1: 2024/05/26(日) 19:18:40.44 ID:D0jrfoXp.net
ありあ「いただきまーす!」

かのん「ありあももう高校生かぁ、早いなぁ」

かのん母「ホント、かのんがやさぐれてたのももう二年前よ?」

かのん「い、いいでしょその話は!」

ありあ「ちょっとー、今日は私の入学式なんだからね?」

かのん母「ふふっ、ごめんごめん」

かのん「私は初日からいろいろあったけど、ありあはどうなるかな?」

ありあ「大丈夫、お姉ちゃんと違っていろいろ首突っ込まないもん。っと、そろそろ時間だ」

かのん母「気をつけてね、道わかる?」

ありあ「へーきへーき! じゃ行ってくるから!」

2: 2024/05/26(日) 19:24:51.88 ID:D0jrfoXp.net
 ガチャッ

かのん「ありあ!」

ありあ「えっ?」

かのん「制服、似合ってるよ!」

ありあ「──ありがとっ!」

3: 2024/05/26(日) 19:29:41.82 ID:D0jrfoXp.net
ありあ(学校説明会や文化祭で何度か通ったけど…お姉ちゃんはいつもこの道を通ってるんだよね…)

???「あなたは…」

ありあ「えっ、あ! マルガレーテさん!」

マルガレーテ「あなたも結ヶ丘に入ったのね」

ありあ「はい! マルガレーテさんも留学決めてくれたんですね!」

マルガレーテ「ええ、まあね。じゃ」スタスタスタ

ありあ「へ? あ、はい…」

ありあ(じゃ、って…同じ学校行くんだよね…?)

4: 2024/05/26(日) 19:35:32.56 ID:D0jrfoXp.net
~結ヶ丘女子高等学校前~

ありあ「わぁ…きれいな桜…!」

ありあ(確かこの学校は神宮音楽学校があった場所に建ってるんだよね。この桜も、長い間ずっと見守ってくれてたのかな…)

???「あの…」

ありあ「わっ! な、なんでしょう?」

???「往来の中で立ち止まるのは合理的ではありません、流れを阻害することになりますから。それにアクシデントの原因にもなります」

ありあ「う…ごめんなさい…」

ありあ(怒られちゃった、しっかりしてるなぁ…でも今日来てるってことは、あの子も新入生かな?)

5: 2024/05/26(日) 19:38:06.64 ID:D0jrfoXp.net
~入学式も終わり…~

ありあ(さっきも思ったけど、やっぱり新入生多いなぁ。お姉ちゃんの代は普通科が2クラスだったって聞いたっけ…そう考えるとスクールアイドルの力もバカにできないね)

先生「入学して早々だけど、軽く自己紹介しちゃいましょうか! じゃあ出席番号1番の人から!」

 ~~~

マルガレーテ「…ウィーン・マルガレーテ、よろしく」

「あの子…」「だよね、去年のラブライブの…」

ありあ(同じクラス…仲良くなれるかなぁ…)

 ~~~

冬毬「鬼塚冬毬です、よろしくお願いします」

「鬼塚…?」「あとで聞いてみる?」

ありあ(あの子、今朝会った…な、仲良くなれるかな…)

 ~~~

ありあ「し、澁谷ありあです…趣味は読書──」

「澁谷!?」「もしかしてあのかのん先輩の…!」

ありあ(うぅ…やっぱこうなるよなぁ~…)

6: 2024/05/26(日) 19:42:50.63 ID:D0jrfoXp.net
「澁谷さん、やっぱりあのLiella!のかのんさんの妹なの!?」「かのん先輩って家だとどんな感じ!?」「ありあちゃんもスクールアイドルやるの?」

ありあ「いやぁ~…私そういうのはあんまり…」

ありあ(覚悟はしてたけど、やっぱりめちゃくちゃ聞かれる…)

マルガレーテ/冬毬「……」ジーッ

ありあ(そして今朝会った二人からも熱烈な視線が…なんでぇ…?)

7: 2024/05/26(日) 19:48:00.33 ID:D0jrfoXp.net
~帰り道~

ありあ「はぁ、えらい目に遭った…」

ありあ(考えてみれば、今結ヶ丘に来る子たちって半分以上Liella!を見て来た子たちだよね。まぁ、私も似たようなもんだけど──)

???「澁谷ありあさん、ですね?」

ありあ「え? あっ、あなたは確か…」

冬毬「クラスメイトの鬼塚冬毬です。今朝は突然申し訳ありませんでした」

ありあ「ああいや、あれは私も悪かったし…ってあれ? 鬼塚ってもしかして…」

冬毬「お察しの通り、Liella!に所属している鬼塚夏美は…私の姉です」

ありあ「やっぱり…!」

8: 2024/05/26(日) 19:50:56.71 ID:D0jrfoXp.net
冬毬「私からも一つ聞かせていただきたいのですが、ありあさんがLiella!のリーダーである澁谷かのんさんの妹、というのは事実でしょうか?」

ありあ「うん、私は澁谷かのんの妹! よかった、意外な共通点が──」

冬毬「では、私にかのんさんのことを教えていただけませんか!」ズイッ

ありあ「うぇえっ!?」

冬毬「姉者はスクールアイドルになって大きく変わりました、聞いてみればLiella!へ誘ったのはかのんさんだと言うではないですか!」

ありあ「そ、そうなの!?」

冬毬「私は姉者が変わるきっかけとなったスクールアイドル、そしてLiella!のことが知りたいのです! そのためにはLiella!を作ったかのんさんのことを知る必要があります!」

ありあ「そうかな!?」

9: 2024/05/26(日) 19:55:18.90 ID:D0jrfoXp.net
???「待ちなさい!」

ありあ「今度は何…!?」

冬毬「あなたは…ウィーン・マルガレーテさん…」

マルガレーテ「澁谷かのんのことを教えてもらうのは私が先よ。私を打ち負かしたあの歌の秘訣を知るまで、私は帰れないの!」

冬毬「申し訳ありませんが、そちらの事情は私の知るところではありません。それにありあさんに話しかけたのは私が先、割り込みはバッドマナーです」

マルガレーテ「なによ、そんなこと言うならその子と知り合ったのは私が先よ!」

ありあ「ちょ、ちょっと…喧嘩しないで…」

10: 2024/05/26(日) 19:59:38.66 ID:D0jrfoXp.net
冬毬「このままでは埒が明きません。ありあさん、私たちのどちらと先に話すか選んでください!」

ありあ「私が!?」

マルガレーテ「仕方ないでしょ、早く決めて!」

ありあ「なんでそっちが主導権持ってんの! お姉ちゃんのことだったら私じゃなくたっていいでしょ!?」

冬毬「かのんさんのことを知る人間は今この場にあなたしかいません、その場で取れる情報はその場で取り切るのが効率的です」

ありあ「コミュニケーションってそうじゃないと思うんだけど…!」

11: 2024/05/26(日) 20:04:34.01 ID:D0jrfoXp.net
冬毬「今はそのようなことはどうでもいいのです、ありあさん、どちらと先に話すのですか!」

マルガレーテ「もちろん私が先よね!」

冬毬「いえ、私です!」

ありあ「ふ、二人とも落ち着いて…」

冬毬「落ち着いてなどいられません!」キッ

マルガレーテ「あなたもあなたよ! 早く決めなさい!」キッ

ありあ「えぇ~…!」

12: 2024/05/26(日) 20:06:51.36 ID:D0jrfoXp.net
冬毬「今はそのようなことはどうでもいいのです、ありあさん、どちらと先に話すのですか!」

マルガレーテ「もちろん私が先よね!」

冬毬「いえ、私です!」

ありあ「ふ、二人とも落ち着いて…」

冬毬「落ち着いてなどいられません!」キッ

マルガレーテ「あなたもあなたよ! 早く決めなさい!」キッ

ありあ「えぇ~…!」

13: 2024/05/26(日) 20:10:11.84 ID:D0jrfoXp.net
幕間・質問攻め…

~澁谷家~

冬毬「──それで、かのんさんの幼少期は…」

マルガレーテ「歌はいつから…」

冬毬「なぜスクールアイドルを…」

マルガレーテ「どうしてあんなに人に入れ込むの…」

ありあ「妹だからってなんでもかんでも知ってるわけじゃないんだけど…お姉ちゃん早く帰ってきてよぉ~…」

かのん母(どうしてうちの子たちは初日から変なことに巻き込まれるのかしら…?)

14: 2024/05/26(日) 20:13:51.10 ID:D0jrfoXp.net
本の虫、鮫と海月の地雷踏む


『実力テスト 国語 大問3 問3 不正解』

マルガレーテ「ぐっ…納得いかない! どうしてこれが不正解なのよ、どっちの選択肢もほとんど同じじゃない!」

冬毬「マルガレーテ、外部テストなので抗議をしても結果は変わりませんよ」

マルガレーテ「だからせめて納得のいく説明がほしいって言ってるの!」

ありあ「ん~、わりとニュアンスの問題だから説明難しいんだけど…ほら、正解の方はすごく狭く簡潔に書いてるけど、マルガレーテが選んだのはもうちょっと広くて、書いてないことまで言ってるっていうか…」

マルガレーテ「……言われてみれば」

15: 2024/05/26(日) 20:16:03.95 ID:D0jrfoXp.net
ありあ「でもすごいよ、まだ日本に来て二年目でしょ? それでこれだけ点取れるなんて」

冬毬「去年のラブライブでのパフォーマンスやインタビューも見事でした。それにあの曲、作詞もマルガレーテによるものですよね?」

マルガレーテ「まあね」

ありあ「ホントにすごい、語彙も発音も母語話者とほとんど変わらないもん」

マルガレーテ「ごい…?」

冬毬「ボキャブラリーのことです」

マルガレーテ「ああ…当然でしょ。いくらレベルの低い大会でも、全力を尽くさなきゃ勝てるものも勝てないもの。勝つための努力は惜しまないわ」

冬毬「負けましたが」

ありあ「負けたけどね」

マルガレーテ「うるさい!」

16: 2024/05/26(日) 20:18:18.01 ID:D0jrfoXp.net
マルガレーテ「…で、あなたたちは自己採点終わったの?」

ありあ「うん、得点も出し終わった!」

冬毬「では、せーので見せ合いましょう」

『せーのっ!』バッ

1位 ありあ「お、これは私が一番…かな?」

2位 冬毬「む、自信はあったのですが…」

3位 マルガレーテ「わ、私が最下位ぃ…!?」

17: 2024/05/26(日) 20:20:27.32 ID:D0jrfoXp.net
ありあ「最下位って言っても結構近いし、全然気にしなくていい点数に見えるけど」

マルガレーテ「いくら点数が良くても競ってる相手に負けるんじゃ意味ないの!」

ありあ「負けず嫌いだなぁ…」

冬毬「ありあは全体的にいいスコアですが、やはり国語がずば抜けていますね」

ありあ「ずーっと本読んでるからね、文章読むのは得意! そういう冬毬も数学すごいね、ほぼ満点じゃん!」

冬毬「計算は特技です、これくらいは出来なくては」

18: 2024/05/26(日) 20:23:24.71 ID:D0jrfoXp.net
マルガレーテ「…なるほど、つまり私に足りないのは突出した何か、ということね」

冬毬「確かに、マルガレーテのスコアには私の数学やありあの国語のような、その教科のトップを狙えるような点数が無いように思えます」

ありあ「あれ、そういえば英語は?」

マルガレーテ「出来るけど、母語じゃないし満点取れるほどじゃないわよ…それにあなたたちも高いからアドバンテージにならないわ」

冬毬「それに今回は対象外でしたが、定期テストには社会科目も含まれます。遠い国から来たマルガレーテには流石に不利感が否めません」

ありあ「まぁ、二人ともスクールアイドル始めたし余計にね。私は二人と比べれば時間あるし…」

マルガレーテ/冬毬「……!」

19: 2024/05/26(日) 20:25:35.33 ID:D0jrfoXp.net
冬毬「それはつまり、スクールアイドルをやっている以上勉学がおろそかになるのは仕方がない、と?」

ありあ「え? いや、そこまでは…」

マルガレーテ「心外ね。スクールアイドル活動くらいで私たちが後れを取るわけないじゃない!」

ありあ「そ、そうだよね! ごめんごめん…」

冬毬「マルガレーテ、我々は少々見くびられているようです」

マルガレーテ「そうね…来月の期末テスト、楽しみにしてなさい! あなたのその不遜、打ち砕いてあげる!」

ありあ「不遜!? ちょっと待ってよ、なんで急にそんな…」

20: 2024/05/26(日) 20:27:06.93 ID:D0jrfoXp.net
~それから数週間後~

千砂都「よし、これで今日の練習終わりっ! ストレッチするよー!」

マルガレーテ「冬毬、これが終わったら五限の…」

冬毬「構いません。ではいつもの場所で」

千砂都「……?」

21: 2024/05/26(日) 20:29:37.57 ID:D0jrfoXp.net
~澁谷家~

かのん「──で、最近は二人だけで何かやってるみたいでさ、夏美ちゃんも知らないんだって。ありあはなんか知ってる?」

ありあ「う…知ってるというか、知らなかったというか…」

かのん「…どゆこと?」

ありあ「えーっと…まず何をやってるかは知ってる…多分勉強会だと思う…」

かのん「べ、勉強会? 確かにテストは近いけど、まだ二週間も先だよ? 部活の停止期間もあるんだし、そんなに焦らなくても…」

ありあ「うぅ~…し、知らなかったんだよぉ~…マルガレーテはともかく、冬毬があんなにも負けず嫌いだなんて…」

かのん「え…?」

22: 2024/05/26(日) 20:32:28.31 ID:D0jrfoXp.net
~次の日~

千砂都「なるほどねぇ。つまり地雷を踏んじゃった、と」

ありあ「ごめんなさい…私のせいでみなさんにも迷惑をかけてしまって…」

千砂都「ううん、別にマルガレーテちゃんも冬毬ちゃんも練習に身が入ってないってわけじゃないから、単純にちょっと気になっただけなんだ。しかしそっか、勉強かぁ…」

かのん「ちぃちゃん?」

千砂都「……よし、決めた!」

23: 2024/05/26(日) 20:34:37.26 ID:D0jrfoXp.net
~放課後、部室~

千砂都「──テストもあるしさ、今日から試験明けまで全体での練習はなしにしようかなって」

『えっ?』

きな子「そんな、停止期間は来週からじゃ…」

千砂都「そうなんだけどね、一応スクールアイドル部は結ヶ丘で一番名が通ってる部活でしょ? その部員がもし赤点、補修なんてなったら示しがつかないし、やっぱり文武両道ってかっこよくない?」

すみれ「わかるけど、千砂都にしてはなーんか精度が悪いというか…」

恋「いいではありませんか。勉強は学生の本分、苦手を見直すいい機会にもなります」

千砂都「もちろん今週中なら自主練は問題ないからね、あくまでも全体練だけ。部室も開けとくけど、どこでやるかも自由! じゃ、今日はこれで解散!」

24: 2024/05/26(日) 20:37:06.52 ID:D0jrfoXp.net
夏美「ナッツ~…首の皮一枚繋がりましたの…」

四季「提出課題、全然終わってないって言ってたもんね」

メイ「つーかいっつも宿題で出てただろ…毎回やっとけって…」

冬毬「…なんだか気を遣わせてしまったようですね」

マルガレーテ「これじゃスクールアイドルが枷になってるわけじゃないって証明できないじゃない…ま、こうなった以上ありあに勝つのは絶対よ!」

冬毬「アグリーです。私も一度は敗北を許しましたが、二度はありません」

千砂都(…ごめんありあちゃん、余計火付けちゃったかも)

かのん(頑張れ~ありあ~…)

25: 2024/05/26(日) 20:41:03.08 ID:D0jrfoXp.net
~部室~

可可「かのん~…日本史のノートを見せてくださいデス~…」

かのん「え゙っ゙、いや~私のは…あっすみれちゃんのとかいいと思うよ! 綺麗にノート取ってるから見やすいし、ねっすみれちゃん!」

すみれ「アンタねぇ…」

可可「グゥ、背に腹は替えられまセン…すみれ、ノートを見せてクダサイ…」

すみれ「…しょーがないわねぇ、どうしてもって言うならこの平安名すみれのギャラクシーなノートを見せてあげても… 」スッ

可可「恩に着マス!」バッ

かのん「ありがとうすみれちゃん!」

すみれ「最後まで聞きなさいよッ!」

恋「参考までに、千砂都さんはどのようにノートを取っているのですか?」

千砂都「私はほとんどメモ書きみたいな感じかな、板書の内容って大体教科書に書いてあるしね。ほら」

恋(……なんだか句点が多くなるような文章になっているような…気のせいでしょうか…?)

26: 2024/05/26(日) 20:44:32.91 ID:D0jrfoXp.net
~きな子の部屋~

きな子「この箱の重さは……3Nっす!」

夏美「え? 2になりましたの…」

メイ「バカだなぁお前ら、正解は1.75だろ?」

四季「全然違う…どうやったらそこまでみんなバラバラに間違えられるの…?」

きなメイなつ「……」

27: 2024/05/26(日) 20:47:14.93 ID:D0jrfoXp.net
~澁谷家~

ありあ「──でもさ、この制度のままだとそういう新しい考え方には対応できないでしょ? だからまた新しいのを作る必要があったの」

冬毬「なるほど…ありあは順序立てての解説が上手ですね」

マルガレーテ「…制度の中身とか理由とかは理解できたけど、名前が全然覚えられないんだけど…なんでこんなに漢字ばっかりなのよ…」

ありあ「まぁ、最悪それさえ暗記できれば点数取れるから…」

冬毬「しかしマルガレーテ、あれだけ打倒ありあと息巻いていたのに、結局ありあに教えてもらっていますね」

マルガレーテ「はぁ!? 冬毬が『社会科はありあに聞くのが最も効率的です』とか言って投げたからでしょ!?」

冬毬「それは事実ですが、意外に素直というか…」

マルガレーテ「あなたねぇ…!」

ありあ「はいはい喧嘩しない! そんな言い争いするならもう教えてあげないよ?」

マルガレーテ/冬毬「……ごめんなさい」

28: 2024/05/26(日) 20:49:27.63 ID:D0jrfoXp.net
~テスト当日~

マルガレーテ「直前の見直しもしないなんて、ずいぶんな余裕ね」

冬毬「必要ありません。見直しは今朝おこなってから来ました、教科書を流し読みするより反芻して記憶を定着させる方が効果的です」

マルガレーテ「ふーん…それ、あなたの隣の人にも言ってあげた方がいいんじゃない?」

ありあ「静かにして…今集中してるから…!」ペラペラペラ

冬毬「…もう手遅れだと思いますが」

マルガレーテ「あんまり似てないと思ってたけど、やっぱりかのん先輩の妹ね」

ありあ「ちょっとそれどういう意味!?」

「はい、そろそろ教科書しまってー!」

29: 2024/05/26(日) 20:51:20.77 ID:D0jrfoXp.net
~テスト終了、返却後~

冬毬「二人とも、自信のほどは?」

マルガレーテ「あるに決まってるでしょ!」

ありあ「二人に勝てるほどの自信はないかも…」

冬毬「保険をかけても結果は変わりません、いきますよ!」

『せーのっ!』バッ

1位 冬毬「ふっ、当然の結果です」

2位 マルガレーテ「ま、また冬毬に負けた…!」

3位 ありあ「流石に秀才二人に本気出されちゃ敵わないな…」

30: 2024/05/26(日) 20:55:07.81 ID:D0jrfoXp.net
マルガレーテ「でも、ありあへのリベンジは果たせたわ!」

冬毬「ええ、最下位への罰はどうしましょうか」

ありあ「い、いつの間にそんな話が…」

マルガレーテ「そうだ、ずっと気になってたのよね…原宿にあるジャンボパフェ!」

ありあ「それすごい高いやつじゃん…まさか…!」

冬毬「ふふっ、そのまさかです」

ありあ「し、支払いは…!!」

マルガレーテ「もちろん…」

ありあ「もちろん…!?」

冬毬「…安心してください、最初から割り勘のつもりです」

ありあ「…よかったぁ~!」

31: 2024/05/26(日) 20:56:33.20 ID:D0jrfoXp.net
「お待たせいたしました、ジャンボパフェです」

冬毬「とてつもないボリュームですね…」

ありあ「三人とはいえ食べきれる? これ…」

マルガレーテ「あむっ…ん! 美味しい!」

冬毬「値段だけあって、フルーツがふんだんに使われていますね。飽きずに食べられます」

ありあ「あ、クリームがあんまり甘くない。ボリュームある分これは嬉しいかも」

マルガレーテ「あ、このチョコレートは私のよ!」

冬毬「構いませんが、クリームがキャパオーバーした際のリセットに取っておいた方がいいのでは?」

ありあ「フードファイターみたいなこと言ってる…」

32: 2024/05/26(日) 20:58:18.38 ID:D0jrfoXp.net
 カランコロン

ありあ「食べたぁ~…」

マルガレーテ「流石にちょっと気持ち悪いわね…」

冬毬「一食にしてはあまりに膨大なカ口リーを摂取しました…明日からのレッスンには更に力を入れなければなりませんね…」

ありあ「……ねぇ、二人とも」

マルガレーテ/冬毬「?」

ありあ「次は絶対、負けないから!」

マルガレーテ「…そうね、私も今の結果に甘んじている気はないわ! 冬毬、次はあなたも倒して私がトップに立つ!」

冬毬「ふふっ、望むところです!」

ありあ(そっか…これが悔しいとか、高め合うってことなんだ。お姉ちゃんの気持ちがちょっぴりだけ…わかった気がするな)

つづく。

33: 2024/05/26(日) 21:00:56.40 ID:D0jrfoXp.net
幕間・Liella!のマネージャー?

千砂都「おーいありあちゃん!」

ありあ「千砂都さん。どうしたんですか?」

千砂都「今日の練習のことでマルガレーテちゃんと冬毬ちゃんに伝えたいことがあるんだけど、ちょっと時間なくて…よかったら伝えておいてくれない?」

ありあ「いいですよ! 二人とも教室にいると思いますし」

千砂都「ありがとう、助かるよ! じゃあまるまるしかじかだから…」

34: 2024/05/26(日) 21:02:28.01 ID:D0jrfoXp.net
~別の日~

かのん「じゃあそれ渡しといてー!」

ありあ「はいはーい」

~別の日~

すみれ「これもお願いできる? ごめんなさいね、部員でもないのに…」

ありあ「大丈夫ですよ、ついでですし!」

~別の日~

きな子「はっ、それはきな子のキツネさん筆箱…! 失くしたと思って落ち込んでたっす、届けてくれてありがとうっす~!」

ありあ「いえいえ、見つかってよかったです!」

~別の日~

四季「この前貸してくれた本、すごく参考になった。お礼に飲んだ人が催眠状態になる薬を…」

ありあ「いらないです…」

35: 2024/05/26(日) 21:04:00.10 ID:D0jrfoXp.net
クラスメイトA「──ねぇありあちゃん、Liella!のマネージャーになったってホント!?」

ありあ「…え?」

クラスメイトB「最近Liella!のメンバーによく頼られてるでしょ? きっとありあちゃんがマネージャーになったからだって噂が立ってて!」

ありあ「い、いやいやないない! 冬毬とマルガレーテへの伝言とかついでの用事とかが偶然重なっただけで…ねぇ二人とも!」

冬毬「実際ありあは私たちのためによく動いてくれていますし、マネージャーといっても差し支えはないのでは?」

ありあ「ちょっと!?」

マルガレーテ「いいんじゃない? そういう枠なら空いてるでしょ」

ありあ「否定してよ! うぅ、全然そんなつもりじゃなかったのにぃ~…!」

36: 2024/05/26(日) 21:05:53.12 ID:D0jrfoXp.net
幕間・実は同じ中学

メイ「しかし、ありあも結ヶ丘に来るなんてな」

かのん「あれ、メイちゃんはありあのこと知ってたの?」

メイ「いや、直接的な面識はないけど…」

四季「中学の時点で結構話題だった。結ヶ丘のスクールアイドルのリーダー、その妹がいるって」

千砂都「あぁ~…かのんちゃんは卒業生だし余計話題になるよね…」

かのん「う…なんかごめん…」

37: 2024/05/26(日) 21:07:47.24 ID:D0jrfoXp.net
四季「そういえば、あの数学の気難しい先生ってまだいた?」

ありあ「ああ、いましたよ。三年生のとき担任でした」

メイ「マジか…あの先生苦手だったんだよなぁ…」

かのん「わかる~! 怖いしちゃんと怒られるんだよねぇ…」

千砂都「でも教えるのは上手じゃなかった?」

四季「うん。怖いけど理不尽な怒り方はしないし、わからなくても聞けば丁寧に教えてくれる」

ありあ「私たちもクラス発表のときは終わったーって感じでしたけど、本当にいい先生でしたよ。卒業式の日とかみんなで感謝の言葉とか言いながら泣いちゃって…」

メイ「へぇ…ならもっとちゃんと話せばよかったな」

38: 2024/05/26(日) 21:09:09.52 ID:D0jrfoXp.net
きな子「はぇ~…地元トークっす~…」

可可「きなきな、マルマル…可可たちは遠い場所から来た仲間デス…ここは異郷トークで地元組に負けない結束を…!」

きな子「可可先輩…!」

マルガレーテ「私はどうでもいいし…そもそも異郷トークって何が盛り上がるのよ…」

冬毬「私は姉者と同じ中学です、私たちも何かエピソードを!」

夏美「あんまりいい思い出はありませんの…」

すみれん(……誰とも共通点がない…)

39: 2024/05/26(日) 21:11:58.06 ID:D0jrfoXp.net
本の虫、鮫と海月と姉の夢


 カランコロン

ありあ「いらっしゃ──って冬毬じゃん! どうしたの?」

冬毬「近くで用事があったので、少し顔を出そうかと思いまして。アイスカフェラテを一つください」

ありあ「わかった、ちょっと待ってね」

 カランコロン

ありあ「と、いらっしゃ──って、なんだマルガレーテか」

マルガレーテ「何よその反応、一応客なんだけど…って、冬毬もいるじゃない」

冬毬「特に示し合わせていないはずなのに、結局この三人で集まってしまいますね」

40: 2024/05/26(日) 21:14:46.40 ID:D0jrfoXp.net
かのん「冬毬ちゃん、マルガレーテちゃん! いらっしゃい!」

マルガレーテ「どうも」

冬毬「お邪魔しています」

かのん「二人とも上がってく? お店代わるよ?」

冬毬「いえ、少し休憩に来ただけですので」

ありあ「どうせ今お客さんいないしいいよ、来たら代わってもらおうかな」

かのん「そっか、じゃあマンマルにご飯食べさせてあげよっと」

41: 2024/05/26(日) 21:17:15.29 ID:D0jrfoXp.net
かのん「マンマル、ご飯だよ~」

マンマル「キュイっ」

冬毬「それで、四季先輩のドリンクを飲んだ姉者が…」

ありあ「あははっ! それ本当?」

マルガレーテ「現代の技術で可能なの? それ…」

かのん(…あんなに楽しそうなありあを見るの、初めてかも)

かのん(もしかしたら、あの三人が並んでステージに立っている未来もあったのかな…なんて、こんなこと言ったらまたありあに怒られちゃうかな?)

かのん「ね、マンマル~」

マンマル「?」

かのん(でも…夢見るだけなら、いいよね)

42: 2024/05/26(日) 21:19:27.78 ID:D0jrfoXp.net
 カランコロン

冬毬「では私たちはこれで。お邪魔しました」

マルガレーテ「また来るわ」

ありあ「また明日!」

かのん「ありがとね!」

 バタン

ありあ「…ねぇ、お姉ちゃん」

かのん「ん~?」

ありあ「……ありがと!」

かのん「へ?」

43: 2024/05/26(日) 21:21:47.25 ID:D0jrfoXp.net
ありあ「前にお姉ちゃん言ってたよね、スクールアイドルを始めて私に迷惑がかかってないかって」

かのん「…うん」

ありあ「もちろんまったくかかってない、とは言わないけどさ。それでも──」

ありあ「お姉ちゃんがスクールアイドルを始めてなかったら、マルガレーテとも冬毬とも、絶対に友達になれてなかったはずだから。大切な友達に出会わせてくれて、ありがとう!」

かのん「──っ~! ありあ~~っ!!」ダキッ

ありあ「わっ、ちょっ! は、恥ずかしいよ!」

44: 2024/05/26(日) 21:23:53.73 ID:D0jrfoXp.net
かのん「…ねぇありあ。二人への歌を書いてみない?」

ありあ「えっ?」

かのん「今思ったんだ。一緒に並ぶって、スクールアイドルとして同じ舞台に立つだけじゃないのかもって。一番近くであの二人を見てきたありあなら、きっと誰よりもいい歌詞が書けるんじゃないかって!」

ありあ「……私で、いいのかな?」

かのん「うん。あの二人も、ありあならって言ってくれると思う」

ありあ「…私、曲作りとかやったことないからさ。いろいろ教えてね?」

かのん「──もちろん!」

45: 2024/05/26(日) 21:26:21.82 ID:D0jrfoXp.net
~外~

マルガレーテ「聞き耳を立てるなんて趣味が悪いわね」

冬毬「…否定はできません。ただ、いい話が聞ける予感がしたので」

マルガレーテ「なにそれ、今までのあなただったら非論理的とか言って一蹴してそうなのに」

冬毬「ふふっ、そうですね。絆されたのでしょうか」

マルガレーテ「…大切な友達、か」

冬毬「今度は私たちからも伝えましょう。私たちにとっても、ありあは大切な親友であると。もちろん、マルガレーテも私のとても大切な親友ですよ?」

マルガレーテ「そ、そんな面と向かって言わなくていいから!」

46: 2024/05/26(日) 21:28:52.48 ID:D0jrfoXp.net
冬毬「…ありあからの贈り物、楽しみです。とても」

マルガレーテ「…そうね。ふふっ、変な歌詞書いたら承知しないわよ、ありあ!」

つづく。

47: 2024/05/26(日) 21:33:22.72 ID:D0jrfoXp.net
とりあえずこれで一旦終わりです。続きは思いついたら書きます。
ありあちゃんがとまマルと友達として軽口言い合ってるのが見たかったので書きました。
ありあちゃんが結ヶ丘に入るか決まってないだろとかマルガレーテは音楽科だろとか色々思いましたがやっぱ見たい、この三人。

49: 2024/05/26(日) 21:43:54.62 ID:rocw6n28.net

引用: ありあ「本の虫、鮫と海月に絡まれる」