1: 2024/05/20(月) 18:36:59.11 ID:bJAbJfGO.net
【第1話 出会い】

梨子「桜内、梨子と申します。果物の『梨』に子供の『子』と書いて、『りこ』と読みます」


むつ「かっわい~」

いつき「ね~」


梨子「前は東京の音ノ木坂学院、というところに通っていました。みんなからは……」


千歌「東京だって。すごいね曜ちゃん」

曜「ね~」


梨子「趣味はピアノを弾くことで、休み時間には友達に弾いて聞かせてあげたりしていました。みなさんとは、たくさん仲良くしたいなって思っています。これからよろしくお願いします」

パチパチパチパチ!

梨子(ふぅ……)

梨子「……」

梨子(……はぅぅ、緊張したぁぁぁぁ~~~!!!)

2: 2024/05/20(月) 18:38:15.98 ID:JEJG5RWh.net
梨子(もう無理もう無理もうやだやだやだ!今すぐおうち帰りたいっ!ベッドにダイブしてふわふわな子ねこちゃんの動画とか見てだらだらしたい~~……!!)

梨子(うぅぅ~~!!なんで私がこんな目に!転校生ってだけなのに~……!!)


先生『あ、そうだ桜内さん。明日初登校たら、まずはみんなの前で自己紹介お願いね』

梨子『え゛!?』

先生『大丈夫大丈夫、みんな優しくていい子だから』

梨子(そういう問題じゃないよ~!?私、人前に立つのとかが一番苦手だってさっき言いましたよね~~!!?)


梨子(はぅぅ、どうしよっ……!と、とりあえず!テンパっても大丈夫なように練習練習!原稿も書かなくちゃ!)

梨子『えっと、お、音ノ木坂学院高校から転校してきた……うぅ、音ノ木坂学院高校って言いづらい……桜内梨子役の……って役じゃない役じゃない役じゃない~!!』

梨子(趣味は……って趣味って何!!?そんなの言えるわけないよ~~!!)

3: 2024/05/20(月) 18:39:33.64 ID:JEJG5RWh.net
梨子「はぁ、疲れたぁ……」

梨子(……音ノ木坂学院にいた時の私は、いわゆる『陰キャ』と『キョロ充』の間みたいな立ち位置で)

梨子(放課後みんなで『今日さ、みんなで寄ってかね?』『マジあり!』みたいな会話を遠目で見たり、たまーにお呼ばれしてついていったりを繰り返したりで……)

梨子(……あーあ。転校して新しい学校に入ったら、私もみんなみたいな陽キャの仲間入り出来ると思ったんだけどな)

シーン…

梨子(というか、今はそれよりも爪痕を残さないように頑張った方が良さそうです……)

4: 2024/05/20(月) 18:40:11.20 ID:JEJG5RWh.net
梨子「……」

梨子(え、えっと、大丈夫……よね?変なこと喋っちゃったりしてないわよね?)

先生「じゃあ桜内の席はあそこの後ろなー」

梨子「あ、はい。すみません……」

梨子(はぅぅ。浮いてる……?こんな時期に転校なんて、変な子だって思われてるのかなぁ……)

梨子「……」キョロキョロ

梨子(……ほっ。大丈夫そ

千歌「じぃ~」

梨子(はっ!?)

千歌「……」

梨子(!!!?)

5: 2024/05/20(月) 18:41:14.35 ID:JEJG5RWh.net
千歌「桜内さん、桜内さん」

梨子「な、なに……?」

千歌「桜内さんって東京出身なの?」

梨子「そうだけど……」

千歌「えー!すっご~い!」

梨子(ふぇぇぇ!!?)

千歌「曜ちゃん聞いた!?東京!東京だって!!」ぐいぐい

梨子(う、うぅ……)

千歌「ねえねえ梨子ちゃん!東京のJKってさ!学校帰りにカフェとか寄ってうぇ~い!ってするんでしょ!」

梨子(う゛!?)

千歌「カラオケ寄ったりダーツ行ったりするんでしょ!」

梨子(もう『ちゃん』呼び!!?早くない!!?)

千歌「でしょ!!?」

梨子(距離の詰め方が近いよ~~!!)

千歌「梨子ちゃん?」

梨子(はっ、もしかして……試されてるってことぉ!!?)

6: 2024/05/20(月) 18:42:30.85 ID:JEJG5RWh.net
梨子(もしもこれで私が陰キャなことがバレちゃったら……)


千歌『え、何この子。マジ無理なんだけど』

むつ『ノリ悪っ』

よしみ『マジそれな~』

曜『つーかさ、あーしらの領分に勝手に入らないでくれる?』

いつき『友達になった覚えとか全然ないっしょ』


梨子(あわわわわ……。どどどどど、どうしよ~~!!わ、私もっ!早くタピタピ、ハオハオ、エモエモって言わなくっちゃ……!)

千歌「梨子ちゃん??」

梨子「え、えっと、………あるよ。放課後にカフェ行ったりしたりとか。結構ふつーに」

千歌「ほんとに!!?」

梨子「う、うん。ふつー、ふつー……」

梨子(言っちゃったぁ~~!!)

7: 2024/05/20(月) 18:44:03.85 ID:JEJG5RWh.net
梨子「友達とね?表参道でマジぱね~、とか竹下通りでうぇいうぇいうぇーい、とか~……」

千歌「竹下通り!?聞いたことある!すっごく有名なところでしょ!梨子ちゃん行ったことあるなんてすご~い!」

梨子「う、うん。まあ……何回かね」

梨子(あぅぅぅ~!!止まれぇぇ~~!!私の口、お願いだから止まってぇぇ~~!!)

梨子(ほんとは竹下通りなんて一回も行ったことなんかないわよっ!!クラスの子が行ってたのを見てただけで!!ストーリーで見たから知ってるだけで!!)

曜「どんなところに行ってたの?」

梨子(うぇぇぇ!!?)

梨子「えっと………す」

千歌「す?」

梨子「ス………スタバとかっ////」

千歌「えっ、梨子ちゃんスタバ行ったことあるの!?すごーい!」

梨子(全然すごくない!スタバなんてどこにでもあるよ~~!!島根県にもあるくらいだもん!)

8: 2024/05/20(月) 18:45:03.68 ID:JEJG5RWh.net
千歌「あ、じゃあさ。この後みんなで行こうよ!スタバ!」

梨子(うぇぇぇ!!?)

曜「沼津にスタバなんてあったっけ?」

千歌「最近できたの。ららぽーとに」

曜「へぇ~」

千歌「ねっ、行こうよ行こうよ!梨子ちゃんの歓迎会も兼ねてさ!」

梨子「でで、でもっ、私、この後用事が……」

梨子(あぁぁ~!!もぉぉぉ~~!!私ってば、これ以上嘘に嘘を重ねてどうするのよ~~!!)

梨子(というかスタバって……)


JK『トールバニラクリームフラペチーノブラべミルクエクストラホイップノンバニラシロップウィズホワイトモカシロップチョコレートチップチョコレートソースお願いします!』

梨子『あ、じゃ、じゃあ、私も同じので……』


梨子(無理無理むりむり~~!!あんな呪文言えないよ~~!!)

9: 2024/05/20(月) 18:46:01.71 ID:JEJG5RWh.net
千歌「ねえ曜ちゃん知ってる?スタバってね、硬め濃いめ多めホイップミルクマシマシカラメチョコオオメ!って注文するんだよ!」

曜「へー、なんか面白そう!」

梨子(それ色々と混ざってるよ~~!!)

千歌「私もよくわかんないけど、達人の梨子ちゃんが一緒なら大丈夫だもんね!ねっ?」

梨子(だから私そんなんじゃないってばぁ~~!!)

梨子「あ、や、だから、私、この後用事が……」

ピーンポーンパーンポーン!

『二年の桜内梨子さん、二年の桜内梨子さん。用件があるので、至急、理事長室に……』

梨子(ほんとにあったの!!?)

11: 2024/05/20(月) 18:52:13.06 ID:JEJG5RWh.net
梨子「ごめんね高海さん!私、この後理事長室に行かなきゃなの!」

千歌「えー、そっか。残念」

梨子「ごっ、ごめんなさい……も、もしよければ、また誘ってくれると……」

千歌「うん!じゃあまたね、梨子ちゃん!」

梨子「ほんとにごめんね!」

梨子(た、助かった~!けど……)

梨子(えっ、なんで私、理事長先生に呼び出されてるの~!!?)ウルウル

12: 2024/05/20(月) 18:52:55.76 ID:JEJG5RWh.net
【第2話 アイドル】

前回の!ラブライブ!サンシャイン!!

音ノ木坂学院高校から浦の星女学院に転校してきた私。けど

梨子『うぅぅ、えっと、音ノ木坂学院高校から転校してきた、さっ、桜内、梨子です……』

最初の自己紹介で見事に失敗しちゃって……

『二年の桜内梨子さん、二年の桜内梨子さん。用件があるので、至急、理事長室に……』

もうやだぁ……。ってなんで自己紹介失敗しただけで理事長先生に呼び出されてるの!?ちょっと見栄張ろうとしただけなのに~~!!

13: 2024/05/20(月) 18:53:32.82 ID:JEJG5RWh.net
梨子「はぁ……」

梨子(やっと高海さんから解放された……)

梨子(けど……理事長さんが私に用事って、なんだろう?)

梨子「……!」

梨子(えっ、待って。理事長って、学校で一番偉い人よね?)

梨子(ということは……)

………
……

14: 2024/05/20(月) 18:54:26.40 ID:JEJG5RWh.net
理事長『あなたが、桜内梨子ザマスね?』

梨子『は、はい』

理事長『……むぅ!』

ピシン!

梨子『ひぃっ!?』

理事長『あなたが転校してきたせいで学校の風紀がめちゃくちゃザマス!どう責任とってくれるんザマス!』

梨子『ひぃぃ!!?』

理事長『悪い子にはおしおきザマス!こっちに来るザマス!この学校の地下労働施設で一生タダ働きザマス!』

梨子『そんなぁ~!!?私、ただゆるふわエモエモJKになりたかっただけなのに~~!!』


梨子(……あわわわわわわ!!?)

15: 2024/05/20(月) 18:55:19.27 ID:JEJG5RWh.net
梨子(よく考えたら用事なんて全然なくない!!?理事長が私に用事だなんて絶対あるはずないわよね!!?そもそも会ったことすら一度もないし!!)

梨子(うぅぅ~~!!いやぁぁ~~!!地下労働施設働きなんて絶対イヤぁぁぁ~~!!)

梨子「……」

ソーッ

梨子(隙見て逃げ出す準備しなくっちゃ。常に警戒しておかないと)

ギィィィ…

梨子「失礼しま~……」

鞠莉「あら、よく来たわね」

梨子(高校生!!?)

16: 2024/05/20(月) 18:56:09.81 ID:JEJG5RWh.net
梨子「え、えっと。理事長先生は……」

鞠莉「私がこの学校の理事長よ」

梨子「ええっ!?」

鞠莉「生徒兼理事長、小原鞠莉よ。よろしく」

梨子(生徒、兼……理事長!!?)

鞠莉「早速だけど、梨子。あなたはこの学校を盛り上げるためのアイドルをやって欲しいの」

梨子(ふぇぇぇ!!!?)

17: 2024/05/20(月) 18:57:16.08 ID:JEJG5RWh.net
梨子「アアア、アイドル!!?」

梨子(いきなり急展開過ぎない!!?)

鞠莉「そ。アイドル」

梨子「いやっ、なんで私が……!?っていうか無理ですよ!!?急にそんなこと言われても!!」

鞠莉「じゃ、退学ね」

梨子「たいがくぅ!!?」

鞠莉「そ。転校初日に退学」

梨子「なんでそうなるんですか!!?ちょっと横暴過ぎません!!?」

鞠莉「あら。この学校では私自身が法律なのよ」

梨子(無茶苦茶すぎるよこの学校~~!!)

鞠莉「じゃ、そういうことね~」

梨子「ちょ、ちょっと待って下さいっ!」

鞠莉「初ライブは二週間後に体育館ね~。天気予報では雨みたい。メンバーは三人以上は揃えてね。それから

梨子「ちょちょちょ、ストップストップ~!!」

鞠莉「?」

18: 2024/05/20(月) 19:00:02.98 ID:JEJG5RWh.net
梨子「ま、待って下さいっ!はぁ、はぁ……あのっ、ライブって……?」

鞠莉「人前に立って歌うの」

梨子「はぁ!!?」

梨子(私が!!?人前に立つのが何より苦手なのに!!?)

鞠莉「あ、それともちろん曲は自分たちで作るのよ」

梨子「えっ、私普通の高校生ですよ!?そんなことできるわけないじゃないですか!」

鞠莉「でもピアノが趣味なんでしょ?」

梨子「うっ!?」

鞠莉「自己紹介のときクラスで、子供の頃からピアノ習ってるって言ってなかった?」

梨子「っ!?……ってなんで知ってるんですか!?」

鞠莉「そりゃもう、マリー’sアイを使えばこう、すいすい~っと。見てたもの」

梨子「っ……!」

梨子(ぜ、絶対この人盗聴とか盗撮してる~~!!私の恥ずかしいとこ絶対見てた~~っ!!/////)

鞠莉「ふふん、すごいでしょ♪」

梨子(も、もうやだぁこの学校……)

19: 2024/05/20(月) 19:01:12.99 ID:JEJG5RWh.net
梨子「ピ、ピアノ弾けることは認めますっ!けどっ!作曲はまた

鞠莉「あら?楽器弾けるのに作曲できないの?」

梨子「っ……!じゃ、じゃあ!作曲の方は万が一なんとかなったとしてもっ!作詞は私じゃできませんよね!?私、ただの普通の高校生ですよ!!?」

鞠莉「ん」

チョイチョイ

梨子「えっ!?な、なに……?」

鞠莉「そのかばんに入ったノート。たくさんのポエムが綴られてること、ちゃーんとマリーは知ってるわ」

梨子(うえ゛!!!?/////)

20: 2024/05/20(月) 19:02:15.77 ID:JEJG5RWh.net
鞠莉「えっと、どれどれ~。結構詩的なポエム書いてるじゃない」ペラリ

梨子「わぁぁぁぁ~~!!もういいですっ!返してぇぇ~~!!/////」

梨子(お願いだからこれ以上私の黒歴史をエグらないでぇぇ~~!!)

パシッ!

鞠莉「ね?人間やろうと思ったらたいていのことは出来るのよ」

梨子「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……う、うぅぅぅ~~!!//////」

梨子(この人絶対将来有名な詐欺師になるっ!!)

鞠莉「じゃ、そういうことだからお願いね。よろしく~。あ、言い忘れたけど初回ライブで体育館を満員に出来なかった場合はその時点で解散!だからね。シャイニー!」

梨子(待って待って待って!?私まだ転校初日だよね!!?頭の整理が追い付かないよ~~!!)

21: 2024/05/20(月) 19:03:07.44 ID:JEJG5RWh.net
【第3話 初ライブ】

前回の!ラブライブ!サンシャイン!!

なんだかんだあって浦の星女学院に転校してきた私。でも

理事長『梨子!あなたにはスクールアイドルをやってもらいマース!断ったら一生地下労働施設デース!』

理事長の強制で、スクールアイドルをすることに……!?

どうしよう~~!!私、人前に立つのが一番苦手なのに~~!!

22: 2024/05/20(月) 19:04:02.61 ID:JEJG5RWh.net
梨子「え、えっと……」

梨子「お、お願いします。スクールアイドルです。仲間を募集してます。お願いしまーす」

梨子「お、お願いしまーす」

梨子「お、お願い……」

ヒュォォォ…

梨子「……」

梨子(……むっ、無理だよ~!!私に勧誘なんて絶対無理だよ~~!!)

梨子「お、お願いしまーす。お願いしまーす」

梨子(うぅぅぅ~~!!寒い恥ずかしい帰りたい~!!早くお家帰ってお布団くるまって一人の世界に入りたい……)

梨子(だ、誰かビラくらいは受け取ってよ~!受け取ってくれたってよくない!!?昨日頑張って作ったのに~~!!)

梨子「お願いしまーす、お願いしまーす。お願い、しまーす……」

23: 2024/05/20(月) 19:05:35.29 ID:JEJG5RWh.net
梨子「はぁ……」

梨子(うぅぅ、やっぱり無理だよぉ。転校生が初週から怪しげなビラ配りなんて。受け取ってくれる人なんているはずないよぉ……)

梨子(それに私、根はれっきとした陰キャ……)

梨子「……っ」

梨子(ってだめだめだめだめ!私っ、あ、アイドルだもん!これでも、一応……多分。きっと)

梨子(だから陰鬱な考えなんてしちゃだめよ、梨子!これを機に変わるって決めたんだから!)

梨子「お、お願いしまっ

千歌「あっ、梨子ちゃん!」

梨子(ひぃぃぃ!!?)

24: 2024/05/20(月) 19:06:16.99 ID:JEJG5RWh.net
千歌「やっぱりそうだ!おーい!」

梨子「たっ、高海さんっ……」

梨子(知り合いに会うのはそれはそれで決まずいっ!!絶対『ぷぷぷ、スクールアイドルってなに~w』とかバカにされるっ!!/////)

梨子「ち、違うの、高海さんっ!これはっ!!」

千歌「千歌でいいよ」

梨子「うぇっ!?」

千歌「千歌って呼んでよ!」

梨子「うぇぇぇ!!?」

25: 2024/05/20(月) 19:07:15.26 ID:JEJG5RWh.net
千歌「ほら、私だけが『梨子ちゃん』って呼んでるのはなんか変でしょ?だから……ねっ?」

梨子「うっ」

千歌「梨子ちゃん、おねが~い」

梨子(うぅぅ~、陽キャは距離を詰めるの速いよぉ……)

梨子「ち、千歌……ちゃんっ」

千歌「うん!それでさそれでさ、梨子ちゃんはこんなところで何をしてるの?」

梨子「ええっ!?えっと……」

千歌「ビラ配り……?アルバイト?」チラリ

梨子「ひゃぁぁ!?っ……こほん。あーあー、マイクテスト、マイクテスト。本日は晴天なり、本日は晴天な……」

ピラッ

曜「スクール、アイドル……?」

梨子(あぁっ!?見ちゃダメぇぇぇ~~!!!//////)

26: 2024/05/20(月) 19:08:11.43 ID:JEJG5RWh.net
梨子「え、えっとね!これはねっ!そのっ!その……そ、そういう設定よ!設定!別にアイドルを目指してるとかじゃなくって!というか私そんなに可愛くないしっ!ほらっ!あははははっ!」

千歌「スクールアイドル……」

梨子「あはは……」

千歌「……知ってる!」

梨子「えぇっ!?」

千歌「私、スクールアイドル知ってる!前にバズってる動画見て、えっと、みゅ、みゅー……μ’sってやつ!東京の女の子はみーんなやってるやつだよね!?」

千歌「すごーい!やっぱり東京の子ってみーんなスクールアイドルやってたんだ~!」

梨子「こ、これはねっ?実は理事長に半強制的に……」

梨子(うぅぅ、って言っても伝わるわけないよね……)

曜「一緒にやってくれる人を募集してるの?」

梨子「う、うん。まあ、一応……」

千歌「やる」

梨子「えっ!?」

27: 2024/05/20(月) 19:09:21.54 ID:JEJG5RWh.net
千歌「私、やるよ!スクールアイドルやりたい!」

梨子(ふぇぇぇ!!?)

千歌「曜ちゃんも一緒にやるでしょ?」

曜「んー、千歌ちゃんがやるなら私もやってみよっかな?」

梨子「いいの!!?」

曜「よーそろー!」

梨子「そ、そっか。ありがと、千歌ちゃん、曜ちゃん……」

梨子(え……?でもいいの……?こんなに早く募集が終わっちゃって)

梨子(仲間集めイベントって、もうちょっと長く苦しいものじゃなかったの……?)

こうして、『スクールアイドルをやってくれる子を三人集める』という理事長からの課題は、意外とあっさりクリアできたのでした。

28: 2024/05/20(月) 19:10:18.24 ID:JEJG5RWh.net
千歌「あっ、そうだ!そう言えばインスタ交換しようよ!インスタ!」

梨子「インスタ……」

梨子(きた!恒例のインスタ交換タイム!)

千歌「うん!梨子ちゃんアカウントある?」

梨子「う、うん。一応」

梨子(この日のためにちゃんと投稿も整理して、プロフィール画像も見られても恥ずかしくないものに変えたんだから!)

千歌「はい!これ私のQR!」

梨子「ありがとう。読み込むね」

ピコン

千歌「あっ、フォ口リク来た~!ありがとー!えへへ、梨子ちゃんのアカウントゲットできるなんて嬉しい~」

曜「私も後でフォ口リク送るね!」

梨子「うん」

梨子(良かったぁぁ~……!ほっ、転校してからインスタ初めて交換できた。これでもう友達どうしだもんね)

梨子(だ、だよね……?)

千歌「……あっ、見て曜ちゃん!梨子ちゃんすごい!」

梨子「えっ?」

29: 2024/05/20(月) 19:11:20.92 ID:JEJG5RWh.net
梨子(なんのこと……?)

千歌「梨子ちゃんのアカウントすごーい!フォロワー300人もいる!」

梨子(……え、それってそんなにすごいことなの?)

スッスッ

梨子「……」

梨子(いや千歌ちゃんのフォロワー30人!?すっくな!!)

曜「えー!?私より3倍も多いじゃん!」

梨子(曜ちゃんもそんなに少ないの!?)

曜「すごっ!どうやってそんなに知り合ったの!?」

梨子「ええっ!?別に、特別なことをしたわけじゃ……」

梨子(ただ中学とか後攻とか塾の知り合いみんなと交換してただけなのに……)

千歌「梨子ちゃんすご~い!友達たっくさんいるんだね!」

梨子(その中の9割以上は顔も本名も知らなくてどこで何してるかすらわからないんだってば~!)

曜「すごい、陽キャじゃん!きゃ~!」

梨子(そんなに期待の眼差しで私のことを見ないでよ~!私、二人が思ってるほどすごい人なんかじゃ全然ないのに~~!!)

30: 2024/05/20(月) 19:11:59.12 ID:JEJG5RWh.net
◇———◇

それから、なんだかんだあって私たちのグループ名は『Aqours』に決まって

千歌『これ、なんて読むの……?』

梨子『アキュア、かな……?』

曜『もしかしてアクア?』

千歌『それだ!』

みんなで曲も完成させて、フォーメーションダンスも考えて……

千歌『私たち!浦の星女学院スクールアイドル部、せーのっ!』

三人『Aqoursです!』

ついに、体育館ライブの日を迎えました

◇———◇

31: 2024/05/20(月) 19:13:26.93 ID:JEJG5RWh.net
梨子「はぁ……」

梨子「はぁ……」

梨子「はぁぁぁ………」

千歌「もー、梨子ちゃんまだ言ってるの?」

梨子「うぅぅ~、だってぇぇ~!!」

千歌「梨子ちゃんすっごく可愛いよ。ね、曜ちゃん?」

曜「うん!」

梨子(うぅぅ~!!二人は美少女だからいいかもだけど、私は可愛くないし胸も貧相だしで人前で歌って踊るなんてやっぱり無理だよぉぉ~~!!)

梨子(はぁ、今すぐ帰ってお布団ダイブしたい……)

千歌「梨子ちゃん梨子ちゃん。もうすぐ本番始まるよ?」

梨子「うっ。うぅぅぅ………お、お手洗い行ってくるっ!」

千歌「えー、また?」

梨子「これで最後にするから~!!」

曜「いってらっしゃ~い!」

ピューッ!

32: 2024/05/20(月) 19:14:16.07 ID:JEJG5RWh.net
梨子「はぁ……」

梨子(あーあ、やっぱり私にアイドルなんて……無理なのかな?)

梨子「……」

梨子(べっ、別に好きでアイドルやってるわけじゃないし、理事長になぜか言われたからやってるだけだし、仮に体育館を満員に出来なかったとしても……仕方ない、よね?)

梨子「はぁ……」

コチン!

梨子「きゃっ!」

33: 2024/05/20(月) 19:15:01.12 ID:JEJG5RWh.net
梨子「ごっ、ごめんなさいっ!」

ダイヤ「……ちゃんと前を見て歩いて下さい」

梨子「すみませんっ!急いでて!」

梨子(あわわわわわ……!!?)

ダイヤ「……」

梨子「はぅぅぅ……し、失礼しますっ!」

ダイヤ「待ちなさい」

梨子「きゃあっ!?」

ダイヤ「……」

梨子(え、何!?もしかしてお説教!!?)

ダイヤ「……」

梨子(ど、どうしよ。怖いよぉ……)ウルウル

34: 2024/05/20(月) 19:15:48.03 ID:JEJG5RWh.net
ダイヤ「……」

梨子(そっ、それにこの人、どこかで見たような……)


生徒会長『みなさまおはようございます。生徒会長の黒澤ダイヤです。本日は一学期の初めの日、ということで……』


梨子「……えっ!?」

梨子(せ、生徒会長ぉぉぉ~~!!?)

ダイヤ「……」

35: 2024/05/20(月) 19:16:36.42 ID:JEJG5RWh.net
梨子(うそっ!?生徒会長って高校生だったの!?理事長とどっちが偉いのかなぁ……?ひょっとしてあの理事長は実は傀儡で、黒幕はこの生徒会長、とかだったり……)

梨子(それで私たちがライブを成功させたら困るから、理事長には内緒で邪魔しに来た、とか……)

ダイヤ「……」

梨子(あわわわわわ……!?こっ、ここはなんとか誤魔化さないとっ!)

ダイヤ「あの」

梨子「ご、ごめんなさいっ!!」

ダイヤ「え?」

36: 2024/05/20(月) 19:17:28.70 ID:JEJG5RWh.net
梨子「あ、いやっ!私じつは~、スクールアイドルやりたくてやってるわけじゃないっていうか~!きょ、今日のこれもやれって言われてやってるだけって言うか、その~……」

梨子(うぅぅ~……。み、見逃してくれないかなぁ……?)

梨子「えっと~……」

ダイヤ「甘い、ですわね」

梨子「えっ!?」

ダイヤ「どうやら偵察に来るまでもなかったみたいですわね。笑止千万、ぬるいですわ」

梨子「え、えっと……」

梨子(えっ、えぇっ?えぇぇ??)

ダイヤ「別にあなたがたが恥をさらそうと私には何も関係ありませんわ。ただ……これだけは言わせてもらいます」

ダイヤ「私、あなたみたいな中途半端な人間が、一番嫌いなんですの」

梨子「……」

梨子(ふぇー……)ポカーン

37: 2024/05/20(月) 19:19:15.47 ID:JEJG5RWh.net
千歌「あ、梨子ちゃんおかえり~」

梨子「うん……」

千歌「どう?気分落ち着いた?」

梨子「えっ?そ、そうね。まあ……」

梨子(さっきの生徒会長のセリフ……)

曜「あ、おかえり~。梨子ちゃんおトイレ長かったね」

梨子「……っ////」

梨子(え、なに!!?ノンデリ!!?もしかしてこの子ノンデリなの!!?)

38: 2024/05/20(月) 19:20:16.93 ID:JEJG5RWh.net
千歌「じゃあ……行くよ。梨子ちゃん、曜ちゃん」

梨子「……」コクリ

千歌「今、全力で輝こう!」

梨子「お、お~!」

曜「よーそろー!」

千歌「じゃあ行くよ!幕あげちゃうね」

グギギギギギギ…

千歌「……えっ」

曜「うそっ」

梨子(……え?)

シーン

梨子(誰も、いない……?)

39: 2024/05/20(月) 19:20:43.70 ID:JEJG5RWh.net
曜「え、えっと……」

梨子「……」

曜「間違って、ないよね?」

梨子「う、うん。今日この体育館でライブをして、この体育館を満員にして」

梨子「で、もし満員に出来なかった場合には、今日ここで、解散……」

曜「そ、そうだよね」

梨子「……」

梨子(……満員どころかお客さん一人も入ってないんだけど~~!!?)

40: 2024/05/20(月) 19:21:19.83 ID:JEJG5RWh.net
梨子(えっ、うそぉ!!?夢!!?もしかして夢なの!!?んんん~っ……!)

梨子(い、痛いっ!ちゃんと感覚あるっ……ということは、現実、ってことぉ!!?)

梨子(ふぇぇぇ!!?ひ、一人も入ってないって、そんなことある!!?だって一人もだよ!?一人も!!)

梨子「……」

梨子(や、やっぱり私には無理だったんだよ~!!仲間集めてみんなの前でライブだなんて!むしろここまでよく頑張った方だよぉ……)

梨子(ふぇぇ、ごめんね千歌ちゃん。曜ちゃん。こんなダメダメな私で、ごめんなさい……)

ウルリ

梨子(はぁ………やっぱり私って、何をやっても中途半端だなぁ。何をやっても上手く行かないし、もはやそういう星のもとに生まれてしまった、運命なのかも)

千歌「歌おう。三人で」

梨子「えっ……?」

41: 2024/05/20(月) 19:21:54.79 ID:JEJG5RWh.net
梨子「千歌ちゃん……?」

千歌「私、諦めたくない。だから歌うの!」

梨子「千歌ちゃん……」

千歌「知らないことばかり、何もかもが~。それでも、期待で足が軽いよ~♪」

梨子「……」

梨子(……そっか。私も、諦めたくない)

梨子(このまま中途半端で終わるのなんて、そんなの絶対イヤだもん!)

梨子「温度差なんていつか消しちゃえ!ってね~♪」

曜「元気だよ!元気を出していくよ~♪」

ガラガラガラ!

美渡「ふわぁ~……えっ!?」

千歌「えっ?」

42: 2024/05/20(月) 19:22:45.20 ID:JEJG5RWh.net
美渡「わ、悪い!まだリハーサル中だったのかよ!?」

千歌「ううん、本番中だけど」

美渡「えっ!?」

千歌「え?」

美渡「いや、だって……お前、4時からって宣伝のビラに書いてあるだろ」

千歌「えっ、うそ!?」

梨子「えっ?」

曜「えっ?」

美渡「ん、ほら」

ピラッ

千歌「……あ、ほんとだ。4時からって書いてある」

梨子「なんで!?2時からって言わなかったっけ!!?」

千歌「んーとね、確か~……」

43: 2024/05/20(月) 19:23:24.50 ID:JEJG5RWh.net
千歌『ねえ曜ちゃん!ライブの開始時間って何時だっけ?』

曜『んーとね……午後2時!”じゅうよじ”ね!』

千歌『りょうかーい!ビラにそう書いとく~!』

~間~
千歌『えーっと、開始時間何時だっけ。確か曜ちゃんが……よじだ!4時!4時って言ってた!』カキカキ


梨子「……」

曜「……」

千歌「というわけでほんとはまだ始まってないんだって。たはは、ごめんごめん~」

梨子(…………う)

梨子「んもぉぉぉ~~~!!!」プクー!!

44: 2024/05/20(月) 19:25:21.18 ID:JEJG5RWh.net
千歌「梨子ちゃん!?」

梨子「も~~!!だったらもっと早く言ってよ~~~!!!!」

梨子「氏ぬかと思ったぁぁ~~!!心臓きゅっ!ってなってそのまま止まっちゃうかと思ったぁ~~!!余計な心配かけないでよ~~!!千歌ちゃんのばかぁぁぁ~~~!!!」ポカポカ

千歌「うぅ~、そんなに怒らないでよ~!」

梨子「怒るもん~~!!もう無理もう無理もう無理もう無理って思ったし!!こんなことになるならアイドル始めなければよかったってちょびっと後悔しちゃったし!!もぉぉ~~!!」

千歌「ごめんってば~」

梨子「ごめんじゃ済まないから!!ほんとに氏んじゃうかと思ったんだからね!!?私のドキドキ返してよ!!ばかばかばかばかぁ~~~!!!」

梨子(でも良かったぁ~~!!このまま観客ゼロ人ライブなんて続けてたら、私の黒歴史がまた増えるところだったよ~~~!!)


こうして、私たちAqoursの初ライブは、観客満員の大成功で幕を閉じたのでした

45: 2024/05/20(月) 19:28:24.26 ID:JEJG5RWh.net
【第4話】

それは、突然のことでした

千歌「そう言えばさ、梨子ちゃん」

梨子「ん、なあに?」

千歌「梨子ちゃんってさ、私たちに隠してることあるよね」

梨子「えっ?」

千歌「私たちに言わなきゃいけないこと、あるんじゃないの?」

梨子(ふぇぇぇ!!?)

曜「隠し事って、何のこと?」

千歌「それは~、梨子ちゃん自己紹介の時にー」

梨子「わぁぁぁ~!!」

梨子(ぜっ、絶対ほんとは友達少ない陰キャなことバレてる~!!)

46: 2024/05/20(月) 19:29:05.22 ID:JEJG5RWh.net
曜「梨子ちゃん梨子ちゃん、秘密って何のこと?」

梨子「言わないっ!絶対言わないっ!!」

曜「え~、気になるよ~!」

千歌「でしょ?というわけで用意してきました!じゃじゃーん!嘘発見器!」

梨子「えっ!?」

ルビィ「嘘発見器?」

善子「これ、本物なの?」

千歌「うん!いくよいくよ~!」

千歌「静岡県はみかんの生産量が日本一!」

チリーン!

千歌「ねっ、本物でしょ?」

梨子(うそぉ!?静岡ってみかんの生産量日本一じゃなかったの!!?)

47: 2024/05/20(月) 19:29:46.86 ID:JEJG5RWh.net
梨子(じゃなくって、今は私が逃れられる方法考えないと……!)

ルビィ「善子ちゃんも何か言ってみてよ」

善子「なんで私が……ったく、仕方ないわね!いくわよ!私はだ

チリーン!

善子「まだ何も言ってないでしょ!!?」

花丸「ぷぷぷ、善子ちゃんってばこーんな単純なのに引っかかるなんて、おバカさんずら

チリーン!

花丸「よ、善子ちゃんは甘っちょろくて可愛いずらねぇ。ずらぁ……/////」

曜「なるほど~。嘘をつくとこのベルが鳴る、って仕組みなんだね」

千歌「うん!」

梨子(うぅ~……!!)

48: 2024/05/20(月) 19:30:30.34 ID:JEJG5RWh.net
千歌「で、あとは梨子ちゃんに何かしゃべらせるだけなんだけど~」

梨子「こっ、答えないもんっ!!」

千歌「えぇ~?」

梨子「どうせ私に色々質問し嘘発見器で嘘かどうか確かめるつもりでしょ!!?答えないっ!!答えなければ嘘じゃないもん~!!」

千歌「むー、じゃあいいや。動画使うもん」

梨子(えぇぇ!!?)

千歌「じゃじゃーん!梨子ちゃんの初回の自己紹介の時の録画!」

梨子(なんでそう都合よく録画してるの~~!!)

49: 2024/05/20(月) 19:31:10.93 ID:JEJG5RWh.net
千歌「いくよ~」

梨子(あっ、あぁっ……)

ピッ!

梨子『趣味はピアノを弾くことで、休み時間には友達に弾いて聞かせてあげたりしていました。みなさんとは、たくさん仲良くしたいなって思っています。これからよろしくお願いします』

チリーン!
チリーン!

梨子(あぁぁぁ……)

千歌「ねっ、休み時間に友達にピアノ弾いてたエピソード!これ嘘なんでしょ?」

梨子(う……)

50: 2024/05/20(月) 19:32:04.81 ID:JEJG5RWh.net
梨子(いやまあ嘘なんだけど。思いっきりイマジナリーフレンドとの作り話なんですけど)

梨子(けど、うぅぅ、どうしよぉ……)

千歌「もう一回流すよ~」

ピッ!

梨子『趣味はピアノを弾くことで、休み時間には友達に弾いて聞かせてあげたりしていました。みなさんとは、たくさん仲良くしたいなって思っています。これからよろしくお願いします』

チリーン!
チリーン!

梨子(……あれ!?)

51: 2024/05/20(月) 19:41:42.51 ID:JEJG5RWh.net
梨子(ちょ、ちょっと待って)

梨子『趣味はピアノを弾くことで』

チリーン!

梨子『休み時間には友達に弾いて聞かせてあげたりしていました』

チリーン!

梨子「……」

梨子(も……もしかしてこれって二回反応してる!!?)

52: 2024/05/20(月) 19:42:24.93 ID:JEJG5RWh.net
梨子(ふぇぇぇ!!?や、やばいやばいやばいやばい~!!どうしよ!!?そ、それだけはダメーっ!!)

梨子(だって私の趣味と言ったらっ!)

ルビィ「あ、梨子ちゃんも学校に漫画持ってきてるんだ」

曜「うそっ!?ほんとに!?」

梨子(ぎゃぁぁぁ~~!!)

曜「みせてみせてー!梨子ちゃんどんな漫画読んでるの~!?」

梨子(うぎゃぁぁ~~!!それはダメっ!それだけはダメ~~っ!!)

曜「これのこと?」

梨子(それだけはやめてぇぇ~~!!)

曜「……ん、あれ?でもちょっぴり漫画っぽくないような」

53: 2024/05/20(月) 19:43:22.99 ID:JEJG5RWh.net
梨子「あっ、ああっ……」

曜「なんか、ちょっと厚みが薄い気が……?」

梨子(あぁぁぁ……)

曜「梨子ちゃん梨子ちゃん、これって何の本?」

梨子「え、えっと~……文芸本

チリーン!

梨子「コアな漫画

チリーン!

梨子「ど、同人誌です……」

曜「?」

梨子「内緒で書いてた、自作の同人誌です……」

梨子(うわぁぁぁ、言っちゃったぁぁぁ………)

54: 2024/05/20(月) 19:45:00.71 ID:JEJG5RWh.net
梨子「ま、前向きに」

チリーン!

梨子「……人目を忍んで」

チリーン!

梨子「うっ、そうよね。こんな私なんて生きてる価値もないのよね……」

千歌「ちょ、ちょっと梨子ちゃん?」

梨子「はぁ。もういいです。お家帰ってお布団引きこもって一生員者として身分相応の生き方をしていきます……」

千歌「梨子ちゃん!?そういうことが言いたかったわけじゃないんだよ~!」

55: 2024/05/20(月) 19:46:26.17 ID:JEJG5RWh.net
曜「自作……?へぇ~、自作の漫画かぁ~。すごーい!私も小学校の時はノートによく落書きとかしてたよ!」

梨子「うっ」

梨子(うぅっ、曜ちゃんの純粋さが今は眩しい……)

梨子(はぅぅ、曜ちゃん。こんなに穢れててごめんなさい……)ウルウル

曜「?」

千歌「へ~、梨子ちゃんこういうのが好きなんだ~」

梨子「……////」

梨子(ち、千歌ちゃんは絶対気づいてる~~!!////)

千歌「まあまあまあ。人間誰しも趣味はあるし、隠さなくてもいいんじゃない?」

梨子「う……そ、そうかなぁ……?変な趣味だって思ったりしない……?」ウルウル

千歌「うん。もっちろん!」

梨子「そ……そっかぁ。じゃあ、私ももう少しだけ前向きに……」

チリーン!

梨子(えっ?)

56: 2024/05/20(月) 19:47:12.53 ID:JEJG5RWh.net
梨子「ま、前向きに」

チリーン!

梨子「……人目を忍んで」

チリーン!

梨子「うっ、そうよね。こんな私なんて生きてる価値もないのよね……」

千歌「ちょ、ちょっと梨子ちゃん?」

梨子「はぁ。もういいです。お家帰ってお布団引きこもって一生員者として身分相応の生き方をしていきます……」

千歌「梨子ちゃん!?そ、そういうことが言いたかったわけじゃないんだよ~!」

57: 2024/05/20(月) 19:48:00.56 ID:JEJG5RWh.net
~間~

梨子「はぁ……」

千歌「梨子ちゃん梨子ちゃん。はいこれ、紅茶」

梨子「ううっ、ありがと……」

千歌「ごめんね梨子ちゃん」

梨子「ううん、私のほうこそごめんなさい……」

千歌「?」

梨子「はぁ……ちなみにさ、なんで私が友達ってわかったの……?」

千歌「ん?あ~!えっとね、この前梨子ちゃんのインスタのストーリー見て」


『はぁ、もうヤダ。誰もいない体育館ステージで歌って踊ってたとか、普通に黒歴史なんだけど。誰かに録画と貸されてたらどうしよ。もういや、消えたい。絶対明日学校でみんなの笑いものにされるんだ』

『どうせ私なんて、そういう星の下に生まれた運命何だよね』


千歌「って投稿みてさ~。梨子ちゃん絶対陰キャじゃん!って思った!」

梨子(も~~!!何やってるの、その日の私~~!!)

58: 2024/05/20(月) 19:48:30.77 ID:JEJG5RWh.net
梨子「はぁ~……」

千歌「いいじゃんいいじゃん、気にしなくて。すっごく個性的で可愛いと思う!」

梨子「でもぉ……千歌ちゃんだって嫌だったよね。こんな根暗な陰キャとアイドルなんて。やっぱり私、スクールアイドル始めなきゃ良かったんだ」

千歌「……」

梨子「はぁ………自分勝手に誘ってしまって、ごめんなさい」

千歌「ううん。そんなことない。私、自分で決めたもん」

59: 2024/05/20(月) 19:49:10.32 ID:JEJG5RWh.net
千歌「確かにきっかけは梨子ちゃんに誘われたからかもだけど、私、ちゃんと自分の意思でアイドルやってる」

千歌「私がやってみたいなって心からそう思ったから、こうして梨子ちゃんとアイドルやってる。ほんとだよ」

梨子「千歌ちゃん……」

千歌「だから後悔なんてしないで。少なくとも私の中に、嫌だとか公開だとかは一ミリもないよ?」

梨子「……」

千歌「ねっ?」

梨子「ふぇぇ……」ウルウル

梨子(あぁ、やっぱり私。千歌ちゃんを誘えて良かったです)

60: 2024/05/20(月) 19:50:14.23 ID:JEJG5RWh.net
【第4.1話 校則】

千歌「曜ちゃんってさ、意外とオシャレだよね」

曜「どしたの?」

千歌「そのパーカーいいな~!私も可愛いパーカー欲しい~!」

曜「えへへ、いいでしょー!この前ららぽーとで買ったんだ~!」

千歌「ずるい~!」

梨子「ちょっと待って」

千歌「ん?」

曜「?」

梨子「浦の星って……校則でパーカー禁止じゃないの?」

61: 2024/05/20(月) 19:50:52.36 ID:JEJG5RWh.net
梨子「私、転校初日に先生にそう言われたんだけど」

千歌「んー……あー確かに、言われてみればそんな気もする」

梨子「いや確かにじゃないわよ。それに」

千歌「?」

梨子「私の記憶が正しければ、曜ちゃん登校するときにもローファーじゃなくて運動靴履いてるような気がするし……」

曜「ふっふっふー、よく気が付きました!」

梨子「!?」

曜「私にはね~、先生に怒られない秘訣があるのであります!」

梨子「ひ、秘策……!?」

曜「うん!せっかくのJKライフだもん。オシャレしないともったいないよ!」

梨子「そっか。じゃ、じゃあ……」

62: 2024/05/20(月) 19:51:21.99 ID:JEJG5RWh.net
梨子「ど、どう……?」

曜「おぉ~!すっごく可愛い!」

梨子「よね。このパーカー着やすいし軽いしふわふわでおしゃれ……」

曜「でしょでしょ!ここのパーカーおすすめなの!」

梨子「うん!ありがとう、曜ちゃん。明日学校に着ていっちゃお~」

梨子(曜ちゃんとおそろいのパーカー買っちゃった。これで私も陽キャの仲間入りかなぁ。えへへ……♡)

63: 2024/05/20(月) 19:52:03.26 ID:JEJG5RWh.net
~次の日~

梨子「~♪」

ガラガラガラガラ

梨子「おはようございまー

先生「おい」

梨子「ひぃ!?」

先生「お前……舐めてるのか?」

梨子(ふぇぇぇ!!?)

先生「パーカーは校則で禁止だって一か月前に言っただろ」

梨子「で、でもっ」

先生「いいから来い、とりあえず反省文な」

梨子(そんなぁ~!!?)

64: 2024/05/20(月) 19:52:36.53 ID:JEJG5RWh.net
梨子「はぁ……」

梨子(……ってなんで私だけお説教される羽目になってるのよ~!!)

梨子(曜ちゃんだってパーカーいっつも羽織ってるもん!なのに怒られてないのずるい!私だってオシャレしたい~!)

梨子(うぅ~……!陰キャはオシャレなんかするなってこ

曜「あれ、梨子ちゃん?」

梨子「曜ちゃん!?」

曜「どうしたの梨子ちゃん。そんなに暗い顔しちゃって」

梨子「うっ……」

曜「?」

梨子「もぉ~……!」

65: 2024/05/20(月) 19:53:14.69 ID:JEJG5RWh.net
梨子「パーカー着てただけで怒られたの!校則違反だ、って!曜ちゃんはいっつも怒られてないのに!」

梨子「曜ちゃんだけずるい!私にも校則違反にならない方法教えてよ~!!」

曜「あー、梨子ちゃん捕まっちゃったんだ。ドンマイ!」

梨子「えっ?」

梨子(捕ま……)

先生「おい渡辺」

曜「あっ」

66: 2024/05/20(月) 19:53:43.81 ID:JEJG5RWh.net
先生「お前、何回注意すればわかるんだよ……パーカーは校則で禁止だって言ってるだろ。それと運動靴登校もだ」

梨子(ほらぁ……やっぱり校則違反なんじゃない)

曜「えへへ~」

先生「えへへじゃないだろ。今日という今日は反省文だからな」

曜「ん~、ごめんなさい!今日はそんな気分じゃないの!」

先生「おいっ!」

曜「梨子ちゃん行くよっ!」ギュッ

梨子「きゃぁぁ!?」

梨子(うぇぇ!!?)

曜「にっげろ~!」

梨子(ふぇぇぇ!!?ひ、秘策って逃げるってことだったの!!?逃げれば怒られないって意味だったの!!?)

曜「梨子ちゃん!このまま校門まで全力ダッシュだよ!よーそろ~!」

梨子(むむむむ、無理だよ~!!私、走るの速くないのに~~!!)

次の日に二人で怒られました

67: 2024/05/20(月) 19:54:15.54 ID:JEJG5RWh.net
【第4.2話 フィギュア】

梨子「おはようございま……って誰もいない」

善子「いるわよ」

梨子「善子ちゃん!?」

善子「ん、なによ」

梨子「ご、ごめんね。気づかなくって」

善子「いいわよ、別に」

この子は津島善子ちゃん。5月になってから入部してきた一年生です

68: 2024/05/20(月) 19:54:58.04 ID:JEJG5RWh.net
アニメとかゲームとかが好きって言ってたから、私と話が合いそうって思ってるんだけど……

善子「あ、そうだ」

梨子「!?」

善子「お手洗い行きたいから、そのフィギュア見といてくれない?」

梨子「う、うん。わかった」

善子「じゃ、よろしく~」

ガラガラガラ

梨子「……」

梨子(わぁ~……綺麗なフィギュアだなぁ)

69: 2024/05/20(月) 19:56:03.26 ID:JEJG5RWh.net
梨子(魔法使い……?何かのアニメのキャラかなぁ?どことなく善子ちゃんそっくり……)

梨子(そっか。学校にフィギュア持ってきて組み立ててたのね。可愛い)

梨子「……」

チラチラ

梨子「……」

梨子(もっと近くで見せてもらってもいいのかな?)

ソーッ

梨子「……」

梨子(キレイ、すっごく精巧……特に、杖持ってるここの手の部分とか)チョン

グラッ!

梨子「えっ」

コテン!

梨子(えぇぇ~!!?)

70: 2024/05/20(月) 19:56:42.90 ID:JEJG5RWh.net
梨子(どどど、どうして!?いやなんで!!?とれちゃったんだけど!!?)

梨子(こ、こういうのって、凹凸ではめ込めるようになってるとか……)

梨子「……」

梨子(って全然もとに戻らないよ~!!!)

梨子(ううううう、うっそぉ!!?もしかして壊れた!!?私が壊しちゃったってこと!!?)

梨子(そんなぁ~……!ってまだ壊したって決まったわけじゃないんだから!!)

梨子(まだなんとかなるなる、なんとかなる……)

梨子「……」

梨子(……だから全然もとに戻らないよ~~!!)

梨子(う、ううっ、はぅぅぅ………ほ、放送事故だから見ないでぇぇ~~!!)

71: 2024/05/20(月) 19:57:11.37 ID:JEJG5RWh.net
梨子(ど、どうしよう……善子ちゃん戻ってきちゃうよ!?)

梨子(わ、私が悪いのよね、私が……)


善子『ちょっと、何勝手に壊してるのよ!』

梨子『ひぃぃ!?ご、ごめんなさいごめんなさい!』

善子『問答無用!いでよ魔獣!焼き尽くせ!』

梨子『ふぇぇぇ!!?』

善子『魔獣の業火に焼かれながら、あんたはこのまま一生地下労働施設生活よ!』

梨子『そんなぁ~!!私はただデコデコきゃわきゃわなJKライフを送ろうとしてただけなのに~!!』


梨子(ど、どうしよ~~!!このままじゃ一生地下労働施設生活

善子「何してるのよ」

梨子「きゃぁぁぁ!!?」

72: 2024/05/20(月) 19:57:46.47 ID:JEJG5RWh.net
善子「……」

梨子「えっ……!?あ、いや、これは~」

善子「……」

梨子(うぅぅ~……)

善子「……」

梨子「っ……ご、ごめんなさいっ!」

梨子「わざとじゃなかったんですっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!」

善子「ん、いいわよ別に。というか多分壊れてないし」

梨子「えっ?」

73: 2024/05/20(月) 19:58:43.94 ID:JEJG5RWh.net
善子「後から接着しようと仮止めしてただけだからね」

梨子「……」

善子「ほら、どいて。作業途中なの」

梨子「あ、うん……」

善子「よいしょ」

梨子「……」

梨子(……ほっ、良かったぁ。壊してなかったみたい

フラリ

善子「ぐぇっ!」ドシン!

バキッ!

梨子「あっ」

善子「あっ」

よしりこ「……」

よしりこ(………うぎゃぁぁぁ~~!!?)

この後二人で新しいのを買いにいきました。

74: 2024/05/20(月) 19:59:32.13 ID:JEJG5RWh.net
【第4.3話 お昼】

梨子「~♪」

梨子(今日のお昼はみんなと一緒に食べる約束をしています。えへへ、楽しみだなぁ~♡)

キーンコーンカーンコーン!

梨子「ん、んん~っ……!」

梨子(やっと午前中終わった~!)

梨子「千歌ちゃん曜ちゃん。ねえ、今日のお昼どこで食べる?」

むつ「あ、あの二人ならチャイム鳴った瞬間どこか行ったよ」

梨子「ええっ!?」

75: 2024/05/20(月) 20:00:07.26 ID:JEJG5RWh.net
梨子「……」

梨子(も、もしかして……私との約束、忘れてる?)

梨子(……ってないないないない。いくら千歌ちゃんと曜ちゃんでも、そんな薄情なことはしないよね)

梨子(先に一年生たちを呼びに行こ~っと)

ガラガラ

梨子「こんにちは。津島さんと

一年生「あ、ごめんなさい。スクールアイドル部の方ですよね?黒澤さんたちはどこか行っちゃったみたいで……」

梨子(えぇぇ!?一年生も!?)

76: 2024/05/20(月) 20:00:59.51 ID:JEJG5RWh.net
梨子(みんないないってことは部室かなぁ……?)

ガラガラ

梨子「こんにちは~、っていないし!」

梨子(む~~!!絶対私だけのけものにされてるパターンじゃない!)


千歌『そういえばあの部外者どうする?誘う?』

曜『えー、別にいいんじゃなーい?どうせ余所者だしさー』

花丸『ずら!』

ルビィ『うゆ!』

善子『ヨハ!』

千歌『ねー。じゃあハブろ~っとw』


梨子「……」

梨子(むぅ……!)

77: 2024/05/20(月) 20:01:40.85 ID:JEJG5RWh.net
梨子(いいもん!私、一人でも楽しくご飯食べられるもん!)

梨子(はぁ……やっぱり私、ひとりぼっちの運命見たいです)

梨子「……」

梨子(仕方ないから屋上でもいこーっ……屋上ならきっと寂しさも紛れるわよね)

梨子「ん、ん~っ……眩し……」

千歌「あ、梨子ちゃんやっときた~!」

梨子「千歌ちゃん!?」

78: 2024/05/20(月) 20:02:15.44 ID:JEJG5RWh.net
千歌「も~!遅いよ~!授業終わったらすぐって言ったじゃん!」

梨子「いや、聞いてないけど」

千歌「言ったよ」

梨子「聞いてないです」

千歌「えっ?」

梨子「聞いてないです」

千歌「あー……言ってなかったっけ?」

梨子「うん。絶対聞いてない」

千歌「あはは、そっか。ごめん~」

梨子「も~~!!」

79: 2024/05/20(月) 20:02:41.95 ID:JEJG5RWh.net
梨子「お昼みんなで食べようって言ってたのに千歌ちゃん曜ちゃんも先にいなくなっちゃってたんだからね!!?心配したんだからね!!?」

千歌「ごめんごめん。先に場所取りしようと思ってさ~」

梨子「も~~!!!心配したの~~!私だけハブられてるんじゃないかって思って~~!!」

千歌「ごめんごめん。ごめんってば~」

梨子「余計な心配かけないでよ~~!む~~!!」

千歌「まあいいじゃん。みんな集まったんだし。食べよ食べよ~!」

梨子「あっ、ちょっと!?」

千歌「いただきま~す!あ、善子ちゃん今日からあげの日なんだ!私にも一個ちょうだ~い!」

梨子(はぁ……)

梨子(……最近は、千歌ちゃんに振り回されるのに慣れてきている自分がいる)

80: 2024/05/20(月) 20:03:04.73 ID:JEJG5RWh.net
千歌「からあげにみかんかけちゃうね!」

善子「あ、ちょっと!?」

千歌「ほえ?」

善子「私、みかん嫌いなの!って言うかからあげにみかんとか100パーないでしょ!!?」

千歌「でも静岡の特産だから美味しいよ!食べて食べて!」

善子「だから私のお弁当だって言ってるでしょ!?」

梨子(まあ、こういうのも悪くないかな、とは思うけど……)

千歌「あ、そう言えば梨子ちゃんの水筒のお茶はみかんで割っといてあげたよ」

梨子「えっ?」

千歌「静岡茶のみかんジュース割り!意外と美味しいよ!」

梨子「……」

梨子(えぇぇ~~!!!?)

この後半分だけ飲みました。

81: 2024/05/20(月) 20:03:47.82 ID:JEJG5RWh.net
【第4.4話 美容院】

梨子「はぁ……」

クシクシ

梨子(うぅぅ、なんとか誤魔化せないかなぁ……)

桜内ママ「梨子~!」

梨子「……」

桜内ママ「遅刻するわよ~!」

梨子「わかってる~」

桜内ママ「いつまで鏡見てるのよ!遅刻するって言ってるでしょ!」

梨子(あーもうっ!わかってるってばー!!)

梨子「はぁ……」

梨子(今日も朝から憂鬱です……)

82: 2024/05/20(月) 20:04:47.78 ID:JEJG5RWh.net
お姉さん『どのような髪型にいたしましょう?』

梨子『え?えっと、い、いつも通りで……』

お姉さん『えっ?えっと……お客様、当店のご利用は?』

梨子『えっ!?あ、いや、初めてです。ごめんなさい……すみません、とりあえず短くお願いします』

お姉さん『はい。短くですね』


梨子「……」

梨子(う、短くしすぎた……というか前髪ヤバいことになってるし~!)

梨子(どうしよー!絶対おでこのことイジられるっ!あーもう~~!!!)

梨子「はぁ……」

梨子(いっそのこと気づかれなければ……って無理よねそんなの。さすがに変わり過ぎだし)

梨子「はぁ……」

梨子(あーもうっ、今すぐお家かえりたい……)

ガラガラ

梨子「おはよ……」

曜「おはよーそろー!」

83: 2024/05/20(月) 20:05:23.47 ID:JEJG5RWh.net
曜「あれ、どうしたの梨子ちゃん。朝から暗いね」

梨子(曜ちゃんが朝から元気すぎるんだってば……)

曜「ん~……ね、ねっ!そういえばさ、数学の宿題やってきた?」

梨子「えっ?」

梨子(……触れないんだ。私の髪型明らかに変化してること)

梨子(まあ触れて欲しいわけじゃないしむしろ触れないでほしいからいいんだけど)

梨子「まあ……一応解きはしたよ」

曜「ほんとに!?一生のお願いっ!答え合わせしたいからちょこっと見せて!」

梨子「うん。いいよ」

ガサガサ

梨子(……やっぱ気づかれないのはそれはそれでムカつく。無視されてるみたいで)

梨子「はい、数学のノート」

曜「わーい!梨子ちゃんありがと~!」

梨子「ね、ねえ。そう言えば……さ。今日の私のことなんだけど」

曜「えっ?」

84: 2024/05/20(月) 20:06:02.08 ID:JEJG5RWh.net
曜「……?」

梨子「……」

曜「どうしたの、梨子ちゃん?」

梨子(いやわかるでしょ!?『今日の私さ』に続くのは『いつもと変化してるよね~』以外考えられないでしょ!!?なんでわからないの!!?)

曜「ほへ……?」

梨子「っ……いつもと違うところ、あるでしょ?」

曜「いつもと……あ、わかった!梨子ちゃん今日の朝ごはん食パンだったでしょ!かすかにトーストの匂いがする!」

梨子(えっ!?)

曜「あれ、違ってた?」

梨子「いやまああってるけど……」

梨子(もしかして口元に食べかすとかついてた……!?だ、だとしてもそんな違いには気づいて欲しくないっ!!)

85: 2024/05/20(月) 20:06:50.79 ID:JEJG5RWh.net
梨子「そうじゃなくって……ほら、頭のところとか」

曜「頭……?おかしくなっちゃったとか」

ペチン!

曜「いてっ!」

梨子「ヒントは髪の毛ですっ」

曜「シャンプー変えたとか?」

梨子「うん。まあ確かに今週から新しいの使ってる。使ってるけど、今気づいて欲しいのはそこじゃないの」

曜「ん~、そんなこと言われても~……」

梨子「……」

曜「……ごめん、わからないや。ギブアップで」

梨子(ええっ!?)

86: 2024/05/20(月) 20:07:27.07 ID:JEJG5RWh.net
梨子「……」

曜「?」

梨子(む~……!!)

曜「!?」

梨子「わかるでしょ!!?髪型っ!!明らかに短くなってるでしょっ!!」

曜「あ~、言われてみれば確かに!」

梨子「『言われてみれば確かに!』じゃないわよ!も~~!!!」

ムニッ!!

曜「わあっ!?」

梨子(もぉぉぉ~~~!!なんで気づかないの!!?なんで食パンとか細かいところには気づくくせに髪型のことはわからないの~~!!!)

曜「ひ、ひほひゃんひっぱらふぁいでよ~」

この後はちょぴり機嫌が悪かったです

87: 2024/05/20(月) 20:08:24.83 ID:JEJG5RWh.net
【第4.5話 フルーツ】

梨子「~♪」

梨子(やった~。今日はお弁当にぶどう入ってる!果物あるとテンション上がるわよね~)

梨子「じゃあ……いただきま

千歌「梨子ちゃんあぶな~い!」

梨子「きゃぁっ!?」

千歌「梨子ちゃん梨子ちゃん!ぶどうには食物繊維が多く含まれてるから食べ過ぎると体に良くないんだよ!」

梨子「そうなの?けど、このくらいの量なら」

千歌「だから半分たべてあげるね!あ~ん」

梨子「あっ!?」

パクッ!

千歌「ん~、おいし~♡」

梨子「そんなぁ……」

88: 2024/05/20(月) 20:09:04.22 ID:JEJG5RWh.net
~次の日~

梨子(やった、今日はリンゴだ!)

梨子「いっただっきま~

千歌「梨子ちゃんあぶな~い!」

梨子「きゃあっ!!?」

千歌「実はリンゴの種にはシアン化合物が含まれてるから体に良くないんだよ!」

梨子「そ、そうなの?でも、剥いてあるから

千歌「だから代わりに食べてあげるね。あ~ん!」

梨子「あっ!?」

パクッ!

千歌「ん~、おいし~♡」

梨子「……」

89: 2024/05/20(月) 20:09:25.29 ID:JEJG5RWh.net
梨子(む~……!いいもん!だったら私だって仕返ししてやるっ!)

千歌「いっただっきま~

梨子「千歌ちゃんあぶな~い!」

千歌「えっ?」

梨子「え、えっと……!そうっ!みかんに含まれるビタミンCって~、実は

千歌「25,000個」

梨子「えっ?」

90: 2024/05/20(月) 20:10:11.83 ID:JEJG5RWh.net
千歌「ビタミンCの致氏量は、体重が50kgの人で換算してだいたい600g。みかん100gあたりに含まれるビタミンCは32mgだから、みかんを1個75gと仮定すると、みかん25,000個分になるよね」

梨子「そ、そっか。千歌ちゃん物知りだね……」

千歌「うん!だから24,999個なら食べても安心だよね!」

梨子「えっ!?」

千歌「梨子ちゃんもみかん食べたくなったの?そっか~、嬉しい!じゃあいっぱい食べよっ!24,999個!」

梨子「い、いや、さすがに2万個はいらないっ

千歌「はいどーぞ!西浦の美味しいみかん、たくさん食べてね~!」ごろごろごろごろ

梨子(うぇぇぇ!?どんだけ持ってるの!!?というかみかんに殺される~~!!)

この後少しだけいただきました。

91: 2024/05/20(月) 20:19:07.80 ID:JEJG5RWh.net
【第4.6話 アイス】

梨子「……」

梨子(うぅ~、日直のお仕事で部活行くの遅くなっちゃった~)

ドシン!

梨子「きゃっ!?」

ダイヤ「す、すみません!大丈夫ですか!?」

梨子「あ、はい……って!?」

梨子(生徒会長~!!?)

92: 2024/05/20(月) 20:19:46.77 ID:JEJG5RWh.net
ダイヤ「ごめんなさい、急いでいて……完全に私の不注意で

梨子「ご、ごめんなさいっ!!」

ダイヤ「えっ!?」

梨子「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!廊下は前見て歩かないとですもんね、本当にごめんなさいっ!」

ダイヤ「あ、いえ。私の方こそ……」

梨子「ごめんなさいっ!書類いま拾うので許してくださいっ!」

梨子(怒られる怒られる怒られる~~!!)

テキパキテキパキ!

梨子(……あれ?)

93: 2024/05/20(月) 20:20:14.86 ID:JEJG5RWh.net
梨子「このって……」

ダイヤ「ご存知なのですか!?」

梨子「わっ!?」

ダイヤ「沼津駅前に期間限定出店している京都宇治抹茶アイス!しかも!その中でも特に30個限定で売られている幻の超高級

梨子「……」

ダイヤ「アイス……こ、こほん。なんでもないですわ」

梨子「へ、へぇ~。有名なアイスなんですね。……あれ?」

梨子「でも確かこのアイス、この前食べた記憶があるような……」

………
……

94: 2024/05/20(月) 20:20:45.07 ID:JEJG5RWh.net
◇———◇

ルビィ『うゆ~……』

梨子『あれ、どうしたの。ルビィちゃん?』

ルビィ『あ、梨子さん。あのねあのね、今日ね、お家からデザートにアイス持ってきたんだけど……すっごく苦くて美味しくなかったの』

ルビィ『あーあ、せっかく保冷バックまで用意したのに……失敗しちゃったなぁ』

梨子『その抹茶アイスのこと?そんなに苦かったの?』

ルビィ『うゆ……梨子さんも一口食べる?』

梨子『え、いいの?』

ルビィ『はい、あーん』

梨子『あ~』

ぱくっ!

梨子『ん!結構おいしくない?』

ルビィ『え~、ルビィ絶対美味しくないと思う。せっかくだし梨子さんにあげるね』

梨子『いいの!?ありがとう、ルビィちゃん』

◇———◇

95: 2024/05/20(月) 20:21:13.03 ID:JEJG5RWh.net
梨子「……ってことがあって」

ダイヤ「……」

梨子「あれ、30個限定のアイスだったんですね。知らなかったです。あ、ごめんなさい変な話しちゃって」

ダイヤ「……ルビィ~~!!」

梨子「えっ!?」

ダイヤ「またお姉ちゃんのおやつを勝手に!!そもそも30個限定のアイスが浦の星の関係者にそうたくさん巡っているはずがありませんわ!!私は2時間並んだのですわよ~~!!」

梨子「あの、ルビィちゃんのこと何か知って……えっ、お姉ちゃん??」

梨子(もしかして『黒澤』ルビィちゃんと、生徒会長の『黒澤』ダイヤさんって……姉妹ってこと~!!?)

96: 2024/05/20(月) 20:22:03.73 ID:JEJG5RWh.net
梨子「うっそ。生徒会長とルビィちゃん、あんまり似てないのに……」

ダイヤ「なんですの、それ。私がルビィと違って可愛げが無いと言いたいんですの?」

梨子「い、いえっ!」

梨子(もしかして声に出ちゃってた!?)

梨子「あ、あのっ!」

ダイヤ「あなたには関係のない話ですわ。これは姉妹の問題ですので」

梨子「あ、ちょっと!?」

カツカツカツカツ…

梨子「……」

梨子(ど、どうしよ。余計なことしていなかったらいいんだけど……)

97: 2024/05/20(月) 20:22:33.53 ID:JEJG5RWh.net
***

ルビィ「はぁ……ねえ聞いてよ梨子さん」

梨子「えっ、どうかしたの?」

ルビィ「お姉ちゃんがすっごく怒っててさー、ルビィめっちゃ説教された」

梨子「あー……ごめんね、ルビィちゃん。災難だったよね」

ルビィ「うゆ~……」

梨子「あ、そうだ!さっき購買でピノ買ったんだけどね、良かったらルビィちゃんも食べる?」

ルビィ「いいの!?」

梨子「うん。この前抹茶のアイスくれたお礼」

ルビィ「わ~い!ルビィアイスだ~い好き!いっただっきま~す!」

梨子「えへへ、ルビィちゃん可愛い」

ルビィ「うゅ~♡」

梨子(はぁ……生徒会長もこのくらい優しかったらいいんだけどなぁ)

私が生徒会長さんと仲良くなるのは、もう少し先の出来事です

98: 2024/05/20(月) 20:23:14.38 ID:JEJG5RWh.net
【第4.7話 海】

梨子「ぎやぁぁぁぁ~~!!」

千歌「えっ、どうしたの!!?」

梨子「ムシっ!ムシいるっ!!なんとかしてっ!!」

千歌「あー……」

カサカサカサカサ

千歌「いるね」

曜「フナムシかな?」

千歌「こんなところにいる?」

曜「風で飛ばされてきたんじゃない?」

梨子「分析いいからー!!求めてない!!」

99: 2024/05/20(月) 20:24:05.67 ID:JEJG5RWh.net
梨子「無視しないでよ~~!!お願いっ!!」

千歌「ムシだけに?」

梨子「そういうのいらないからっ!!怒るわよ!!?」

千歌「え~、しょうがないな~。ほいっと」

ササッ!

千歌「はいっ、捕まえたよ」

梨子「ぎゃぁぁ~~!!こっ、こっち近づけないでぇぇ~~!!」

千歌「じゃあ梨子ちゃん窓開けてよ。外に逃がしちゃうから」

梨子「むっ、無理っ!!足すくんで動けないのっ!!」

千歌「えぇ……」

曜「ほいっと!」

千歌「ナイス曜ちゃん!」

パサッ!

千歌「ほら、海へおかえり~」

梨子「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

100: 2024/05/20(月) 20:24:25.85 ID:JEJG5RWh.net
梨子「あぁぁぁ~~……!!はぁ~……」

千歌「梨子ちゃんさすがにおおげさじゃない?」

梨子「お、大げさじゃないもんっ!!」

千歌「でもただの虫じゃん。あんなのどこにでもいるよ?」

梨子「ただのじゃないもんっ!!虫は虫なのっ!!」

千歌「んー、さすがに虫が出る度にこんなに騒がれるとうるさいし……あ、私いいこと思いついた!」

梨子(えっ!?)

101: 2024/05/20(月) 20:24:55.33 ID:JEJG5RWh.net
千歌「じゃじゃーん!淡島マリンパーク!」

梨子「!?」

千歌「ここではね、海の生き物たちと直接触れ合う体験ができるんだよ!」

梨子「だ、だから何……?」

千歌「はい!見て梨子ちゃん!ヒトデ!」

梨子(うぇぇぇ!!?)

梨子「ちょっ、かわいそうだから元に戻してきて!!」

千歌「えー、そんなことないよ。ねー、ヒトデマン?」

梨子(名前つけなくていいからぁ~~!!)

102: 2024/05/20(月) 20:25:34.41 ID:JEJG5RWh.net
千歌「でもでもー、ここの生き物は触ったりしても大丈夫なんだよ?誰も毒なんて持ってないし!」

梨子「そういう問題じゃないの~~!!なんかキモい!!」

果南「こらこら千歌~。他人の嫌がることしちゃダメだよ~」

千歌「あっ、果南ちゃん!」

梨子「えっ、誰……?」

千歌「紹介するね!この子は松浦果南ちゃん。私の幼馴染で、ここの館長をしてるんだよ!」

果南「バイトだけどね」

梨子「あ、うん。えっと……」

千歌「この子は桜内梨子ちゃん。千歌の新しく出来た同級生」

果南「あー、噂の転校生さんね。よろしくね、梨子ちゃん」

梨子「あっ、はい。よろしくお願いします……」

千歌「でさでさー、果南ちゃん。せっかく内浦に引っ越してきたんだからさ、このまま海の生き物に触れずに終わるなんてもったいないと思わない?」

果南「……確かに」

梨子「えっ!?」

果南「ふむ……」

梨子「えっ、もしかしてあなたも千歌ちゃん側の味方なんですか!?」

果南「ん~……あ、そうだ!だったらさ~」

103: 2024/05/20(月) 20:26:08.90 ID:JEJG5RWh.net
梨子「う……////」

千歌「梨子ちゃ~ん!はやくおいでよ~!」

梨子「ま、待って!!まだ潜るとは決めてないんだけどっ!!」

千歌「ウエットスーツ着てるのに??」

梨子「これはっ……!!/////」


千歌『梨子ちゃん絶対ウエットスーツ可愛い!似合うと思う!』

曜『私も梨子ちゃんのナイスバディが見たいであります!』

梨子『う、うぅぅ~~!!/////』


梨子(千歌ちゃんと曜ちゃんが乗せてくるからでしょ~~!!////)

105: 2024/05/20(月) 20:26:48.86 ID:JEJG5RWh.net
曜「大丈夫だよ梨子ちゃーん!怖くないよー!」

梨子「そ、そう言われても~!!」

果南「大丈夫?もしイヤだったら辞める?」

梨子(うぅぅ、でも仲間はずれにはされたくないし~……!!)

梨子「はぅぅ……」

果南「ん~……まあ、怖いよね。最初は」

果南「『知らない』って、それだけで恐怖の対象になるんじゃないかと、私も思うなぁ」

梨子「はい……」

果南「よし!」

梨子「?」

106: 2024/05/20(月) 20:35:52.65 ID:JEJG5RWh.net
果南「さて問題です!この子の名前はなんでしょう?」

梨子「えっ……?」

果南「この子はオクトパスって言って、レギュレーターが壊れた時に使う子なの。例えば~……はい!」

梨子「んっ!?」

果南「咥えてみて」

梨子「ん……?」

果南「で、息を吐いて、吸う」

梨子「ん……」

シュコー、シュコー

梨子「……」

果南「ごくごくごくごく稀にだけど、レギュレーターが壊れて使えなくなっちゃうかもしれないよね。だから、そんな時に誰かに空気を分けてあげるためにある装置なの」

107: 2024/05/20(月) 20:36:22.38 ID:JEJG5RWh.net
果南「私たち人間は魚と違って水の中じゃ息は出来ないし、水の中では生きられない。だから命を守るための装置が何重にも用意されてるの」

梨子「……」

果南「大丈夫。ここはそんなに深くないし、装置は何回も点検してある。何より私がついている!だから、ねっ?」

果南「飛び込みたいってその気持ちだけで、私と一緒にダイブしよっ♡」

梨子「……」

108: 2024/05/20(月) 20:36:59.75 ID:JEJG5RWh.net
千歌「梨子ちゃ~ん!」

梨子「いっ、今行くから待ってて~!」

梨子(怖いけど……えいっ!)

チャポン!

果南『水の中で息を吸いたいときは、まずは息を吐くことを心掛ける。あとは自然と肺の中に新鮮な空気が入ってくるはずだよ』

梨子(息を、吐く……)

カポポポポ…

梨子(……んっ!)

梨子(出来た!水の中で、呼吸———)

梨子「……!」

109: 2024/05/20(月) 20:37:25.41 ID:JEJG5RWh.net
梨子(きれい……)

梨子「……」

梨子(水の中に差し込んだ光が、柱みたいになっていて……まるで空への階段になってるみたい)

梨子「……」

梨子(……そっか、私。知らなかったんだ。海の中にこんなに綺麗な世界があるんだなんてこと)

梨子(海って、こんなにも落ち着ける。耳を澄ましても私の音だけが海中に響く———素敵な場所だってこと)

110: 2024/05/20(月) 20:37:51.82 ID:JEJG5RWh.net
***

梨子「……ぷはっ!」

果南「おー、おつかれー。どうだった?」

梨子「はぁ、はぁ、はぁ……すごく綺麗でした」

果南「そっか。それは何よりだよ」

梨子「はい。ありがとうございます、こんな貴重な体験をさせてくれて」

果南「そっか。私ね、知らないことって……通じ合えないことって、物凄く怖いことだと思う。だからお互い少しづつ理解し合って、知ってるところが増えていったら、もっともっと好きになっていくんじゃないかと思う」

梨子「……」

111: 2024/05/20(月) 20:38:15.54 ID:JEJG5RWh.net
果南「海にはね、私たちの知らないことがまだまだたくさん待ってくれているんだよ?」

梨子(確かに……。海の中がこんなに綺麗だなんてこと、私はずーっと知らなかったです。ううん、もしかしたら一生知らなかったのかもしれません)

梨子(それが千歌ちゃんや曜ちゃんとの出会いを経て、花んるちゃんルビィちゃん善子ちゃん、それから理事長の鞠莉さんや生徒会長のダイヤさん、そして果南さんと、新しく出会って)

梨子(陰気でキラキラしてないなって思ってた私の高校生活も、少しづつ変わっていくのかな……?)

梨子「私……良かったです。この町に引っ越せて来られて」

果南「それは良かった~。海ってね、こんなにも綺麗で神秘的なんだよ。そう考えると海の生き物にも触れそうな気がしない?」

梨子「いえ、全く」

果南「えぇ~?」

梨子「それとこれとは別問題なんです!」

果南「そっかぁ~。残念」

私が本当の意味で海に慣れるのは、まだまだ先のことみたいです

112: 2024/05/20(月) 20:38:38.52 ID:JEJG5RWh.net
【第5話 それから】

前回の!ラブライブ!サンシャイン!!

体育館のファーストライブを、見事満員で成功させた私たち三人

そして、ついに迎えたラブライブ!東海予選の日

千歌「梨子ちゃん梨子ちゃん」

梨子「なあに?」

千歌「緊張してる?」

梨子「ううん。不思議とね、いまはそんなに」

千歌「……そっか」

梨子「?」

千歌「いやー、梨子ちゃんもすっかり私たちに染まっちゃったな~って思って」

曜「ねー。最初はあんなにも初々しかったのにね~」

梨子「なっ……!?い、いいでしょ!!出会ったばっかりの頃は忘れてよ~!!/////」

113: 2024/05/20(月) 20:38:56.11 ID:JEJG5RWh.net
ルビィちゃんと花丸ちゃん、それから善子ちゃんも加わって、私たちAqoursは6人になりました。そして

鞠莉「ふふっ、やっぱりマリーの見立て通りあの三人はベストパートナーになったみたいね」

ダイヤ「そうですわね。どこかの金髪お嬢様みたいなワガママお姫様もいないことですし」

果南「脳までお堅い頑固生徒会長もね」

かなダイまり(………)

かなダイまり「………ぷっ」

鞠莉ちゃんとダイヤさんと果南ちゃんも加わり、今のAqoursは9人です

千歌「よし、そろそろ行こっか」

梨子(うん!)

千歌「いち!」

曜「にっ!」

梨子「さん!」

花丸「よん!」

ルビィ「ご!」

善子「ろく!」

ダイヤ「なな!」

果南「はち!」

鞠莉「きゅう!」

私たちの音楽は———まだ始まったばかりなんだから!

114: 2024/05/20(月) 20:39:40.49 ID:JEJG5RWh.net
終わりです。長くなってしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。
ちょっぴり残念系美少女梨子ちゃんでした

115: 2024/05/20(月) 20:42:40.63 ID:3F6205RY.net
大作乙です
小ネタもあってよかった
何より陰キャ梨子ちゃんがかわいい

116: 2024/05/21(火) 00:27:07.70 ID:Q1bP+ISn.net
おつおつ

引用: 梨子「音ノ木坂学院高校から転校してきた……桜内梨子ですっ!」