1: 2008/10/21(火) 21:21:03.50 ID:IOAM6bhm0
金糸雀「みっちゃん?」
金「? 変かしら。この時間なら、もうみっちゃんは帰ってきてるはずなのに」
金「また『ざんぎょう』かしら? でも、今日は絶対に早く帰れる、って言ってたし……」
金「うーん……」
金「なぁに、ピチカート? あっ。テーブルの上に何か乗ってるかしら!」
金「んしょ、んしょ」
金「……手紙? よ、読んでみるかしら」
金「……」
金「………………どぅぇぇええええええ!!??」
ローゼンメイデン 愛蔵版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

5: 2008/10/21(火) 21:24:13.91 ID:IOAM6bhm0
次の日。
ジュン「……」――カチッカチッ
ジ「……」――カチッカチッ
ジ「……」――カチッカチッ
ジ「……静寂って、素晴らしい」
ジ「まさか、あいつらがいないだけでこんなに静かになるなんて」
ジ「これで堂々と、真昼間から秘蔵の工口動画を見れる……!」
ジ「取って置きの裏モノを開放する時だ! さあ、宴を始めよう! イッツ・ショョゥウッタァァァイムッッン!!」

――ピンポ-ン。

ジ「何……だと……」

6: 2008/10/21(火) 21:27:31.85 ID:IOAM6bhm0
――ピンポ-ン。
ジ「くそっ! 無視だ! ほっとけば帰るだろうし。それまでの辛抱だ」
――ピンポ-ン。
ジ「……」
――ピンポ-ン。
ジ「……」
――ピンポンピンポンピンポンピピピピピピピピ……!
ジ「だぁーっ! うるさーい!」

――ガチャッ。
ジ「はいっ! どちら様!?」
金「あっ……」
ジ「ん?」
金「あの……」
ジ「お前は……」
金「こんにちは……かしら」
ジ「……カナウジ?」
金「カナはインド北部の古代都市じゃないかしら! カナは金糸雀かしら!」
ジ「ああ、そう。それ」
金「相変わらずひどいかしら~」

8: 2008/10/21(火) 21:30:56.30 ID:IOAM6bhm0
リビング。
ジ「……」
金「あ、あの……」
ジ「……なんじゃこの手紙はあああ!?」

【ジュンジュンへ
  はーい、ジュンジュン。久しぶりっ。元気にしてた?
  私? 私はね……借金取りに追われてまーすっ! エヘッ☆  
  どーしても欲しいカナ用のドレスがあって、すこーしだけヤミ金さんからお金を借りちゃった♪
  でねでね。私、このままじゃマグロ漁船に乗せられちゃうから、しばらく身を隠します!
  カナと別れるのは身を切り裂かれる思いだけど、私、耐えてみせるわ!
  だからぁ。しばらくの間、カナの面倒看てあげてくれなぁい? みつからのぉ、お・ね・が・い☆
  それじゃあ、よろしくね~ 】

ジ「ありえないだろ!? いきなりこんなの!」
ジ「そんでもって、時折甘えた感じで書かれてるのがかなり苛つく!」

五分後。
ジ「ぜーはー……よし、取り敢えず落ち着こう。この手紙、いつ受け取ったんだ?」
金「昨日、家に帰ったらテーブルの上に置いてあったかしら」
金「それで、今朝怖いおじさんたちが部屋に押しかけてきて、カナ慌てて逃げてきたかしら」
ジ「……ちなみに、そのおじさんたちは何してたんだ?」
金「部屋の中に変なテープをいっぱい張ってたのよ」
ジ「(差し押さえかよ……)いくら借りたんだ、みっちゃんさん……」
金「丸が七つくらい?」
ジ「丸七つ? 一、十、百、千……っ!??!!?」

13: 2008/10/21(火) 21:33:50.08 ID:IOAM6bhm0
金「それで、あの……」
ジ「ん? ああ。家に置くって話か? んー、でもなぁ……」
金「やっぱり駄目かしら……?」
ジ「(うっ。涙目!)ぼ、僕が言えた義理じゃないけど、家も裕福ってわけじゃないし……」
金「そう、かしら……」
ジ「悪いけど……ん?」
ジ(封筒の奥に……二枚目の手紙?)

【P.S. 
  本当はカナも一緒に連れて行ってあげたいんだけど、カナを危険には巻き込みたくないの。
  勝手なお願いだとは分かってます。
  けど、こんなこと頼めるのジュンジュンしかいなくて。
  誠意、とは言えないけど、もう一つの封筒の中のものを好きなように使ってください。
  だからお願い。
  カナを、よろしくお願いします。 】

金「ご迷惑をおかけしたかしら……」
ジ「待った。金糸雀。もう一つ封筒持ってるか?」
金「あっ。忘れてたかしら。……はい、これ」
ジ「中身は…………っ!?」
ジ(札束!? 三十万はあるぞ……!)
ジ(メモ用紙がある……『おつり』? ドレス代の残りってことか?)
金「あの……それじゃ、カナはこれで」
ジ「……はあ。分かったよ」
金「え?」
ジ「いいよ。しばらく家にいて」

14: 2008/10/21(火) 21:37:04.54 ID:IOAM6bhm0
金「ほ、本当かしら!?」
ジ「ああ。どうせ行くあてなんてないんだろ?」
金「ありがとうかしらっ!」
ジ「うわっ。抱きつくなよ!」
金「し、失礼したかしら。みっちゃんにはよくこうしてたから……」
金「そ、そういえば。真紅たちはどこかしら? 今日はやけに家の中が静かなような……」
ジ「家には僕しかいないよ。みんなしばらく帰ってくる予定もない」
金「?」
ジ「真紅は姉ちゃんを無理矢理連れて『くんくん名所巡りツアー』。翠星石は蒼星石たちと温泉旅行。
  雛苺と雪華綺晶は柏葉ン家の別荘に一緒に行ってる」

(注:このお話のジュンは、ひょんなことから、実体を持った雪華綺晶と契約しています)

ジ「どいつもこいつも、一週間は帰ってこないんじゃないかな?」
ジ「はあ。折角の静かな夏休みだったってのに……」
金「あなたは年中夏休みみたいなものかしら」
ジ「……野宿するか?」
金「じゃ、じゃあ。今はカナと真紅のマスターの……」
ジ「ジュンでいいよ」
金「あ、そう? って、違うかしら! カナとジュンの二人きりってことかしら!?」
ジ「そうなるな」
金「かかかか、カナにやらしいことしたら大声上げるかしら! 痴漢扱いして訴えてやるかしら!」
ジ「……………………」
金「な、なんでそんな可哀相なものを見るような目で見てるかしらぁ~!?」

――ピンポーン。

17: 2008/10/21(火) 21:40:29.48 ID:IOAM6bhm0
ジ「今度は誰だよ……」

――ガチャ。

ジ「はい。どちらさ……」
ジ「……は?」
金「ジュン? どうしたかしら? ……げ!」
薔薇水晶「…………こんにちは」
ジ金『ば、薔薇水晶!?』

20: 2008/10/21(火) 21:45:51.92 ID:IOAM6bhm0
>>18
ありがたくも「ぷんた」にまとめてもらってるんで、暇があるときにでも読んでみて。
続編……になるのかな?
まあ、詳しく知らなくても今回は問題なし。
一応前作のタイトル→『雪華綺晶「………………シクシク。クスン」 』

時は遡って昨晩。
薔「……遅くなっちゃった」
薔「お父様……心配してるかな……」
薔「あれ……?」
薔「……お店の前に……パトカー……?」
薔「あ、お父様……」
薔「お父様……パトカーに乗って……行っちゃった……」
白崎「薔薇水晶!」

23: 2008/10/21(火) 21:49:28.64 ID:IOAM6bhm0
近くの公園。
白「久しぶりですね、薔薇水晶」
薔「うん……二ヶ月、くらい……?」
白「ええ。雪華綺晶の食べ残しから再生するのにだいぶ時間がかかりまして……」

(注:ラプラスは以前、雪華綺晶に鍋にされて食われました)

白「いえ、それはいいんです。今はあなたの今後についてです」
薔「……お父様……」
白「落ち着いて聞きなさい。エンジュはしばらくお店には戻れません」
薔「……何で……」
白「それは……(あの馬鹿が! ビザの確認は怠るなとあれほど言ったというのに……!)」
白「お、大人の事情です」
薔「……」
白「……お願いですから、私を睨まないでください」
薔「……おうち」
白「店にも戻れません。なので、これを」
薔「……荷物?」
白「はい。こちらはエンジュからあなた宛の手紙です。それとこの封筒を持って、桜田くんの家に――」

桜田家リビング。
ジ「それで、一晩中僕の家を探し回ってたのか?」
薔「うん……nのフィールドでしか……来たこと、なかったから……場所、分からなかった……」
ジ「……それで? その封筒とやらは?」
薔「……これ」
ジ(ものっすごいデジャビュを感じる……)

28: 2008/10/21(火) 21:54:16.94 ID:IOAM6bhm0
ジ「……やっぱり。だいたいみっちゃんさんの手紙と内容は一緒だ」
ジ「こっちは……小切手?」
ジ「一、十、百、千……こっちは丸が六つ!?」
ジ「……居候ってレベルじゃないよな、これ」
金「カナは反対かしら! バラバラはカナたちを殺そうとしたかしら!」
ジ「うるさい、居候その一。何でお前が意見してるんだ?」
ジ「でも、まあ、僕も不安だ。お前はアリスゲームに積極的なんだろ?」
薔「アリスゲームは……もう、やらない」
ジ金『ええっ!?』
薔「お父様からの手紙に……『戦いをやめて、幸せを探しなさい』って、書かれてた……」
薔「お父様が望むなら……私は、戦わない……」
薔「幸せが何か……まだ、分からないけど……戦いは、やめる……」
ジ「……ふーん」
ジ「ならいいぞ。金糸雀も、いいよな?」
金「し、仕方ないかしら! 昔のことは許してあげるかしら!」
薔「……ありが、とう……」

ジ「話もまとまったし、そろそろピザでも頼むか」
金「カナは卵焼きが乗ったピザがいいかしらぁ~」
ジ「ねえよ」
薔「私は……何でも……」
ジ「ん。さて、電話して……」

――ピンポーン。

29: 2008/10/21(火) 21:57:34.91 ID:IOAM6bhm0
――ピンポーン。

ジ「……」
金「出ないのかしら?」
――ピンポーン。
ジ「ものっっっすごく嫌な予感がする」
――ピンポーン。
薔「……」

――ガチャ。

ジ「あ! 薔薇水晶! 勝手に……」
ジ金薔『……』
水銀燈「……」
銀「……こんにちはぁ」

32: 2008/10/21(火) 22:01:27.20 ID:IOAM6bhm0
銀「実はぁ……」

前略……中略……後略。

ジ「……つまり、住んでた教会が壊された→めぐさんが治療のために海外に行った
  →お前も行く場所がない。ファイナルアンサー?」
銀「ちょっとぉ! どうして私だけこんなに雑なのよぉ!」
ジ「もう三回目なんだよ! これ以上長引かせたくないんだよ! さっさと本編に入りたいんだよ!」
銀「な、何言ってるのぉ……?」
金「>>1の心の叫びかしら……」
銀「ふんっ。まあ、いいわぁ。はい、これ」
ジ「この袋は?」
銀「教会に置かれてたものよぉ。めぐに見せたら、価値のあるものだって言ってたわぁ」
ジ「ふーん(寂れた教会にある価値のあるもの……ビックリマンシールのレアとかか?)」
ジ「って、金塊!? それも何本も!?」
銀「重かったのよぉ。ここまで運んでくるの」
ジ「おまっ……なんで教会にこんなものが?」

白「おや? 教会が壊されてますね」
白「……わ、私のへそくりがないっ! これからの生活資金が……!」

ジ(ほんの数時間で大金持ちだよ)
銀「それでぇ? 置いてくれるのぉ?」
ジ「……もう好きにしてくれ」

34: 2008/10/21(火) 22:05:22.24 ID:IOAM6bhm0
~夕食時~
ジ「よし。ルールを決めよう」
銀「はぁ?」
金「急にどうしたかしら?」
薔「…………もぐもぐ」
ジ「家で暮らしている間は戦闘はしない。家の中のものを壊さない。この二つだけは守ってもらうぞ!」
金「守らなかったらどうするのかしら?」
ジ「野外生活を満喫してもらう。庭に追い出して窓を閉め切って、ガラス越しに目の前で焼肉をしてやる」
金「そんな残酷な……! わ、分かったかしら~」
ジ「そっちの二人もいいな!?」
銀「しょうがないわねぇ」
薔「(こくり)…………むしゃむしゃ」

~就寝前~
銀「今日は疲れたわぁ。もう寝ることにするわぁ」
金「カナもそうするかしら」
ジ「何でお前ら……当然のように僕の部屋に鞄を置いてるんだよ! 部屋なら他にいくらでもあるだろ!」
銀「おやすみなさぁい」 
金「おやすみかしら~」
ジ「無視かよ! 少しは聞けよな!」
薔「(じー)」
ジ「……何だよ」
薔「……私は、鞄が……ない」
ジ「え? あ、そうか。お前は……」
ジ「う~ん。じゃあ、姉ちゃんの部屋を使わせてもらうか。ちょっと待ってろ。すぐに準備して……」
薔「……ここで……寝る……」

36: 2008/10/21(火) 22:09:05.90 ID:IOAM6bhm0
ジ「ここって、それは僕のベッドだぞ。そこは……」
薔「一人じゃ……寝れない……」
薔「……いつもは……お父様と、一緒……一人は、嫌……」
ジ「……えーっと。つまり、僕と寝たいってこと?」
薔「(こくり)」
ジ「……はあ。分かったよ。もう何でもいいよ」

ジ(って! き、緊張して寝れない!)
ジ(何で人形のくせにこんなに柔らかいんだよ!)
薔「……ありが、とう……」
ジ「へ、へぁ?」
薔「わがまま……聞いてくれて……」
ジ「べ、別にこれくらい……(ボソッ)結構役得だし」
薔「……それだけじゃ、ない……この家に……置いてくれて……」
ジ「気にするなよ。帰る場所がないのは……辛いからな」
薔「……ありがとう……おやすみ、なさい……」
ジ「ああ、おやす――」
薔「……すぅすう」
ジ「早っ。疲れてたのか?」

ジ「……はあ。折角、一人で静かに過ごせると思ったのに」
ジ「これからどうなるんだ?」

38: 2008/10/21(火) 22:14:30.80 ID:IOAM6bhm0
~1日目~
ジ「ぐーぐー……んぁ? 味噌汁の匂い……?」

~リビング~
ジ「うわっ! 何だ、この料理は!?」
薔「あ……おはよう……」
金「おはようかしら~。やーっと起きたかしら?」
ジ「お、おはよう」
金「もうすぐ完成だから、座って待ってるといいかしら~」
ジ「え、あ、うん」
薔「……お茶……」
ジ「あ、ありがとう……」

ジ「……意外だ」
ジ「あいつら料理できたんだな」
ジ「薔薇水晶は結構手際がいいな。金糸雀は……卵しか持ってないよな、あいつ?」
ジ「金糸雀と薔薇水晶のエプロン姿……萌える」
ジ「あ、お茶うまい」

41: 2008/10/21(火) 22:18:52.36 ID:IOAM6bhm0
薔「……できた」
金「完成かしら~!」
銀「ふわぁ。おはよぉ」
金「おはようかしら。水銀燈はお寝坊さんかしら~」
銀「うるさいわねぇ。あらぁ? これ、あなたたちが作ったのぉ?」
薔「……うん」
金「二人で作ったのよ!」
ジ「見た目は悪くないけど……問題は味だな」
金「失礼しちゃうかしら」
ジ「まあ、とにかく……」
全員『いただきまーす!』

――パクッ。

ジ「こ、これは……」
薔「……どう?」
銀「美味しいわぁ!」
ジ「深くそれでいてしつこくない味噌汁! ソーセージの絶妙な焼き加減! 
  さっぱりとしたオリジナルのドレッシング! 文句なく100点だ!!」
薔「……やった」
金「むぅ~。この目玉焼きはカナが焼いたのよ! 感想を言うかしら!」
ジ銀『普通』
金「かしら~」

47: 2008/10/21(火) 22:22:34.00 ID:IOAM6bhm0
ジ「いや、でも本当に驚いた。ちゃんと食べられるものができるなんて……!」
ジ「これで、カップ麺・ピザ・コンビニ弁当、の悪食三昧の毎日を過ごさなくてすむ!」
ジ「ありがとう! 薔薇水晶! 金糸雀!」
金「ふふーん。どういたしましてかしら~」
薔「……ちょっと……照れる」
ジ「美味い美味い」
銀「……ふんっ」
ジ「何で二人とも、料理なんかできるんだ?」
金「カナはみっちゃんのお手伝いをしてるかしら」
薔「……家事は……私の仕事……」
ジ「へえ~。家にいるぐうたら人形たちにも見習わせたいな、ホント」
銀「……なによぉ、家事くらい」
ジ「ごちそうさまっ。はあ、満足だ」
金「おそまつかしら。それじゃ、ちゃっちゃと片付けるかしら~」
薔「……うん」
ジ「う~ん。なんて働き者なんだ」

銀「……ふーんだっ」

51: 2008/10/21(火) 22:26:11.78 ID:IOAM6bhm0
ジ「そろそろ、くんくんの時間だな」
銀金『!!』
薔「?」
金「バラバラ! すぐにテレビをつけるかしら!」
薔「? ……はい」

――ピッ。

銀「くんくん!」
金「タイミングばっちしかしら!」
薔「……犬?」
ジ「まあ、お前も見てみろよ。意外と本格的なんだぞ」
薔「……分かった」

~十分後~
銀「あぁ! くんくん、後ろよぉ!」
金「危ないかしら~!」
薔「大丈夫……くんくんは、負けない……!」
ジ「……ドールがくんくんに熱中するのは万国共通なのか?」

52: 2008/10/21(火) 22:29:58.90 ID:IOAM6bhm0
TV『来週も……よろし、くんくん!』
銀「次回に続いたわぁ」
金「まだ興奮冷めやらないかしら~」
薔「……ドキドキ」
銀「見足りない感じもするわねぇ」
金「あ! 確か真紅がくんくんのDVDを持ってたはず! ちょっと借りるかしら~!」
銀薔『!!』
ジ「ば、馬鹿! 勝手に触ったら殺されるぞ!?」
銀「ばれなきゃいいのよぉ。さ、金糸雀。早く取ってきなさぁい」
薔「……わくわく」
金「ちょっと待ってるかしら~」

~同時刻。くんくんツアー~
真紅「……はっ!」
のり「どうしたの、真紅ちゃん?」
紅「私のくんくんが……! くんくんが私以外の女の手で……!」
紅「待ってて! 今行くわ、くんくん!」
の「し、真紅ちゃん!? このあとの『ハリウッド版・くんくんと蜘蛛男』の上映会はどうするの!?」
紅「うっ……! で、でも私のくんくんが……! ああ、けどくんくんのハリウッド……!」
紅「ああ、くんくん……! 私をこんなに悩ませるなんて! なんてあなたは罪深いの!」

53: 2008/10/21(火) 22:33:30.40 ID:IOAM6bhm0
~桜田家。数時間後のリビング~

――ガチャ。

ジ「ん? お前ら、まだ見てたのか?」
金「ちょっと黙ってるかしら!」
銀「今いいところなのよぉ」
薔「……ハラハラ」
ジ「まあいいけど……」
銀金薔『じーっ』
ジ「……昼はカップ麺だな」

~昼食後~
銀「さ。午後もくんくんを見るわよぉ。今日は一日中くんくん祭りよぉ」
金「お菓子とお茶の準備もバッチリかしら~」
ジ「よく飽きないもんだな。さて。僕は通販でも……」
薔「……あの」
ジ「何だ?」
薔「……ごめん、なさい……」

56: 2008/10/21(火) 22:37:24.17 ID:IOAM6bhm0
ジ「何が?」
薔「……お昼……作れなかった、から……」
薔「だから……ごめんなさい……」
ジ「別にいいよ。朝ご飯を作ってくれただけでも、こっちは大助かりだ。お前が謝る必要なんかないって」
薔「……でも……私、居候……」

――ポン。ナデナデ。

薔「あ……」
ジ「気にするなよ。その分、夕飯に力を入れてくれればいいから」
薔「……うん……頑張る」
金「バラバラ~! 始まるかしら~!」
ジ「ほら、呼んでるぞ」
薔「……うん。あの……」
ジ「?」

――ギュッ。

ジ「!? なななな……!?」
薔「……あなた、優しい……ありがとう、ジュン……」
――パッ。トタトタトタ……。
ジ「……案外、いい子なんだな。それに素直だし。どっかの性悪にも見せてやりたいくらいだ」

58: 2008/10/21(火) 22:41:00.63 ID:IOAM6bhm0
~同時刻。温泉旅館~
翠星石「……くちゅん!」
蒼星石「風邪かい?」
翠「ドールが風邪なんかひくわけねえです。きっと、ジュンが翠星石のことでも考えてたですよ」
蒼「ジュン君が?」
翠「一人きりで寂しくなって、つい翠星石の名前を呼んじまったに決まってるです!」
翠「きっと泣きながら翠星石の帰りを待ってるですよ! はあ。まったく、しかたねえ野郎ですね」
蒼「そんなこと言って。本当は翠星石の方が寂しいんじゃないの?」
翠「んなっ!? そそそそそんなことはまったくこれっぽっちも天地がひっくり返ってもありえねえです! 
  何馬鹿なこと言ってるですか!」
蒼「そう? なんだか顔が赤いよ?」
翠「ここここれは温泉でのぼせたんです! もしくは風邪をひいたせいです!」
蒼「あはは。さっきと言ってることが違うんじゃないかな?」
翠「むきーっ! 生意気言う妹はこうしてやるです!」
蒼「うわっ! す、翠星石! 浴衣の帯を引っ張らないでよ!」
翠「ほ~れほれ! よいではないか、よいではないか~、ですぅ!」
蒼「あぁ! 駄目、脱げちゃ……!」

61: 2008/10/21(火) 22:45:05.37 ID:IOAM6bhm0
~就寝前~
銀「はあ。今日は充実した一日だったわぁ。いい夢見れそうねぇ」
金「カナも楽しかったかしら~」
ジ「はいはい。そりゃよかったな」
銀「それじゃ、おやすみなさぁい」 
金「おやすみかしら~」
ジ「ん。おやすみ」

ジ「……で。今夜も一緒に寝るのか?」
薔「……嫌なら……」
ジ「嫌ってわけじゃ……そっちこそ、嫌じゃないのか?」
薔「……一人は……寂しい……」
ジ「……はあ。分かったよ。もう寝るか?」
薔「(こくり)」
ジ(こいつらが来てから、規則正しい生活リズムになってる気がする……)

63: 2008/10/21(火) 22:49:00.08 ID:IOAM6bhm0
ジ(やっぱり寝れない)
ジ(昨日はどうやったら寝れたんだろうなぁ……?)
ジ(あ。雨の音……雨、降ってるのか)

薔「……あの」
ジ「まだ起きてたのか?」
薔「……お願いが……あって」
ジ「お願い?」
薔「……明日……買い物に……」
ジ「別にいいけど……何買うんだ?」
薔「……料理の、材料。……もう、ほとんど……残ってない……」
ジ「なるほど。なら僕も手伝うか。薔薇水晶の料理は楽しみだしな」
薔「……楽しみ?」
ジ「ああ。姉ちゃんとはちょっと違った味だけど……その、結構美味いし」
薔「……そう。……なら、頑張る……」
ジ「ん。期待してる」

金(なんか……ちょっといい雰囲気かしら……)
銀(ふん、だっ。つまんなぁい)

87: 2008/10/22(水) 00:02:53.71 ID:FQLt80fi0

~2日目~
ジ「……というわけで、買い物に言ってくるから。おとなしくしてるんだぞ」
金「任せるかしら! 大船に乗った気でいるかしら!」
ジ「……泥舟じゃないことを心から祈ってる」
薔「……行ってきます」
金「行ってらっしゃ~い」
金「さてっと。昨日はほとんど遊んじゃったから、今日はカナもお手伝いするかしら」
金「まずは掃除から!」

銀「あぁん。くんくん~」

金「昨夜の雨が嘘のように、いいお天気かしら~」
金「エプロンおっけー! 三角巾もちゃんとつけたかしら!」
金「始めるわよ。ピチカート!」
金「まずは掃除機を使うかしら。ふふーん。カナはこれの使い方をちゃーんと知ってるのよ」

翠「……くちゅん!」
翠「まったく、まーたジュンのヤツですかねぇ」

89: 2008/10/22(水) 00:06:40.93 ID:FQLt80fi0
――ブオオオオオン。
金「ふんふふふ~ん♪」
金「……今更だけど、この家はみっちゃんのお部屋よりもとっても広いかしら」

~一時間後~
金「よ、ようやく一階が終わったかしら……」
金「次は二階だけど……カナの力じゃ掃除機を二階まで運べないかしら」
金「しょうがないから、雑巾がけに変更!」
金「………………。雑巾の場所が分からないかしら」

銀「くんくん! 見事な推理だわぁ!」

金「むぅ……お、お掃除はこれくらいにして、洗濯をするかしら!」
金「おっせんたく~、おっせんたく~♪」
金「洗剤を入れて……スイッチ、オン! かしら!」

――ガタガタガタ……洗濯終了。

92: 2008/10/22(水) 00:10:57.16 ID:FQLt80fi0
金「天気もいいしお庭に干すかしら~」
金「んしょ、んしょ」
金「まずは……きゃっ! ジ、ジュンのパンツかしら。男の人の下着は始めてみるかしら……」
金「あ、赤くなってる場合じゃないかしら! これを干さなきゃ……」
金「……届かないかしら」

――ピョンピョン。

金「あう~……ピチカート! 台になるものを探すのよ!」
金「………………。見つからなかったかしら」
金「仕方ないわね。あとでジュンにやってもらうかしら。洗濯ものを家の中に戻すかしら」
金「んしょ、んしょ……うきゃあ!」

――ズルッ。ベチャ。

金「うぅ~。泥で滑ったかしら~。……ああっ! 洗濯物が!」
金「ど、泥だらけ。折角洗ったのに……うぅ」
金「……っく、ひ、っく……う、うああぁぁぁぁああん!!」
ジ「ただいまー……って、なんだ!? 泣き声!?」
薔「……金糸雀?」

銀「すぅすぅ……もう、くんくんったらぁ……すやすや……」

94: 2008/10/22(水) 00:13:59.71 ID:FQLt80fi0
ジ「うわっ! お前何やってんだよ!」
金「あ……あの。ご、ごめんなさいかしら。ひっく……」
金「カ、カナ。ただ、お洗濯ものを干そうとしただけで……」
ジ「洗濯もの? あーこれか。う~ん、見事に泥だらけだな」
金「ご、ごめ……」
ジ「まあ、いいや。薔薇水晶! すぐに風呂を入れてくれ!」
薔「……分かった……」
金「ふぇ……?」
金「お、怒らないかしら……?」
ジ「はあ? 何で怒るんだよ。手伝ってくれようとしたんだろ?」
金「で、でも。結局失敗しちゃって……」
ジ「このくらいもう慣れっこだよ。性悪とか苺とか、もっとシャレにならない悪戯する連中が家には居座ってるんだから」
金「……」
ジ「取り敢えず、風呂に入ってこいよ。おでこまで泥だらけだぞ?」
金「あ……そ、そうするかしら」

96: 2008/10/22(水) 00:17:36.23 ID:FQLt80fi0
~シャワー中~
――シャアアアア。
金「……」
金「……意外かしら」
金「てっきり怒鳴られると思ってたのに……」
金「ジュンってば、結構いい奴かしら?」
金「…………」
金「……これもサービスシーンになるのかしら?」

ジ『おい』
金「!? な、何かしら!? 覗きは厳禁かしら!?」
ジ『……………………。……着替え、ここに置いておくぞ』
金「今の微妙な間は何かしら!? カナだって脱げばすごいのよ!」
ジ『はいはい。分かった分かった』
金「~~~~~~っ!」

~入浴後~
金「まったく! 失礼しちゃうかしら!」
金「カナはローゼンメイデンの第二ドール! お姉さんなんだから!」
金「あ。このシャツ、前に借りたことがあるかしら……」
金「……やっぱり、ちょっとぶかぶか」
金「……あ」
金「ど、どうしよう……ジュ、ジューーーーン!」

98: 2008/10/22(水) 00:21:24.83 ID:FQLt80fi0
――ゴォォォォォ。
ジ「やっぱりお前もお子様だったか」
金「し、失礼しちゃうかしら! カナはローゼンメイデンの――!」
ジ「一人で髪も乾かせない奴の、どこがお子様じゃないって?」
金「う……」
金「し、しょうがないかしら! いつもはみっちゃんがやってくれて……」
ジ「やっぱりガキじゃないか」
金「い、いいから黙ってカナの髪を乾かすかしら! カナの髪を触れることを光栄に思うかしら!」
ジ「翠星石の言い方にそっくりだぞ」
金「それはちょっと嫌かしら……」

ジ「ほら。できたぞ」
金「あ、ありがとうかしら」
ジ「へー。こうやって見ると……」
金「な、何かしら? はっ! ま、まさか……お風呂上りのカナに欲情して……!」
ジ「……」
金「け、ケダモノかしら~!」
ジ「タマゴ風呂に沈めるぞ?」

100: 2008/10/22(水) 00:25:24.04 ID:FQLt80fi0
ジ「そうじゃなくて。髪を下ろした姿は始めてみるけどさ。結構大人っぽくなるんだな」
金「そ、そう……?」
ジ「ま。ちょっとだけだけどな」
金「……」
薔「……ジュン。……お昼ごはん、できた……」
ジ「ん? 分かった。ほら、行くぞ、金糸雀」
金「あ、うん……」

~就寝前~
銀「おやすみなさぁい」
ジ「……あいつ、今日一日何してたんだ?」
薔「……さあ?」
ジ「まあいいや。僕たちもそろそろ……」
金「あ、あの……」
薔「……?」
金「きょ、今日は、カナも一緒に寝たいかしら」

103: 2008/10/22(水) 00:29:08.36 ID:FQLt80fi0
~同時刻。柏葉家別荘~
雛苺「――はっ!」
雪華綺晶「これは……!」
巴「どうしたの? 雛苺。雪華綺晶」
苺「ジュンに危険が迫ってるの!」
巴「危険? まさかアリスゲームが――」
雪「ジュン様の貞操の危機ですわ!」

巴「……………………え?」

苺「やっぱり、雪華綺晶も感じたのね?」
雪「ええ。たぶん、ヒナ姉さまと同じものを」
苺雪『うん!』
苺「待っててね、ジュン! ヒナがジュンを狙う泥棒猫を追っ払って引き裂いて地面に埋めてあげるの!」
雪「ミディアム・レアで美味しくいただいてあげますわ!」
巴「ちょ、ちょっと! 二人とも! 急に走り出してどこに行くの!? ここは北海道よ!?」
巴「雛苺! 雪華綺晶! カァァァムバァァァッック!」

104: 2008/10/22(水) 00:32:09.63 ID:FQLt80fi0
~桜田家~
ジ「はあ? お前には鞄があるだろ」
金「た、たまには気分を変えたい時もあるかしら! いいからカナも混ぜるかしら!」
ジ「いや、これ以上増えると狭い――」
薔「……じゃあ……金糸雀は……反対側……」
ジ「っておい!」
金「分かったかしら~」
ジ「あ、お前も勝手に……! ……はあ、もう好きにしてくれ。僕は疲れた」

――パチン。

ジ金薔『おやすみ/かしら~』

ジ(……)
ジ(って、寝れるか! ようやく薔薇水晶にも慣れてきたってのに!)
ジ(あぁ。今日もまた寝不足かぁ)

銀(ふんっ! なによぉ。私だけ仲間外れなんて……)
銀(別にいいもん。私にはくんくんがいるんだからぁ)
銀(……クスン)

106: 2008/10/22(水) 00:35:22.53 ID:FQLt80fi0
~なんやかんやで5日目~
ジ「ごちそうさまでした。今日も美味しかった」
薔「……お粗末様……片付け、するから……」
金「カナも手伝うかしら~」
銀「さてっと。午後もくんくんを……」
ジ「おいこら」
銀「むっ。なによぉ。私に何か用でもあるのぉ?」
ジ「あのなぁ……あの二人を見てなんとも思わないのか? お前もちょっとは働けよ」
銀「なぁに? お説教? あの二人に情でもわいたのかしらぁ?」
ジ「別にそんなんじゃ……」
銀「ふんっ。最近、いつも一緒に寝てるものねぇ。あの子たちが可愛くて可愛くて仕方ないんでしょう?」
ジ「おまっ……なんでそれを!?」
銀「気付かれないとでも思ってたのぉ? ほんっとにおばかさぁん」

ジ「……はあ。もういいよ」
銀「え……?」

110: 2008/10/22(水) 00:39:02.89 ID:FQLt80fi0
ジ「確かに、あいつらが勝手にやってることだからな。お前にまで強制はできないよな」
銀「そ、そうよぉ。どうして私が家事なんか……」
ジ「悪かったよ。忘れてくれ」
銀「え、ええ……」
ジ「……少し、昼寝してくる。最近寝不足なんだ。薔薇水晶にそう伝え……いや。
  自分で伝えておく。それじゃ」
銀「……」
銀「……なによぉ」
銀「家事なんてそんなの……」
銀「……手伝えば、私もみんなと一緒に寝させてもらえるかしら……」

銀「あ、あの……」
薔「……?」
銀「そ、その……」
薔「……何?」
銀「わ、わた、りょ、り……」
薔「輪綿旅梨?」
銀「私に料理を……教えてほしいんだけど……」
薔「…………いいよ……」
銀「い、いいの?」
薔「……うん……一緒に作ろう……」
銀「え、ええ!」

113: 2008/10/22(水) 00:42:20.78 ID:FQLt80fi0
~料理開始~
銀「これを割ればいいのねぇ? 簡単よぉ……きゃあっ! 潰れて中身が飛び出したわぁ!」
薔「……」
銀「なによぉ。何でこのお肉こんなに切れないのぉ……ジャンク(鳥もも肉)の分際でぇ!」
薔「……」
銀「ヤクルトを入れれば何でも美味しくなるのよぉ!」
薔「……」
銀「ひゃあ! お鍋から水が溢れてるわぁ! ……あつぅい!」
薔「……」
銀「うぅ~。黒焦げ……ひっく、ぐす……もうやだぁ」
薔「…………ドジっ子……ギャップ萌え……」

金「お日様今日もご機嫌、かしらっ♪ あら? 二人揃って何してるかしら?」
銀「(めそめそ)」
薔「……実は……かくかくしかじか」
金「なるほど。それならカナも手伝うかしら!」
薔「……助かる」
銀「うぅ……ありがとぉ……」
金(うっ! 上目遣いで涙目の水銀燈……! 我が姉ながら可愛いかしら!)
薔「……百合展開?」
銀金『違うわよぉ/かしら!』

117: 2008/10/22(水) 00:45:47.93 ID:FQLt80fi0
銀「これを……こうするのねぇ?」
金「そうそう。もっと優しく割るといいかしら」
銀「分かったわぁ」
薔「……玉ねぎは……涙に、注意……」
銀「平気よぉ、これくらい――(三十秒後)――ひっく、ぐすっ……」
金「言わんこっちゃないかしら」
薔「……焼く時は……弱火で……じっくり……」
銀「こ、こう?」
金「いい感じかしら。あとはケチャップで……」

銀金薔『……完成!』

金「ジュン! 起きるかしら! 夕ご飯の時間かしら!」
ジ「ぐーぐー……うん? もうそんな時間か?」
金「さっさと降りてくるかしら!」
ジ「はいはい。ふわぁ」

120: 2008/10/22(水) 00:49:01.40 ID:FQLt80fi0
ジ「今日はオムライスか。ケチャップで……オーストラリア大陸でも書いたのか?」
金「ハートに決まってるかしら!」
ジ「これハートなのか……ん? なんかちょっと焦げてないか?」
薔「……気のせい……たぶん……」
銀「(ソワソワ)」
ジ「まあ、いっか。それじゃあ……」

全員『いただきまーす!』

ジ「(パクッ。もぐもぐ……)」
銀「(じー)」
金「ど、どうかしら……?」
薔「……ドキドキ……」
ジ「うーん……」

ジ「美味いよ」
銀「!!」
ジ「ちょっといつもと味が違うけど……うん、これはこれで独特のアジがあるっていうか」
金「やったかしら!」
薔「……大成功……」
銀「……う……うわぁぁぁぁん!!」
ジ「な、なんだ!?」

~説明中~

121: 2008/10/22(水) 00:52:20.22 ID:FQLt80fi0
金「……と、いうことかしら」
ジ「へえ。じゃあ、これは水銀燈が作ったのか」
銀「別に……一人で作ったわけじゃないわぁ。二人にも手伝ってもらって……」
薔「……みんなで、作った……」
ジ「ふぅん」
銀「な、なによぉ?」
ジ「いや……」

――ポンポン。

銀「あ……」
ジ「昼間は悪かったよ。ありがとな」
銀「ふ、ふんっ! ただの気まぐれよぉ。べ、別にジュンのために作ったわけじゃないわぁ!」
金「リアルツンデレかしら……」
薔「……王道萌え……」

125: 2008/10/22(水) 00:55:35.51 ID:FQLt80fi0
~就寝前~
ジ「……で?」
銀「ふんっ! た、たまには一緒に寝てあげてもいいわよぉ?」
ジ「いや、頼んでないし」
金「う~ん。両側はカナたちで埋まってるから……」
薔「……ジュンの、上……空いてる……」
銀「し、仕方ないわねぇ。ほら、早く横になりなさぁい。あ、変なことしたら羽で刻むわよぉ!」
ジ「………………はあ」

――パチッ。

銀「きゃ! い、いきなり電気消さないでよぉ! びっくりするじゃない!」
金「意外かしら? 水銀燈は怖がりさんかしら?」
薔「……新しい、ギャップ……属性付与……新規のお客を、ゲット……」
ジ「いいからもう寝ろよ……」
銀「それじゃあ、失礼してぇ……」
銀「……はふぅ」
ジ(うっ! 人形とはいえ、結構重い。けど……)
ジ(やっぱり柔らけえぇぇ!)
銀「?」
ジ「お、おやすみ!」
銀金薔『おやすみー』

ジ(………………寝れるかぁぁあああああああ!!!!)

128: 2008/10/22(水) 00:59:08.71 ID:FQLt80fi0
~ようやく7日目。夕食後~
ジ「今日でお前らが来て一週間か」
薔「……月日は、早い……」
ジ「最初はどうなるかと思ったけど……結構何とかなるもんだなー」
金「みんなで暮らすのも案外楽しいかしら」
ジ「3人とも働き者だし」
銀「私は好きでやってるわけじゃないわぁ」

ジ「と、ここで大きな問題が発生しました」
銀金薔『?』
ジ「そろそろ、うちの連中が帰ってきます」
銀金薔『!』
金「そ、そうだったかしら……!」
銀「ついつい忘れてたわねぇ。一応、私たち敵同士なんだったわぁ」
薔「……戦い?」
ジ「うーん……話さえできれば、みんな分かってくれるとは思うんだ。
  問題は僕の話をちゃんと聞くかってところで……」
銀「自己中ばっかりだものねぇ」
ジ金薔『お前が言うな』
銀「……」

132: 2008/10/22(水) 01:02:15.39 ID:FQLt80fi0
薔「……ジュン。これ」
ジ「何だこれ?」
薔「……暗い話は、あとで……今は、これ……」
金「そ、そうかしら! ジュンにプレゼントかしら!」
ジ「何で?」
銀「一応、この家に置いてくれたことに感謝してるのよぉ? そのお礼よ」
ジ「これは……ペンダント? 真ん中に宝石みたいなのがついてるけど」
金「バラバラの水晶を削って、みんなで作ったかしら!」
銀「大変だったわぁ」
薔「……みんなで、頑張った……」

ジ「……そっか」

ジ「なら、僕も頑張らないとな」
薔「……何を?」
ジ「どうにか真紅たちを説得するよ。お前たちには家事でも助けてもらったし」
銀「ジュン……」
金「カ、カナたちもお手伝いするかしら!」
薔「……うん」
ジ「よしっ。ならみんなで考えよう。確か、明後日に雛苺たちが帰ってくるはず――」

翠「ジューーーーン! 翠星石が様子を見に来てやったですよ!」
ジ銀金薔『!?』

134: 2008/10/22(水) 01:06:11.07 ID:FQLt80fi0
薔「……あれって……」
ジ「す、翠星石の声だ。物置から……?」

蒼「翠星石っ。静かにしようよ。もう夜遅いんだから」
翠「むぅ。しゃーねーですね」
苺「久しぶりの我が家なの~」
雪「最初からnのフィールドを使えばよかったですわ」

ジ「あいつら、nのフィールド経由で帰ってきたのか!」
金「ど、どうするかしら!?」
ジ「どうするって……」

――バンッ!

翠「ジュン! いるならさっさと出迎えにきやが、れ、……」
翠「……」
翠「……」
翠「……なんじゃこりゃぁぁああああ! ですぅ!」

135: 2008/10/22(水) 01:09:11.91 ID:FQLt80fi0
蒼「どうしたの、翠星石? なっ!? 水銀燈!?」
苺「薔薇水晶もいるの!」
雪「あら? あの方、私とそっくりですわ」
銀「見つかっちゃったわねぇ」
薔「……困った」
金「誰もカナにつっこまないかしら……」

ジ「お、お前ら何で……」
翠「………………」
ジ「す、翠星石……?」
翠「………………ふ、ふふふふふふふふ」
銀「な、なぁに? このプレッシャー……!」
翠「ふふふふふふふふ――スィドリーム!」
ジ「うわっ! つ、蔦で身動きが……!」
銀「ジュン!」
翠「翠星石のいない間に浮気するなんざ、とんだヤリチン野郎ですぅ! 
  蒼星石! 庭師の鋏を貸すですぅ!」
蒼「え? あ、うん……って、何する気!?」
翠「決まってるです! 他の女で汚れたジュンの(ピー)をちょん斬るdeathぅ!」
蒼「嫌だよ! 僕の鋏が汚れちゃうじゃないか!」
金「断る理由がそれなのかしら……」

137: 2008/10/22(水) 01:12:09.05 ID:FQLt80fi0
~一方~
雪「あなたはだぁれ?」
薔「……あなたは……だれ?」
雪「私はだぁれ?」
薔「……私は……だれ?」
雪「あなたはだぁれ?」
薔「……あなたは……だれ?」
雪「私は……」

苺「エンドレスなの~」

139: 2008/10/22(水) 01:15:45.10 ID:FQLt80fi0
ジ「お、落ち着けよ! これには事情が!」
翠「黙りやがれですぅ! 節操なしに人権はないですぅ! 誠市ねですぅ!」
ジ「だから誤解――!」
翠「ジュンを頃して翠星石も氏ぬですぅ! 覚悟ぉ!」
苺「ヤンデレなの~」
――ジャキン!
ジ「ちょ、待……!」

――ギィィィン!

薔「……ダメ」
ジ「ば、薔薇水晶……? う、うわ! 痛たた。腰打った」
銀「助けてあげたんだから感謝しなさぁい」
ジ「す、水銀燈。お前が蔦を……?」
銀「気が向いただけよぉ。べ、別にあなたを助けたいと思ったわけじゃないんだからねぇ!」
苺「ツンデレなの~」
翠「きぃぃぃぃ! ジュンを寝取るだけに飽き足らず、翠星石のキャラにかぶせるなんて! 
  もう許さんですぅ!」
苺「成敗なの~。四肢を引き裂いて野良犬に食わせてやるのよ~」
雪「お手伝いしますわ、お姉さま方!」
銀「困ったわねぇ……」
薔「…………不利」
金「み、みんな落ち着くかしら!」
翠苺雪『あ、いたの?』
金「かしらぁぁ……」

142: 2008/10/22(水) 01:20:12.98 ID:FQLt80fi0
――ガシャン! ――バリンッ! ――ズガァァァァン!
ジ「お、お前らやめろって!」
蒼「誰も聞いてないね」
ジ「ああ、そうだな。って、蒼星石!? お前は参加してないのか?」
蒼「うん。今回は『ジュン君』関連の問題みたいだからね。僕は傍観しようかと思って。
  鋏も取り返したからね」
ジ「そ、そっか」
蒼「うん。僕はジュン君に一切興味がないからね(にっこり)」
ジ「…………」
蒼「それで? どうして水銀燈たちがいるの? アリスゲームをしてたようには見えないけど」
ジ「あ、ああ。実は……かくかくしかじか」
蒼「なるほど。俗に言う痴情のもつれってやつか」
ジ「全然違う……」
蒼「うーん……なら、アレも関係してるのかな?」
ジ「アレ?」
蒼「うん。見て。さっきから水銀燈たちは攻撃していないんだ。翠星石たちが一方的に攻撃するのを防いでいるだけ」
ジ「え? ……あっ!」

翠「すこやかにー! 伸びやかにー!」
苺「苺わだちなのー!」
雪「楽しく遊びましょう?」
翠「ほらほらほらほら! どんどんいくですよぉ!」
苺「覚悟するの!」
雪「ミディアム・レアが好みですわ!」
銀金薔『きゃあああぁっ!』

144: 2008/10/22(水) 01:23:31.85 ID:FQLt80fi0
蒼「ピンチだね」
ジ「何であいつら……って、熱ぅぅぅうううう!」

銀「ああ、もう! ムカつくわねぇ!」
金「! ダメかしら、水銀燈!」
薔「約束……!」
銀「分かってるわよぉ!」

ジ「あつっ、あつ! や、約束? ……あ!」

ジ(家で暮らしている間は戦闘はしない。家の中のものを壊さない。この二つだけは守ってもらうぞ!)

ジ「まさか、あれを守って……?」
ジ「あの馬鹿人形たち……!」

146: 2008/10/22(水) 01:27:04.43 ID:FQLt80fi0
蒼「時にジュン君」
ジ「え、な、何だ!?」
蒼「そのペンダントはどうしたんだい?」
ジ「え? これは……」

銀(一応、この家に置いてくれたことに感謝してるのよぉ? そのお礼よ)
金(バラバラの水晶を削って、みんなで作ったかしら!)
薔(……みんなで、頑張った……)
ジ(なら、僕も頑張らないとな)

ジ「……」
蒼「ジュン君?」
ジ「……そうだな。僕も、頑張らないといけないよな」
蒼「?」
ジ「よしっ!」
蒼「じゅ、ジュン君!? どこに逝くの!? そっちは危ないよ!
  今まさに翠星石たちがとどめを刺そうとしてるんだよ!?」
ジ「だから行くんだ!」

翠「観念するです!」
苺「氏刑執行なの~!」
雪「いただきます」
金「もうダメかしら~」
銀「ジャンクになるのは嫌ねぇ……」
薔「…………ぴーんち」

149: 2008/10/22(水) 01:31:42.55 ID:FQLt80fi0
翠「ツンデレクイーンは翠星石ですぅ! スィドリーム!」
銀金薔『っ!!』

ジ「ちょっと待ったぁぁあああああああああ!!!!」

翠「!? す、スィドリーム!」

――ガシャズガドゴォォン!

ジ「うわあっ!」
薔「ジュン……!」
銀「メイメイ!」 
金「ピチカート!」
ジ「し、氏ぬかと思った……」
翠「何してやがるです! 攻撃を逸らすのがあと一秒遅かったらホントに氏んでたところですぅ!」
苺「ついでに言うと、メイメイたちが助けなきゃ瓦礫でヒキガエルになるところだったの~」
雪「もう少しでジュン様ハンバーグが出来上がってましたわ」
ジ「翠星石! 雛苺! 雪華綺晶!」
翠「な、何です?」

ジ「僕を殴れ!」

151: 2008/10/22(水) 01:35:02.69 ID:FQLt80fi0
翠苺雪『――――――は?』

蒼「極限状態でドMに目覚めたんだね」
ジ「違う! っていうか外野は黙ってなさい!」
翠「突然どういうつもりです?」
ジ「お前たちに内緒でこいつらと暮らしてたのは悪かったと思う! けど、それは僕の責任だ! 
  こいつらが悪いわけじゃない!」
金「ジュン……」
ジ「だから! お前たちの気がすむまで僕を殴れ!」
苺「じゃあ遠慮なく」
ジ「ぐぼおぉっ!」
その他『!?』

153: 2008/10/22(水) 01:38:44.37 ID:FQLt80fi0
苺「まったく! ヒナたちというものがありながら! これ以上ドールを増やしてどうするの! 
  ジュンはヒナたちだけじゃ満足できないの!?」
ジ「ごふっ! がはっ! うげっ! あひぃん!」
銀「ひ、雛苺ぉ……?」
金「だ、ダメかしら! 今のヒナに話しかけたらいけないかしら!」
蒼「それで君たちは?」
雪「……では、お言葉に甘えまして」
翠「たーっぷり痛めつけてやるですぅ。くっくっく」

翠「衝撃のファーストブリット!」
苺「ヒナのこの手が光って唸る! ジュンを倒せと輝き叫ぶ! 」
雪「オラオラオラオラオラオラオラオラァ!」

ジ「うぎょぱらぶぇぇぇ!!!!!!」

~リンチ中。しばらくお待ちください~

157: 2008/10/22(水) 01:42:46.53 ID:FQLt80fi0
~二十分後~
翠「あーっ! スッキリしたですぅ」
苺「お肌ツルツルなのよ~」
雪「かいっかん、ですわ」
銀金薔『(ガタガタブルブル)!』
蒼「普段と立場が逆転してるね」
ジ「ぐ、ぉ……これで、満足したか?」
金「ジュ、ジュン!?」
薔「……だ、大丈夫……?」
銀「アンパンマンみたいな顔ねぇ……」
ジ「お、お前な……」
銀「はいはい。怪我人は黙ってなさぁい」
金「バラバラ、救急箱を取ってくるかしら!」
薔「分かった……」
翠苺雪『…………』

蒼「…………(ボソッ)第二ラウンド――レディ、ゴー」

翠「抹殺のラストブリットォ!」
苺「ヒナのこの手が真っ赤に燃える!  勝利を掴めと轟き叫ぶ! 」
雪「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

ジ「くぇrちゅいおぱsdfだsふぇjklzxcvbんm!!!!!!!」

~私刑中。『薔薇獄乙女』でも聞いてお待ちください~

161: 2008/10/22(水) 01:46:20.32 ID:FQLt80fi0
~三十分後~
ジ「………………」
金「し、氏んでる……かしら!」
蒼「まだかろうじて生きてるよ」
翠「ふんっ! ほっとけばいいんです、チビ人間なんか!」
苺「どうせ主人公だから氏なないのよ~」
翠「で? いったいどういうことです? 何で水銀燈たちがここにいるですか?」
苺「やっと話が進むの~」
金「じ、実は……かくかくしかじか」

金「……というわけかしら」
蒼「なるほどね」
翠「まったく。ジュンは何考えてるんですかねぇ」
薔「……それで」
翠「ん?」
銀「私たちはここにいてもいいのかしらぁ?」
翠「んなっ!? まーだ居座るつもりですか! ダメに決まってるです! さっさと出て行くですよ!」
雪「あら? 私は構いませんわ」
苺「スッキリしたし、ヒナも許すの~」
翠「なっ!?」

164: 2008/10/22(水) 01:50:19.94 ID:FQLt80fi0
雪「ばらしーちゃんが来てくれれば、私にも妹ができますわ。末っ子脱出ですわ~」
薔「…………お姉ちゃん……」
雪「!! あああぁ! もう可愛すぎて食べてしまいたいですわ!」
苺「カナとおままごとするのよ~。ヒナが奥さんで、カナが会社の後輩と浮気してる旦那さん役なのよ~」
金「な、なんか昼ドラみたいな展開になりそうかしら……」
翠「ぐぬぬぬぬぬぬ……!」
蒼「翠星石の負けだね。いいじゃないか。あれだけジュン君のこと殴っただろう?」
翠「それとこれとは別問題です!」
銀「翠星石……あなたにこれをあげるわぁ」
翠「何です? もので釣ろうったってそうは……っ!!」
銀「ふふふ。どぉ?」
翠「こここここれは! ジュンの寝顔写真!」
銀「こんなのもあるわよぉ」
翠「ぶふっ! きき、着替え中じゃねえですか! こっちはシャワー!?!?!???!!」
銀「もっといろいろあるんだけどぉ……どうしようかしらぁ」
翠「どどどど、どうやってこんな盗撮写真を……!?」
銀「ふふ。金塊って……結構お金になるのよねぇ。さぁ、どうするぅ?」
翠「お姉ちゃん!!」

――ガバッ!

銀「ふふふ。いい子ねぇ。物分かりのいい妹は大好きよぉ」
翠「是非、翠星石も同士に!」
銀「いいわぁ。一緒に楽しみましょう?」

蒼「一番不純だね」

167: 2008/10/22(水) 01:54:17.61 ID:FQLt80fi0
~数時間後。就寝前~
ジ「……で?」
翠「………………何です?」
ジ「どうしてお前たちがまだいるんだ?」
翠「今日はこっちに泊まるです! 今日だけじゃないです! 旅行はもう終わりです! 
  蒼星石に伝言を頼んだから無問題です!」
苺「ヒナたちも帰ってきたの~」
雪「巴様にも連絡しましたわ」
ジ「……はあ。もういいよ。おやすみ」
翠苺雪『おやすみです/なの~/ですわ』
銀「それじゃあ、私たちもぉ……」
金「寝るかしら」
薔「…………うとうと」

翠苺雪『ちょっと待て』

翠「どぉぉぉして、ジュンのベッドに水銀燈たちが入り込んでるです?」
ジ(しまった! つい最近の習慣で!)
苺「ジューン? ちょっとお話があるのよ?」
雪「お時間は取らせませんわ」
ジ「ま、待て! これは誤解――」

翠苺雪『問答無用!!』

第三ラウンド――レディ、ゴー!

171: 2008/10/22(水) 01:57:44.33 ID:FQLt80fi0
~数日後~
の「ただいまー」
紅「今帰ったわ」

――……………………

の「あらぁ? 返事がないわねー? みんなもう帰って来てるはずだけど……」
紅「のり。リビングから騒がしい声がするわ。いってみましょう」

――ガチャ。

紅「ジュン。いるの? いたら返事を……」
銀「あぁん! くんくんはやっぱり最高よぉ!」
雪「ジュン様登りですわ~」
翠「水銀燈! 雪華綺晶! 薔薇水晶! そんなにジュンにくっつくなです! もっと離れるです!」
薔「…………ぎゅ」
翠「きぃぃぃぃ!」
金「『ただいまー、かしら』」
苺「『おかえりなさいなの、あなた。ご飯にする? お風呂にする? それとも、離婚調停?』」
金「『お、お前、何を……』」
苺「『この写真を見るのよ! ホテルに入って行くあなたがしっかりと……!』」

175: 2008/10/22(水) 02:01:50.18 ID:FQLt80fi0
紅「こ、これは……」
ジ「ん? あー、おかえり。遅かったな。……お、おい! くっつくなよ! 暑いって!」
紅「…………。……ジュン? ちょっとお話があるのだわ」
ジ「え? 何、真紅? ……お前ら少し静かにしろよな!」
紅「……」
ジ「分かった! 分かったから! こうすればいいだろ!」
紅「……プチッ」

紅「このっ……!」
銀金翠苺雪薔『!!』

紅「――って、どうして私が縛られてるのだわ!」
金「暴れる真紅が悪いかしら?」
苺「6対1なら楽勝なの~」
銀「あらぁ? これお土産じゃなぁい。どれどれ……これは、くんくん人形!」
薔「……じゃあ、私は……こっちのドラマCDを……」
紅「水銀燈! 薔薇水晶! それは私のものよ! あなたたちが触っていいものじゃないのだわ!」
の「みんなー。おやつの準備ができたわよー」
雪「おやつ!」
翠「ふふーん! 翠星石特製のスコーンです。感謝しながら味わいやがれですぅ」
苺「惨めな真紅を肴に楽しむの~」
紅「覚えてなさい、雛苺!」
ジ「えっと。まあ、悪いけどそのまま聞いてくれ。ちゃんと事情を説明するから」
紅「……話してみなさい」

180: 2008/10/22(水) 02:06:11.68 ID:FQLt80fi0
~数時間後。就寝前~
紅「……まあ、私も事情は理解したつもりだわ。水銀燈たちがいることも渋々認めてあげる」
金「ありがとうかしら」
紅「けど――」
薔「……?」
紅「この状況はいったい、どういうこと?」
銀「どの状況のことぉ?」
紅「ジュンのベッドにあなたたちが入り込んでいる状況よ!」

ジ「い、いやー……何でだろ?」

金「今日は誰がどこだったかしら?」
苺「ヒナはジュンの上ー!」
翠「あーっ! どけです、チビ苺! ジュンの上は翠星石が――!」
雪「翠姉さまは昨日ジュン様の上に乗ってましたわ」
薔「……私は、腕枕がいい……」
銀「うるさいわねぇ。いいから早く寝なさぁい」

184: 2008/10/22(水) 02:11:05.01 ID:FQLt80fi0
>>181
イメージ的には上と左右に2人ずつみたいな感じでw


紅「いつの間にそんな嬉し楽しハーレムを築き上げていたのかしら? ねえ、ジュン?」
ジ「し、真紅! 落ち着けって! これはこれで寝苦し――!」
紅「今度こそ……!」
銀金翠苺雪薔『!!』

紅「だから! どうして私が縛られるのだわ! 納得がいかないのだわ!」
銀「仕方ないじゃなぁい。これ以上はジュンのベッドに入らないのよぉ」
薔「……定員オーバー……残念……敗者は去れ……」
金「真紅は鞄で寝るかしら」
紅「いい加減にしなさい! ジュンは私の下僕よ! それを――!」
銀「あらぁ? 今はみんなの下僕よぉ? ねぇ、ジュン?」
ジ「だから僕は下僕じゃない!」
紅「こんな縄くらい……!」
翠「チビ苺!」
苺「了解なの~。てれれれっててーん。はい、苺わだち~」
薔「……青い、ネコ型ロボット……」
紅「雛苺! あなたは真紅の下僕――!」
雪「おやすみなさい、真紅姉さま♪」

――ゴロンッ。バタンッ。ガチャ。

188: 2008/10/22(水) 02:15:32.90 ID:FQLt80fi0
紅「こら! 出しなさい! 鞄を開けなさい!」
金「力づくで開けられそうかしら~」
翠「ならこうするです。ていっ」

――ドスン。

銀「なるほどねぇ。なら、私もぉ」
雪「では、私も」
――ドスン。ドスン。ドスン。ドスン。
金「重し代わりに五人分の鞄を積み重ねれば、さすがに真紅も出られないかしら」
ジ「奇妙なオブジェみたいだな……」
薔「……オブジェ…………あ。えい」

――ガキンッ。

苺「綺麗なの~!」
雪「鞄タワーが水晶で包まれましたわ~!」
薔「ジュン……どう?」
ジ「凄っ……器用なもんだな」
銀「あら? 真紅の鳴き声も聞こえなくなったわね」
翠「さて。静かになったところで、さっさと寝るですよ!」
ジ「はいはい。それじゃ……」

全員(真紅除く)『おやすみなさーい!』

紅「納得いかないのだわぁぁぁあああああ!!!!」

190: 2008/10/22(水) 02:19:51.32 ID:FQLt80fi0
~その後~
紅「ジュン。紅茶を淹れてきて頂戴」
銀「ジューン。ヤクルトを持ってきてちょうだぁい」
銀紅『……』
紅「……水銀燈。私が先に頼んだのよ。あなたは遠慮すべきではなくて?」
銀「あらぁ? 私の方が年上なのよぉ? 年下のペチャパイは引っ込んでなさぁい」
紅「なっ!? お、大きければいいというものでもないのだわ。形も重要なのだわ。
  そうでしょう、お・ば・さ・ん?」
銀「っ! そ、そうねぇ。でも、『まな板』に形云々は関係ないでしょうけどねぇ」
銀紅『……(バチッ)』

翠「ジューン! 翠星石が特製クッキーを作ってやったです! ありがたく食えです!」
薔「……ジュン。ケーキ焼いてみた……食べて?」
翠薔『……』
翠「……どっちが美味しいか」
薔「…………いざ尋常に」
翠薔『勝負!』

苺「ジュン登りー!」
雪「ジュン様登りー!」
金「ジュン登――きゃああ! 落っこったかしら~!」

ジ「だああああ! うるさいぞお前ら!」

――七体のドールは、ジュンの家で暮らしている。

196: 2008/10/22(水) 02:23:31.78 ID:FQLt80fi0
ジ「まったく……あ、金糸雀。これ、お前宛の手紙。みっちゃんさんからみたいだぞ」
金「え!? みっちゃんから!?」
苺「うゆ? カナのマスター?」
金「そ、そうかしら!」
翠「さっさと読むです!」

ジ「それで、水銀燈。こっちはお前宛」
銀「私ぃ? 誰からよぉ?」
紅「あら? あなたに手紙を送る奇特な人間もいるのね」
銀「ふんっ。そうねぇ。友達のいないあなたとは違うからじゃなぁい?」
紅「くっ……!」
銀「これって……めぐ?」

ジ「最後に薔薇水晶。お前にも来てたぞ」
薔「……あ! お父様から……!」
雪「まあ。ばらしーちゃんのお父様からですか?」
薔「お父様……」
雪「よかったですわね、ばらしーちゃん」

――届いた手紙を嬉々として開くドールたち。

198: 2008/10/22(水) 02:27:22.55 ID:FQLt80fi0
金「み、みっちゃん! やっぱりマグロ漁船に乗ってるのかしら~!」
銀「手術、成功したのねぇ……でも、しばらくリハビリが必要、かぁ」
薔「お父様……サントメ・プリンシペって……どこ……?」

ジ「……ふう。やれやれ」
ジ「あいつらにこっちの手紙は見せられないよなぁ」
ジ「まさか、三人とも僕にまで手紙を出してくるなんて」
ジ「しかも、内容もほぼ一緒。愚痴やら恨み言やらが延々と続いて……」

――こっそりと開いた手紙。三通の手紙の最後の行には、まったく同じ言葉。
――【あの子を、よろしくお願いします。幸せにしてあげてください】

202: 2008/10/22(水) 02:31:07.06 ID:FQLt80fi0
ジ「…………はあ」
ジ「責任重大だよなぁ」
ジ「でも、まあ……」
ジ「頑張るしか、ないよな」

――密かに決心したジュンの……左手には指輪、首にはペンダント。

204: 2008/10/22(水) 02:35:13.81 ID:FQLt80fi0
苺「そういえば、アリスゲームはどうなったの~?」
翠「ああ! そんなもんもあったですねぇ。すっかり忘れてたです」
雪「困りましたわ。私たち、もう戦う必要なんてないですのに」
薔「…………ジャンケン?」
金「それは短慮すぎるかしら」
銀「あらぁ、簡単なことじゃなぁい」
紅「どうするのだわ?」

銀「ジュンに決めてもらえばいいのよぉ」
ドールズ『!!』
ジ「はあっ!?」

銀「ジュンに選んでもらった子が『アリス』。手っ取り早くていいでしょぉ?」
ジ「ちょ、ちょっと待て! お前ら、そんな大事なこと軽々しく――!」
薔「……うん……分かりやすくて、いい……」
ジ「ちょっ!?」
苺「つまり……これからは、アリスがジュンを独占するってことなのね?」
ジ「違うだろ!」
紅「それじゃ、今すぐに選んでもらいましょうか」
ジ「人の話を聞け!」

――そして、少年と七体のドールたちは……

207: 2008/10/22(水) 02:39:51.33 ID:FQLt80fi0
紅「ジュン! あなたと一番最初に契約したのはこの真紅よ! それを忘れていはいないでしょうね?」
銀「ジューン。ペチャパイの言うことなんかほぉっておいてぇ、水銀燈と遊ばなぁい?」
翠「べ、別に翠星石はアリスになんか興味ねえですけど……ど、どうしてもいうなら選ばれてやってもいいですよ!?」
雪「ジュン様を美味しくいただくのは、この雪華綺晶ですわ!」
金「カ、カナだって脱いだら凄いんだから! 嘘じゃないかしら!」
苺「ヒナはねぇ、ジュンのことが大好きなの! ジュンが望むなら『おにいたま』って呼んであげるのよ?」
薔「……ジュン……これからは……毎朝、お味噌汁を作ってあげる……」

ジ「ま、待てよ、お前ら。こ、こういうのは慎重に……」
ドールズ『さあ、選んで!!』
ジ「だ、だから……」
ドールズ『……』
ジ「その……」
翠「……やっぱり」
紅「ヘタレのジュンにすぐに選ばせるのは難しいみたいね」
銀「それならぁ……」
薔「……ライバルを……減らすまで……」

ドールズ『勝負!!』
ジ「待て――!!」

――ズガァァァァン!!


――末永く平和に(?)、幸せに暮らしました。

208: 2008/10/22(水) 02:40:14.29 ID:FQLt80fi0
蒼「……………………」
蒼「……………………」
蒼「……………………あれ? 僕は!?」

完!!

209: 2008/10/22(水) 02:40:48.61 ID:vHd48gmLO
とてもおもしろいぜ

210: 2008/10/22(水) 02:41:01.20 ID:2kV3520q0
乙!
おもしろかった!

219: 2008/10/22(水) 02:49:50.44 ID:FQLt80fi0
どうも、>>1です。
自分の2作目のSS、いかがだったでしょうか? 楽しんでもらえたなら嬉しい限りです。
支援してくれた方々。最後まで付き合ってくださった方々。
本当にありがとうございます。

今回は、前回出せなかった3体をメインに置いてみました。
実は、ギリギリまで続編にするかどうか悩んでたんですが……
自分で言うのもなんですが、前回の雪華綺晶がかなり気に入っていたので、こういう形になりました。

それではでは。
こんな時間にまで付き合ってもらい、本当に感謝です。
手持ちのSSはこれが最後なんですが、もし、次回作を書いたら、またお会いしましょう。
それでは、この辺で。
みんなによい夢を。

引用: 金糸雀「みっちゃん、ただいま……あら? お部屋が真っ暗かしら?」