618: 2009/01/03(土) 23:11:04.24 ID:t4R1lKoR0

前回:蒼星石「いってらっしゃい、あなた……あれ?」【前編】

巴「やっぱり本来あるべき姿に戻さないといけません」

蒼「それが出来れば良いんだけどね……もう、無理だよ」

巴「蒼星石さん! あきらめてはいけません! このまま水銀燈さんに桜田君をとられていいんですか?」

巴「それに、向こうはたった一人ですが、こっちは私と蒼星石さん。それに心強い助っ人もいるんです」

蒼「す、すけっと?」

梅岡「どうも、初めまして梅岡というものです」
ローゼンメイデン 愛蔵版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
634: 2009/01/03(土) 23:17:44.68 ID:t4R1lKoR0
蒼「あ、初めまして」

巴「こちらの梅岡先生は、私と桜田君が中学の時、担任の先生だったんです」

蒼「ジュン君の先生……?」

巴「ええ、とってもすばらしい先生よ」

梅岡「おいおい、そんな大げさな」

蒼「それで、何故先生が僕たちを助けてくれるんですか?」

巴「それは――」

梅岡「いや、柏葉。それは僕の口から説明させてくれ」

638: 2009/01/03(土) 23:24:42.02 ID:t4R1lKoR0
梅岡「まず、桜田が中学の時不登校だったのはご存じで?」

蒼「はい、そのときからジュン君とは親しくさせて貰ってました」

梅岡「それなら話が早い」

梅岡「あの頃の僕は、一人特別な存在となっていた桜田のことを気に掛け、あの手この手で桜田に心を開いて貰おうとしていました」

梅岡「しかし、僕はまだ若く未熟でした」

梅岡「よかれと思ってした行動は全て桜田の神経を逆なでするだけで、結局最後の最後まで相手にして貰えないまま、僕たちの学園生活は終ってしまいした」

梅岡「僕はただの一つも、教師として桜田に教えてやれることがなかったのです」

644: 2009/01/03(土) 23:34:17.53 ID:t4R1lKoR0
梅岡「それから多くの時が流れ、全てが思い出となってしまった今でも、僕はそれが心に引っかかったままでした」

梅岡「しかし、この間柏葉にあって桜田が今、大変なことをしでかしていると言うことを知りました」

梅岡「桜田さん、これは僕の挑戦でもあるんです。あの時教師として、桜田に伝えられなかった大切なことを伝えること」

梅岡「それは国語でも数学でも、社会でも理科でも、ましてや英語でもありません。――何よりも大切なこと、人としての道です」キリッ

蒼「先生……」

674: 2009/01/04(日) 00:26:41.75 ID:Y2K0PBLK0
梅岡「といっても、僕は桜田にすこぶる嫌われてるから、直接会うことは出来ないんだけどね」

巴「桜田君と先生との接触は危険だから、先生には主にサポートを頼んでいるわ。蒼星石さんも先生のことは桜田君に絶対にばれないようにしてね」

蒼「二人の間に何があったのかは知らないけど、了解したよ」

梅岡「ありがとう、桜田さん」

蒼「あ、蒼星石で良いです。桜田だと、ジュン君と混同しちゃうから」

梅岡「そうか、よろしく頼むよ蒼星石」

680: 2009/01/04(日) 00:47:47.48 ID:Y2K0PBLK0
蒼「それで、今後僕は一体どういうことをすればいいでしょうか?」

梅岡「そうだね、無理矢理にでも止めるのが一番良いかもしれないけど」

巴「今回の場合は、相手のためという大義名分があるから一筋縄ではいかないでしょうね」

巴「だから、私が桜田君が水銀燈さんとおかしなことをしないように、常に見張っておくわね」

梅岡「そうだな。柏葉なら、一緒にいても文句を言いづらいだろうから」

梅岡「その間僕らに出来ることはないから、もしよかったら今の桜田のことを少しずつ教えてくれないかな?」

蒼「今のジュン君のことですか? はい、わかりました。二人とも、本当にありがとうございます……」

684: 2009/01/04(日) 00:58:55.79 ID:Y2K0PBLK0
梅岡「へえ、今の桜田をそんな風なんだ。僕の知っている桜田とはずいぶん変わったんだな」

蒼「ええ、本当にすごく成長しました。でも、僕は昔のジュン君のままでよかったんですけどね……」

梅岡「それはまたどうして?」

蒼「昔のジュン君は……僕だけを見ていてくれたから」

梅岡「そうか……ごめんね、蒼星石」

蒼「いえ……でも、先生に僕の話を聞いてもらえて、少しすっきりしました」

蒼「僕はいつもジュン君に甘えていたけど、先生はジュン君の先生だけあって……その……なんていうか、すごく話しやすかったです」

梅岡「こんな僕でも、少しでも力になれたのならうれしいよ。おっともうこんな時間か」

蒼「もうお帰りですか? なら、玄関までおくります……」

梅岡「ありがとう、それじゃあまた」

蒼「ええ……」

689: 2009/01/04(日) 01:04:03.80 ID:Y2K0PBLK0
巴「こんにちわ、水銀燈さん」

銀「あ、柏葉さん……」

巴「ふふ、怯えなくても良いのよ。報告に来ただけだから」

巴「全てうまくいってるわ。あなたと桜田君の関係も良好だし、あと少しの細工だけで完璧よ」

銀「あ、ありがとうございます」

巴「私、約束は絶対守るのよ……」

691: 2009/01/04(日) 01:10:11.30 ID:Y2K0PBLK0
JUM「あれ? 誰か来たのか?」

銀「あ……柏葉さんが、お見舞いに来てくれたの。もう帰っちゃったけど」

JUM「ふーん。あ、メシできたけど……まだ舌しみるか?」

銀「うん……ごめんなさい」

JUM「いいよ、気にするな。熱いものはフーフーして冷ましてやるから」

銀「ありがとう……ジュン」

693: 2009/01/04(日) 01:22:31.13 ID:Y2K0PBLK0
JUM「ただいま」

蒼「…………おかえり、今日は早かったね。まだ午前2時だよ」

JUM「あ……起きててくれたのか……」

JUM「……やっぱりまだ怒ってるのか? ――どうして分かってくれないかな」

JUM「お前も一度見れば分かるよ、今の水銀燈がどんな状態か」

JUM「あんなことがあったとはいえ、心配すらしないなんて、姉妹として薄情じゃないか?」

蒼「僕からジュン君を奪っていく水銀燈――例えどんな姿だったとしても、僕はざまぁみろとしか思えないね」

蒼「不愉快だから、せめて家にいるときぐらいは水銀燈の話はやめてね」

695: 2009/01/04(日) 01:27:03.43 ID:Y2K0PBLK0
JUM「……もう寝る」

蒼「…………」

蒼「はぁ……僕だって本当はもっと甘えたいのに、どうして責めるようなことしかいえないんだろう」

蒼「僕も……寝よう」

696: 2009/01/04(日) 01:32:03.74 ID:Y2K0PBLK0
蒼「おはよう……なんだ、もういないのか」

蒼「夫婦なのに、早起きするか夜更かししなきゃ顔も会わせることができないなんて……」

ピンポーン

梅岡「蒼星石、おきてる?」

蒼「先生!」

梅岡「こんな早くにすまないね。今日はここしか時間が合わなくて」

蒼「ううん。ちょうど退屈してたところなんだ」

705: 2009/01/04(日) 01:40:38.62 ID:Y2K0PBLK0
蒼「昨日なんか帰ってきたのは2時でね――」

蒼「今日は朝起きたらもういなかったんだ――」

梅岡「うん……うん……」

蒼「すいません、なんか僕のグチばっかり聞いて貰っちゃって……」

梅岡「いや、君の心の負担を和らげるために僕がいるんだ。グチだって喜んで聞くよ」

蒼「ありがとうございます、先生。こんなこといえるの、先生しかいないから……」

蒼「ジュン君にも、先生みたいな包容力があったらよかったのにな」

梅岡「……あ、もう時間だ」

蒼「送りますよ……」

712: 2009/01/04(日) 01:49:50.06 ID:Y2K0PBLK0
JUM「しまったなぁ……鞄の中身を全部家に忘れてくるなんて」

JUM「あれ、家から誰か出てくるぞ……?」

JUM「な! あいつは……梅岡……」

JUM「しかも、蒼星石とあんなに仲良さそうにしやがって……」

JUM「おいっ! これはどういうことだよ……っ!」

715: 2009/01/04(日) 01:53:00.76 ID:Y2K0PBLK0
蒼「あれ、ジュン君どうしたのこんな時間に戻ってきて……」

JUM「いや、ただの忘れ物だけど……今家に誰か来なかったか?」

蒼「え!? ううん……誰も来なかったよ?」

JUM「ふーん……そうか」

蒼「…………」

718: 2009/01/04(日) 02:00:28.22 ID:Y2K0PBLK0
JUM「水銀燈、今帰ったよ」ムギュ

銀「あ……ジュンの方から抱きしめてくれるなんて……うれしいわぁ」

JUM「水銀燈、今日はここに泊まっていくよ……」

銀「え? ほんとぉ?」

JUM「ああ、今日はあそこに帰る気になれないんだ」

銀「じゃあ今日はずっと抱きしめているのよ……」

719: 2009/01/04(日) 02:04:19.68 ID:Y2K0PBLK0
蒼「もう3時か……今までなら2時くらいには帰ってくるはずなんだけど……」

蒼「ジュン君、今日は遅いな…………」

蒼「あと30分だけ待って、こなかったら寝よう……」

833: 2009/01/04(日) 10:35:42.38 ID:Y2K0PBLK0
蒼「それで朝まで待ってたんですけど――」

梅岡「うん……」

蒼「ジュン君が帰ってきません」

蒼「先生……僕怖いです。なんだかこのままジュン君が帰ってきそうになくて……」

梅岡「蒼星石……大丈夫だ。そのために僕らがいるんだから」

蒼「先生ありがとう……でも、今だけは……少し……泣かせてください」

836: 2009/01/04(日) 10:54:56.36 ID:Y2K0PBLK0
梅岡「――蒼星石っ!」ガバッ

蒼「きゃっ……そんな抱きつくなんて」

梅岡「もう見てられないんだ蒼星石。君にそんな顔はして欲しくない……」

蒼「でも…………こんなこと……ううん、ありがとう先生」

蒼「先生の腕のなかも……あったかいんだね」

839: 2009/01/04(日) 11:01:19.02 ID:Y2K0PBLK0
蒼「先生僕はね、自分で自分のことを強いと思っていたんだ」

蒼「どんなことがあってもいきていけるって」

蒼「でも違った」

梅岡「蒼星石?」

蒼「僕は愛を知って弱くなった。とても脆くなってしまった」

蒼「だから……今にも壊れちゃうかもしれない――」

梅岡「蒼星石……脆いものは、得てして美しい……」

844: 2009/01/04(日) 11:15:54.03 ID:Y2K0PBLK0
梅岡「それは、君も例外ではないんだよ?」

蒼「先生……なにを……あっ……ダメです」

梅岡「最近、桜田ともご無沙汰しているんだろ?」

蒼「ダメ……やめてっ! そんなことは出来ません……っ」

梅岡「僕は桜田の代わりに、君の心を満たしてあげたいんだ」

蒼「嫌……僕は、ジュン君の……だめぇ……」

850: 2009/01/04(日) 11:26:22.40 ID:Y2K0PBLK0
梅岡「脱がすよ? いいね?」

蒼「ダメです、絶対にダメです……」

梅岡「口ではそう言っても、体は抵抗しないよね?」

梅岡「本能では欲しがってるんだよ。大丈夫、ちゃんとほらゴムもあるし」スッ

蒼「! イ、イヤァ!」バシ

梅岡「痛つっ!」

蒼「あ……ご、ごめんなさい」

858: 2009/01/04(日) 11:39:05.28 ID:Y2K0PBLK0
梅岡「いや…………謝るのは僕の方だね」

梅岡「君にこんなことをしてしまうなんて……正直どうかしてたよ」

蒼「あ……いえ」

梅岡「ごめんね、また出直してくるよ」

蒼「はい……」

蒼「(あのまま流れに身を任せていたら、僕はどうなっていたんだろう……)」

蒼「(もしかしたら、こうして鬱々しているよりも、幸せだったのかもしれない……)」

864: 2009/01/04(日) 11:52:27.82 ID:Y2K0PBLK0
巴「それで、雛苺の容態は?」

紅「……だんだん悪くなってるわ。今は毎日の通院でなんとかなっているけど……このままだと入院しなければ……」

巴「そうですか……」

紅「やっぱり、他の姉妹にも相談すべきかしら……」

巴「それが出来れば理想ですが……今は自分のことで手一杯の娘もいますし……これ以上の心配事は……」

紅「そうね……。治療費さえ家で払えれば……」

巴「あの……それですが、これを」

877: 2009/01/04(日) 12:12:34.90 ID:Y2K0PBLK0
紅「これは……500万も」

巴「使ってください」

紅「でも……あなた、こんなお金いつもどこから」

巴「それは……」

紅「……」

883: 2009/01/04(日) 12:21:03.54 ID:Y2K0PBLK0
紅「このお金は本当にまっとうに稼いだもの? 違でしょ?」

巴「はい……」

紅「ねえ、あなたが何をしているかは言わなくても良いけれど、そんなお金で助かって雛苺が喜ぶと思う?」

巴「いえ……ですが、私はもう戻れないところまで来ています。そのお金で、雛苺が助かってさえくれれば、私は何を失ってもかまいません」

巴「例え、雛苺に嫌われたとしても本望です。覚悟は出来ています」

紅「そう……わかったわ。これ以上は何も聞かないし、言わない」

906: 2009/01/04(日) 12:54:21.74 ID:Y2K0PBLK0
紅「とりあえず、これで900万まで貯まったけど、手術代の1000万まではあと僅かに足らないわ……」

巴「わかりました……すぐに作ってきます」

紅「ねえ巴。これ以上はやめないかしら? あと少しだけなら私たちでも普通に働けば……」

巴「いえ、少しでも長引けばそれだけ雛苺の苦痛も増えていくんで……」

巴「真紅さんは引き続き、雛苺の看護を宜しくお願いします」

912: 2009/01/04(日) 13:01:56.43 ID:Y2K0PBLK0
巴「というわけで、100万円分の仕事をもらえないかしら?」

槐「じゃあローゼンの娘一日な」

巴「あの……それはもう厳しくて……私じゃダメですか?」

槐「ただの人間には興味ありません」

薔薇「……」

919: 2009/01/04(日) 13:07:01.93 ID:Y2K0PBLK0
巴「ねえ……先生、私を好きにしてみない? 100万円で良いんだけど?」

梅岡「いやwwwもうちょっとで蒼星石落とせるからwwww」

梅岡「てかwwwwお前に100万とか無理言うなwww」

巴「……」

927: 2009/01/04(日) 13:14:49.09 ID:Y2K0PBLK0
槐「てゆーか、なんでローゼンの娘を壊すのに金がいるの?」

薔薇「……」

薔薇「あの……お父様……」

槐「ん?」

薔薇「私は……他のお姉様達より……優れている……はず」

槐「ああ、当たり前だろ。僕の娘なんだから」

薔薇「では……なぜ……そこまで……他のお姉様に……固執するのですか?」

薔薇「もう……気にする必要なんて……ないのに」

930: 2009/01/04(日) 13:18:33.32 ID:Y2K0PBLK0
どう見ても迷走だな

938: 2009/01/04(日) 13:29:47.84 ID:Y2K0PBLK0
JUM「ただいま……」

蒼「ジュン君……どうして昨日帰ってこなかったの?」

JUM「…………」

蒼「ねえ、答えてよ!」

JUM「…………」

JUM「おい……なんでここにコンドームおちてんの?」

蒼「!?」

941: 2009/01/04(日) 13:35:04.28 ID:Y2K0PBLK0
蒼「そ、それはちがっ」

JUM「結局お前は何一つ僕を信用できなかったんだな」

JUM「数日の辛抱も待たずして浮気」

JUM「仕返しのつもりだったか?」

蒼「違うの! それは……」

JUM「しかも……よりによって梅岡かよ……」

957: 2009/01/04(日) 13:48:05.07 ID:Y2K0PBLK0
蒼「だから違って! 梅岡先生にはジュン君のことを相談していただけで」

JUM「梅岡に僕のことを? ハッ、冗談言うなよ。あんなやつに分かってたまるか」

JUM「とにかく、下手な言い訳はもういいよ。今度こそさよならだ」

蒼「あ、ちょっと待ってよ!」

JUM「待つと思うか?」

969: 2009/01/04(日) 13:59:45.50 ID:Y2K0PBLK0
JUM「水銀燈、水銀燈ぼくだよ、ジュンだ」

銀「おかえりなさぁい」

JUM「水銀燈、僕さ、もう蒼星石とは別れようと思ってる」

銀「え? それって……」

JUM「うん。君と一緒になりたい」

銀「でも……」

975: 2009/01/04(日) 14:07:53.86 ID:Y2K0PBLK0
銀「私は今こんな姿よ……髪や爪は治ったとしても、ただれた肌はもう戻らないかもしれないし……赤ちゃんも出来ないかもしれない」

銀「どうみても人に見せられる姿じゃないもの……あなただって、本当は気持ち悪いと思ってるんでしょう?」

JUM「水銀燈……! 僕がずっと同情の気持ちで、君の世話をしていたと思っているのか……?」

銀「違うのぉ……?」

JUM「当たり前だ! 僕は、僕は水銀燈のことが……」

984: 2009/01/04(日) 14:20:44.46 ID:Y2K0PBLK0
白崎「ごめん、僕そういうのは……」

巴「そうですか……」

PLLLLPLLLLピッ

巴「はい……」

紅「巴! 大変なの、雛苺が今――」

巴「! すぐに行きます」

989: 2009/01/04(日) 14:26:13.46 ID:Y2K0PBLK0


紅「今朝は安定してたんだけど、昼頃から急に不安定になって……」

巴「そんな! 雛苺、雛苺!」

雛「――――」

紅「すぐに手術をしないと危険らしいの――でも、お金が……」

巴「……ごめんなさい。まだ、集まらなくて……」

薔薇「(あれは……桃薔薇のお姉様)」

991: 2009/01/04(日) 14:34:34.90 ID:Y2K0PBLK0
槐「へえ、ローゼンの娘が病気なんだ」

薔薇「はい……でも、あと100万円あれば……助かるらしく……」

槐「私に払えと?」

薔薇「お父様なら……助けて……あげられるから」

槐「確かに出来るが、どうして私が……」

141: 2009/01/04(日) 18:45:10.34 ID:Y2K0PBLK0
>>75の続きから

薔薇「お父様が……お姉様方に辛く当たるのは……暗に私が劣っていると認めているから……」

槐「何を言っているんだ……そんなわけ無いだろ」

薔薇「なら……もう少し……寛容になっても……いいと思います」

槐「ローゼンの娘は……気に入らない」

薔薇「私は……そんな風に思いません……だからお父様……お願いします……」

槐「他でもないお前の頼みは聞いてやりたいがな……」

144: 2009/01/04(日) 18:49:54.51 ID:Y2K0PBLK0
薔薇「では……」

槐「だめだ」

薔薇「なら……勝手に……お金を使います……」

槐「怒るぞ」

薔薇「私は……もっとお姉様方と……仲良くしたいのに……どうして……お父様は……」

薔薇「この間だって……黒薔薇のお姉様に……」

槐「言っておくけど。あれはそう言う契約の元でおこなったんだ」

150: 2009/01/04(日) 19:00:18.84 ID:Y2K0PBLK0
薔薇「でも……黒薔薇のお姉様……とても惨いお姿に……かわいそうです……」

槐「知らないね。対価は与えたつもりだが」

薔薇「お父様の力なら……全ての傷を修復させることだって……」

槐「頼まれてもないしな……」

薔薇「…………」

171: 2009/01/04(日) 19:23:38.50 ID:Y2K0PBLK0
薔薇「お父様は……ひどいです」

薔薇「お父様の……お師匠様に対する遺恨を……その娘達に向け……蔑むことで……お師匠様に勝利したという優越感に浸る……」

槐「今日はよくしゃべるな……」

薔薇「ごめんなさい……でも……時間がないんです……」

薔薇「考え直してください……早くしないと……桃薔薇のお姉様が……」

186: 2009/01/04(日) 19:42:15.85 ID:Y2K0PBLK0
薔薇「お父様が……そんな態度をとり続ける限り……それは負け続けていると言うこと……」

槐「私がローゼンより優れていることを証明したくば、雛苺を助けるくらいの余裕は持てと?」

薔薇「……そんな……ところです」

槐「なんと言おうと、私は関与しないからな」

薔薇「お父様の……意地っ張り……」

236: 2009/01/04(日) 20:37:10.82 ID:Y2K0PBLK0
予定ではあと10レスもないくらいで終わるはずなんですが、槐の首を縦に振らせる口実が思いつかない

271: 2009/01/04(日) 21:15:29.37 ID:Y2K0PBLK0
薔薇「それならお父様……私を買ってください……黒薔薇のお姉様のように……」

槐「何を馬鹿なことを……」

薔薇「そうですか……ならば他の人に買って貰うまでです」

槐「!? 薔薇水晶! お前……」

薔薇「どちらを……選びますか?」

279: 2009/01/04(日) 21:30:10.98 ID:Y2K0PBLK0
雛「――――」

巴「雛苺っ! 雛苺ぉ!」

槐「まったく、ここは騒がしいところだな……」

紅「! あなたは……」

薔薇「これを……どうか……」ポンッ

紅「薔薇水晶、エンジュ……あなたたち、いったいどういうつもり?」

槐「家の娘がくだらん情に惑わされてな。それが必要なんだろ? くれてやる」

巴「薔薇水晶さん……」

薔薇「……」

巴「ありがとう……」

薔薇「いえ……」

285: 2009/01/04(日) 21:47:25.64 ID:Y2K0PBLK0
巴「雛苺……よかった、これで全てが終わるのね……」

紅「ええ……雛苺が助かるのよ……」

巴「では……私はこれで……」スッ

紅「巴、どこへいくつもり?」

巴「私はもう……この町を去ります」

槐「ほう……それはまたどうして?」

巴「エンジュさんはご存じかと思いますが、私はそのお金を集めるために……多くの悪事を繰り返してきましたから……」

巴「中には、もう取り返しが付かないこともあります。ですから、これからとても雛苺に顔向けできません」

薔薇「お父様……」

槐「仕方がないな……」

291: 2009/01/04(日) 21:55:31.68 ID:Y2K0PBLK0
槐「その取り返しが付かないことって言うのは、水銀燈のことだろ?」

巴「はい……」

槐「その件には私も一枚噛んでるしな……今回は特別だ」

槐「水銀燈の傷は、私が修復しよう」

巴「! そんなことが出来るのですか?」

槐「ああ、それが……私達の贖罪ということでいいかな?」

薔薇「お父様は……やっぱり……優しい……」

槐「当たり前だ」

301: 2009/01/04(日) 22:11:55.62 ID:Y2K0PBLK0
巴「ここが、水銀燈さんの家です」

槐「どれ、私にかかればすぐに……!」

槐「これは……この感じは……」

巴「どうなされたのですか?」

槐「今の水銀燈に、私の力は必要ないようだ」

巴「それは一体……」

槐「あの男……桜田ジュンは既にマエストロとして、彼女を癒す能力を持っている」

槐「人形の修復に必要なのは技術ではなく思い――心の力なのだ」

槐「使い方を知らずとも、あの暖かい力の近くにいれば、水銀燈は時期に回復するだろう」

槐「私が出て行って、野暮なことをする必要はないのさ」

巴「…………」

313: 2009/01/04(日) 22:25:46.16 ID:Y2K0PBLK0
槐「どうした、帰らないのか?」

巴「はい……私は、やっぱり水銀燈さんに謝ってきます」

巴「何の蟠りもなくまた雛苺に会えるように……自分の犯した罪から逃げず、少しでも償っていきたいんです……」

槐「……そうかい」

巴「エンジュさん、今までありがとうございました。もう会うこともないでしょう……」

槐「それは残念だな……」

巴「では……」

ピンポーン

323: 2009/01/04(日) 22:45:33.12 ID:Y2K0PBLK0
銀「私はねぇ……ずっとジュンの胸の中でこうしていたかったの」

銀「でも、今までのジュンは私一人のものじゃなかったから……すぐにお別れになっちゃって」

JUM「今までは……悲しい思いをさせてごめんよ。でも、これからはずっと一緒だ」

銀「うふふ……嬉しいわぁ」

JUM「水銀燈……」

銀「なぁに?」

JUM「僕たちの過去は……とても歪なものだったかもしれないけど」

JUM「これからの僕たちの未来は、きっと最高のものにしてみせる」

JUM「だから、もう絶対に放さない。愛してるよ……」

銀「私もよぉ……世界で一番……あなたが大好き……」チュ

END

324: 2009/01/04(日) 22:46:21.11 ID:XFDXJq0E0
おつかれさま


337: 2009/01/04(日) 22:53:29.40 ID:Y2K0PBLK0
こんなすっきりしないラストになってしまい、今まで読んでくれていたみなさん、本当に申し訳ありません。

蒼星石に何のフォローもないまま終わったり、終盤になってどうでも良いキャラを前に出したくせに翠星石を出さなかったりと、
グダグダになった上に『みんなが笑って終われるエンド』も達成できずじまいで……。

もうこんな無責任なことはせずに、自分が出来る範囲で最高の成果が出せるようにしたいです。

引用: 蒼星石「いってらっしゃい、あなた……あれ?」2