39: 2008/10/21(火) 22:21:34 ID:I06j6zB7
ちょくちょく言っていたシャーリー×エーリカ。
エーリカ悲恋注意。駄文すぎ注意。




40: 2008/10/21(火) 22:24:18 ID:I06j6zB7
『乙女の――』

「ぐっもーにん‥」
 朝食の時間より一時間ほど遅れて、あたしは食堂へやってきた。
ネウロイはきのう制圧したばかりだから、今日は平和な一日になりそうだ。

「ぐっもーにーん」
 けだるそうな応答の発信源はハルトマンだ。
彼女も今来たばかりのようで、今日の朝食と思しきバターロールの最初のひとくち目をかじっているところだった。

「あれ、一人?」
「うん」
「バルクホルンとかは?」
 ハルトマンのまぶたが一瞬ぴくりと反応したように見えたのは、気のせいだろうか。
「トゥルーデは妹のお見舞い。少佐とかは訓練にいったし、エイラとサーニャはまだ寝てる」
 バルクホルンの妹のお見舞いって、いつもハルトマンが付き添ってたんじゃなかったっけ…という疑問はすぐに解決された。
「おみまい、今日はミーナがついてったんだ。たまには…って」
「ふぅん…」
「どうせ二人で買い物でもしてくるんじゃないの?」

 すこし驚いた。こいつ、こんな愚痴めいた口調で話す奴だったか?なんだろう…すごく不機嫌そう。
――ぶっちゃけ理由はなんとなくわかるんだけど。


 あたしは用意されていたバターロールを皿にのせて、ハルトマンの隣に腰を下ろした。
 とくに会話もなく、ふたりして黙々とバターロールを頬張る。

 食べ終わっても、なんとなく席に座ったままボーッとしていた。
ルッキーニも見当たらないし、今日はやることがないなあ――ユニットの整備でもすっか‥などと思いながら、意味もなく視線を移していく。
 すぐ目の前にあるハルトマンの食事のトレイ付近をみる。
突然、茶色いテーブルにポタリと染みができた。

―え?
はっとして見上げると、ハルトマンの頬に一筋のこる、涙の痕。

「…ちょっと、ハルトマン!?」
 あたしはびっくりして立ち上がり、彼女の肩をつかむ。
「……えっ、なんで私…?」
「どうしたんだよ、急に」
 自分が泣いていることに気づかなかったのか、目を見開いて私を見ている。
「ううん、なんでもない」
「なんでもあるだろ!お前が涙流すなんて!」
「ほんと、なんでもないってば」
 もしかしたら私に話したくないのかもしれない。そう思ったから、ここで追求するのはやめた。
それに、ハルトマンの表情がひどく痛々しくて、踏み込んだら壊れてしまいそうだった。


 妙に重い空気になってしまった食堂をあとにして自室に戻ってからも、さっきのハルトマンの表情が頭から離れない。
あたしは、以前似たものを見たことがあるんだ。

あの涙―、あれは間違いなく、恋する乙女の涙だった。

41: 2008/10/21(火) 22:25:55 ID:I06j6zB7



 トゥルーデはよく、ミーナを見つめている。
ミーナの指示を聞くときはもちろん、食事中や、自由時間のときだって。
そんなとき私はきまって、トゥルーデの透明琥珀色の静かな瞳に、火傷するくらいにたぎった情熱を感じるんだ。

きっとそれは思い込みなんかじゃない、事実。

 そんなことを考えていたら、なぜか眼から涙があふれてしまった。
シャーリー、心配したよな…。悪いことしちゃったな…。


 そこへ、扉をノックする音が聞こえた。
トゥルーデやミーナのそれとは違う、聞いたことのない軽快な音だ。

「どーぞ」
 呼びかけると、外から扉が開く。
 訪問者は、洗面用具をかかえ、にこりと微笑むシャーリーだった。

「一緒に風呂でもどうだ?」



「あいかわらず、だな」
「どこみてんのシャーリー…」
 とりとめのない雑談をはさみながら、私たちはおたがいの背中を流し合った。
それから、お湯につかる。やっぱり朝風呂は気持ちがいい。

 ちょっと間を空けてからシャーリーが話しかけてきた。
「おまえ…何か悩みがあるんだろ?あたしでよかったら相談ににのるよ」

 そっか。やっぱりこの人は最初から私の話を聞くため、お風呂に誘ってくれたんだ。

 私の想いをシャーリーに話したら、すっきりするだろうか…。
この想いは、ずっと隠してきた。態度も普通を装ってきたけど、それ故にどんどん気持ちは大きくなっていくばかり。

「…バルクホルンのことか?」
「――なんで」
 即座に疑問を口にした私に、シャーリーはふっと息を吐いて言った。

「こう見えても、あたしは他人の色恋沙汰には鋭いほうなんだぜ?」
「うわ…、そんなの初耳」
まぁ、とシャーリーは続ける。
「その分自分のにはめっぽう鈍いんだけど」

 濡れた髪をかき上げて少しだけ照れくさそうに、でも爽やかに笑うシャーリーは、すごくかっこいい。 
 私がシャーリーみたいにかっこよかったら、トゥルーデは私を見てくれるのかな。
…いや、たぶんだめだ。トゥルーデはかわいさとかかっこよさとか、そういう単純なことで人を好きになったりしない。
 …でも、だったら、なんでミーナなんだろう。なんで私じゃないんだろう。
ねぇ、トゥルーデ‥‥

42: 2008/10/21(火) 22:27:27 ID:I06j6zB7



「ばかみたい。なんでこんなに…好きなんだろ」
 眼を伏せ、頬を染めながらハルトマンがつぶやく。
うらやましいほどに可愛く、そして乙女ティックだ。

こんな女の子に愛されるなんて、もう最高じゃないか。

 でも、あたしは知ってる。ハルトマンの想い人であるバルクホルンの瞳が、ミーナ中佐だけを追っているということを。
二人が両想いなのかはわからないけど、ハルトマンはきっと気づいてるんだ。
――バルクホルンの心に、そして自身の恋の行方に。

こればっかりは、さすがのあたしでもどうにもできないからなぁ…。

「あたしも、そんなこと思ってた時期があったよ」
「うそ、シャーリーに?」
「ああ」
 ルッキーニへの気持ちが大きくなりすぎて、でもそれを彼女に押し付けることはできなくて…。
あの頃は悩みに悩んだものだ。
 そこらへんの話、――とくにあたしが今『あのころはバカだった』と思えるような話――をハルトマンに話してきかせた。

「結局ルッキーニにうながされる感じで…こう、今に至るわけだけど」

う~ん、ちょっとしゃべりすぎたな。

「そっかー。いいな、シャーリーは…」
「そーか?」
「うん。ずるいくらい!」
べ、と舌をだしてみせるハルトマン。ちょっとだけ、風呂に入る前より表情が明るくなったように感じた。
「でも、ありがとね。シャーリーのバカ時代の話きいて、心が軽くなった気がする」
「そんなら、光栄だ」

…バカ時代、は言い過ぎだけど。


 ハルトマンは「すうっ!」と息を吸って一気に湯の中へ潜った。
そして、水中で叫ぶ。
ああああ、とかなり長く泡を放出したあと、勢いよく頭を出した。
ばしゃあという大きな音と飛沫。

「ふー。すっきりした!」
 なるほど、大きくなりすぎた想いやらストレスやらを、大声にして発散したわけだ。
あたしにはできなかった芸当だ、さすがハルトマン。


 長話をしたせいで、お互いにのぼせかけていた。
あたしは風呂上がりの牛乳をぐいと飲み込む。

「なあ、ハルトマン」
「ん?」
あたしとおまえは、同い年だからな。
「泣きたくなったら、いつでも呼べよ。胸貸してやるから」
「さんきゅ。そんときはお願いするよ」

43: 2008/10/21(火) 22:28:42 ID:I06j6zB7



 シャーリーはウインクしてから、脱衣場をでていった。

大人だな…シャーリーは…。

 さっきはああ言ったけど、たぶん私がシャーリーの胸で泣くことにはならないだろう。
泣くのはすべてが終わったときだけって決めてるんだ。

 私がトゥルーデに想いを告げてしまったら、優しすぎる彼女のこと。私に遠慮するに決まってる。
…だから告白はしない。
 大好きなトゥルーデには、遠慮なんかせずに、心から幸せになってほしいから。


Fin..


なんか微妙すぎる…
今まで以上に何が書きたいのかわからない作品になってしまった。
 私の文では表現できてないんですが、エーリカとシャーリーはサラッとした関係…でもお互いを信頼しあっていて…基本的にはいたずらっ子二人組!
みたいな感じの関係だと妄想。
ちなみにエーゲルが成立してる場合はのろけあったり、キワドい話をしあったりする仲だったらいいな。

また今度この二人でリベンジしたい…(シャッキーニ&エーゲル前提で)
では、失礼致しました

引用: ストライクウィッチーズpart8