1: 2024/07/21(日) 20:40:25 ID:???00
とまマル

2: 2024/07/21(日) 20:42:09 ID:???00
【屋上】

千砂都「はーい、ちょっと早いけど、ここできゅーけーい!みんな水分補給しっかりねー!」

「「「はーい!」」」

きな子「ふわぁぁぁぁ、暑いっすぅぅぅ…」

夏美「暑いですのぉぉぉ…」

四季「二人ともとろけている」

メイ「いくらなんでも、いきなり暑くなりすぎだろ…なあ四季、涼しくなるような何かないのか?」

3: 2024/07/21(日) 20:43:10 ID:???00
四季「環境制御装置は開発途上」

メイ「本当に作ってんのかよ」

四季「高温環境での練習はパフォーマンスの低下だけでなく、体調にも影響する」

メイ「確かにな、これじゃ茹で上がっちまうよ。先輩たちもいろいろ考えてくれてるみたいだけど…1年生の二人は大丈夫かな?」

四季「あっちで休んでいる」

5: 2024/07/21(日) 20:43:42 ID:???00
冬毬「ふぅ、暑い…炎天下での練習はこたえますね」

マルガレーテ「…」

冬毬「マルガレーテ?」

マルガレーテ「ん…」

冬毬「大丈夫ですか、ふらふらしています」

マルガレーテ「とまり…?」

6: 2024/07/21(日) 20:44:18 ID:???00
冬毬「顔が赤い…まさか、熱中症では」

マルガレーテ「ね、ちゅうしよ?うん…」

ちゅっ

冬毬「んむっ!?」

「!!!???」×9

マルガレーテ「んー…」

冬毬「んんーっ!?」

7: 2024/07/21(日) 20:45:05 ID:???00
マルガレーテ「んっ、ちゅ、んんっ…ぷはっ」

冬毬「ぷあっ…」

マルガレーテ「はぁ、はぁ…」

冬毬「ま、マルガレーテ…」

マルガレーテ「はぁ、はっ、う、ぅ…」

8: 2024/07/21(日) 20:45:58 ID:???00
冬毬「…!」

マルガレーテ「あ、う…」

冬毬「目がうつろで、体が熱く火照っている…一刻も早い対処が必要です。マルガレーテ、涼しいところで休みましょう。自力で歩けますか?」

マルガレーテ「あるく…」

冬毬「…難しそうですね。失礼します」

マルガレーテ「きゃっ」

9: 2024/07/21(日) 20:47:12 ID:???00
冬毬「落ちないようにつかまっていてください。マルガレーテを保健室に連れていきます、後のことはお任せください」

マルガレーテ「とまり、とまりぃ…」

冬毬「ここにいますよ。もう少しだけ我慢してください」

ガチャ バタン

9人「…」

9人「…!?」

10: 2024/07/21(日) 20:47:45 ID:???00
【保健室】

マルガレーテ「う、うう、ん…?」

冬毬「マルガレーテ、大丈夫ですか?」

マルガレーテ「冬毬…?ここは…私、どうして…」

冬毬「ここは保健室です。マルガレーテは練習中、暑さで倒れたのですよ」

マルガレーテ「全然覚えてない…」

11: 2024/07/21(日) 20:48:38 ID:???00
冬毬「具合はどうですか」

マルガレーテ「頭が、痛い…それにぐるぐるする…」

冬毬「やはり熱中症のようですね」

マルガレーテ「ねっちゅうしょう…」

冬毬「!」

12: 2024/07/21(日) 20:49:26 ID:???00
マルガレーテ「冬毬…?」

冬毬「…なんでもありません。きっと体が脱水を起こしているのでしょう。スポーツドリンクを買ってきました、飲めますか?」

マルガレーテ「飲みたくない…」

冬毬「脱水時には、水分と塩分の補給が大切です。体を冷やす効果もありますので、少しずつでも飲んでください」

マルガレーテ「わかった…んっ…」

13: 2024/07/21(日) 20:50:05 ID:???00
冬毬「飲めそうですか?」

マルガレーテ「…飲める」

冬毬「よかった」

マルガレーテ「おいしい、不思議なくらい飲める…」

冬毬「それだけ体が乾いていたのです。脱水は自分では気付きにくいものですから」

14: 2024/07/21(日) 20:50:45 ID:???00
マルガレーテ「練習は…みんなは?」

冬毬「練習は一時中断で、皆さん部室に戻っています」

マルガレーテ「そういうことじゃなくて…」

冬毬「ん…?ああ、心配ありません。皆さんお元気です」

マルガレーテ「そう…よかった」

冬毬「とはいえ、暑さがひどいので、練習はこのまま中止になるかもしれませんね」

15: 2024/07/21(日) 20:51:17 ID:???00
マルガレーテ「そんなのダメよ、ライブだって近いのに」

冬毬「無理をして体調を崩してしまっては、元も子もなくなります」

マルガレーテ「私が倒れたから…はぁ、情けない」

冬毬「誰がこうなってもおかしくないのですから、そんな風に思うべきではありません。マルガレーテは頑張りましたよ」

マルガレーテ「…」

16: 2024/07/21(日) 20:52:00 ID:???00
冬毬「顔色もよくなりましたし、とりあえず先輩たちに報告してきます」

マルガレーテ「…やだ」

冬毬「!」

マルガレーテ「もう少し、一緒にいてほしい…」

冬毬「…わかりました。このまま付き添います。LINEで連絡しておきますね、皆さん心配していますので」

マルガレーテ「ん…」

17: 2024/07/21(日) 20:52:40 ID:???00
冬毬「もう少し飲めますか?」

マルガレーテ「うん」

冬毬「ふふっ」

マルガレーテ「…どうして笑ったの?」

冬毬「マルガレーテが素直なので、つい」

マルガレーテ「…それ、いつもはひねくれてるって言いたいわけ?」

18: 2024/07/21(日) 20:53:26 ID:???00
冬毬「可愛いらしいなと思っただけです」

マルガレーテ「なんなのよ、人が弱ってるときに…」

冬毬「本心で言っています。マルガレーテは可愛いです」

マルガレーテ「うっさい」

冬毬「ふふふ、この辺でやめておきましょうか。これ以上顔が赤くなってはいけませんので」

マルガレーテ「冬毬っ」

19: 2024/07/21(日) 20:54:15 ID:???00
冬毬「冗談はさておき、かなり回復してきましたようですね」

マルガレーテ「一言多い誰かさんのおかげでね」

冬毬「ほら、マルガレーテらしさが戻ってきました」

マルガレーテ「本心で言ってるのに」

冬毬「とはいえ、楽観はできません。念のため病院で診てもらうのがセオリーです」

マルガレーテ「それはさすがに大袈裟よ」

20: 2024/07/21(日) 20:54:59 ID:???00
冬毬「そうは思いません。歩くことも辛そうでしたし、受け答えが鈍くなるなど、軽い意識障害を起こしていたのですから」

マルガレーテ「意識障害って、そんなんじゃ」

冬毬「油断はできないと言っているのです。マルガレーテにもしものことがあったら、私は…」

マルガレーテ「…ごめん、心配させて」

冬毬「いえ…」

マルガレーテ「…ねえ、冬毬。お願いがあるんだけど」

21: 2024/07/21(日) 20:55:45 ID:???00
冬毬「なんでしょうか」

マルガレーテ「…今日は、一緒にいてほしい」

冬毬「!」

マルガレーテ「無理しないで、家でゆっくり休むわ。悪くなりそうなら、そのときはちゃんと病院に行く。だから…冬毬には一緒にいてほしいの」

冬毬「…」

マルガレーテ「…ダメ?」

22: 2024/07/21(日) 20:56:38 ID:???00
冬毬「…ふぅ、仕方ありませんね」

マルガレーテ「いいの?」

冬毬「こうまで言われて、弱ったあなたを放っておけるほど薄情ではありませんよ。体調を崩したときの心細さは、私にもわかります」

マルガレーテ「じゃあ…」

冬毬「なにより、初めからそうするつもりでしたから」

マルガレーテ「えっ?」

23: 2024/07/21(日) 20:58:02 ID:???00
冬毬「言ったでしょう、このまま付き添うと」

マルガレーテ「冬毬…」

冬毬「まぁ、マルガレーテが可愛いので良しとしましょう。よしよし」

マルガレーテ「んぅ…子供扱いしないでよぉ」

冬毬「頭を撫でられるのは嫌ですか?」

マルガレーテ「ううん、落ち着く…」

24: 2024/07/21(日) 20:59:02 ID:???00
冬毬「よく頑張りました」

マルガレーテ「うん…冬毬、ありがとう…」

冬毬「マルガレーテ?」

マルガレーテ「すぅ…すぅ…」

冬毬「…寝てしまいましたか。先ほどの辛そうな様子とは違い、穏やかな寝顔です」

マルガレーテ「すぅ…ん…」

冬毬「名残惜しいですが、今のうちに帰り支度をしなければ。すぐ戻ります、このまま待っていてくださいね」

25: 2024/07/21(日) 21:00:10 ID:???00
【部室】
可可「冬毬ー!マルマルは、マルマルは無事なのデスか!?」

恋「マルガレーテさんの具合はどうなのですか!?」

メイ「ちょ、二人とも落ち着けって!」

可可「落ち着いてなどいられマスか!マルマルにもしものことがあったら…」

恋「ああああああああ!」

すみれ「ああもう、不安をあおらないの!」

26: 2024/07/21(日) 21:01:06 ID:???00
四季「さっきからずっとあんな様子。みんな心配している」

夏美「それで、マルガレーテは?」

冬毬「最初のうちは辛そうでしたが、かなり回復しました。水分を充分にとって、今は眠っています」

かのん「そっか、よかったぁ…」

すみれ「でも心配よね、病院とか連れて行ったほうがいいのかしら」

27: 2024/07/21(日) 21:02:38 ID:???00
千砂都「気を失って倒れちゃったくらいだしね…」

冬毬「私も診察を勧めたのですが、本人は家で休めば大丈夫だと言っていまして」

夏美「大丈夫なんですの?」

きな子「マルガレーテちゃん一人暮らしっすよね。あんな状態で一人にするわけには…」

冬毬「ですので、今日は私が付き添って面倒を見ようと思います。お互いの家にお泊りグッズを置いてありますので、泊まり込んでの対処が可能です」

かのん「そうしてもらえると安心だね」

28: 2024/07/21(日) 21:03:26 ID:???00
可可「デスデス!冬毬がついてくれるのなら心配はありまセン!マルマルのこと、お願いしマスね!」

冬毬「はい。様子は随時共有しますので、私にお任せください」

夏美「冬毬、よろしく頼みますの」

四季「何かあればいつでも連絡を」

冬毬「ありがとうございます。では、私はこれで」

29: 2024/07/21(日) 21:04:09 ID:???00
すみれ「お願いね」

冬毬「…それと、マルガレーテが倒れたときのことですが」

9人「!」

冬毬「どうやら覚えていないようなのです。だから、皆さんもそのことには触れずに、そっとしておいてください」

9人「…」

冬毬「時期が来たら、必ずお伝えしますので。お願いします」

かのん「う、うんっ」

冬毬「では、改めてお先に失礼します。また明日」

バタン

30: 2024/07/21(日) 21:04:38 ID:???00
きな子「冬毬ちゃん、カッコいいっす…!」

千砂都「うんうん!みんなの前であれだけ堂々と言えるなんて、とってもマルだね!」

メイ「しっかりしてるよな、つくづく夏美の妹には思えねぇよ。なあ、夏美」

夏美「ぐすっ、ひぐっ…」

メイ「うわわっ!?な、なに泣いてんだ、冗談に決まってるだろ、泣くなよ」

31: 2024/07/21(日) 21:05:26 ID:???00
夏美「冬毬が、冬毬があぁぁぁっ」

メイ「ああ、なんだそっちか」

すみれ「感極まってるわねぇ。私もいつか姉として、こんな風になる日が来るのかしら」

かのん「うんうん、お姉ちゃんって何かと大変なんだよね、すみれちゃん」

メイ「すみれ先輩もかのん先輩も、ほのぼのしてる場合かよ。可可先輩、なんとか言ってくれよ」

可可「マルマルが、マルマルがぁぁぁ!」

32: 2024/07/21(日) 21:06:35 ID:???00
メイ「うわあっ、こっちもか!」

恋「マルガレーテさん、よかった、よかったです…!」

メイ「ああっ、頼みの恋先輩まで!?」

四季「保護者たち、号泣」

夏美「冬毬ぃぃぃぃ」

可可「マルマルぅぅぅぅ」

きな子「これは、しばらく収集つかなそうっすねぇ」

千砂都「そうだね。まだまだ暑いし、練習って感じじゃなくなっちゃったし、今日はここまでにしよっか。水分と塩分の補給を忘れずにね、泣いてるそこの3人は特にだよー」

33: 2024/07/21(日) 21:07:12 ID:???00
【廊下】

冬毬「…ふぅ、なんとか場を乗り切れました。変ではなかったでしょうか、頬が熱い…慣れないことはするものではありませんね」

マルガレーテ『ね、ちゅうしよ?うん…』

冬毬「…!」

マルガレーテ『とまり、とまりぃ…』

冬毬「…まったく、マルガレーテときたら、私まで熱に浮かされてしまったらどうするんですか」


終わり

34: 2024/07/21(日) 21:08:15 ID:???00
熱中症とまマルでした。末っ子のようにみんなから可愛がられる二人が見たい。
この二人の呼び方はいくつかありますが、個人的にとまマル呼びが好きなので採用しています。

宣伝となり恐縮ですが、下記はとまマルの過去作です。よろしければ併せてお願いします。

マルガレーテ「冬毬クロニクル」

ありがとうございました。

引用: 冬毬「熱中症注意報」