254: 2014/08/02(土) 19:46:03.64 ID:SByLoEEzo


シリーズ最初へ:【艦これ】提督「暇っすね」
前回:【艦これ】提督「暇っすね」part6

新章 ~急襲・モーレイ海~




-講義室-

提督「……って事で、本日の講義はここまで。朝に出来なかったブリーフィングを行うので休憩十分後、今度は
会議室に集合すること。講義に参加してない連中にはそれぞれに通達しといてくれ。では解散」

榛名「提督、お疲れ様です」

提督「おう、榛名。待ってたのか、悪いな」

榛名「先ほど、元帥殿から電文を賜りました」

提督「元帥殿から?内容は」

榛名「北方海域に深海棲艦一団の動きを確認したと。急ぎ艦隊を進出させ、モーレイ海の哨戒に当たって欲しい
との事でした」

提督「そうか。恐らく哨戒艦隊と空母機動艦隊辺りは備えているだろうな。一番の危惧は…」

榛名「フラグシップとエリート艦ですね」

提督「言うとおりだ。前回の近海決戦でほぼ全員がその性質や特色を抑えることは出来た。しかも霧島、大鳳、
熊野、阿賀野、この四人は空母ヲ級や戦艦ル級を相手取った作戦も以前に何度も経験している。経験値の差とし
ては彼女達が頭一つ抜けてはいるが……」

榛名「何か不安要素があるんですか?」

提督「……霧島の話だ。戦艦型でありながら航空戦、雷撃戦までこなす異質な深海棲艦がいたと言う」

榛名「えっ……」

提督「とにかく、十分後のブリーフィングで合わせて全員に通達させる」

榛名「わ、わかりました」
艦隊これくしょん -艦これ- 海色のアルトサックス(4) (角川コミックス・エース)
255: 2014/08/02(土) 20:12:37.66 ID:SByLoEEzo
-会議室-

提督「さて、全員いるな?」

艦娘「「「はい!」」」

提督「よし、先ほど出撃任務が入った。作戦名は北方海域・モーレイ海哨戒任務だ」

イムヤ「モーレイ海?聞いたことない場所ね」

提督「だがその前に、以前全員に通達していた事案、深海棲艦の成長に関する内容に補足を加える。それに伴い
作戦にも一部変更を加えて説明する」

256: 2014/08/02(土) 21:28:02.85 ID:SByLoEEzo
前回の内容は深海棲艦の中にはフラグシップやエリート艦と呼ばれ、我々と同じ言語を片言ながら操り、知能も

ある、というものだった。知能の発達によってこちらの作戦を看破してくることも考えられ、また逆にあちらに

も作戦と呼べるに値する奇襲が加わり、危険値が段違いに上がるというものだったな。

これから哨戒に当たる海域、モーレイ海にも恐らくフラグシップやエリート艦が蔓延っていると予想される。

前情報から、深海棲艦の一団は真っ直ぐに北方海域を進軍し何処かに向かっていることが予測された。

恐らく陣営は哨戒艦隊と護衛を兼ねた空母群、もしくは空母機動艦隊と北方へ侵攻を続ける主力艦隊がメインに

なるだろう。だが正直なところ一つ憂いが存在する。

以前に霧島、大鳳、熊野、阿賀野からも事情を聞いて俺なりに予測を立てていたんだが、戦艦型の深海棲艦であ

りながら航空戦、駆逐艦や軽巡洋艦などと同じ雷撃戦までこなす異質な深海棲艦が存在しているとの報告がある。

これが本当だとするなら、完全に新種の深海棲艦となる。

以前に俺が推論として立てた深海棲艦の進化論。その完成型と言っても過言ではない。正式ではないが、この新種

を現時点の仮称として『戦艦レ級』と名付ける。

そしてこれとは別に同じ深海棲艦と思われる中で呼び名すらも違う存在が確認されている。確認できているのは、

その存在が『姫』と呼ばれていると言う事だ。

こちらの情報は未開示が殆どであり、憶測も間々ならない状況となっている。

これらを踏まえた上で、こちらも相応の戦力を編成し、確実にモーレイ海に蔓延る深海棲艦を撃滅する。

提督鎮守府からは水上打撃艦隊と空母機動艦隊、これらを援護する水雷戦隊を編成する。

水上打撃艦隊旗艦は長門、空母機動艦隊旗艦は翔鶴、水雷戦隊旗艦は天龍、それぞれを任命する。

何度も言うが、状況の半分しか把握が出来ていない。くれぐれも奇襲と強襲には細心の注意を払え。

では、詳細に艦隊を振り分ける。


■水上打撃艦隊
長門
陸奥
大鳳
飛鷹
羽黒
神通

■航空機動艦隊
翔鶴
瑞鳳
筑摩
木曾
阿賀野
阿武隈

■水雷戦隊
天龍
川内



島風

257: 2014/08/02(土) 23:36:19.70 ID:SByLoEEzo
-???-

後輩「北方海域に艦娘の一団が接近するって?ハハハハハ!面白い……なら、アレを試験運用だ。鬼、君もこの
僕を邪魔立てした艦隊がどんなものか、見てみたいんだろ?」

鬼「エエ…でも、西方海域ノ防衛、いいのカシラ?」

後輩「遠くから見てる分にはいいさ。間違っても食うなよ。先の戦闘であのクソ武蔵に大事な新型を二隻も沈め
られてるんだ。流石は元・元帥直属護衛艦だった戦艦だよ。できれば生け捕りにしたかったんだけどね…」

鬼「イイワ。新型ガどれほどのモノなのか、それをワタシノ視点で見極めてアゲル」

後輩「クククク…悪夢、いや……はははっ、そうか、そうだよな…うん、悪夢と言うにはまだ早いか。これは言
わばプロローグだ。プレリュードにも至っていない…教えてやるよ、提督…地獄をも凌駕する煉獄の世界を…!」

258: 2014/08/02(土) 23:50:30.75 ID:SByLoEEzo
-執務室-

提督「……近代化改修、それに成り代わる、手法……差し詰め棲艦化改修……そうだとして効果は……」

榛名「提督、余り根を詰めても仕方ありませんよ」

提督「あ、ああ、すまん。霧島たちが服用させられたと言う試験薬……それがどうにも気がかりでな。もしも、
艦娘との何らかの起因をベクトルにして、それを超える数値をはじき出した時、その薬品の真価が発揮される…
そう考えると今回の霧島たちは、そのベクトルに半分だが打ち勝つことが出来たという解釈も出来る」

榛名「もう、すぐまた…」

提督「あ…す、すまん。長門たちは順調に航行してるか?」

榛名「はい、このまま順調に進めばヒトサンマルマルには目標地点で深海棲艦と遭遇できるはずです」


ザッ…ザザッ……ザザザ……


提督「ん?」

翔鶴『提督、予定時刻よりも早い段階で接触がありそうです』

天龍『しかも、こいつは…』

長門『戦艦レ級と思われる。数は……二隻のみだ』

提督「なに……?」

榛名「たった、二隻…?」

提督「油断をするな。戦闘力も未知数の上に、お前たちよりも錬度の高い霧島たちでさえ苦戦した連中だ。油断
は即、氏を意味するものとして戦況を常に客観的に分析するんだ」

三人『『『了解!』』』

262: 2014/08/04(月) 21:10:57.73 ID:S7JpRo22o
-モーレイ海手前-

レ級2「キタワネ、ムシケラドモ…」

レ級1「ウヒヒヒ…アレ、ゼーンブクイチラカシテ、イインデショ?」

レ級2「イクヨ…」

レ級1「アア、イツデモ…」


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


レ級's「コロス……!」ビュワッ


阿賀野「ッ!敵艦載機を確認です!」

翔鶴「全航空隊、発艦始め!」ヒュン ヒュン

瑞鳳「よーし!攻撃隊、発艦!」ヒュン ヒュン


ドドドドドドドドドンッ

263: 2014/08/04(月) 21:23:51.22 ID:S7JpRo22o
長門「なっ、翔鶴達の艦載機を全て撃ち落したのか!?たったの、二隻で…」

天龍「おいおい、洒落になってねぇぞ…」

翔鶴「……くっ!」

瑞鳳「何なのよ、あいつら…」

川内「私達、水雷戦隊で撹乱させれば…!」

天龍「よし、だったら……!」

大鳳「ダメ……ダメですっ!!」

天龍「なっ……おいおい、今更怖気付いたってのか、テメェ!」

大鳳「…対峙したから、解るんです」

陸奥「それなら、何か策はあるの?」

大鳳「有効かどうかは解りません。ですが、ここで逃げたら武蔵さんや加賀さんに顔向けできませんしね」

264: 2014/08/04(月) 21:50:09.09 ID:S7JpRo22o
────────

────

──


天龍「へへっ、ぶっ飛んだ作戦だが…」

木曾「あぁ、嫌いじゃない」

川内「まぁ、やるっきゃないよね。負ければ提督んところに戻れなさそうだしさ」

羽黒「それは嫌です」

神通「殿…この神通が務めさせて頂きます」

川内「はいはい、病み上がりは自重よ、自重。ここは私に任せなさいって」

神通「川内姉さま…」

川内「あんな頑張り見せてくれる妹居るのに、長女の私が頑張らなくてどーすんのさ。殿は私が務める」

羽黒「全力でフォローします!」

長門「空母組は相手の注意を散漫にさせてくれ」

翔鶴「お任せ下さい」

大鳳「ええ、徹底的に今度はこっちが追い込んでやるわ!」

陸奥「私は相手の艤装を…」

長門「私がレ級の装甲を…」

二人「…それぞれ砕く!」

川内「さぁ、いくよ!天龍、暁達のサポートは任せたよ!」

天龍「御託はいい。前だけ見とけよ!こっちは任せな!」

木曾「筑摩、阿賀野、阿武隈、空母組のサポート頼んだぜ!」

筑摩「ええ、任せて頂戴」

阿賀野「うん、大丈夫!」

阿武隈「オッケーです!」

木曾「んじゃ、ちょっくら暴れてやるか!」

神通「羽黒さん、落ち着いていきましょう。私は空母組の援護をします。羽黒さんは長門さん達の射線確保を」

羽黒「はい!私だって…やれます。ううん、やります!五倍の相手だって…支えて見せます!」

長門「さぁ、行くぞ!」

レ級1「ハハッ…イクッテ、ドコヘ?」

レ級2「キマッテル…ワタシタチニ、クワレニクルノサ!」

陸奥「言ってなさい。私達を余り舐めない事ね!」ドォン ドォン

長門「無駄口の多い連中だな!」ドォン ドォン

レ級1&2「」ニヤァ ビュッ

大鳳「やはり……!」


────────

────

──

265: 2014/08/04(月) 21:51:14.29 ID:S7JpRo22o
大鳳「あの時もそうでした。あのレ級は二隻現れたんです。そして、その艤装を全く使わずに、ただその凶悪な
造形をした顎と素手だけで、全てを弄り屠っていった。だからこそ、最初から油断しているのなら、それを逆手
にとって、一気に形成をこちらへ持ってこれる!川内さん、神通さん、木曾さん、中核を担うのはこの三名にな
ります」

長門「三人が帯刀している対深海棲艦用の刀剣だな」

大鳳「リスクはありますが接近する事で尚のこと、艤装を使うという考えには至らないはずです」


──

────

────────

266: 2014/08/04(月) 22:10:10.86 ID:S7JpRo22o
大鳳「さぁ、皆さん!いきましょう!第一次攻撃隊、全機発艦!」

飛鷹「少し知恵がついたくらいで、調子に乗ってもらっちゃ困るのよ!攻撃隊、発艦開始!」

レ級1「バカガ…キサマラノカンサイキナド、トルニタラヌワ!」ヒュン ヒュン

レ級2「ホラホラ、アテテゴランヨ!」ササッ

長門「全砲門、斉射!撃てッ!!」ドォン ドォン

陸奥「まだまだ、これからよ!」ドォン ドォン

レ級1「ハハッ、ムダムダ!」ササッ

レ級2「ウゴカナイマトニシカ、ホウゲキシタコトナインジャナイノ?」ササッ

レ級1「ハイ、トウチャク」ズズズ…

長門「ちっ……」

レ級1「ナガトガタ、イチバンカン、センカンナガト…フフフ、アナタヲタベレバ、サゾイイエイヨウホキュウ
ニナルデショウネ?」

長門「食べる?ふん、馬鹿も休み休み言え。誰がこの距離で何も出来ないと言った」スッ

レ級1「ナンデスッテ?」


ドンッッ


レ級1「ガハッ…!キ、キサマ…!」

長門「殴り合いを希望なら幾らでも受けてやる。最も、その暇があればな」


バッ


レ級1「ナ、ナンダ…!?」

267: 2014/08/04(月) 22:29:03.12 ID:S7JpRo22o
レ級2「ケイジュンヨウカン…!レ級1、ヒケ!」

川内「油断したね!このまま一気に詰める!」ヒュッ

レ級1「シキンキョリカラノ、ホウライゲキセンカ!?サセルカァ!」ガパッ

神通「…甘いですね。狙いはそこではありません!」ザンッ

川内「油断大敵ってね!」ザクッ

レ級1「ハモノ、ダト……!?」ググッ

木曾「じゃあな、深海へ還れ…!」ヒュッ


ザンッ


レ級1「ガッ……!オ、ノレェェェェ!!」グァッ…

羽黒「これ以上、やらせません!」ドン ドン


ボボボン


レ級1「グガ……ッ!」 大破

筑摩「とどめを!」

天龍「いそげ!」

271: 2014/08/06(水) 20:41:15.74 ID:gD1TFds7o
レ級2「フフフ、ハハハハハ……」

レ級1「…!?ナ、ナニヲ、ワラッテイル!」

レ級2「コンナザコヲアイテニ、ナサケナイ。ソレデハサイセイモママナラナイダロウ?ダカラ……オマエハ、ワ
タシノ、チニクトナレ」

レ級1「ヤ、ヤメ……」

レ級2「」ガパァ


グシャァ


川内「なっ……」

羽黒「ひっ……」

天龍「暁達は見るな…!」

暁「ぁ……あぁ……」

電「た、たべ……」

響「くっ……」プイッ

島風「な、なに、あれ……」

大鳳「逃げて……」ボソッ

翔鶴「た、大鳳、さん…?」

大鳳「皆、逃げて!早く!!」

272: 2014/08/06(水) 21:08:16.33 ID:gD1TFds7o
レ級?「逃がすとデモ、思っタノ?」スッ

大鳳「ぁ……」


ザシュッ


長門「大鳳ッ!」

大鳳「ぐっ……!」ヨロ… 中破

長門「貴様ぁ!!」ドォン ドォン

レ級?「ふふっ、ははっ……アハハハハ!」ボン ボボン

長門「な、に……?」

レ級?「コレガ、戦艦の主砲?ホントーに?だとシタラ、お前ノ主砲ハ相当、カルイな」ジャキッ

陸奥「姉さん、避けてッ!!」

長門「……ッ!」

レ級?「むーり♪」ドォン ドォン


ボボボボボン


長門「」 大破

レ級?「ハイ、二匹目。次ハだぁれ?」

273: 2014/08/06(水) 22:28:09.51 ID:gD1TFds7o
天龍「テメェ…!」バッ

川内「待って、天龍!」ガシッ

天龍「は、放せ、川内!敵が目の前に居て、あいつらがやられてんだぞ!?指咥えて見てろってのか!!?」

川内「落ち着いてよ!相手は一隻なんだよ!?なのに、ここにいる誰もが動けないほどの威圧を放ってる…」

天龍「くっ……」

レ級?「アラアラ……だぁれも相手、シテくれないノ?だったら……」


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


ボボボボボン


レ級?「アラ…?ちょっと、痛いジャナイ」

飛鷹「舐めんじゃ、ないわよ!」バッ

レ級?「軽空母風情ガ…!」ビュッ

飛鷹「っ!?」

274: 2014/08/06(水) 23:05:45.44 ID:gD1TFds7o


ガギィ


レ級?「何…?」

神通「まだです…!」

レ級?「ハァ、今度ハ軽巡洋艦?ニシテモ、また随分ト面白いオモチャ持ってるジャナイ。さっきのはコレが理由
コレだったのネェ…アレは、ちょっと痛かっタワ!」グググッ

神通「うっ……!」

レ級?「ウフフ、大丈夫?コノママダト、アナタ……氏ぬわよ?」ググググッ

阿武隈「神通さんを離しなさいよ!」ドン ドン

レ級?「いいわよ?」ビュッ ササッ

神通「あっ……」グラッ…

阿武隈「ぇ……」


ザクッ


阿武隈「あ…ごほっ……」ポタポタ… 大破

木曾「阿武隈ぁ!このやろう!!」シャッ


ビュッ


レ級?「ダメダメ、それじゃ遅いわ」スッ

木曾「なっ…」

レ級?「速さが売りノ軽巡洋艦ニシテは、ノロマね?」


ドシュッ


木曾「ぐあ……!」 中破

レ級?「あら、チョット浅かった?」

羽黒「わああああああっ!!」ドン ドン ドン ドン

筑摩「ダメ、羽黒さん!!」

レ級?「うふふっ、いいわね、その恐怖ニ歪ンダ表情…ステキ」


パパパパパン


羽黒「あ…そ、そんな……」

275: 2014/08/06(水) 23:36:18.74 ID:gD1TFds7o
レ級?「鉛玉にシテは、痛くも痒くもナイなんて、不憫ネ?」グッ

羽黒「……ッ!?」


ガシッ


レ級?「なっ……」

陸奥「全方位は、流石に、視野でカバーはしきれないでしょ!」グググッ

レ級?「キ、サマ……!」

陸奥「皆……ごめんなさいね」

神通「陸奥、さん?」

川内「や、やめろ…陸奥さん!」

レ級?「正気カ、キサマ……!?」

陸奥「ええ、私達は常に、氏と隣合わせ…けど今回は、私達の勝ちよ。必ず、あなた達深海棲艦をこの世界から
排除する。何年、何十年かかってでも……今のうちに、精々笑っておきなさい!私の仲間と、私達を束ねる提督
は、必ずこの世界に平和をもたらすんだから!」ジャキッ

レ級?「オノレェェェ……!」


ボゴォォォォォォォォン

276: 2014/08/07(木) 00:19:29.98 ID:bKD9TCoNo
-執務室-

提督「どう言う事だ。なんで誰も応答しない!」

榛名「わ、解りません。交戦に入っているのかもしれないですし…」


ザー……ザザザ……


提督「……!」ガシッ

榛名「通信!?」

提督「皆、無事か!?」

??『…………』

提督「おい、どうした。応答しろ!」

??『アナタガ、この艦隊の提督ネ?』

提督「…ッ!」

??『朗報ヨ。艦隊ハ全滅。流石に骨がオレタ。褒めて上ゲル…強い艦隊ダッタワ。放っておけば、確実に脅威
トナルのは明白…鋼鉄の艦隊と呼ばレタ中将鎮守府ノ戦艦達もソウだったけれど…アナタ達、目障りネ』

提督「何者だ、貴様……っ!」

277: 2014/08/07(木) 00:34:19.06 ID:bKD9TCoNo
-モーレイ海手前-

装空鬼「鬼、と呼ばレル深海棲艦……装甲空母鬼」

提督『鬼、だと…?』

装空鬼「今回は新型の深海棲艦のデキを見に来たダケ……ハァ、最も…二隻とも沈めラレテこっちとシテハまさ
に痛手、と言う他ニ言葉がナイワ。今度ハ、こうはいかない。確実ニ沈メテアゲル。じゃ、サヨウナラ…」


ブツッ……


装空鬼「……自分ノ力ヲ過信シ、足元を掬わレル……」

レ級?「オ、ネガイ……タス、ケ……」

装空鬼「安心ナサイ。マタ、あの薄暗い闇へ、戻シテあげる」

レ級?「ヤ、ダ……イヤダ……モウ、深海ハ……!」

装空鬼「私達ノ世界ハ弱肉強食……忘レタとは言わせナイ。必要ナノは、強者で在り続けるコト……弱者、敗者
ノ言葉ナドあってナイも同然。敗者は、キエナサイ……」

レ級?「マ、マッテ……」


グシャ


装空鬼「愚か者……ふふっ、シカシ…あの戦艦、とんだ博打ヲ仕掛ケテ生き延びたモノネ。ある意味、収穫カナ」

282: 2014/08/07(木) 21:48:17.55 ID:TrFIiSfio
-帰路-

川内「くそっ、無茶しすぎだよ、陸奥さん…!」

陸奥「ふふっ……でも、まぁ……お陰で、この、通り…だけどねぇ。ゲホッ、ゴホ…!」

川内「あぁ、もう!喋んなくていいから!通信機器全部破壊されちゃうしさぁ、提督絶対心配しまくりだって…」

神通「長門さんの容態も一刻を争います。早く戻らないと…!」

瑞鳳「大鳳さん、大丈夫ですか?」

大鳳「ええ、なんとか…その、ありがとう」

瑞鳳「ううん、お礼とかそういうのは違いますよ。だって、私たちは仲間じゃないですか!」

島風「阿武隈も危ないし、もっと急ごう!」

飛鷹「大丈夫、周辺に敵の影はないわ」

翔鶴「このまま真っ直ぐ、鎮守府へ最短のコースです」

283: 2014/08/07(木) 22:16:32.70 ID:TrFIiSfio
-??-

後輩「……新型二隻を失った?どういう冗談だ、装甲空母鬼」

装空鬼「冗談モ何モ、事実ヲ言ったダケ。中将艦隊ヲ相手にシテも同じ結果ダッタ……ツマリ、提督鎮守府も放っ
てオケば、後の脅威トナルって解釈ね」

後輩「そういう事を言ってるんじゃないんだよ……新型だぞ。数に限りがある!お前はそれを……」

装空鬼「ハーイ、そ・こ・ま・で……今回はアナタに従ってアゲタだけ。それに、アナタよ?手を出すなッテ命令
をワタシに下したのは……西方海域ニハ少将クラスの鎮守府がゴロゴロしてる。そこの防衛線ヲ離れてマデ見に行
ってアレだもの……多少の収穫ハあっても、釣り合いトシテはマイナスよね」

後輩「深海棲艦の近代化改修、そのプラン提唱をしてやったのはこの僕なんだぞ!?」

装空鬼「だから?」

後輩「だから、だと?ふざけるな!僕が……」

装空鬼「アナタそれ、ワタシの『上司』にも同じ態度デ言える?」チラッ

後輩「なっ……」バッ

??「…………」

後輩「お、お前…いつから……」

??「いつからも何も、はじめから。それより……」バキッ

後輩「がはっ…!」

??「口の利き方に気をつけなさい。貴方如き若輩の提督が私の一団を扱える栄光を授かれる事に敬意を払いなさい」

後輩「な……」

??「そして次はないと思いなさい。一度目の鋼鉄の艦隊の殲滅未遂。おまけに今度はたかが大佐の率いていた
ちっぽけな艦隊の殲滅未遂……それに留まるならまだしも、預けた五隻の新型のうち既に四隻がロスト……」

装空鬼「お言葉デスがマスター」スッ

??「なぁに?」

装空鬼「マスターの言わレタ艦隊、言うほどの弱者ではアリマセンでした」

??「…………」

装空鬼「少なくトモ、戦力で言エバ、鋼鉄の艦隊と遜色のないほどに……」

??「ふぅ、まぁ確かに。他の佐官鎮守府の中で比べても成長著しいのはあの鎮守府とその提督だし、私だって
全くのノーガードと言う訳ではない。だからこそ、大本営にも潜り込んでる訳だしね。いいわ、注意すべきは、
横須賀や舞鶴だけじゃない。それを今回認識できただけでもよしとしましょう」

装空鬼「ハイ、マスター」

??「さて、後輩?貴方に最後のチャンスをあげるわ。この失態を帳消しに出来るかどうか…貴方が今研究に熱
をあげてる例の者達を使って、貴方がこの一団にとって必要な存在なのかどうかを私に教えなさい」

後輩「くっ……解りました。ご覧に入れますよ。僕が組織した艦隊がどれだけ優れているのかをね…!」

284: 2014/08/07(木) 22:48:53.82 ID:TrFIiSfio
-提督鎮守府-

提督「くそっ……!あれから通信も完全に途絶えた。長門たちは無事なのか…」

比叡「て、提督。ここは私達が見てるから、提督は執務室で…その、通信くるかもしれないし!」

提督「あ、ああ、そうだな。すまない、比叡」

比叡「お姉さま、提督を執務室まで……」

提督「いや、大丈夫だ。取り乱して済まない」

金剛「提督…」

赤城「提督!こちらへ真っ直ぐ向かってくる艦隊があります!」

提督「っ!本当か、赤城!」

赤城「あの艦載機は、飛鷹さんのものです!」


提督「長門に陸奥、阿武隈が大破、木曾と大鳳が中破……くそっ」

北上「と、とにかくさ。五人を入渠ドックへ運ぼうよ」

陸奥「ゴホッ、わ、私は後でいいから、先に、姉さんと、阿武隈を…」

木曾「バカ言ってんなよ!陸奥さんだって重症だろ!後回しは、むしろ俺だ!」

提督「安心しろ、入渠ドックも新造されてる。北上の言うとおり、とにかく五人をドックへ運ぶ」

榛名「提督、言われたとおり、病院の方にも連絡を入れて、この後来てくれるそうです」

提督「そうか、長門たちをドックへ運んだら残りのメンバーには話を聞かせてもらう」

285: 2014/08/07(木) 23:22:19.34 ID:TrFIiSfio
-会議室-

提督「深海棲艦が深海棲艦を食っただと…?」

羽黒「……地獄です」

神通「恐ろしいのは、捕食する前と後で、明らかに戦闘能力が向上していた点です」

翔鶴「私や大鳳さん、飛鷹さん達の艦載機を全く寄付けないほどの制空力を持つ敵の艦載機…」

川内「私や羽黒達の砲撃なんて意に介してない。パチOコ玉程度にしか思っちゃいなかった」

提督「……で、陸奥が自爆に等しい特攻を仕掛けたと?」

天龍「ああ…」

提督「解った。取り敢えず暁たちのケアだけしておいてくれ。そんなもの見せられて平静でいられるわけもない」

阿賀野「あの、提督」

提督「ん、どうした?」

阿賀野「気の、せいかもしれないんだけど…レ級の一匹がもう一匹を捕食した後で、明らかに捕食した方のレ級
の口の回り方って言うか、喋り方って言うか、向上してるように思えたの」

提督「なに…?」

阿賀野「う~ん、なんて言うのかな…すっごいカタコトで喋ってた人が、いきなり流暢に喋る、みたいな…」

提督「捕食してから、流暢に言葉を操った、か…」

阿賀野「動揺してたし、恐怖もあったから、その…気のせいかもしれないんだけどね」

提督「ああ、わかった。よし、とにかくお前たちも休め。こちらの動きがバレていた事についても気にかかるし、
一度この事を報告しに大本営まで行ってくる」

艦娘「「「了解しました!」」」

286: 2014/08/07(木) 23:53:27.49 ID:TrFIiSfio
-執務室-

提督「モーレイ海域には不思議なことに深海棲艦の一団はいなかったそうだ。存在したのは哨戒に当たっていた
一部分の深海棲艦のみ。しかし構成される種別はどれもフラグシップやエリートのみで組まれていたそうだ」

榛名「モーレイ海、何かありそうですね」

提督「だが、現状の戦力ではあの海域を突破することは出来ない。もっと、力をつけないとダメだ」

榛名「……」

提督「取り敢えず今回の件は電文に纏めるには内容が濃すぎる。再び大本営まで赴いて直接、元帥殿に話をしに
行ってくる」

榛名「解りました。留守は榛名が責任を持って受け持ちます。その、提督…あなたも気をつけて下さい」

提督「解ってる。護衛としてお前の姉妹を借りたいんだが構わないか?」

榛名「ふふ、私が許可を下ろす権利なんてありませんよ」

提督「ん、それもそうか?」

榛名「えっと、それじゃ…」

提督「霧島を頼む。それと赤城も呼んできてくれ」

榛名「解りました!」


提督「……って事で、急で悪いが二人には俺の護衛として大本営までのお供をしてもらう」

霧島「ええ、解りました。お任せを、司令」

赤城「解りました。お任せ下さい!」

提督「それじゃ榛名、行ってくる。後のこと済まないが頼んだぞ」

榛名「はい、榛名にお任せ下さい!」

291: 2014/08/08(金) 20:06:18.08 ID:vDpYPrN2o
-大本営-

那智「あっ、これは提督鎮守府の司令官殿」ビシッ

提督「やあ、那智。そう畏まらなくてもいいって」

那智「いえ、そういう訳には…」

提督「まぁまぁ…それより電話で大和には話を通してもらってるんだが確認してもらってもいいかな」

那智「はっ、急ぎ確認させて頂きます」

霧島「初めて訪れましたが、凄いところですね…」キョロキョロ

赤城「何だか、少し圧倒されてしまいます」ドキドキ

提督「この国の要、心臓部だからな」

??「おや、誰かと思えば…」

提督「ん?」

??「最近、名を上げてる提督鎮守府の大佐殿じゃないか」

提督「あなたは…?」

??「ん?ああ、失礼。私は精鋭鎮守府の提督をしている。階級は中将だ」

提督「こ、これは…失礼致しました」サッ

精鋭「噂はかねがね伺っていたけど、ふ~ん、結構いい男ね」

提督「ご、ご冗談を…」

那智「提督大佐」

提督「あ、あぁ那智」

那智「これはこれは…精鋭鎮守府の司令官殿…」チラッ

精鋭「やあ、那智。相変わらずお堅いわね」

那智「性分です。提督大佐、元帥殿から執務室まで案内するようにと賜りました」

提督「そうか。それじゃ頼む。では、精鋭中将殿、失礼致します」サッ

精鋭「ええ、また…お会いしましょう?」

292: 2014/08/08(金) 20:36:28.41 ID:vDpYPrN2o
-元帥執務室-

元帥「大和から大まかな話は聞いた。君の艦隊は無事だったのか?」

提督「五名が大破中破で戻ってきました。幸運だったのは二隻のみが相手だったこと。不運なのは、たった二隻
を相手にして長門、陸奥、大鳳、木曾、阿武隈の五名が大破中破に見舞われた事実です」

元帥「たった二隻にと…」

提督「概要は次のとおりになります」


敵の艦種は戦艦型だったこと。

しかし、攻撃手段は多彩を極め、反応速度は駆逐艦のそれを大幅に上回るほどに俊敏であることです。

攻撃手段は大まかに分けて四種類。

航空戦、砲撃戦、雷撃戦、そして格闘戦を満遍なく駆使してきます。

こちらと意思疎通が図れるほどに言語に精通し、まだ更なる進化を残しているものと思われます。

恐ろしいのは、その新型を従える上位の深海棲艦が存在していたと言う事です。

293: 2014/08/08(金) 20:46:45.35 ID:vDpYPrN2o
元帥「上位の深海棲艦だと?」

提督「その深海棲艦は自らを装甲空母鬼、と名乗っていました」

元帥「鬼…前回の報告では姫と呼ばれる存在もいるようだったが…」

提督「恐らく、その鬼や姫と呼ばれる存在が上位に名を連ねる深海棲艦と推測されます」

元帥「なんと言う事だ……」

294: 2014/08/08(金) 21:14:03.07 ID:vDpYPrN2o
提督「今回は何とか退けることが出来ました。しかし、それも初回の奇襲と陸奥の自爆に等しい特攻によるもの
であり、この方法を作戦として上げることを自分は容認しかねます」

元帥「同意する。艦娘は戦線で戦う兵士である前に、我々と同じ『子』なのだ。過去の先人達と同じ過ちをして
まで、この未曾有の脅威を退けれるとは到底思えん。今の我々には、発達した技術とこの頭脳がある」

提督「しかし、艦娘たちの錬度の向上を待っていては、確実にこの海は深海棲艦によって制圧されてしまいます」

元帥「……提督大佐、君のところの艦娘を六名、私に暫くの間預けてはくれぬか」

提督「は…?そ、それはどういう…」

元帥「前回、言っていたな。近代化改修は未だにその特性が解明されておらず、実装には程遠いものである、と…」

提督「艦娘へどのような副作用があるかもわからないため、元帥殿自らがその研究進行にも歯止めをかけていると、
自分は認識していますが…」

元帥「水面下でな、実験は行われていた」

提督「それは……!」

295: 2014/08/08(金) 21:46:28.56 ID:vDpYPrN2o
元帥「ビスマルク、入れ」


ガチャ…


ビスマルク「お呼びでしょうか、元帥」

元帥「この前、少しだけ見えているな。私の第二秘書艦、ビスマルクだ」

提督「彼女は一体…」

ビスマルク「私は近代化改修被験者の一人です」

提督「な……」

元帥「今までに行った近代化改修は合計六回。先の大戦で散っていった者達の艤装を改修し、それをビスマルク
に転用する形で実施した。ただな、近代化改修によって得られる力に改修を施された艦娘の力が伴わない場合、
反動が引き起こされる」

提督「反動…?」

元帥「うむ…しかし、私はここに一つの望みを見出しているのだ」

296: 2014/08/08(金) 21:55:02.05 ID:vDpYPrN2o
相性も無論ある……例えば、だがな。駆逐艦型に戦艦型の素材を改修すると、元のサイズやその型の違いからか、

突如として流れ込んできた力と反発が起こってしまう。馴染むまでに時間が掛かってしまうわけだ。

しかし、十分な錬度を秘めた者であれば、それを柔軟に吸収し、己の力へと転換させる。

無論、これはまだ非公式の内容だ。副作用がないことは立証できたが、失敗した際の反動によってどのような結果が

ついてくるのか、その点に関してはまだ未知数に等しい。

だがこの改修こそ、君の言う新種・仮称『戦艦レ級』や装甲空母鬼と呼ばれる新たな存在に対しての切り札となる…

私はそのように解釈を持っている。

どうだろうか、君の艦隊で錬度が上位の六名を選出してもらい。この近代化改修で戦力を強化する。

成果が見込めれば、再度注意事項を精査した上で本格的なものとしたいと考えている。

297: 2014/08/08(金) 22:06:17.95 ID:vDpYPrN2o
提督「失礼を承知の上で申し上げれば、つまり自分の艦隊を実験として使い、最終判断を下したいと…?」

元帥「……言うとおりだ。だが誰でも言いという訳ではない。君だからこそ、ビスマルクの事を含めて話をした。
正直、ここ最近の深海棲艦の成長振りは無視できん。娘の鎮守府には過保護と言われても言い訳できぬだけの戦力
を割いていたのも事実。逆に言えば、大将クラスの錬度を持った艦隊を配備したつもりだ」

提督「その艦隊が鎮守府諸共、大破ロストした……」

元帥「痛恨の極みと言う奴だ。後の報告からレ級クラスが二隻、武蔵と加賀で撃滅する事は出来たようだったが
それも満身創痍…完勝には程遠い辛勝とも呼べるものだ。結果としては敗北……前に、進まねばならんのだ」

提督「……解りました。ただし、この事は機密に触れない程度で艦娘全員に通達し、内容を理解した上で、自分
が選出するのではなく、彼女たちの意思の元、選ばせて貰います」

元帥「構わん。無理を言って済まん。反撃の狼煙を上げるには、相応の力を示さねばならん」

302: 2014/08/10(日) 22:27:04.99 ID:hch6zgwho
-帰路-

提督「…………」

赤城「提督?」

霧島「思い詰めているようですが、何かよくない報告でも…」

提督「ん…あぁ、いや。そうじゃない……と、言えばまぁ嘘だが。お前たちにも関係のあることだから、戻って
から全員の居る所で話をする」

赤城「余り思い詰めてばかりいると、榛名さんが心配しますよ」

提督「あ、あのね赤城……」

霧島「司令、榛名はとても素直な子ですがとても傷つきやすい子でもあります」

提督「え、どうしたの、霧島?」

霧島「姉妹としては、榛名を泣かせる不逞な輩を許す訳にはいきません」

提督「ち、因みにだよ?因みに、万が一にも榛名が泣いちゃった場合はどうなるの?」

霧島「司令の耳元で鼓膜を破る勢いでマイクチェックしてみようかと思います」

提督「会議や講義の時のマイクチェックいつも助かってるけど、あれを耳元でやるのは如何なものかな…?」

霧島「そうですねぇ。非常に煩いでしょうねぇ」

提督「うん、論点が違うね?」

霧島「そうでしたか?」

赤城「口では霧島さんには提督でも敵いそうにありませんね」クスッ

提督「俺の威厳を口の上手さで決めるのはどうなのよ…」

303: 2014/08/10(日) 22:36:24.73 ID:hch6zgwho
霧島「でも正直驚きました。風の噂でしか聞いてなかったので半信半疑で、元々榛名は前司令からヒドイ扱いを
受けていると聞いてまして、司令が今の鎮守府に着任される前、中将司令の方で憲兵の査察団を抜き打ちで送り
込んだことがあったんです」

提督「そ、そうだったのか!?」

霧島「司令が着任されてから半年後にも査察団、来ていたはずですよ?まぁ、最も前司令の際は決定的な証拠を
掴めず、門前払いに等しかったようですが、その後の調査で埃が立って敢え無く御用になったみたいですが…」

提督「着任してから半年後って、そんな査察団きてたのか?」チラッ

赤城「わ、私は着任したばかりでしたし、解りませんよ?」

提督「ま、まさか赤城、お前……」

赤城「違います!違いますよ!?」

霧島「ふふっ、赤城さんはきっと違いますよ。最も、私も誰がその査察団なのか、までは解りかねますけどね。
私が驚いたのはそんな『提督』という対象に対して嫌悪を抱いていたはずのあの子が司令を受け入れた…それ
が私にとっては驚きであり、それ以上に素直にうれしい、と言うところでしょうか」

提督「はぁ、すっげぇプレッシャーなんだけど…」

霧島「私としては、その怠け癖がなければ尚よし、と言ったところですね」クスッ

提督「ったく……」プイッ

赤城「ふふっ、拗ねてしまいましたね?」クスッ

霧島「ふふふ」クスッ

304: 2014/08/10(日) 23:04:16.94 ID:hch6zgwho
-鎮守府・会議室-

榛名「提督、全員揃いました」

提督「よし、長門たちはドックだから居ないが、まぁよしとする。今回、モーレイ海へ進軍した艦娘たちは本当
にご苦労だった。暁たちは大丈夫か?」

暁「う、うん…さ、流石にまだちょっとドキドキするけど、大丈夫よ!」

電「い、電もだいじょうぶなのです!」

響「……」

提督「響?」

響「あ、うん…ごめん。流石にあれはショックが大きかったみたい」

305: 2014/08/10(日) 23:41:34.77 ID:hch6zgwho
提督「気に病むな。同じように、口で大丈夫と言っていても本能はそうはいかない。だから決して無茶無理はす
るな。今回挑んだ相手はまさに未知の敵だ。それに背を向けず挑んだ勇気は本物だ」

響「ありがとう、提督」

提督「どういたしまして」ポンポン

響「ふふっ///」

提督「さて、今回集まってもらったのは皆に一つ提案をするためだ」

夕立「何の提案なの?」

提督「今回の戦闘を受けて、このままでは危険と判断した。そこで六名…現在、大本営の方で研究が進んでいる
強化試験にお前たちの中で六名、実験に参加して欲しいという要請が元帥殿自らあった」

白露「じ、実験って…何か痛いこととかしちゃうの…?」

提督「すまない。詳しい内容は選抜された六名を引率していった段階で明言される。一応、この内容はトップシ
ークレットに値する内容だからな。実際、その強化実験に参加した艦娘を見てきたが段違いの実力を見せていた
のは確かだ。ただそこにいるだけで、威圧というものを肌で感じるほどにな。しかし、必ずしも全員が錬度の向
上に繋がるとも明言できない。やはり、そこには個人の努力が必要不可欠と言う事だ。それらを踏まえた上で、
この提案に乗ってくれる者はこの後、執務室まできてくれ。以上だ」

306: 2014/08/11(月) 00:15:03.28 ID:h4hQt7ASo
-執務室-

提督「…………」


コンコン…


提督「入れ」

榛名「失礼します」

提督「決まったか?」

榛名「はい、全員で話し合った結果です。誰が行くのかも、決めました。一人は、私が行きます」

提督「いいんだな、榛名」

榛名「はい!榛名は大丈夫です!」

北上「提督、私もいくよ」

提督「強くなりたいか」

北上「うん、皆を守りたいからね~」

提督「わかった」

飛鷹「空母組からは私と……」

龍驤「うちがいくで!」

提督「覚悟は出来てるな?」

飛鷹「ええ、勿論よ!」

龍驤「何ぼでも困難は乗り越えたるわ!」

提督「そうか、わかった」

川内「私も行く」

提督「なんだ、茶化すわけじゃないが珍しいな、川内」

川内「まぁ、なんて言うのかな。妹の神通があんだけ頑張ってるのに、私だけのほほんとは、ね?」

提督「はは、そうか。よし、わかった。最後は……」

衣笠「衣笠さんよ!」

提督「これまた意外…」

衣笠「ちょっと、提督…?」

提督「はは、悪い悪い。よし、それじゃ……」

307: 2014/08/11(月) 01:03:50.66 ID:h4hQt7ASo
??「ま、待って下さい!」バタン

提督「ん?」

羽黒「司令官さん…わ、私も、連れて行って下さい!」

川内「羽黒、お前…」

羽黒「お、お願いします!」

提督「しかしな……」

榛名「定員は、固定なんですか?」

提督「え、いや…そりゃ聞いてみないとわからないが…」

飛鷹「だったら、聞いてみてよ!一人も二人も一緒でしょ!?」

提督「相変わらずのとんでも理論でたな…」

飛鷹「な、何よ…」

北上「羽黒っちの勇気パーにすんの~?」

提督「はぁ、もう解ったよ。解った。聞くよ。ただし、ダメだった場合は潔く諦めろ。いいな、羽黒」

羽黒「は、はい!ありがとうございます!」

312: 2014/08/12(火) 20:11:19.55 ID:3P7Wy968o
-大本営-

提督「元帥殿、この度は無理を承諾して頂きありがとうございます」ペコ

元帥「他ならぬ君のところの艦娘の頼みではなぁ。それに、こちらとしてもありがたい申し出だ」

羽黒「あ、あの…ありがとうございます!」

元帥「はは、そう硬くなるな。では演習場にまずは案内する」


元帥「さて、君達七人にはこれからここで定期的に演習戦を行いつつ、ある実験に協力してもらう」

提督「期日は今日から数えて二週間。カリキュラムの内容は近代化改修実践試験だ」

榛名「近代化、改修?」

提督「元帥殿は以前から艦娘の潜在的な力に目をつけていたそうだ。基本となる艤装の改修や改造による強化だ
けでは限界があると察し、艦娘自身の身体能力の向上を目的とした強化を考えた」

元帥「しかし、君達自身も解るとおり、単純な体力作りや技術の向上では限界が存在する」

川内「あの、提督が今回作ってくれた、こういった新しい艤装とかじゃダメなんですか?」スラッ

元帥「これは…」

313: 2014/08/12(火) 20:39:05.95 ID:3P7Wy968o
提督「対深海棲艦用武刀剣、が正式名称になります。刀身を超合金仕様にし、深海棲艦の装甲や艤装をも寸断、
貫通させるほどの破壊力を秘めています。航空戦、砲撃戦、雷撃戦、中遠距離のレンジから戦うことが基本にな
る彼女たちには無縁だった武装構想です」

元帥「うむ、そうだったか。いや、川内だったな。確かに君が言うとおり、新たな艤装を換装させ元の戦力を向
上させるやり方もあるにはある。しかしそれは言い換えれば金に物を言わせる、と言うやり方だ。資材や資金は
無尽蔵ではない。何より、艦娘の子達が扱える艤装を設計・製作しなければならない。妖精諸君も万能ではない
からな。設計図などあれば別だが、我々が空想した産物を言葉だけで伝えたところで資材の割合がさっぱり解ら
ない故、造りようがなくなってしまうのだよ」

提督「確かに、この刀剣は設計図を基にして資材の割合から何から何まで数字をはじき出して製作してもらった
結果だ」

川内「そっかぁ…」

元帥「さて、次へ案内しようか」

龍驤「あれ、なんや…今からドンパチするんとちゃうんか?」

元帥「はっはっは、元気で何よりだな」

提督「こ、こら、龍驤!言葉を慎め!」

元帥「構わん構わん。私の艦隊の子等はどうも堅苦しくてな。唯一、大和くらいだよ。のんびりとできる相手はな」

提督「き、恐縮です」

314: 2014/08/12(火) 20:47:13.19 ID:3P7Wy968o
元帥「さて、ここが二週間、君達に使ってもらう部屋になる。生憎と数は限られているので三部屋しか用意でき
なかったが、七名なら二名ずつ一部屋、残り三名で一部屋でなんとかなるだろう」

提督「はい、ありがとうございます。皆、今日は一先ず気分を落ち着かせる意味で、ここでゆっくりするといい。
明日から本格的な実験へ移る」

艦娘「「「了解です!」」」




~急襲・モーレイ海~ 完

310: 2014/08/11(月) 09:22:34.63 ID:q1P8HXXxo
乙です


次回:
【艦これ】提督「暇っすね」part8


引用: 【艦これ】提督「暇っすね」part3