に執着する必要はないだろ」

四季「違う。私を広い世界に連れ出してくれたのがメイ。だから私はメイが好きになった。I love Mei……」

夏美「さらっと告白してますの」

6: 2024/05/12(日) 22:38:12 ID:PxZQxrQ200
夏美「メイ、中学の頃ってどんな感じでしたの?」

メイ「変わり者」

夏美「四季のことを聴いてますの」

メイ「四季のことを話してんだよ」

四季「初めまして変わり者です」

夏美「変わり者っていうか無口だっただけではないですの?」

四季「夏美ちゃんと会った時には私は外の世界に関わろうとしてたから……」

メイ「そうだな。出会った時と今を比べると、やっぱ結構変わり者だった思う。これは私のバイアス抜きにして」

7: 2024/05/12(日) 22:44:04 ID:PxZQxrQ200
四季「中学の頃の私は誇張でもなんでもなくて、他人に興味なかった」

夏美「中二病?」

四季「その方がまだ救いがあった」

メイ「はは、なあ夏美、最初の私と四季の会話、どんなだったたと思う?」

夏美「え……んー……無難に『おはよう』『うん』とかですの?」

四季「そういえば私たち最初の会話って挨拶じゃなかった」

メイ「ほんとだな。同じクラスだったのにそれまで関り一切なかったもんな」

夏美「え。どういう関係でしたの」

四季「メイはクラスの中心グループの一人で」

メイ「四季はマジのぼっちだった」

夏美「えぇ……?」

8: 2024/05/12(日) 22:48:23 ID:PxZQxrQ200
四季「じゃあ正解発表。メイ、運命の出会いについて話して」

メイ「運命ってか私の気まぐれなんだけど──ってかあれ会話か?」

四季「少なくとも私は──」

夏美「いーから話しますの! 気になってきましたの!」

メイ「じゃあ……再現するぞ。『ねえ、一緒に行かない?』」

四季「『……』」

夏美「四季はなんて答えましたの?」

四季「『……』」

夏美「黙っててもわかりませんの、メイ、四季はなんて返しましたの」

メイ「なんにも?」

夏美「はい?」

四季「普通に無視した」

夏美「はぁ!? 四季が!? メイを!? 無視!?」

9: 2024/05/12(日) 22:54:42 ID:PxZQxrQ200
四季「本読んでたし邪魔だなぁって思ってた」

メイ「ははっ、こいつほんと失礼だよな」

夏美「……四季、メイのことどう思ってますの?」

四季「好き」

夏美「……いったい何がどうなってこうなってますの」

四季「メイが私の心を盗んでいった」

メイ「言うほどなんもしてねえよ」

夏美「やったからこうなってますの」

メイ「いや……だって夏美も知ってるだろ? 私の性格」

夏美「素直じゃくて口調も乱暴でガサツでおまけに目つきが悪い」

メイ「罵倒しろとは言ってない」

四季「でもとても優しくて頼りになるし思いやりもある」

メイ「嘘を吐けとも言ってない」

10: 2024/05/12(日) 23:23:25 ID:PxZQxrQ200
夏美「それがファーストコンタクトだったとして、何をどうこねくり回せばこうなりますの」

四季「メイにこねくり回される?」

メイ「夏美も言ったけど私もまあこんな性格だからさ。段々グループから浮いてきてさ。んで、ある日そのグループと喧嘩別れみたいになったんだよ」

夏美「……意外ですの」

メイ「何がだ?」

夏美「確かにメイは素直じゃないし口調も乱暴だしガサツですの。でも、喧嘩別れをするような人間ではないと思いますの」

四季「それは──」

メイ「まあ、色々かみ合わなかったんだよ。グループと」

四季「……」

夏美「まあ、昔の事ですの。で、その喧嘩別れした日に二人に進展がありましたの?」

メイ「ああ。その時も四季は教室で一人で本読んでてさ。その時、すげえ四季が羨ましく見えたんだよ」

四季「喧嘩してる声は聞こえてて。流石に気まずい、って思って……でも。なぜかそこからメイは私によく気にかけてくれるようになった」

夏美「メイの方から!?」

四季「メイの方から」

メイ「……事実だからそんな顔で見んな夏美」

11: 2024/05/12(日) 23:29:05 ID:PxZQxrQ200
四季「それまで一人だった私とってメイは太陽みたいだった。メイを通じて私の世界は広がっていった。教室の片隅と科学室だけが私の居場所だった──けど」

四季「メイを通して、周りの人が何を思ってるとか他の人が何を考えてるかとか、興味が湧いた」

夏美「色々言いたいことはあれど……四季ってだいぶ変わってましたのね」

メイ「な。ま、もちろん前提で良い奴なんだけどな」

四季「いい人間かどうかはその人の主観だから否定も肯定もしない──少なくとも今は夏美ちゃんのことにも興味ある。特に頭の中とか」

夏美「馬鹿にしてますの?」

メイ「私も夏美の頭の中は気になるな」

夏美「馬鹿にしてますの」

12: 2024/05/12(日) 23:34:17 ID:PxZQxrQ200
四季「こうやって私の世界を広げてくれたメイを、好きにならないわけがない」

夏美「なるほ──」

メイ「いや、違うって。広がったからこそ私に執着しないで、色んな人ともっと関われって言ってんだ」

夏美「……ん?」

四季「メイ、違う。そういうことじゃない。私はメイが好きで──」

メイ「四季、お前がそう言ってくれるのは嬉しいよ。でも私たちは中学の頃のままじゃない。私たち二人だけじゃないんだよ」

メイ「夏美もいる、きな子もいる。先輩たちだって、後輩だっている。クラスの奴もいるし。お前の世界にはもう私だけじゃない。私に執着する必要は──」

四季「それはわかってる。メイの言ってることもわかる。でもそうじゃない。私の気持ちは、メイ──」

夏美「──拗れる!!」

メイ「え?」
四季「え?」

13: 2024/05/12(日) 23:46:16 ID:PxZQxrQ200
夏美「このままいけば間違いなく拗れますの! 断固お断りですの!!」

メイ「拗れるって……私は別に四季と喧嘩するつもりなんてねえよ」

四季「喧嘩して愛が深まるなら一考の余地あり」

夏美「深まるのは溝ですの。それにグループ内の痴話喧嘩はすみれ先輩と可可先輩だけでお腹いっぱいですの」

メイ「いいよなクゥすみ! 夏美もようやくあの二人のカップルの良さが……!」

夏美「nmmnの話じゃねえんですの」

四季「生ものは足が早いから……」

メイ「あの二人は傷まねえよ一生ピュアだよ!」

夏美「こうなった時のメイは氏ぬほど厄介ですの」

14: 2024/05/12(日) 23:53:21 ID:PxZQxrQ200
夏美「私から見て、四季はメイに執着してるっていうのは間違ってはない、とは思いますの」

メイ「だろ? 最初に声かけたり付きまとったりして、執着させた原因は私にもあるけどさ。でも──」

夏美「でも、それだけじゃありませんの。純粋に慕っている、っていうのはきっと間違いありませんの」

メイ「な──」

四季「夏美ちゃん、急に真面目」

夏美「……友達がすれ違うのはあんまりいい気持じゃないですの」

メイ「夏美……」
四季「夏美ちゃん……」

夏美「メイ、私はメイに聞きたいんですの」

メイ「な、なんだ?」

15: 2024/05/12(日) 23:54:38 ID:PxZQxrQ200
夏美「メイは四季の事、好きですの? 好きって言われて、なんて応えたいんですの?」

メイ「……え」

四季「……夏美ちゃん……」

17: 2024/05/13(月) 00:00:40 ID:6SqI5ktQ00
寝る

22: 2024/05/13(月) 19:33:54 ID:6SqI5ktQ00
メイ「さ、さっき言った通りだよ。気持ちは嬉しい。それだけだ。答えなんて──」

四季「メイ……」

メイ「ってか夏美、お前には関係ない話だろ」

夏美「ありますの」

メイ「ねえよ」

夏美「関係ありますの。私は四季の事好きですの」

メイ「なっ!?」
四季「!?」

23: 2024/05/13(月) 19:40:17 ID:6SqI5ktQ00
メイ「おいおいおい! そんな話初めて──」

夏美「当たり前ですの。今初めて言いましたの」

四季「え、夏美ちゃん、本気……?」

夏美「マジですの。メイ、その気もないのに四季の気持ちに応えることもしないなら、私が──」

メイ「ッ……わ、私には関係ない話だろ。夏美が四季のことを好きでも、四季が夏美と付き合うかどうか──」

四季「いいよ、夏美ちゃんとなら私──」

メイ「え!? え嘘だろ!? 今の今までのは一体何だったんだよ!?」

夏美「はい私の勝ちですの。今後はしきなつを宜しくお願いしますの」

メイ「おいおいおいおい認めないぞ!? 認めないからな!?」

きな子「きな子も認めないっす!!!!!!」

四季「きな子ちゃん?」
メイ「きな子?」
夏美「あっ」

24: 2024/05/13(月) 19:43:16 ID:6SqI5ktQ00
きな子「夏美ちゃんはきな子と、その、お、おちゅっ、おちゅき──する関係っす!」

夏美「!?」
メイ「!?」
四季「!?」

きな子「うう……恥ずかしいっす」

四季「恥ずかしいのはこっち」

メイ「おい夏美、どういうことだよ」

夏美「……きな子、まだ未遂ですの私たち」

メイ「どういうことだよ!?」

四季「夏美ちゃん、メイにはまだ言ってない?」

メイ「どういうことだよ!!」

27: 2024/05/13(月) 19:58:58 ID:6SqI5ktQ00
──────

────

──

メイ「お前ら付き合ってたのか!?」

きな子「ま、まだ突き合ってはないっす!! というか夏美ちゃんを突くものがないっす!!! メイちゃんはエOチっす!!!」

夏美「きな子、ちょっと黙ってますの」

きな子「はにゃぁ……恥ずかしいっす……」

四季「待って欲しい。まさか夏美ちゃんが受けなの?」

夏美「四季、ちょっと黙ってますの」

四季「はにゃぁ」

メイ「夏美、何で私にだけ黙ってたんだよ」

夏美「ご安心ですの、かのん先輩にも秘密にしてますの」

メイ「同列に語るなよ!」

29: 2024/05/13(月) 20:09:43 ID:6SqI5ktQ00


かのん「あ、ちょっとくしゃみでる──くちんっ♡」

すみれ「げっ、あんたそのくしゃみまだやってたの?」

かのん「誰か噂してるのかなぁ──って『げっ』って何『げっ』!?」

すみれ「言いたくもなるわよ。千砂都、矯正諦めたのね」

かのん「この前『もう可愛いからなんでもいいよ』って言ってくれたんだ」

すみれ「マジで諦められてるじゃないの……」

30: 2024/05/13(月) 20:21:16 ID:6SqI5ktQ00


夏美「Liella!箱推しのメイにとってきな子と私の恋愛は刺激が強いと思いましたの」

メイ「ま、まあ色々と刺激が強いよな。マジで今ビビってるから」

きな子「……あの、夏美ちゃん。さっきのは一体どういうことっすか」

四季「責めるなら夏美ちゃんじゃなくてメイを責めて。さっきのはメイを脅しただけ。ああやって私が夏美ちゃんに絆されたフリをして本当の気持ちを引きずり出そうとした」

メイ「お前らほんと油断なんねえよな……ってか私が責められんのか?」

きな子「? 引き出すも何もメイちゃんは四季ちゃんのこと、す、す……したいって思ってるっすよね?」

メイ「なんで付き合うと好きが言えなくてそっちは言えるんだよ!!」
四季「よし。客観的に見てそれならもう私の勝ち」

夏美「つまりもう傍から見てもメイは四季の事が好きってことですの」

きな子「メイちゃんも四季ちゃんと、その──お、おちゅ……おちゅき……ぁぅ……えと……したいっすよね?」

メイ「お前の頭はどうなってんだよ!!」

32: 2024/05/13(月) 21:08:59 ID:6SqI5ktQ00
メイ「わかったよ認める、認めるよ! 私は四季が好きだ! これで満足か?」

四季「……」

きな子「……四季ちゃん?」

夏美「声も上げずに泣いてますの……ガチ泣きですの……」

メイ「でも! 付き合うとは言ってないぞ!」

きな子「セッ──」

夏美「きな子静かに」

四季「どうして? 私たちは両想い。もうあとはするしかない」

きな子「っすよね」

メイ「しねえよ」

夏美「なんでですの?」

37: 2024/05/14(火) 20:21:06 ID:/OH6IDuQ00
メイ「だから! 今まで四季の人間関係は狭かったって言ってるんだ! これから私よりもっと良い奴が現れるかもしれないだろ!!」

四季「え……?」
きな子「?」
夏美「はぁ?」

メイ「だ、だから! わ、私なんかよりもっと良い奴が四季の前に──」

四季「私はメイがいい。メイと一緒になりたい。かのん先輩と恋先輩とすみれ先輩を足し算したくらい美人で凄く優しい性格の石油王が私に告白してきても、私はメイがいい」

メイ「……なんでだよ」

四季「メイが好きだから。大好きだから。メイと一緒に幸せになりたいから。それじゃ、だめ?」

メイ「……」

夏美「もう一押しですの」
きな子「押し倒すっす」

四季「メイ、私はメイのことが──」

38: 2024/05/14(火) 21:07:24 ID:/OH6IDuQ00
メイ「好きだ、四季。私と付き合ってくれ」

夏美「!」
きな子「!」

四季「……はい……っ」

夏美「やれやれ。これでひと段落ですの」

きな子「きな子もなんだか嬉しくて泣けてくるっす……ぐしゅっ」

四季「うぅ……メイぃ……」

メイ「夏美、きな子、悪い」

夏美「さあきな子、お邪魔虫は帰りますの」

きな子「はいっす! また明日っす、四季ちゃんメイちゃ──」

──すみれちゃんお尻で押さないで!
──すみれの太腿で見えマセン!
──ちょっと誰! どさくさに紛れて私の匂い嗅いでるの!
──違いますよ!? 私ではありません! 決して──!
──あ、だめ、ドアが!

どんがらがっしゃん

39: 2024/05/14(火) 21:15:52 ID:/OH6IDuQ00
メイ「先輩……?」
きな子「なにやってるっすか?」
四季「あ……」
夏美「……やっぱり面白集団ですの、この人たち」

かのん「……お邪魔虫一号です……」
可可「二号デス……」
千砂都「じゃあ私はダンゴムシかな……」
すみれ「私はグソクムシ……」
恋「すみませんやっぱり良い匂いだったので……」

メイ「……そうだ。先輩たち。中学の頃からの付き合いは、幼馴染って言うと思うか──?」

41: 2024/05/14(火) 21:23:02 ID:/OH6IDuQ00
──────

────

──

四季「メイ、メイ、メイ」

メイ「……何回も呼ぶなって。聴こえてるから」

四季「ふふ。メイ、メイ」

メイ「……わかったよ、私の負けだって」

四季「好き。メイ、好き」

メイ「わかった! わかったから勘弁してくれ! 私も好きだから!」

四季「……恥ずかしい」

メイ「言わせた方が照れるなよ! こっちも恥ずかしくなるだろ! ったく……」

42: 2024/05/14(火) 21:40:51 ID:/OH6IDuQ00
四季「……メイ」

メイ「……なんだよ」

四季「メイを好きになったのは、私の世界を広げてくれたことだけじゃない」

メイ「え?」

四季「中学の頃、メイがグループから外れたその日、何があったか……私、知ってる。メイが喧嘩別れせざるを得ないような事が」

メイ「……」

四季「協調性がなくてクラスで浮いてる若菜四季っていう人を嫌がらせしよう、メイのいるグループでそういう話が出た」

メイ「……知らねえな」

四季「それを目つきの悪いガサツで乱暴な子が、反対して喧嘩になって、グループから外れたって、私は後から知った」

メイ「……知らねえよ」

四季「……メイのそういうところ、私は好き」

メイ「……知らねえって、私は」

四季「そういうところも、私は好き」

43: 2024/05/14(火) 21:45:26 ID:/OH6IDuQ00
メイ「……ほら、帰るぞ」

四季「……うん」

メイ「おい、近いって」

四季「そう?」

メイ「近い。歩きにくいだろ」

四季「じゃあメイから離れて」

メイ「……まあ、このままでもいいだろ。今日くらい」

四季「……ふふ。素直じゃないメイも好き」

メイ「……ったく」




四季「中学の頃からの幼馴染って幼馴染って言える?」メイ「は?」 了

44: 2024/05/14(火) 22:16:08 ID:SHF3SGbQ00
四季メイはもちろんのこと他のキャラも活き活きしててとても良いSSでしたわ

45: 2024/05/14(火) 23:37:03 ID:4SigR9EU00

引用: 四季「中学の頃からの幼馴染って幼馴染って言える?」メイ「は?」