1: 2009/04/03(金) 16:32:08.76 ID:RpfVvWS40
ジュンの部屋  AM 04:30


バシバシバシバシバシバシバシッ!

ジュン「お前ら鞄から出ろ! 今何時だと思ってるんだ!」

ガチャッ……

真紅「何…………何なの……?」

翠星石「……眠い…………ですぅ……」

雛苺「……ジュンなの……?」

ジュン「おはよう! よく眠れたか!?」

真紅「……ん…………何だと言うの……?」

ジュン「おいおい冗談が過ぎるぞ! 今日が何の日か忘れたのか?」

真紅「……知らないわよそんなもの…………」

ジュン「今日は桜田春のジュン祭りの日だろう!?」
アリスゲーム

7: 2009/04/03(金) 16:34:49.46 ID:RpfVvWS40
翠星石「……翠星石はもう寝るです。おやすみですぅ……」

ジュン「駄目。鞄は没収ですぅ」

翠星石「何しやがるですか! 返せです!」

ジュン「今のお前らに必要なのは鞄じゃなくてコレ」

スッ

真紅「何よ……この大きな布は…………」

ジュン「法被だよ。今日の為に僕が用意したんだ」

翠星石「こんなものいらんから鞄を返してほしいですぅ」

ジュン「法被の左胸に薔薇の刺繍があるだろ? これ僕のお手製」

ジュン「皆の分あるから今すぐ着なさい。はい雛苺」

雛苺「これヒナにくれるの? ありがとなの……」

ジュン「その法被は雛苺専用のものだぞ。薔薇の刺繍が桃色だろ?」

8: 2009/04/03(金) 16:36:20.63 ID:RpfVvWS40
ジュン「こんなところで時間を使いたくないんだよ。早く着てくれ」

真紅「全然丈が合っていないのだわ……」

ジュン「法被ってそういうもんだからさ。翠星石も早く着るんだ」

翠星石「翠星石達は眠いんですぅ……何でこんな事…………」

ジュン「よーっし、全員着たな! じゃあ一階に行くぞ!」

雛苺「もうちょっとお休みしたいの……」

ジュン「何言ってんだ。雛苺はお祭りしたく無いのか?」

雛苺「お祭りするの?」

ジュン「さっきから言ってたろ。桜田春のジュン祭りだって」

雛苺「ヒナちょっと楽しみになってきたの!」

翠星石「おバカ苺! まともな行事のはずがないですぅ!」

ジュン「ついて来い! 一階に突撃だ!」

10: 2009/04/03(金) 16:40:34.74 ID:RpfVvWS40
翠星石「結局一階まで下りてきたですけどぉ……」

真紅「……まだ眠いし寒いし…………気が滅入るわね……」

ガチャッ

ジュン「姉ちゃん、準備はどうだ?」

のり「ジュンくん! 皆は起きたの?」

ジュン「ああ。法被も着せたよ」

蒼星石「それは良かった。出発できるね!」

翠星石「何で蒼星石がここにいるですか!?」

蒼星石「昨日の夜にこっそり来たんだよ。仕込みもあるし」

のり「蒼星石ちゃんが手伝ってくれたから助かっちゃったぁ」

蒼星石「そう言ってもらえると嬉しいな」

ジュン「と言う事は、御輿は完成したんだな?」

13: 2009/04/03(金) 16:47:04.90 ID:RpfVvWS40
のり「モチロン! ねー蒼星石ちゃん?」

蒼星石「うん! そこにあるから見てみてよ!」

真紅「確かにさっきから気になっていたのよね、アレ……」

翠星石「この部屋を占拠する謎の巨大物体ですぅ……」

雛苺「布がかぶせてあるの」

ジュン「この布……取るぞ?」

蒼星石「バサッとやっちゃって!」

バサッ!

ジュン「おお……素晴らしい……」

雛苺「台の上に大きな薔薇の花が乗ってるのー! 金ピカなのー!」

真紅「き……気持ち悪い…………センスを疑うわ」

翠星石「これが……おみこし……? 意識が飛びそうですぅ……」

14: 2009/04/03(金) 16:49:08.63 ID:RpfVvWS40
ジュン「もう時間も押し押しだな。早速出発しよう」

蒼星石「じゃあ、僕も行ってくるね」

のり「行ってらっしゃい。私はここで皆を待ってるから」

ジュン「さぁ皆! 担いで担いで!」

真紅「嫌よそんなもの……」

ジュン「いいから担ぐぞ! 僕が先頭な!」

ググ……

翠星石「お……重い…………」

ジュン「やはりメンバーが足りないか」

蒼星石「ジュン君も入れて今は五人……もっと必要だね」

ジュン「行く先々で補充するさ。姉ちゃん、ちょっと暴れてくるよ!」

のり「頑張ってねジュンくん!」

15: 2009/04/03(金) 16:51:31.07 ID:RpfVvWS40
翠星石「こんなでっかいおみこし……玄関通らないですよ……」

ジュン「? このまま前進するんだよ僕達は」

真紅「前進って……そっちはガラス戸じゃない……」

翠星石「まさか……そんなはずは無いですぅ」

ジュン「出発だぁ!」

ドスドスドスドス…………ガシャアァァァァァンッ!

真紅「きゃああああ!」

翠星石「ガ、ガラスがっ! あぶ危ねーですぅ!」

蒼星石「しまった! すぐ目の前はブロック塀だよ!」

ジュン「かまうな! ひるまず前進だ!」

ガガガ……ガリガリガリ……ドゴオオォォォォンッ!

翠星石「ひぃっ!」

ジュン「はっははは! 桜田春のジュン祭り、開催だぁ!」

17: 2009/04/03(金) 16:53:17.39 ID:RpfVvWS40
蒼星石「いきなり無茶するね。頑丈に造っておいて良かったよ」

ジュン「さて、まずは仲間を迎えに行く」

雛苺「どこに行くの?」

ジュン「最初は柏葉の家だ」

雛苺「トモエ!? わーいなのー!」

ジュン「僕もわーいだ! 早速行くぞぉ!」

翠星石「ちょっと待つです! 真紅がコンクリにやられちまったです!」

真紅「……頭を打ってしまってみたい……痛いのだわ……」

ジュン「最悪ぶら下がってるだけでもいい! 出発!」

ドスドスドスドスドスドスドスドスドス!

真紅「速いっ!? 速いわジュン! もっと速度を落として!」

ジュン「待ってろ柏葉! すぐに合流するぞ!」

20: 2009/04/03(金) 16:55:16.14 ID:RpfVvWS40
ドスドスドスドス……キキィッ!

ジュン「到着だ。皆お疲れさん」

翠星石「うぇぇ……酔っちまったですぅ……」

真紅「痛みが…………増していくのだわ……」

ジュン「かぁしわぁばぁー! 迎えにきぃたぞぉー!」

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!

ジュン「誰かいませんかー!? むっかえに来ましたー!」

ドタドタドタドタ……ガチャッ!

巴「桜田君何してるの!? 今何時だと思ってるの!?」

ジュン「おはようさん」

巴「おはようさんじゃ無いよ! 何そのでっかい薔薇の置物!?」

真紅「(巴はこちら側の人間なのね。良かった……)」

22: 2009/04/03(金) 16:57:09.77 ID:RpfVvWS40
巴「近所迷惑だから帰ってよ!」

ジュン「……これを見ろ。柏葉」

スッ……

巴「これは……」

ジュン「左胸に桃色の薔薇の刺繍が入った法被だ。雛苺とお揃いの」

雛苺「トモエとお揃い嬉しいのー!」

巴「雛苺も法被を……まさか、桜田君ついに!?」

ジュン「ああ……今日は桜田春のジュン祭りだ!」

巴「は、早く言ってよー! すぐに支度してくるから!」

翠星石「巴もあっち側の人間だったですか……」

真紅「せっかくの常識人が…………消えてしまったわね」

蒼星石「二人とも元気出しなよ」

23: 2009/04/03(金) 17:00:05.53 ID:RpfVvWS40
巴「お待たせ」

ジュン「おぉ……柏葉、ちょっと大胆過ぎやしないか?」

巴「どうして? 裸にサラシ姿は基本よ?」

雛苺「トモエかっこいいのー!」

巴「ありがと雛苺。雛苺とお揃いの法被、今着るね」

蒼星石「これで一人増えたね。これからどうする?」

ジュン「あの馬鹿コンビのところへ行く」

真紅「もしかして金糸雀とみっちゃんさんのところ?」

ジュン「うん。家の場所が分からないから厳しいけど」

巴「じゃあ駄目じゃない……」

ジュン「何かいい方法は無いかな。皆も考えてくれ」

蒼星石「そうだ! ひらめいたよジュン君!」

24: 2009/04/03(金) 17:03:05.43 ID:RpfVvWS40
蒼星石「nのフィールドから行けばいいんだよ!」

ジュン「確かにそれなら……意外と簡単かもな……」

ジュン「よし! nのフィールドを使うか!」

翠星石「入口はどうするですか……?」

ジュン「あ……そうだな。柏葉、大きな鏡とかある?」

巴「ごめんなさい。持って来れるものは手鏡くらいしか……」

ジュン「それじゃ駄目だな。多分、御輿の薔薇がもげてしまう」

蒼星石「どこかに入口は無いかなぁ……」

真紅「……ジュン、私に心当たりがあるわ」

ジュン「本当か!? 偉いぞ真紅!」

翠星石「ちょっと真紅!? 何を協力してるですか!」

25: 2009/04/03(金) 17:05:37.43 ID:RpfVvWS40
真紅「あそこなら入口もあるし、それに……」

蒼星石「まさかその場所は……彼女の?」

真紅「きっと、力になってくれるわ。多分」

ジュン「真紅がそこまで言うならいいだろう。案内してくれ」

真紅「ホーリエ! 道案内お願い!」

パァァァァ……スィー

ジュン「ホーリエの後を追うぞ!」

翠星石「真紅! その場所ってあいつのところですよね!?」

真紅「貴女の予想は合っていると思うわ。あの子のところよ」

翠星石「何でジュンの味方をするですか! 場所まで教えて!」

真紅「どうせやらされるなら……あの子も道連れにしようと思ったのよ」

翠星石「真紅……」

26: 2009/04/03(金) 17:08:08.34 ID:RpfVvWS40
ジュン「揺らせ揺らせぇ! 御輿を揺さ振れぇっ!」

ドスドスドスドスドスッ!

真紅「ジュン! もう少しで到着するわ!」

ジュン「よし! このままの速度で行くぞぉ!」

真紅「(ふふふ……私達だけ辛い思いをするなんて勘弁よ……!)」

……………………

旧礼拝堂


水銀燈「ふぁ……おふぅぁ…………よく寝たぁ……」

水銀燈「まだこんな時間……ちょっと早起きし過ぎたわねぇ」

水銀燈「…………紅茶でも淹れようかしらね」

27: 2009/04/03(金) 17:14:14.84 ID:RpfVvWS40
ガサ……ゴソゴソ

水銀燈「あー……ティーパックしか無いわね。まぁいいかぁ」

水銀燈「後はお湯を沸かして……」

ゴォンッ!

水銀燈「ひっ! な、何よぉ!」

ゴォンッ!

水銀燈「扉の方から聞こえるわよねぇ!? そうよねメイメイ!?」

ゴォンッ!

水銀燈「ひぃっ! ドアがひしゃげていく……」

ゴォンッ! ミシミシミシッ!

水銀燈「何なのよぉ! 何かがドアを破ろうとしてるわけぇ……?」

29: 2009/04/03(金) 17:18:56.18 ID:RpfVvWS40
水銀燈「静かになった……一体どうしてこん」

ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンッ! バキャアァァァァァンッ!

水銀燈「ぎゃああああああ!」

ドスドスドスドス…………ガシュウゥゥン……

ジュン「お待たせ」

翠星石「ぺっぺっ! 木くずで汚れちまったですぅ!」

真紅「どうして扉を突き破る必要があるのよ……」

蒼星石「それが御輿の、ひいてはお祭りの醍醐味だからだよ」

水銀燈「何なのよぉ! どうして貴女達がここに来るのよぉ!」

蒼星石「水銀燈を迎えに来たんだよ」

水銀燈「意味が解らないわ! 帰って頂戴よ!」

30: 2009/04/03(金) 17:20:58.48 ID:RpfVvWS40
ジュン「これどうぞ」

水銀燈「何なのよ……この大きな布は……」

ジュン「水銀燈専用の法被だよ。黒薔薇の刺繍が左胸にあるだろ?」

水銀燈「あるけど……だから何なのよ!」

ジュン「さっきから何よ何よばっかりだな」

水銀燈「だったら今の状況を説明しなさいよ!」

巴「今日はお祭り」

雛苺「ジュン祭りなのー!」

ジュン「そうなのー!」

水銀燈「馬鹿じゃないの……それが何だって言うの?」

蒼星石「それで、御輿の担ぎ手として水銀燈を迎えに来たんだよ」

水銀燈「はぁ!?」

32: 2009/04/03(金) 17:26:07.58 ID:RpfVvWS40
水銀燈「私がその大きな金の薔薇がついた台を担ぐわけぇ!?」

蒼星石「そうだよ。飲み込みが早いね」

水銀燈「ばっ……馬鹿じゃないのぉ!? やるわけ無いでしょそんな事!」

ジュン「是非担いでくれ。法被も着てくれ」

水銀燈「こんなもの返すわよ!」

ジュン「もう……何が不満なんだよ」

水銀燈「全て! だからさっさと帰って頂戴!」

ジュン「ハァ…………お前は誤解してるな」

水銀燈「誤解ですってぇ?」

ジュン「祭りの素晴らしさを解ってない……」

水銀燈「そんなもの見出せないわよ……少なくとも貴方達からは……」

33: 2009/04/03(金) 17:30:34.78 ID:RpfVvWS40
ジュン「祭りはな、参加すると元気になれるんだ。見るだけでも楽しい」

水銀燈「私は今のままでも元気だから別に……」

ジュン「そして誰かに勇気を与え、自分も勇気を貰う。それがジュン祭りさ」

水銀燈「誰かに勇気を……?」

ジュン「そう。誰かに、大切な誰かに勇気を……そして愛を」

水銀燈「(誰かに……勇気、か……)」

ジュン「水銀燈は担ぎ手として不可欠な存在なんだ。薔薇乙女の姉妹だもの」

ジュン「強く思うんだ、担ぎたいと。そして願うんだ、叶えたいと」

水銀燈「何を叶えるのよぉ……」

ジュン「誰かに勇気を届けたいという、暖かな希望さ」

水銀燈「(誰かに……誰…………そうだわ、あの子……!)」

真紅「(ジュンは何を言っているのかしら……)」

34: 2009/04/03(金) 17:33:34.97 ID:RpfVvWS40
水銀燈「……分かったわよ。どうせ断っても無理にやらせるつもりでしょうし」

ジュン「やったぁ! ささっ、法被を着てくれ!」

水銀燈「……でも、一つだけ条件があるわ」

ジュン「条件?」

水銀燈「このお御輿で立ち寄って欲しい場所があるのよ。行ってくれるなら仲間になるわ」

ジュン「なるほど……よし、いいだろう!」

水銀燈「そう。それじゃ、私も参加しましょうかしらね」

蒼星石「良かった良かった」

真紅「(仲間になるまでのドラマが私よりも綺麗なのだわ……)」

ジュン「水銀燈。実はな、まだ合流しなきゃならない人達がいるんだよ」

ジュン「だから水銀燈の望みを叶えるのは全員が揃ってからでもいいか?」

水銀燈「そうね……それで構わないわ」

35: 2009/04/03(金) 17:37:43.92 ID:RpfVvWS40
ジュン「よし! 皆担げ! nのフィールドへ行くぞ!」

水銀燈「よいしょっと……お、重……」

翠星石「肩にしっかり乗せないと危ないですよ」

水銀燈「っと……これでいいかしら」

蒼星石「似合ってるよ水銀燈」

ジュン「よーし入口はどこだ!? 水銀燈、nのフィールドへの入口を教えてくれ!」

水銀燈「nのフィールドを使うつもりなの?」

ジュン「まぁね。で、水銀燈は普段どこから入るんだ?」

水銀燈「あそこよ。水かめみたいなやつが見えるでしょう?」

巴「…………狭い、ね……」

ジュン「薔薇御輿がぶっ壊れるぞ……」

36: 2009/04/03(金) 17:40:33.92 ID:RpfVvWS40
ガツンッ!

水銀燈「止めて! 入口が壊れちゃうじゃない!」

ジュン「お前らもっと押し込め! 全力出してるのか!?」

蒼星石「もっとこう……スポンと行くと思ったんだけど、そうでも無いね」

翠星石「普通はスポンと入るです。nのフィールドがこの薔薇御輿を拒否してるです!」

ジュン「根も葉も無い事を言うな! 僕がデザインした一点物なんだぞ!」

巴「見て! ちょっとずつだけど入ってる!」

ジュン「このまま行け! 手を緩めるなよ!」

ミシミシ……ビキッ……

水銀燈「お願いもう止めて! 割れちゃうからぁ!」

ジュン「多分大丈夫だから心配するな!」

37: 2009/04/03(金) 17:46:41.11 ID:RpfVvWS40
ズズズ……スポーンッ!

ジュン「御輿が入った! 僕達もすぐに行くぞ!」

水銀燈「うう……フィールドへの入口が……」

蒼星石「仕方無いよ。御輿を置いていくわけにはいかないし」

真紅「後で巴から手鏡を貰うといいのだわ」

水銀燈「いらないわよ……お馬鹿さん…………うう……」

……………………

翠星石「nのフィールドに入ったですけどぉ……」

真紅「これから金糸雀とみっちゃんさんの所へ行くわけね」

ジュン「いや……実はその前にもう一つ行くところがあるんだ」

真紅「これ以上どこに行くと言うの?」

38: 2009/04/03(金) 17:48:21.77 ID:RpfVvWS40
翠星石「(なーんとなく嫌な予感がするですぅ)」

ジュン「あいつのところだよ。ここからじゃ無いと行けないだろ?」

真紅「まさか……そんなはず無いわよねジュン」

ジュン「雪華綺晶のところだよ」

翠星石「ぜっ……………………たいに嫌ですぅ!」

真紅「危険過ぎるわ! 雛苺はあの子に食べられかけたのよ!」

雛苺「ヒナもちょっと怖いの……」

翠星石「ただでさえ好戦的な奴ですぅ! こんなふざけた格好で行ったら……」

真紅「この御輿も相まって、確実に攻撃の対象になるわよ!」

ジュン「…………馬鹿が……」

真紅「……ジュン?」

ジュン「お前ら……お前らは大馬鹿野郎どもだっ!」

39: 2009/04/03(金) 17:51:53.54 ID:RpfVvWS40
ジュン「危険だと!? 自分の姉妹に対して危険とは何だ!」

翠星石「でも好戦的なのは確かです! そこは水銀燈を上回るですよ!」

水銀燈「何よそれ……でもまあ、そう言えるかもねぇ」

ジュン「好戦的か。だから何だ」

真紅「だから……だから襲われるかもしれないと言う事よ!」

ジュン「好戦的なのは結構じゃないか。担ぎ手としては最高だ!」

雛苺「でも……何だか怖いの」

ジュン「お前らは忘れてる。雪華綺晶とお前らは姉妹なんだぞ」

翠星石「そりゃそうですけど……でも……」

ジュン「お前ら普段はお父様が何だとか言うくらい父親大好きなくせに……」

ジュン「その父親が作った自分達の妹は好きじゃないってのか!」

40: 2009/04/03(金) 17:55:46.69 ID:RpfVvWS40
俺以外いないのでは

43: 2009/04/03(金) 18:02:40.45 ID:RpfVvWS40
ジュン「父親が好きなら、父親の作った雪華綺晶も好きになれよ!」

ジュン「それとも雪華綺晶とは一緒にお祭り出来ませーん、盛り上がれませーんってか?」

ジュン「ふぬけ! ジュン祭りを舐めるなよ!」

雛苺「…………ヒナ、雪華綺晶を迎えに行くの」

巴「雛苺…………また襲われちゃうかも知れないのよ?」

雛苺「ヒナは雪華綺晶と一緒にお祭りしたいの。皆で一緒がいいの!」

巴「雛苺……」

雛苺「仲間外れはいないの! ヒナは雪華綺晶のお姉さんだもの!」

水銀燈「中々言うのねぇおチビちゃんも」

翠星石「仕方ねーです。これはいっちょ、腹くくるしかねーですぅ!」

真紅「雛苺に言われては、反対し続けるわけにもいかないわね」

44: 2009/04/03(金) 18:04:30.47 ID:RpfVvWS40
ジュン「満場一致だな。雪華綺晶のところへ行くぞ」

蒼星石「場所は分かっているのかい?」

ジュン「人工精霊で探してくれよ」

真紅「結局は私達を頼るのね…………ホーリエッ!」

ジュン「居場所が見つかるまで休憩! 休んどけよ!」

翠星石「偉そうにすんなですぅ! 頼んだですよスィドリーム」

蒼星石「レンピカ、任せたよ」

水銀燈「こんな事で私の人工精霊を…………メイメイ、行って来なさい」

雛苺「ベリーベルそっちじゃないのよ! そっちは出口よ!」

巴「何だかんだ言って皆楽しそうね」

ジュン「お祭りだからな」

……………………

45: 2009/04/03(金) 18:06:04.97 ID:RpfVvWS40
nのフィールド 第?????世界


雪華綺晶「(最近、姉妹の誰も私の茨にかからない……)」

雪華綺晶「(気づけば私の周りも茨まみれ……でもこれはこれで落ち着く)」

雪華綺晶「(いっその事、私から仕掛けてみる……?)」

ピクンッ……

雪華綺晶「……何……?」

雪華綺晶「(一瞬だけど茨に何か当たった。遠くの方だから心配いらないけど……)」

雪華綺晶「誰が来たの……?」

ピクンッ…………プツッ!

雪華綺晶「……! 遠くに仕掛けてある茨が切れた……!」

雪華綺晶「(恐らくあそこに真紅達がいる……身動きが取れない状態になって!)」

46: 2009/04/03(金) 18:08:47.62 ID:RpfVvWS40
雪華綺晶「出迎えに行ってあげましょう……お姉様……!」

プツンッ……

雪華綺晶「また……?」

プツップツッ……

雪華綺晶「(おかしい……次々と茨が切られていくのが分かる……!)」

雪華綺晶「がんじがらめになって動けなくなるはずなのに……!」

プチン……プチンッ……

雪華綺晶「この感覚は……ドールじゃない。もっと大きな物体」

雪華綺晶「茨は引き千切られているんだわ……強力な力で無理矢理に」

雪華綺晶「(お姉様が何か武器を? だとしても大き過ぎる)」

プチィン……

雪華綺晶「近づいて来る……!」

48: 2009/04/03(金) 18:10:40.92 ID:RpfVvWS40
雪華綺晶「(私の周りは茨で囲んである。決して切られる事は無い頑丈なもの)」

雪華綺晶「……私のところまで来れるはずが無い……大丈夫」

雪華綺晶「? 今……地鳴りの様な音が聞こえた……!」

ドガンッ!

雪華綺晶「きゃっ!? まさか既に私のすぐそばまでっ!?」

ドガガガガガガガガガガガガガッ!

雪華綺晶「私を守る茨が……裂け始めて……」

ブチブチブチブチブチブチブチブチブチブチッ! 

雪華綺晶「こ、来ないで……ここまで来ないでっ……!」

ブチブチ……ピシッ!   ドゴォォォォォォォォォンッ!

雪華綺晶「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ジュン「お待ちどおぉぉぉさまぁぁぁぁぁー!」

50: 2009/04/03(金) 18:12:07.37 ID:RpfVvWS40
パラパラ……パラ……

ジュン「全く……茨だらけでまいったよ」

蒼星石「結局は引き千切りながら進んでたよね」

翠星石「皆見るです! 雪華綺晶ですよ!」

雪華綺晶「何……何なの貴女達は……!?」

真紅「あんなに震えて……よほど怖かったのね」

翠星石「気持ちは痛い程解るですぅ……」

ジュン「おはよう雪華綺晶。僕は真紅の契約者のジュン」

雪華綺晶「どうしてここにっ……!」

ジュン「雪華綺晶。さっそくだけど僕達と一緒に行こう」

雪華綺晶「何を言っているの……?」

ジュン「何も考えなくていいんだ。行こう」

51: 2009/04/03(金) 18:13:41.87 ID:RpfVvWS40
ジュン「この御輿を僕達と一緒に担いで欲しいだけなんだ」

雪華綺晶「それを使ってここまで来たのね……!」

ジュン「頼むよ。雪華綺晶の力が必要なんだ」

雪華綺晶「何を馬鹿な事を……私はこんなものに興味は無い」

ジュン「後から楽しくなるよ。だから一緒に行こう」

雪華綺晶「私はアリスになれる唯一のドール……そんなくだらない事はしない……」

ジュン「くだらないのはそっちだ。一緒に仲良く担ぐんだ!」

雪華綺晶「貴方達だけでやっていればいい……! 私には関係無い!」

ジュン「関係無くないっ! アリスも御輿も同じだっ!」

雪華綺晶「そんなものと一緒にしないで……」

ジュン「御輿も担げない様な奴がアリスという大役を担げると思っているのかっ!?」

雪華綺晶「……………………?」

52: 2009/04/03(金) 18:15:30.33 ID:RpfVvWS40
水銀燈「ねぇ真紅。あれ何言ってるわけぇ? 訳して頂戴よ」

真紅「私でも理解出来ないわ。雪華綺晶が可哀想に思えるくらいだもの」

ジュン「これで分かったろ!? アリスになれると思って担ぐんだ!」

雪華綺晶「アリスに必要なのはローザミスティカ。その御輿では無い」

ジュン「違う! その情報は……まやかしだ!」

真紅「まやかしでは無いわよ……!」

ジュン「アリスへの思いを御輿にぶつけるんだ! ローザミスティカなんて関係無い!」

雪華綺晶「貴方の言っている事が全く理解出来ない……」

雪華綺晶「(だけど何で……? どうしてこんなにも胸の奥が熱いの!?)」

ジュン「ハートに火をつけるんだ雪華綺晶」

雪華綺晶「ハートに火を……!」

54: 2009/04/03(金) 18:19:02.29 ID:RpfVvWS40
ジュン「頭で理解するな。心で感じるんだ!」

雪華綺晶「心……私の心で感じる……」

ジュン「御輿を担ぐ皆の姿が、お前の……お前のアリスだっ!」

雪華綺晶「私の…………アリス……!」

雛苺「ジュンの言ってる事が解んないの。教えてトモエー」

巴「ごめんね雛苺。流石に私でも解んない」

ジュン「来てくれるか……雪華綺晶」

雪華綺晶「でも、私には体が無いから……もしも外に出るつもりなら私……」

ジュン「心配するな。おい真紅!」

真紅「まさか私の体を!? 今度こそ見損なったわ!」

ジュン「違う。御輿の中身を取り出してくれ」

真紅「中身……?」

57: 2009/04/03(金) 18:21:31.40 ID:RpfVvWS40
水銀燈「この薔薇、取れるみたいよ」

翠星石「せーので持つです…………せーの!」

ゴォンッ!

雛苺「重かったのよ。中に何が入ってるの?」

真紅「これは……人形じゃないの! 私達と同じサイズの!」

ジュン「装飾も何もされていない人形だよ。ピザで言う生地の段階だ」

雪華綺晶「まさか私の為に用意して……!?」

ジュン「作るのに御輿と同じくらい時間を使っちゃったけどな」

雪華綺晶「どうして!? 私は貴方達を襲った事もあるのに……」

ジュン「僕が姉妹のうち、誰か一人でも仲間外れにするわけ無いだろ?」

翠星石「ジュン……」

58: 2009/04/03(金) 18:23:58.44 ID:RpfVvWS40
雪華綺晶「………………グスッ……」

水銀燈「貴女、もしかして泣いてるわけぇ?」

雪華綺晶「グスッ……泣いてません。人形を持ってきて下さい」

ジュン「ほら。これで外に出られるぞ」

真紅「見て! 雪華綺晶が人形の中に入っていく……」

パアァァァァ……

雪華綺晶「これで私も……外に出られる……」

ジュン「皆で行こうな。雪華綺晶」

雪華綺晶「……はい!」

ジュン「よしよし。それじゃあ雛苺、この法被を受け取れ!」

雛苺「うゆ? どうして法被をヒナにくれるの?」

ジュン「お前が雪華綺晶に渡すんだ。その法被を」

59: 2009/04/03(金) 18:26:16.12 ID:RpfVvWS40
雛苺「え…………あ、はいなの……」

トコトコトコトコ……

雛苺「えっと、あの……」

雪華綺晶「…………雛苺、私は貴女に」

雛苺「これ! 雪華綺晶のなの!」

雪華綺晶「……ありがとう。でも私は貴女に、」

雛苺「これで皆と雪華綺晶は一緒ね! お揃いなのよ!」

雪華綺晶「雛苺……………………ありがとう」

翠星石「(ジュンでも良い事するんですねぇ)」

ジュン「よし! これで残すはあの馬鹿コンビだけだ!」

蒼星石「ちょっとここでゆっくりし過ぎたね。急ごうか」

62: 2009/04/03(金) 18:28:16.95 ID:RpfVvWS40
真紅「でも金糸雀達の居場所は分からないんでしょう?」

翠星石「デカ人間の家に繋がる扉を探すですぅ」

雪華綺晶「私……それがどこにあるか知っている」

ジュン「何だって!?」

雪華綺晶「ドールの契約者の居場所なら分かる」

巴「これで解決ね桜田君」

ジュン「案内してくれ雪華綺晶。皆でそこに向かう!」

蒼星石「薔薇を台に戻さないと……せーの!」

ゴォォンッ!

ジュン「よーし。もう一度担げ! 最後の担ぎ手を捕まえに行くぞ!」

雛苺「一緒に頑張るのよ雪華綺晶!」

雪華綺晶「……うん」

63: 2009/04/03(金) 18:30:10.19 ID:RpfVvWS40
みっちゃんの家 リビング


みつ「はいカナ、あーんしてぇ☆」

金糸雀「あーん」

パクッ

みつ「美味しい?」

金糸雀「美味しいかしら!」

みつ「カナぁぁぁぁー!」

ガタンッドスッガタタタッ!

金糸雀「痛たた……飛びつくのは危ないかしら!」

みつ「だってぇー可愛かったんだもーん☆」

金糸雀「でも、みっちゃんが嬉しいなら金糸雀もそれでいいかしら!」

みつ「か……金糸雀、かわいいぃぃぃぃぃぃぃぃー!」

66: 2009/04/03(金) 18:32:56.84 ID:RpfVvWS40
みつ「有給取った甲斐があったよぉぉぉぉぉ! カナぁぁぁぁ!」

金糸雀「ほっぺが摩擦で……あれ?」

みつ「どしたの?」

金糸雀「今一瞬だけど、そこの鏡の表面が歪んだ様な……」

みつ「きっと錯覚だって。そんな事より、みっちゃんとくっつき合いっこしようよー」

金糸雀「えー/// どうしようかしらー///」

みつ「いいじゃんいいじゃーん///」

グワンッ!

金糸雀「かしらっ!」

みつ「どうしたの!?」

金糸雀「絶対に動いた……鏡の中に何かいるかしら!」

67: 2009/04/03(金) 18:38:23.30 ID:RpfVvWS40
グワァァァァン……

みつ「波打ってるよ……どうしよう……」

金糸雀「みっちゃんは後ろに! 何が出てくるか分からないかしら!」

みつ「……そうだ閃いた! そこの机でバリケードを作ればいいんだよ!」

金糸雀「良い考えかしら! さすがみっちゃん!」

みつ「よいしょ! カナも引っ張って!」

金糸雀「よいしょー! これで何も出てこられないかしら!」

『ちょっと待って!』

みつ「ん? 今何か聞こえなかった?」

金糸雀「聞こえたかしら。鏡の中から……」

みつ「鏡に近づいてみよっか……怖いから一緒に来て」

75: 2009/04/03(金) 19:18:25.58 ID:RpfVvWS40
『待ってくれ! 止まるんだ!』

金糸雀「誰かが中で叫んでるかしら?」

『お前ら後ろにいるから見えないだろうけど、出口の前に何かでかいものがあるんだよ!』

『このまま行けば僕は挟まってしまう! 止まってくれ!』

みつ「どっかで聞いた様な声だなぁ……」

『お願いだ一旦止まってくれ! 止ま…………止まれよお前らぁっ!』

金糸雀「聞き取りにくい……みっちゃんも鏡に近づくかしら」

ズズズッ!

みつ「ん?」

ズズ……ドガァァァァァァァァァァンッ!

ジュン「ぎゃああああああああああああ!」

みつ「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

金糸雀「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

76: 2009/04/03(金) 19:26:07.48 ID:RpfVvWS40
ガシャアァァン……

巴「人の部屋ってここまで壊れるものなのね……」

翠星石「見るです真紅! 御輿が壁にめり込んでるですぅ!」

雛苺「迫力満点なの」

水銀燈「もう信じられなぁい! 髪が乱れちゃったじゃない!」

真紅「自分で整えなさい…………あら、金糸雀達がいないわね」

翠星石「ジュンもいないですよ」

蒼星石「まさか……! 皆、御輿を壁から引き抜くんだ!」

グググ……

真紅「まるで壁の一部だったかの様だわ! 全然抜けない!」

蒼星石「でも僅かだけど動いている! 引き抜くんだ!」

77: 2009/04/03(金) 19:32:30.14 ID:RpfVvWS40
ガガッ…………ズボォォォ……

真紅「抜けた……!」

水銀燈「ちょっとぉ! あれを見なさい!」

ジュン「ぉ……ぅ……」

みつ「ぅぅ……」

金糸雀「かし……らぁ……」

蒼星石「ジュン君が二人に覆い被さっている……」

巴「きっと二人を衝撃から守る為に自らを犠牲にしたんだと思う」

真紅「ジュン……しっかりしなさい! 起きて!」

ジュン「ぅ……お……う…………真紅か……?」

真紅「意識が戻ったのね! 良かった!」

ジュン「何が起きたか分からない……どうなったんだ……?」

78: 2009/04/03(金) 19:40:18.17 ID:RpfVvWS40
みつ「うん? あれ、ジュンジュン……? 何でここに……」

金糸雀「皆揃ってどうしたかしら……?」

ジュン「実は……ゴホッゴホッ…………蒼星石、説明頼む……」

蒼星石「今日は桜田春のジュン君祭りだから、二人を迎えに来たんだよ」

みつ「桜田春の……!」

金糸雀「……ジュン祭り!」

みつ「ちょっと! だったらもっと早く起こしてよー!」

金糸雀「こうしちゃいられないかしら!」

蒼星石「はいこれ法被。二人とも黄色の薔薇のやつだよね」

真紅「二人とも疑問を抱かない……これは一体どういう事?」

ジュン「……事前連絡…………したから……ゴホッ……」

80: 2009/04/03(金) 19:48:15.12 ID:RpfVvWS40
みつ「法被は似合ってるかな?」

金糸雀「かっこいいかしら!」

みつ「カナも似合ってるゾ! このこのっ///」

金糸雀「止めてかしら/// えいっ///」

ジュン「二人ともそのくらいにしてくれませんかね」

みつ「ジュンジュン、これで全員揃ったの?」

ジュン「まぁ連絡していた限りでは」

真紅「これからどうするつもり?」

ジュン「街中を爆走したいところだけど……その前に一つやる事が」

真紅「?」

ジュン「水銀燈。立ち寄りたいと言っていた場所を教えてくれ」

水銀燈「あったわねぇそんな約束……」

81: 2009/04/03(金) 19:53:24.21 ID:RpfVvWS40
ジュン「メンバーは集まったからさ。場所はどこだ?」

水銀燈「そうね……ちょっと耳を貸しなさい」

ジュン「何だ?」

真紅「耳打ちする事なのかしら」

翠星石「言い辛い内容なのかもですぅ」

ジュン「……そんな事ならお安い御用だ! 皆、水銀燈がいた場所まで戻るぞ!」

真紅「どうして?」

ジュン「そこからが一番近いらしいからな……」

翠星石「行ってみれば分かる事ですかね」

ジュン「そのとおりだ。出発しよう!」

……………………

82: 2009/04/03(金) 19:57:44.16 ID:RpfVvWS40
とある病院の一室


めぐ「はぁー……退屈」

めぐ「(最近、水銀燈が来てくれない……何かあったのかな……)」

めぐ「もしかして嫌われちゃったのかなぁ……」

めぐ「契約までしたのに……会いたいなぁもう!」

めぐ「はぁぁー…………水銀燈……」

コンコンッ

めぐ「窓ガラスの方から聞こえたわ! 水銀燈なの!?」

カラカラカラ……

水銀燈「調子はどう?」

めぐ「水銀燈! 会いに来てくれたのね!?」

水銀燈「ええ……まぁ一応」

83: 2009/04/03(金) 20:04:30.63 ID:RpfVvWS40
めぐ「中に入ってよ。せっかく来たんだもの」

水銀燈「いや、今日はただ来たわけじゃ無いのよ。ちょっと用があってね」

めぐ「用? 水銀燈が私に?」

水銀燈「とにかく窓から顔を出して頂戴。落ちない様にね!」

バサァッ!

めぐ「ちょっと水銀燈! どこ行くのよ!」

水銀燈「下よ!」

めぐ「下って………………これはっ!?」

ジュン「初めましてー!」

めぐ「あそこにいるのは水銀燈の妹達…………何あの大きな薔薇は!?」

ジュン「これはお御輿ですっ! 一点物でーすっ!」

めぐ「病院生活が長いから……お御輿があんな形になってたなんて知らなかった……」

84: 2009/04/03(金) 20:08:47.42 ID:RpfVvWS40
ジュン「今から祭りを始めまーす! だから見ていて下さい!」

水銀燈「落ちちゃ駄目よぉ! 窓から出すのは顔だけよ!」

めぐ「祭り……? どうしてここでっ!?」

ジュン「お祭りは人に勇気を与える! 水銀燈が僕達をここへ呼んだんだ!」

めぐ「水銀燈が!? 私に勇気を与える為に?」

ジュン「そんな大袈裟な事じゃないよ! 大切な人の為に、誰だってやる事さ!」

水銀燈「余計な事は言わなくていいのよ! 早く始めなさい!」

雛苺「ヒナ達がんばるから見ててなのー!」

ユッサユッサユッサユッサ……

めぐ「皆がお御輿を担いでる……大きな薔薇が揺れているわ」

めぐ「い……意味が解らない。私はどうすればいいのかな……」

85: 2009/04/03(金) 20:13:34.88 ID:RpfVvWS40
コンコン……ガララッ

めぐ「誰!?」

のり「ごめんなさい、勝手に入っちゃって。桜田のりって言います」

めぐ「のり……?」

のり「初めまして、めぐさん。私は下でお御輿を担いでいるジュンくんのお姉さんしてます」

めぐ「はぁ……」

のり「眼鏡をかけている男の子よ。私はジュンくんに家にいろって言われてたんだけど……」

のり「心配になって思わず来ちゃったぁ」

めぐ「そうですか……はぁ……」

のり「隣に行ってもいい?」

めぐ「ええ……どうぞ……」

86: 2009/04/03(金) 20:16:31.53 ID:RpfVvWS40
のり「やってるわねぇ。あんなにお御輿が揺れてる……」

めぐ「あの……あれは何を……」

のり「めぐさんを元気付けているのよ」

めぐ「私を……?」

のり「ジュン君達がここに来たのは、見て欲しい人がここにいたからよ」

めぐ「それが私なんですか……?」

のり「そうみたいね」

めぐ「さっきの人が言ってた…………呼んだのは水銀燈だって。私の為に皆を」

のり「めぐさんは水銀燈ちゃんに大切に思われているのねぇ」

めぐ「いつも私が一方的に迫っていたのに……」

のり「気づかないところでお互いに触れ合っていたのね」

88: 2009/04/03(金) 20:20:06.75 ID:RpfVvWS40
めぐ「お御輿を担いでいる水銀燈のあの顔……あんな顔初めて見るわ」

のり「楽しそうね……今の貴女も同じ顔よ」

めぐ「えっ…………あ///」

のり「うふふ。水銀燈ちゃんの願いは叶ったみたいね」

めぐ「……ちょっと元気出てきたかも。私、これから頑張ってみようかな」

のり「めぐさんがそう思ってくれたら皆喜ぶわ」

めぐ「あの……私の為にありがとうございます」

のり「お礼は言わなくていいのよぅ。めぐさん、下を見てみて」

めぐ「まだ揺らしてる…………楽しそう……」

のり「ジュンくんが一番楽しそうにしてるわ……男の子っていいわね」

めぐ「そうですね……」

90: 2009/04/03(金) 20:22:41.18 ID:RpfVvWS40
ジュン「いつまで揺らしてればいいんだ!?」

水銀燈「まだめぐが見てるでしょう!? もう少しよぉ!」

みつ「これ以上は……みっちゃん氏んじゃうかも……」

真紅「休憩しましょ……休憩」

水銀燈「もっと本気でやりなさいよぉ!」

ゾロゾロ……ゾロゾロ……

巴「桜田君……病院の人が出てきたよ」

金糸雀「患者さんかしら!?」

ジュン「馬鹿……患者が白衣を着てるかよ……!」

翠星石「電話しながらこっちを睨んでやがるですぅ!」

ジュン「しまった! 通報されたか!」

91: 2009/04/03(金) 20:23:23.58 ID:RpfVvWS40
>>89
え    マジっすか?

94: 2009/04/03(金) 20:30:32.48 ID:RpfVvWS40
めぐ「あ、お御輿が逃げて行く……」

のり「ジュンくーん! お夕飯までには戻ってきてねー!」

ジュン「分かったー! ちょっと行って来るから!」

真紅「どこに行くのよ!?」

ジュン「捕まらないところだよ」

雪華綺晶「(ついて来なければ良かった)」

めぐ「水銀燈ー! 後で戻ってきてね! 話したい事がいっぱいあるの!」

水銀燈「分かったわー! また後でねー!」

ファンファンファンファン……

ジュン「この年で前科持ちは困る……逃げる用意をするんだ!」

95: 2009/04/03(金) 20:31:15.87 ID:RpfVvWS40
>>93
確かYJの方のローゼンで言ってたな

96: 2009/04/03(金) 20:34:51.85 ID:RpfVvWS40
水銀燈「めぐに会うまでは捕まっていられないわね」

金糸雀「早く逃げなきゃかしら!」

翠星石「さっさと出発するですぅ!」

蒼星石「ジュン君、こっちは準備出来てるよ」

真紅「今日は最悪の日ね。忘れられないのだわ」

雛苺「サイレンがどんどん近づいてくるのー!」

雪華綺晶「あ……私の法被、白薔薇が刺繍してある…………へぇ……」

巴「桜田君、いつでもどうぞ」

みつ「ド派手にやっちゃおう!」

ジュン「全速力で逃げ切るぞぉ! 掛け声出していけぇ!」


――――わっしょいっ!



終わり

105: 2009/04/03(金) 21:39:17.08 ID:djPtwmJq0
乙。面白かったw

引用: 桜田 春のジュン祭り