1: 2009/04/14(火) 23:25:11.42 ID:UhJk9Co/0
?『そうそう、お父さんだよ』

水銀燈「! そ、そんな…お父様がどうして…何百年ぶりですか?」

?『え? 何百年…?』

水銀燈「え?」

?『あ、いやいや、何百年ぶりだね』

水銀燈「あ、ええ…。そ、それにしても…うう…こうやってお父様が電話して来てくださるなんて…」

水銀燈「でも、どうしてお父様が私の番号を?」

?『娘の番号なんてすぐにわかるよ。親子じゃないか』

水銀燈「お父様…嬉しいです。でも…ちょっとお声が悪く無いですか?」
ローゼンメイデン 愛蔵版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
3: 2009/04/14(火) 23:27:14.34 ID:UhJk9Co/0
水銀燈「ガマガエルが半分潰されたまま鳴いている様なお声ですよ?」

?『…ちょっと、風邪気味でね』

水銀燈「まぁ、可哀想なお父様…体調が宜しくない時にかけてきてくださるなんて感激です…」

?『喜んでくれて嬉しいよ。ところで…えーと』

水銀燈「お父様? 水銀燈に何かご用ですか?」

?『! そうそう、水銀灯、水銀灯にちょっとね。実は…お父さん、この前サブプライムローンのあおりを受けて、株でかなり損をしてしまったんだ…』

水銀燈「……。ええっ!?」

?『それで…借金が出来てしまってね』

水銀燈「お父様も意外に俗っぽい事なさるのね」

?『実はそうなんだ。それで、水銀灯にちょとお願いが…』

5: 2009/04/14(火) 23:29:29.39 ID:UhJk9Co/0
水銀燈「は、はい! お父様がお困りな…あ、ちょっと! めぐ! 返して! お父様のお電話なのよ!」

めぐ「…非通知…」

ゴソゴソ…カポ

水銀燈「! そ、それって…。やめてっ! めぐっ!」

?『もしもし? 水銀灯? もしも』

piiiiiiii-----------!!!!!!!

?『ぐわあああああああ!』

ブツ。ツーツーツー…

水銀燈「…ああ…お父様からのお電話が…。めぐ…ひどいわぁ…」ポロポロ…

めぐ「水銀燈!」

8: 2009/04/14(火) 23:31:30.05 ID:UhJk9Co/0
水銀燈「!」ビクッ!

めぐ「しっかりしなさい! あなたのお父様が携帯に電話掛けて来る訳無いでしょ? しかもそれ、ほとんどあなた専用だけど一応持ち主はあたしなのよ?」

水銀燈「で、でも…お父様だって…」

めぐ「第一借金って何? サブプライムローンとかって、どこの素人投資家なのよ。そんな奴ら元から首つって氏ぬのがお似合いだけど」

水銀燈「う…」

めぐ「おまけにあなたの名前知らなかったし」

水銀燈「な、名前ならちゃんと言ってくれ…」

めぐ「自分から名乗るまで言わなかったわよね? しかも、『水銀灯』ってなによ『水銀灯』って。あなたの名前は『水銀燈』でしょう。お父様が、娘の名前を間違えるなんてあり得る?」

水銀燈「…あ!」

めぐ「どうやら目が覚めたようね」

10: 2009/04/14(火) 23:33:34.71 ID:UhJk9Co/0
水銀燈「…ど、どういう事? え? さっきのは…お父様じゃなくて? …え? え?」

めぐ(混乱して身をよじる水銀燈いいわぁ…)ハァハァ…

水銀燈「…?」

めぐ「こほん、いい? 水銀燈、よーく聞いて。さっきのあの電話…それはね、オレオレ詐欺。最近で言う所の振り込め詐欺なのよ」

水銀燈「えええええっっっ!?」

めぐ「間違いないわ」

水銀燈「あ、あれが…? そんな…」カアアアアッ///

めぐ「ふふ。あなた、ニュース見る度に被害者を馬鹿にしてたもんね?」

水銀燈「ううう~~~…///」

めぐ「うふふ。そんな枕に顔埋めてないないしても駄目よー? お尻丸見えー。つんつん」

12: 2009/04/14(火) 23:36:31.62 ID:UhJk9Co/0
水銀燈「にゃあん! そ、それより…あ、あの…本当に本当にさっきのが…振り込め詐欺?」

めぐ「そうよ。典型的な、ね」

水銀燈「衝撃だわぁ…。まさかあたしがあんな簡単に…」

めぐ「問題はそこよ」

水銀燈「どこ?」キョロキョロ

めぐ「……」

水銀燈「嘘ウソうそ! 茶化さにゃいからくすぐら…あははははっ! やめ…氏ぬ…きゃははははっ! あひっ! どこさわっ…ふああああっっ!」

めぐ「ふぅ…すっきりしたわ」ツヤツヤ

水銀燈「…………」グッタリ…

めぐ「さ、ベッドの中でお話の続きしましょ。布団被らないと風邪引くわよ」

13: 2009/04/14(火) 23:38:49.51 ID:UhJk9Co/0
水銀燈「あたし…一言余計な癖直さないと、そのうち身を滅ぼすわぁ…」

めぐ「目覚めるの間違いでしょ?」

水銀燈「続きっ!」

めぐ「はいはい。で、典型的な振り込め詐欺は、さっきみたいにまず相手に、自分が名乗らず相手が勝手に自分を親兄弟とかだと思いこませる事から始まるの」

水銀燈「確かに、考えてみると名前とかは一言も言わなかったわ」

めぐ「これはね、当然相手の名前が分からないからって言う意味もあるけど、もう一つ、実はこっちの方が相手の狙いって言う意味があるの」

水銀燈「そ、それは何?」

めぐ「名前を相手が言うよりも、自分からそうだと思って言った方がね、思いこみが強くなるの。そうなると、ちょっとやそっと
怪しいと思っても、それ以上に自分が正しい筈だって言う勝手な思いこみが優先されちゃうのよ」

水銀燈「…相手が何かミスしても、それを気にしないって事?」

14: 2009/04/14(火) 23:40:07.53 ID:UhJk9Co/0
めぐ「そう。人間ってね、自分が正しいと思い込むと、そうそうその考え方を改めないものなの。実際、ATMで振り込み詐欺に気付いた
銀行の人が説得に説得を重ねたにもかかわらず、自分が正しいんだって言う考えを曲げずに結局振り込んで、案の定だまされたって言う
事例が結構あるの」

水銀燈「…あたしが大笑いしていたおばかさん達の事ね…」

めぐ「まぁ、本当にただの大馬鹿なんだけど…今となっては笑えないわね」

水銀燈「うう……///」

めぐ「よしよし」ギュー

めぐ「でね、さっき典型的って言ったでしょ?」

水銀燈「うん」

めぐ「つまり発展形もあってね、中には不特定に電話をかけるんじゃなくて、ある程度電話の主の事を調べてからかけてくる事もあるの」

水銀燈「えっ!? どうやって?」

15: 2009/04/14(火) 23:41:22.42 ID:UhJk9Co/0
めぐ「色々あるわ。単純に電話帳で調べるのから、流出した名簿を手に入れて名前とか家族を調べたりね。それによって、らしい演出が
出来るって訳」

水銀燈「…油断も隙も無いわぁ」

めぐ「でもそれももう基本的な事。振り込め詐欺で注意が必要なのは、心理面での駆け引きよ」

水銀燈「心理面で?」

めぐ「そうよ。実際あなたさっき、随分電話口であたふたしていたわ」

水銀燈「そ、そうだったかしら? あたしはいつでも冷製よ…?」

めぐ「漢字間違っているわ」

水銀燈「……」

めぐ「つまり、こういう詐欺に効果的なのは冷静になる事。だからこそ、詐欺師は出来るだけ相手を混乱させて、慌てさせて、正しい
判断が出来ない様に誘導するのに知恵を絞るのよ。だからさっきも矢継ぎ早に話を進めようとしていたでしょ?」

水銀燈「うん…」

18: 2009/04/14(火) 23:43:36.29 ID:UhJk9Co/0
めぐ「まず、電話の相手が自分の子だったり、親だったり、と勝手に思い込ませる。それによって多少のごまかしが効く様になるわ。
それから、矢継ぎ早に自分がいかに困っているか、しかもそれが時間のない問題事であるかを演じて、相手に考える時間を与えず、
焦らせるの。そうなればしめたものよ。身内が困っている、となればそうそう無碍にする人は居ないわ。そこを突いて、お金を
無心して来るの」

水銀燈「怖いわぁ…」

めぐ「人ってね、焦ると簡単に自制心を失うの。さっきのATMの例の様に、注意されたにも関わらずまんまと振り込む様な人が居る事からも分かるでしょ? 思いこみって、怖いのよ」

水銀燈「どんな風に注意すればいいの?」

めぐ「例をあげるときりが無いわね。中には、複数で役割を決めて寸劇してまで相手をだましていた例もあるから」

水銀燈「…人間って…怖い」

めぐ「でもね、要はこっちの心構えの問題なのよ。相手がどんな手を使って来てもね」

水銀燈「心構え?」

19: 2009/04/14(火) 23:45:22.85 ID:UhJk9Co/0
めぐ「そう、結局、振り込め詐欺の第一歩は基本、電話から始まるの。まず相手が本当に本人かを冷静に判断する。これはとりあえず
電話だからって声がそうそう変わる訳無いんだから、風邪とか電波が悪いとか言う言葉にごまかされず、息子なり親なりの声を思い出して
照らし合わせるのが基本よ」

水銀燈「そう言えばあたしも風邪とかって…恥ずかしいわぁ」

めぐ「まぁ、水銀燈の場合は本当に数百年ぶりだから仕方ないにしても、人間としては身内の声を判別できない親子関係ってのからして、
そうとうに問題あるんだけどね」

水銀燈「確かにそうねぇ。電話口だからって、子供の声間違えるなんて…」

めぐ「まぁ、本人ばかりとも限らないんだけど」

水銀燈「え?」

めぐ「中にはね、更に手口が凝っていて、息子本人が全く出ない手口もあるの」

水銀燈「そんなのあるの?」

めぐ「そうよ、例えば…息子が借金をしたから、こちらで預かっている。返して欲しければどこそこにお金を振り込めって感じ。無論誰かに
言ったら酷いぞ、とか釘を刺してね」

22: 2009/04/14(火) 23:47:34.36 ID:UhJk9Co/0
水銀燈「…ひどいわぁ」

めぐ「あと最近あまり聞かないけど、電話の変わりに請求書を送って振り込ませるっていうのも随分あったわ。架空請求詐欺って言ったかしら」

水銀燈「…葉書一つで?」

めぐ「そう、例え葉書でも、文面で急がないと差し押さえるぞ、とか、会社に電話するぞ、みたいに脅し文句を付けると、意外にびびる
人っているの。まぁ、そう言う人は本当に家族に知られたくない何かがある人が多いらしいわ。思い当たる節があるかも、って言う人を
下手な鉄砲も数打ちゃ当たる、の方法で葉書送りまくるの。ま、最近は流石にそれだと冷静に判断する人が増えたから鳴りを潜めているけどね」

水銀燈「…自分にも何か後ろめたい事があると、かもになるのね…」

めぐ「そんな風にこういうのの亜種は数えたらきりがないわ。還付金詐欺に払い戻し詐欺、懸賞金詐欺…とにかく、基本はATMに向かわせて
振り込ませるのがやっぱり主流ね」

水銀燈「どうして、還付金詐欺とかって起きるの? ATMで振り込むって言う時点でこっちがお金払ってるじゃない」

めぐ「信じがたいけど、画面ではそう見えるけど、こっちではそっちに振り込まれているから安心して、とか言ってんの」

23: 2009/04/14(火) 23:49:43.75 ID:UhJk9Co/0
水銀燈「うそ…」

めぐ「本当よ。信じられないけどそれで頷く人、居るのよ。他には、それが手数料で、それ以上のお金がその後戻ってくるから安心して、
とかいうのもあるわ」

水銀燈「…人間って…」

蒼星石「それと、最近じゃ直接お金を取りに行く、なんて大胆不敵なのもあるね」

水銀燈「あら、蒼星石じゃない。聞いてたの?」

蒼星石「遊びに来たんだけど、なんか真剣に話していたからつい聞き入ってたよ。おじゃましまうまー」ニコ

水銀燈「いらっしゃいまんもーす」ニコ

めぐ「……」ボタボタ…

水銀燈「どうしたの?」

25: 2009/04/14(火) 23:52:15.54 ID:UhJk9Co/0
めぐ「ううん。ただの鼻血だから」

蒼星石「大丈夫?」

めぐ「うん。えっと、お茶煎れるわ。杜仲茶しかないけど」

蒼星石「ありがとう。僕もせんべいと大福を持ってきたよ」

水銀燈「相変わらずここは和風だわぁ…って! ちょっと待って蒼星石! 少し外出てて!」

蒼星石「何で?」

水銀燈「そ、それは…」

蒼星石「姉妹じゃない。気にしないで服着てよ」

水銀燈「…ばれてるわぁ」

めぐ「うふふ。これで公認ね」

28: 2009/04/14(火) 23:54:37.38 ID:UhJk9Co/0
水銀燈「…うう…」

めぐ「着せてあげよっか?」

水銀燈「自分で着るからめぐも!」

めぐ「はいはい」


めぐ「あら、この大福美味しいもぐもぐ」

水銀燈「そうねぇもぐもぐ」

蒼星石「で、さっきの話だけど、水銀燈はそう言うのあんまり知らないみたいだねもぐもぐ」

水銀燈「…ま、まぁね」

めぐ「あんまりって言うか全然。さっきもおもいっきりひっかかっていたし」

水銀燈「わーっ! わーっ! にゃーーーっ!」

33: 2009/04/14(火) 23:57:01.23 ID:UhJk9Co/0
蒼星石「あはは。でもごめん、聞こえてたよ」

水銀燈「…うう…大恥だわぁ…」

めぐ「いつからいたの?」

蒼星石「気にしないで。悪いのは、お父様に逢いたいって言う気持ちを利用した人間だよ。勿論、気構えも大事だけど、それ以上にね」

めぐ「その通りだわ。まったく…さっきの奴は多分耳がもういかれていると思うけど…本当なら精巣引きちぎって喉に突っ込んでそのまま
窒息させてやりたいくらいだわ。あたしの水銀燈を騙す様な真似する奴なんて…ぶつぶつ…」

蒼星石「目が本気だねもぐもぐ」

水銀燈「あの子は良くも悪くも素直なのよもぐもぐ」

蒼星石「そう言えばね、この前おじいさんにもかかって来たんだ。詐欺電話」

水銀燈「ええっ!? だ、大丈夫なの?」

38: 2009/04/15(水) 00:00:03.57 ID:nPO3xYvA0
蒼星石「うん、僕の所に来たのは…そうそう、わりと最近の手口。騙された振りに騙され詐欺」

水銀燈「…何それ?」

めぐ「それはね、まず詐欺団を捕まえる為に警察が最近本当にやっている対策の事を知る必要があるわ」

蒼星石「えっとね、最近、ATMで見張ったり、振り込む人に注意するだけじゃ、その時は防げるかも知れないけど、詐欺団は野放しだよね。
だから、引っかかった振りをして、お金の受け渡し場所に犯人がやってきたらそこを捕まえるって言う方法なんだ」

水銀燈「へぇ…。それって、おとり捜査ってやつ?」

めぐ「そうそう。お金を取りに来るだけの奴にしても、何らかの繋がりはあるから詐欺団摘発に有効なの」

蒼星石「ところが…それを利用する詐欺も実際にあったんだ。未遂だったけど」

水銀燈「…なんとなくオチが分かるわぁ」

めぐ「言ってみて言ってみて」

水銀燈「つまり、警察官が来て、振り込め詐欺に狙われているから、おとり捜査をするので、通帳とか預けてください、みたいに言って
おいて、その警察官が嘘って事でしょ?」

39: 2009/04/15(水) 00:01:44.44 ID:nPO3xYvA0
蒼星石「大正解!」

水銀燈「って、あなた、それでどうなったのよ! あなたのマスターが騙されかけたんでしょ?」

蒼星石「うん。でも安心して。大丈夫だったから。ちゃちな手口だから一目で分かった。渡す振りして人気の居ないところにおびき出してから
お仕置きしたよ」

水銀燈「どうなったの?」

蒼星石「ちょん切った」

水銀燈「……」

めぐ「グッジョブ!」

蒼星石「更にそこらに落ちている犬の糞や土塊を傷口になすり付けて来たから、もうあいつ今頃どうなっているんだろうね。あはは」

めぐ「あははは」

42: 2009/04/15(水) 00:06:05.66 ID:nPO3xYvA0
水銀燈「…………」

水銀燈(なんであんな爽やかに笑えるのぉ?)

水銀燈「そ、それはまぁいいとして…」

めぐ「そうそう、どうでもいいのよそんなゴミ」

水銀燈「で、ええと…本当に、そう言う連中って油断も隙もないわ。どうしたらいいのかしらぁ?」

めぐ「そうね、手口だけを見ると、本当に千差万別、亜種だらけでこれにはどうって言う対処をしていたらきりがないわ」

蒼星石「でもね…。一つ一つに対処していたら確かにきりは無いけど…相手がどんな風に騙そうとしてきても通じる、根本的な対策はあるんだよ」

水銀燈「ど、どんな!」

蒼星石「水銀燈、詐欺団の目的は何?」

水銀燈「それは…お金でしょ?」

43: 2009/04/15(水) 00:08:40.95 ID:nPO3xYvA0
蒼星石「そう、それに対して、銀行や警察の守る側は、絶対に人のお金に関しては手を出そうとしないんだ。守る為の方法は説くけど、
だからって自分に預けて、とかは言わないんだ。絶対にね」

めぐ「つまりね、まず相手が確認出来ない段階で、その相手が警官を名乗ろうが、銀行員を名乗ろうが、自分の子供を名乗ろうがね、
何かの理由を付けてお金を渡せ、通帳を渡せ、お金を振り込めって言ってきたら、安全の為とか捜査の為と言おうが、それはもうその時点で
絶対に詐欺なの」

蒼星石「銀行員は窓口以外で通帳を預かる真似はしないし、暗唱番号を聞く事は絶対に無い。番号確認です、なんて事も絶対にしない。
銀行員が通帳を預かったりするのは、窓口で直接やる以外は絶対に無いんだ。郵便局も同じだよ」

めぐ「警察官や市役所の人もそう。安全の為に預かる、暗唱番号を教えて。とかは絶対にしないの。銀行と同じく、万が一やるとしても
警察所とか役所で、色々書類書きしてからね」

水銀燈「役所や警察は、とにかく絶対に人の家に来てお金や通帳を出せとは言わない…そして暗証番号も絶対に聞かない…めもめも」

めぐ「ここを覚えておくだけでも、基本的な詐欺はほぼ封じられるわ」

水銀燈「じゃあ、銀行員だろうが警察官だろうが市役所の人だろうが、お金を渡せと言ってきたらその時点でもう嘘なのね」

48: 2009/04/15(水) 00:12:41.90 ID:nPO3xYvA0
蒼星石「そうだよ。普通、と言うか差し押さえとかでも無い限り、国が個人のお金に手を出す真似はしないんだ。捜査だと言っても、
何も本人のお金も通帳も必要無いんだからね」

水銀燈「それは…かなり有効な対策ね」

めぐ「そしてもう一つ大切なのが、慌てない事。相手がどんな新手の手口を使っても、まずは落ち着く事が大切よ。今すぐ振り込まないと
大変な事に、とか言うのが常套手段だけど、普通ちゃんとした施設の話なら、いますぐ振り込まないと問題が起きる、なんて事自体が無いの。
例え金融機関だろうが国だろうが、絶対に猶予はあるの。ある日突然やってきて今すぐ払わないと裁判がとか差し押さえが、なんてそんなの
そもそも国が許さないのよ」

水銀燈「そうなんだ…」

蒼星石「まぁ、それでも不安はやっぱりあるよね。だから、その次にするのが確認。これはもう、何はなくとも消費者センターや警察に
相談するのが鉄板。中には身内の借金らしくて恥ずかしいからとか、大馬鹿な見栄張ってまんまと騙される真の馬鹿もいるけど、それこそ
愚の骨頂。キングオブバカの証明だからね」

水銀燈「手厳しいわ…」

めぐ「騙されるのは可哀想だけど、警察もセンターもその人の恥や外聞なんて気にしないわ。無用なプライドなんて一円の価値もないのよ。
むしろ人としてマイナスだわ」

49: 2009/04/15(水) 00:14:52.70 ID:nPO3xYvA0
蒼星石「そう。第一、身内だって言うなら、少なくない借金を無心するのに電話だけで済ますなんてあり得ないよ。本物なら、ちゃんと
親の所に顔を出して、親に頭を下げて借りるのが筋ってもんだよ。親も、電話口だけで株で損しただの使い込んだのなんて恥ずかしい事
言ったら、むしろ怒鳴りつけて相手に一緒に謝りにいくのが本当の親の勤めだね。お金渡してうやむや、なんてのは、そもそも親も腐って
いるからそう言う事しちゃうんだろうね。そんなのの子孫残すからまともな人間が減るんだよ。やっぱりそういうのはちょん切らないと
駄目だね。あのヒッキーもこれ以上蒼星石に近づいたら…」シャキシャキ

水銀燈「…そ、蒼星石怖い…」

めぐ「でも、それをしないから結局騙されるのよ。そうそう、確認の電話をする時に注意するのは、あくまでも本拠地に電話する事。
中には、何かあったこちらにかけてください、なんてさも本当の警察やセンターみたいなふりして嘘の番号教える例もあるから」

蒼星石「今、丁度本番号が繋がらないとか馬鹿な事言って間違った番号にかけさせ様とするけど、警察とかが本番号使えないなんて
あり得ないから」

めぐ「万が一それが本当だとしても、本当に繋がらないか、実際にかけてみればいいのよ。もし、それをやめさせようとするなら、そいつは
完全に黒」

水銀燈「で、そこの番号は何なの?」

50: 2009/04/15(水) 00:17:34.20 ID:nPO3xYvA0
めぐ「勿論、グルの奴らが待ちかまえているわ。警察署の番号がすぐ分からないなら、こういう時こそ、極端な話110番だっていいの。
立派な犯罪に関する相談なんだから」

蒼星石「と、とりあえずの基本だけどこんな所かな」

水銀燈「う~ん…いっぱいあるわぁ」

めぐ「基本は単純よ。ほら、要点に絞ってみて」

水銀燈「ええっ!? あ、あたしが言うの?」

蒼星石「でないと、役に立たないよ。はい、言ってみて」ナデリナデリ

水銀燈「お、お尻撫でないでよぉ」

めぐ「言って言って」モミモミ

水銀燈「め、めぐ! 指! 指がなんかこわいっ!!」

52: 2009/04/15(水) 00:19:57.49 ID:nPO3xYvA0
水銀燈「え、えっと…。まず、詐欺事件に巻き込まれた可能性を感じた時は…」

水銀燈「相手が誰なのか、確実に確認出来る方法で確認する」

水銀燈「急がせて自分を焦らせようとしたり、情けを引き出そうとする内容なら特に注意する」

水銀燈「政府だろうが何だろうが、今すぐATMでお金を操作させる指示を出す事は絶対にないから、ATMの話が出たら拒否」

めぐ「そもそも政府は貰う方はATMとかコンビニとかでもどんどん貰うけど、払うのはめちゃくちゃ面倒な手続き取らせるんだから、
電話一つでお金なんて払う訳が無いのよ」

水銀燈「うん、そして銀行員だろうが警察官だろうが、個人の通帳の暗証番号を電話で聞く事は絶対に無いから拒否。『今回は特別』とか、
特例は無い」

水銀燈「子供の電話で金の無心なら、顔を出させるとか確実な方法で本人確認。息子を預かっているとか言われたら普通に誘拐なので警察」

水銀燈「とにかくお金に関する取引は一切断って、警察、センターに何はともあれ相談」

めぐ「うんうん。いいわよ」

55: 2009/04/15(水) 00:22:24.10 ID:nPO3xYvA0
蒼星石「実際、良くこういう手口に注意って広報はあるけど、手口なんて千差万別なんだから、『訪問して通帳やカードを預かったりや
暗証番号を聞く事は絶対にない』って、根本的な周知徹底しなくちゃいけないんだ。それをしない警察や政府、銀行の説明は場当たり的で
へたくそ過ぎるんだよね。これじゃいつまで経っても騙される人が減らない訳だよ」

めぐ「最近はこういう手口です。だけじゃあ、今回はこういう話だから、本当かも、とか思うかも知れないもんね」

水銀燈「で、訪問型だったら…。ってこれ考えてみると怖いわね」

めぐ「まぁ、家にお金関係の事で伺います、なんて知らない人から連絡あったら、その時点で110番して置いた方がいいけどね」

蒼星石「本当に訪問する時は警察がちゃんと把握しているから、警察署とかに電話して、こっちに来るの? って聞いて確認するべき。
もし訪問なんて予定してないって言われたらそのまま本物に来て貰った方がいいね」

水銀燈「なるほどね。で、基本的に忘れちゃいけないのが、まず相手が警察官と名乗ろうが市役所員を名乗ろうが、例えどんなに危機を
諭したりして来ようとも、お金や通帳を渡せと言ったり、暗証番号を聞いて来る事は絶対にないから、絶対に拒否する」

水銀燈「電話型と複合だけど、電話でお金を用意させてバイク便とか手渡しで取りに来るのは、どのみちまともな取引ではないから、
その方法を打診された時点で警察」

水銀燈「そして電話型でも訪問型でも、相談する時は相手の言った番号じゃなくて、本当の警察、センターだけにかける。今繋がらないとか、
電話が止まっているなんて事はありえない」

56: 2009/04/15(水) 00:25:03.92 ID:nPO3xYvA0
蒼星石「うん! いいよ。水銀燈」

水銀燈「とにかく…」

水蒼め「いわれるがままにお金を渡さない事!」

水蒼め「慌てて言いなりになる前に警察、消費者センターに電話する事!」

水蒼め「警察も政府も銀行も、訪問してカードや番号の事は絶対に聞かない! 預かろうとはしない!」

水銀燈「…こんな感じでいい?」

めぐ「うん、そこを押さえれば、そうそうおかしな事にはならないわ。詐欺の手段は山程あるけど、まずはこの辺りを押さえるのが最低限、
かつ有効な手段ね」

蒼星石「警察や消費者センターは、色々な詐欺の手口を教えてくれるから、良い対処をしてくれる筈だよ」

めぐ「本当はそこで、さっきみたいな訪問時にカードや番号を預かる事は絶対にない、を徹底して周知してくれるといいんだけどね」

59: 2009/04/15(水) 00:28:37.31 ID:nPO3xYvA0
蒼星石「パトカーで変な注意を言って廻るより、その一点を徹底した方が根本的なんだよね。そもそもゆっくりとは言っても走りながら
広報しているから、家の中にいても少ししか聞けなくて実際意味無いんだよ。あのやり方」

水銀燈「なるほど…」

蒼星石「でも、電話一つでこんな事件を起こせるんだから、人間って不思議だね…」

めぐ「そうよね、今みたいな心構えは、別に難しくも何ともない事なのにね」

水銀燈「世の中、まだまだ騙される人間は居るのよねぇ。なんとかならないのかしら?」

蒼星石「君が人間達の事を心配するなんて珍しいね?」

水銀燈「…べっつにぃ。ただ、気分悪いじゃない。お年寄りの知識不足を狙う犯罪なんてぇ…」

めぐ「お年寄りじゃない人もいるけど、まぁそうよね」

蒼星石「いっそ、人形劇でもする?」

水銀燈「え?」

60: 2009/04/15(水) 00:30:29.43 ID:nPO3xYvA0
蒼星石「ここ、病院でしょ? なら、ご老体はたくさん居るんだから、ここでやるのが一番広めやすいんじゃないかな?」

水銀燈「ちょっとぉ、人前に出る気?」

蒼星石「大丈夫大丈夫。ちょっと性能のいい人形、みたいにすれば気にしないと思うよ? それじゃ、翠星石達も呼ぼうか」

めぐ「あ、それじゃあたし院長に話し付けるわ。あのヒゲ、あたしの言う事なら聞くからあのヒゲ」

蒼星石「二回言ったね」

水銀燈「まだやるって行ってないわよぉ!」

めぐ「水銀燈、嫌かしら?」ニッコリ

水銀燈「…べ、別にあたしは…」

蒼星石「ふふ…あれ?」

ホーリエ「…! …!」

61: 2009/04/15(水) 00:32:50.60 ID:nPO3xYvA0
水銀燈「あら、ホーリエ。そんなに慌ててどうしたの?」

ホーリエ「…! …!」

水銀燈「ええっ!?」



のり「え、えっと…給付金を受け取る方法が急遽変更になって…今すぐATMに行って…手数料を振り込んで…すると、その後で
手数料込みで振り込まれるんですね?」

真紅「く、くんくんが移植手術を受けないと二度と会えないなんて知らなかったのだわ! この親切な人に送金するには…バイク便で
受け取りに来てくれる? なんて親切なのだわ!」

ジュン「ぼ、僕はそんな変なサイトに登録した覚えなんて無いぞ? で、でも…もしかしてあそこの事? いや、あそこは見ただけだし…」

翠星石「だから翠星石はそんな裁判所へ来いなんて話知らねーですぅ! …そんな事言われても…うう…け、けーさつは嫌ですぅ…
どうしたら…じ、示談金で無かった事に、ですかぁ?」

63: 2009/04/15(水) 00:34:43.87 ID:nPO3xYvA0
雛苺「え~。トモエが株やってたなんて知らなかったの~」

金糸雀「みっちゃんが痴漢なんてあり得ないかしら~! でもでも…ありえなくないかもしれないかしら~! 示談金って高いのかしら…?」

水銀燈「……」

蒼星石「あははは…ものすごい身近に、問題のある人達が居たね…」

水銀燈「そろいも揃って…」



水銀燈「この、おばかさぁん!」







66: 2009/04/15(水) 00:38:10.11 ID:L9/hMKMS0

恐ろしいほどに勉強になるスレだった
なんか学校等で振り込め詐欺対策のときに見せられるDVDみたいだ

引用: 水銀燈「もしもし? …お父様!?」