1: 2009/04/18(土) 01:41:08.00 ID:nNFKAUZZ0
僕と翠星石が互いに違うマスターを持ったのはこれが初めてかもしれない。
今までずーっとずっと二人一緒だったから。
「んー、翠星石のマスターはちょっと口うるさいですけど根はいい奴ですよ」
「蒼星石のマスターはどんな奴なんですか?」
「僕のマスターかい? ・・・まぁ、ちょっとおかしいお爺さんって印象だね」
「ほぇー・・・、何かあったら翠星石を頼るといいです」
「ははっ、一応僕のマスターだから大丈夫だと思うけど」
実際、そんなことは思ってもいなかったかもしれない。
僕にとって、"マスター"の名前を持ってるというだけで何かがあった。
絶対に逆らえない何かが。
今までずーっとずっと二人一緒だったから。
「んー、翠星石のマスターはちょっと口うるさいですけど根はいい奴ですよ」
「蒼星石のマスターはどんな奴なんですか?」
「僕のマスターかい? ・・・まぁ、ちょっとおかしいお爺さんって印象だね」
「ほぇー・・・、何かあったら翠星石を頼るといいです」
「ははっ、一応僕のマスターだから大丈夫だと思うけど」
実際、そんなことは思ってもいなかったかもしれない。
僕にとって、"マスター"の名前を持ってるというだけで何かがあった。
絶対に逆らえない何かが。
4: 2009/04/18(土) 01:44:10.54 ID:nNFKAUZZ0
「あ、今度翠星石の家に・・・」
「あ、いっけねえです そろそろ夕飯の支度をしねーと・・・」
「もうそんな時間かぁ、翠星石と喋ると時の流れが速く感じるよ」
「ふふっ、それじゃぁまた明日ですー」
「あぁ、気をつけてね」
元気に走り去る彼女の後姿を見て、少し物悲しくなった
「・・・やっぱり良いマスターを持ったんだね」
次第に黒く染まっていく町並み
「少し冷えてきたな、僕も帰ろう」
誰かいるわけでもないのに、僕は呟いた
「あ、いっけねえです そろそろ夕飯の支度をしねーと・・・」
「もうそんな時間かぁ、翠星石と喋ると時の流れが速く感じるよ」
「ふふっ、それじゃぁまた明日ですー」
「あぁ、気をつけてね」
元気に走り去る彼女の後姿を見て、少し物悲しくなった
「・・・やっぱり良いマスターを持ったんだね」
次第に黒く染まっていく町並み
「少し冷えてきたな、僕も帰ろう」
誰かいるわけでもないのに、僕は呟いた
5: 2009/04/18(土) 01:47:01.00 ID:nNFKAUZZ0
暗く閉め切った部屋に、マスターはいた
写真を見てひたすら名前を読んでいる
「かじゅき・・・、かじゅき・・・」
僕はその光景に嫌悪感以外抱いた覚えはなかった。
「かじゅき・・・、おかえり」
その狂った微笑みを向けられる度に虫唾が走った。
「ただいま戻りました、マスター」
「今日の夕食は近所の人から煮っ転がしをもらったよ、かじゅき」
写真を見てひたすら名前を読んでいる
「かじゅき・・・、かじゅき・・・」
僕はその光景に嫌悪感以外抱いた覚えはなかった。
「かじゅき・・・、おかえり」
その狂った微笑みを向けられる度に虫唾が走った。
「ただいま戻りました、マスター」
「今日の夕食は近所の人から煮っ転がしをもらったよ、かじゅき」
7: 2009/04/18(土) 01:50:00.17 ID:nNFKAUZZ0
食事中もマスターはひたすら僕を見ながら話す。
実際には僕の後ろを見ているようにも思えた。
「かじゅき、ママは少し病気を患っているんだ まぁ、直に良くなるよ」
「うるさい」と心の中で何度か呟いた頃、ようやく食事が終わった。
「もうこんな時間か・・・かじゅき、夜更かしはいかんよ」
ローゼンメイデンはだいたい9時に眠りに着く。
だが、マスターは8時には眠りに着いていた。
「はい、わかりましたマスター」
詰まらない、実に詰まらない。
今頃翠星石はどうしているだろう。
実際には僕の後ろを見ているようにも思えた。
「かじゅき、ママは少し病気を患っているんだ まぁ、直に良くなるよ」
「うるさい」と心の中で何度か呟いた頃、ようやく食事が終わった。
「もうこんな時間か・・・かじゅき、夜更かしはいかんよ」
ローゼンメイデンはだいたい9時に眠りに着く。
だが、マスターは8時には眠りに着いていた。
「はい、わかりましたマスター」
詰まらない、実に詰まらない。
今頃翠星石はどうしているだろう。
8: 2009/04/18(土) 01:53:30.23 ID:nNFKAUZZ0
「やぁ翠星石、遅れてごめん」
「いえ、翠星石もちょうど今来たところですよ」
相手を思いやる優しい姉
マスターなんかよりよっぽど好きだ。
最近彼女はマスターの話ばかりしている。
ジュンは~
ジュンは~
しかし、その話を聞いている時が1日の中で1番楽しかった。
「今日なんてジュンがお漏らししやがったですよ! まぁ優しい翠星石が片付けてやったですけど」
「ははっ、君のマスターは一体何歳なんだい?」
「えーと・・・、今年で14歳だったと思うです」
「いえ、翠星石もちょうど今来たところですよ」
相手を思いやる優しい姉
マスターなんかよりよっぽど好きだ。
最近彼女はマスターの話ばかりしている。
ジュンは~
ジュンは~
しかし、その話を聞いている時が1日の中で1番楽しかった。
「今日なんてジュンがお漏らししやがったですよ! まぁ優しい翠星石が片付けてやったですけど」
「ははっ、君のマスターは一体何歳なんだい?」
「えーと・・・、今年で14歳だったと思うです」
11: 2009/04/18(土) 01:58:34.54 ID:nNFKAUZZ0
「本当にジュンは優しい野郎ですよ」
本人の前では口が裂けても言わないだろう、彼女の性格的に。
「困ってる奴を見るとほっとけないタイプって感じです まぁあいつが1番ほっとけない感じなんですがね」
「はははっ、本当に面白いマスターだね」
「翠星石がいないと何もできねえですけどね」
「翠星石は優しいからなぁ ジュン君がうらやましいよ」
「今度、翠星石の家に行っても」
この後、例のごとく夕食の用意によって談笑を終えた
本人の前では口が裂けても言わないだろう、彼女の性格的に。
「困ってる奴を見るとほっとけないタイプって感じです まぁあいつが1番ほっとけない感じなんですがね」
「はははっ、本当に面白いマスターだね」
「翠星石がいないと何もできねえですけどね」
「翠星石は優しいからなぁ ジュン君がうらやましいよ」
「今度、翠星石の家に行っても」
この後、例のごとく夕食の用意によって談笑を終えた
13: 2009/04/18(土) 02:02:05.27 ID:nNFKAUZZ0
家に帰ると、マスターの様子がいつもと変わっていた。
いつもの状態を正常とすると、とっても異常だろう。
「かじゅき・・・、どこへ行ってたんだ・・・」
マスターの手が伸びる。
「ちょっと姉と会話してただけです」
「嘘をつくなぁッ!」
マスターの手に力が加わる
「痛い・・・ 痛いです、マスター・・・」
「本当はまたワシの家を出て行こうと思ったんだろぉおッ?」
いつもの状態を正常とすると、とっても異常だろう。
「かじゅき・・・、どこへ行ってたんだ・・・」
マスターの手が伸びる。
「ちょっと姉と会話してただけです」
「嘘をつくなぁッ!」
マスターの手に力が加わる
「痛い・・・ 痛いです、マスター・・・」
「本当はまたワシの家を出て行こうと思ったんだろぉおッ?」
14: 2009/04/18(土) 02:04:18.43 ID:nNFKAUZZ0
「お、落ち着いてください!」
マスターが深呼吸する、そして
「なぁかじゅき、明日姉のところに行って"もう明日から会うことはできない"って言っておいで」
どうしてそんなことが笑っていえるの・・・?
僕の唯一の楽しみまで奪うって言うのかい・・・?
「どうしたかじゅき、返事は・・・?」
僕は首を振り、答えた
「わかりました、マスター」
マスターが深呼吸する、そして
「なぁかじゅき、明日姉のところに行って"もう明日から会うことはできない"って言っておいで」
どうしてそんなことが笑っていえるの・・・?
僕の唯一の楽しみまで奪うって言うのかい・・・?
「どうしたかじゅき、返事は・・・?」
僕は首を振り、答えた
「わかりました、マスター」
18: 2009/04/18(土) 02:07:29.79 ID:nNFKAUZZ0
「お、今日は珍しく早いですね」
約束の時間の15分前に彼女がやってきた。
いつもこんな時間から待たせていた、と思うと自分が情けなくなる。
「偶然ここの近場で用事があってね」
「ほー、そんなことより聞いて欲しいです JUMが――」
僕は笑う。
いいなぁ、僕も良いマスターに巡り合いたいよ。
「あれ、どうして泣いているですか?」
気がつくと、僕は顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
約束の時間の15分前に彼女がやってきた。
いつもこんな時間から待たせていた、と思うと自分が情けなくなる。
「偶然ここの近場で用事があってね」
「ほー、そんなことより聞いて欲しいです JUMが――」
僕は笑う。
いいなぁ、僕も良いマスターに巡り合いたいよ。
「あれ、どうして泣いているですか?」
気がつくと、僕は顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
21: 2009/04/18(土) 02:10:34.26 ID:nNFKAUZZ0
「わからないよ・・・ けど、何故か涙が出てきてしまうんだ」
どうして僕は泣いているのだろう。
彼女を困らせてしまう。
「よしよし、落ち着くですよー・・・」
彼女が僕の背中をゆっくりさする。
「・・・ありがとう翠星石、大分落ち着いたよ」
「それは良かったです、いきなり泣き出してびっくりしたですよ」
そういうと、またジュン君の話に戻った
どうして僕は泣いているのだろう。
彼女を困らせてしまう。
「よしよし、落ち着くですよー・・・」
彼女が僕の背中をゆっくりさする。
「・・・ありがとう翠星石、大分落ち着いたよ」
「それは良かったです、いきなり泣き出してびっくりしたですよ」
そういうと、またジュン君の話に戻った
24: 2009/04/18(土) 02:14:00.14 ID:nNFKAUZZ0
「じゃあ夕飯の用意があるから帰るです」
「待って」
僕はひきとめた、マスターとの約束を果たすために
「ん、どうしたです?」
「翠星石・・・、明日からは君と会えない」
彼女が困惑する。
「ど、どうしてです・・・?」
「マスターがそれを望むから・・・ッ!」
そう言い残し、僕はその場を立ち去った
「待って」
僕はひきとめた、マスターとの約束を果たすために
「ん、どうしたです?」
「翠星石・・・、明日からは君と会えない」
彼女が困惑する。
「ど、どうしてです・・・?」
「マスターがそれを望むから・・・ッ!」
そう言い残し、僕はその場を立ち去った
25: 2009/04/18(土) 02:17:27.00 ID:nNFKAUZZ0
「ただいま戻りました」
ふすまが開き、汚らしい顔が僕を覗きこむ
「おぉ、かじゅき ちゃんと言えたかね?」
「はい、ちゃんと言ってきました」
「約束を破っちゃいけないよ、かじゅき」
釘を刺されなくても僕は破れないだろう。
マスターの言うことに自然に従ってしまうのだから。
「はい、マスター」
ふすまが開き、汚らしい顔が僕を覗きこむ
「おぉ、かじゅき ちゃんと言えたかね?」
「はい、ちゃんと言ってきました」
「約束を破っちゃいけないよ、かじゅき」
釘を刺されなくても僕は破れないだろう。
マスターの言うことに自然に従ってしまうのだから。
「はい、マスター」
27: 2009/04/18(土) 02:21:31.44 ID:nNFKAUZZ0
頭の中で昨日のマスターの様子を再生する。
思い出すだけで虫唾が走る。
明日からはもう彼女に会えない。
「明日から・・・」
僕は駆け出した、マスターにばれないように慎重に。
「明日から会えないなら・・・ ・・・せめて今日、理由だけ話したい!」
僕は、お婆さんの化粧台からnのフィールドに入った。
途中、何か鼻につく臭いを感じたが今は気にしている時間が惜しかった
思い出すだけで虫唾が走る。
明日からはもう彼女に会えない。
「明日から・・・」
僕は駆け出した、マスターにばれないように慎重に。
「明日から会えないなら・・・ ・・・せめて今日、理由だけ話したい!」
僕は、お婆さんの化粧台からnのフィールドに入った。
途中、何か鼻につく臭いを感じたが今は気にしている時間が惜しかった
28: 2009/04/18(土) 02:24:01.22 ID:nNFKAUZZ0
「翠星石ッ!」
nのフィールドがジュン君の家に繋がった。
「・・・」
しかし、翠星石から聞いていた様子とは似ても似つかない。
全体的に暗いし汚い。
とりあえず、ジュン君に事情を説明しないと・・・
僕はジュン君の部屋に向かった。
nのフィールドがジュン君の家に繋がった。
「・・・」
しかし、翠星石から聞いていた様子とは似ても似つかない。
全体的に暗いし汚い。
とりあえず、ジュン君に事情を説明しないと・・・
僕はジュン君の部屋に向かった。
31: 2009/04/18(土) 02:26:57.85 ID:nNFKAUZZ0
ガチャ
「失礼します・・・」
扉の向こうには目の虚ろな人間と、膝を抱えてってボーっとしてるだけの翠星石がいた。
「翠星石・・・?」
彼女はピクリとも反応しない
「君が・・・ジュン君?」
彼も何の反応もない
「失礼します・・・」
扉の向こうには目の虚ろな人間と、膝を抱えてってボーっとしてるだけの翠星石がいた。
「翠星石・・・?」
彼女はピクリとも反応しない
「君が・・・ジュン君?」
彼も何の反応もない
33: 2009/04/18(土) 02:30:12.05 ID:nNFKAUZZ0
「ああ・・・、来てたですか 蒼星石」
彼女がようやく僕に気づく
「翠星石、聞いていた内容と随分違うようだけど・・・」
「ああ、ジュンは見ての通り抜け殻状態です」
「ど・・・どうして?」
「翠星石が契約した頃からです ずーっと引き篭もりだったです」
「そして・・・、契約してから気づいたんですけど ジュンは心の力が全くねえです」
今まで頭の中で想像していたモノがガラッと音を立てて崩れていく。
「心の力を得られない翠星石は・・・、眠る以外の選択肢がないです」
「ど、どうして本当の事を話さなかったの・・・?」
「最初は見栄を張ったのですけど・・・、蒼星石の生き生きした顔を見て・・・」
「ごめんです・・・」
そういって、彼女は静かに目を閉じた。
彼女曰く、「ジュンももう長くない」とのこと
結局、二人とも良いマスターに巡り合えていなかった。
彼女がようやく僕に気づく
「翠星石、聞いていた内容と随分違うようだけど・・・」
「ああ、ジュンは見ての通り抜け殻状態です」
「ど・・・どうして?」
「翠星石が契約した頃からです ずーっと引き篭もりだったです」
「そして・・・、契約してから気づいたんですけど ジュンは心の力が全くねえです」
今まで頭の中で想像していたモノがガラッと音を立てて崩れていく。
「心の力を得られない翠星石は・・・、眠る以外の選択肢がないです」
「ど、どうして本当の事を話さなかったの・・・?」
「最初は見栄を張ったのですけど・・・、蒼星石の生き生きした顔を見て・・・」
「ごめんです・・・」
そういって、彼女は静かに目を閉じた。
彼女曰く、「ジュンももう長くない」とのこと
結局、二人とも良いマスターに巡り合えていなかった。
35: 2009/04/18(土) 02:33:34.59 ID:nNFKAUZZ0
僕は、初めてマスターの言いつけを破った。
他の姉妹に翠星石を渡すわけにはいかない。
僕はマスターの家を出て行った。
眠ったままの翠星石を連れて。
「翠星石、これからどこへ行きたい?」
僕は翠星石と一緒ならどこへ行こうと、誰がマスターだろうと構わない。
翠星石と離れたために二人とも辛い思いをしたのだから。
fin
眠いからせっかく書き溜めたけど色々とはしょっちゃった、エヘ
文才が欲しいです
おやすみお前ら!良い夢見ろよ!
他の姉妹に翠星石を渡すわけにはいかない。
僕はマスターの家を出て行った。
眠ったままの翠星石を連れて。
「翠星石、これからどこへ行きたい?」
僕は翠星石と一緒ならどこへ行こうと、誰がマスターだろうと構わない。
翠星石と離れたために二人とも辛い思いをしたのだから。
fin
眠いからせっかく書き溜めたけど色々とはしょっちゃった、エヘ
文才が欲しいです
おやすみお前ら!良い夢見ろよ!
36: 2009/04/18(土) 02:35:29.32 ID:1Uf5Mv8uO
いちおつ
翠星石が不憫過ぎていい夢見れそうにない
翠星石が不憫過ぎていい夢見れそうにない
138: 2009/04/18(土) 09:55:01.61 ID:nNFKAUZZ0
俺のこと覚えてくれてる人がいるかな・・・
サボテンさんマジ支援します!
サボテンさんマジ支援します!
158: 2009/04/18(土) 10:33:18.64 ID:nNFKAUZZ0
ジュン良い奴過ぎるだろ・・・jk
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります