10: 2011/05/01(日) 02:34:21.41 ID:uSo3F/Hx0
上条 恭介「手が…動く…」
恭介「奇跡も、魔法も、あるんだよ、か…」
「さやか………………」
恭介「奇跡も、魔法も、あるんだよ、か…」
「さやか………………」
14: 2011/05/01(日) 02:36:56.72 ID:uSo3F/Hx0
~上条家~
上条父「よかったな恭介!これでシヅキ家との縁談も元に戻るだろう!」
恭介「…だから、ぼくはシズキヒトミさんのことは……好きにはなれないと言っているはずだよ、父さん」
上条父「何を言っているんだ恭介!シヅキ家との縁談が我が家にとってどれだけの意味を為すものかわからないのか!?」
恭介「……」
上条父「相手は見滝原有数の資産家。
そのシヅキ家の御嬢さんが、お前との縁談を希望していると聞いたときには、どれほど喜んだことか。」
恭介「…」
上条父「それなのに……おまえの事故のせいでその話は一度白紙に戻った。
母さんと父さんがどれほど失望したと思う」
恭介「…」
上条父「それが、この 奇跡の 回復。
神は私たちを見捨てなかったということだ!」
上条父「よかったな恭介!これでシヅキ家との縁談も元に戻るだろう!」
恭介「…だから、ぼくはシズキヒトミさんのことは……好きにはなれないと言っているはずだよ、父さん」
上条父「何を言っているんだ恭介!シヅキ家との縁談が我が家にとってどれだけの意味を為すものかわからないのか!?」
恭介「……」
上条父「相手は見滝原有数の資産家。
そのシヅキ家の御嬢さんが、お前との縁談を希望していると聞いたときには、どれほど喜んだことか。」
恭介「…」
上条父「それなのに……おまえの事故のせいでその話は一度白紙に戻った。
母さんと父さんがどれほど失望したと思う」
恭介「…」
上条父「それが、この 奇跡の 回復。
神は私たちを見捨てなかったということだ!」
16: 2011/05/01(日) 02:39:13.59 ID:uSo3F/Hx0
恭介「………シヅキさんの家がどれほどの資産家だろうが、僕には、好きな人が…」
上条母「もしかして、あなたの好きな人っていうのは美樹 さやかさん? あの、恭介の病室に通いつめてた、いやらしい子かしら」
恭介「な・・!」
上条母「知ってるわよ。あなたの病室に頻繁に来ていたわね。バイオリンの弾けなくなったあなたに、クラシックのCDを持って来て……
あの子、なんだかガサツで、昔から好きじゃないわ。ヒトミさんにくらべると、とても品がない…」
恭介「さやかのことを悪く言うな!!!」
上条父「母さんに向かって何て口のきき方だ! 誰のおかげで音楽ができると思っている!!」
恭介「……」
上条母「もしかして、あなたの好きな人っていうのは美樹 さやかさん? あの、恭介の病室に通いつめてた、いやらしい子かしら」
恭介「な・・!」
上条母「知ってるわよ。あなたの病室に頻繁に来ていたわね。バイオリンの弾けなくなったあなたに、クラシックのCDを持って来て……
あの子、なんだかガサツで、昔から好きじゃないわ。ヒトミさんにくらべると、とても品がない…」
恭介「さやかのことを悪く言うな!!!」
上条父「母さんに向かって何て口のきき方だ! 誰のおかげで音楽ができると思っている!!」
恭介「……」
17: 2011/05/01(日) 02:41:32.60 ID:uSo3F/Hx0
上条父「シヅキの御嬢さんは、またお前のバイオリンが聴けるのを楽しみにしているそうだ。」
恭介「……」
上条父「ありがたいことだ。もっと気に入ってもらえるように、頑張りなさい。」
上条母「そうよ。お前の身体のせいでなくなりかけてたこの縁談。なんとしてもこの奇跡的なチャンスを逃しては駄目よ。恭介。」
恭介「……。」
上条父「何か大きなコンクールに出て、お前の身体が回復していることを相手方にアピールした方がいいだろう」
恭介「……コンクール?」
恭介「……」
上条父「ありがたいことだ。もっと気に入ってもらえるように、頑張りなさい。」
上条母「そうよ。お前の身体のせいでなくなりかけてたこの縁談。なんとしてもこの奇跡的なチャンスを逃しては駄目よ。恭介。」
恭介「……。」
上条父「何か大きなコンクールに出て、お前の身体が回復していることを相手方にアピールした方がいいだろう」
恭介「……コンクール?」
22: 2011/05/01(日) 02:46:06.40 ID:uSo3F/Hx0
上条父「そうだ。そこで何か大きな賞を取るといい。シヅキ家の御嬢さんもきっと喜ぶ。」
上条母「そうね! 見滝原コンクールなら懇意にしている先生が審査員でいらっしゃるし、賞の方はきっと大丈夫!」
上条父「そうか。なら、なにか、お前の回復をアピールできるような大曲を演奏するのがいいだろう。」
恭介「…大曲…」
上条母「指も回復しているし、…そうね、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ短調なんてどうかしら」
25: 2011/05/01(日) 02:51:09.04 ID:uSo3F/Hx0
上条父「そうだな。賞の方は先生への口利きでなんとでもなる……、
さっそく曲の練習を始めるんだ、恭介」
恭介「……僕は… 僕の弾きたい曲は……」
上条父「おまえが拒否するならば、音楽への道は絶たせるだけだ」
恭介「そんな……」
さっそく曲の練習を始めるんだ、恭介」
恭介「……僕は… 僕の弾きたい曲は……」
上条父「おまえが拒否するならば、音楽への道は絶たせるだけだ」
恭介「そんな……」
30: 2011/05/01(日) 02:55:02.31 ID:uSo3F/Hx0
上条母「見滝原コンクールでヴァイオリン協奏曲を弾けばいいだけよ?恭介。
それであなたの好きな 音楽を 続けられるわ。」
上条父「やるのか? やらないのか?」
恭介「…」
上条父「やらないのならば、これ以上、音楽なんて無駄なものに金と時間をかけることは許さないぞ」
恭介「…………。受けるよ、コンクール…。」
それであなたの好きな 音楽を 続けられるわ。」
上条父「やるのか? やらないのか?」
恭介「…」
上条父「やらないのならば、これ以上、音楽なんて無駄なものに金と時間をかけることは許さないぞ」
恭介「…………。受けるよ、コンクール…。」
32: 2011/05/01(日) 02:57:04.81 ID:uSo3F/Hx0
~帰り道~
恭介「…シヅキさんの家って、こっち方面だったっけ…??」
ヒトミ「いいえ、逆方向ですわ」
恭介「…そう。」
ヒトミ「ふふっ」
恭介「……」
恭介「…シヅキさんの家って、こっち方面だったっけ…??」
ヒトミ「いいえ、逆方向ですわ」
恭介「…そう。」
ヒトミ「ふふっ」
恭介「……」
33: 2011/05/01(日) 02:59:14.61 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「聞きましたわよ。上条くん、見滝原コンクールをお受けになるんですってね」
恭介「ああ……、うん。」
ヒトミ「わたくし、もちろん聴きに行きますわ!!」
恭介「ありがとう…」
恭介「ああ……、うん。」
ヒトミ「わたくし、もちろん聴きに行きますわ!!」
恭介「ありがとう…」
35: 2011/05/01(日) 03:01:16.61 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「あのヴァイオリン協奏曲の3楽章をお弾きになるとか…!
大曲ですわね!わたくしあの曲大好きですの!!楽しみにしています!」
恭介「さやかは……」
ヒトミ「え?」
恭介「あ、さやかと一緒に聴きにくるかな?って思って。シヅキさん、さやかと仲がいいから…」
ヒトミ「…」
大曲ですわね!わたくしあの曲大好きですの!!楽しみにしています!」
恭介「さやかは……」
ヒトミ「え?」
恭介「あ、さやかと一緒に聴きにくるかな?って思って。シヅキさん、さやかと仲がいいから…」
ヒトミ「…」
40: 2011/05/01(日) 03:05:43.73 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「…そうですわね、さやかさんと、聴きにいけたら、いいですわね。
彼女もクラシックがお好きなようですから…」
恭介「! そうだよね! さやかはすごくクラシックが好きなんだ!
とくにアヴェマリアが好きで、いろんな演奏者のCDを持って来てくれた・・」
ヒトミ「…」
恭介「僕の知らなかった演奏者のCDも聴かせてくれて……。 すごく勉強になったな」
ヒトミ「…」
恭介「彼女はああ見えて、クラシックに関してはすごく詳しいんだ!シヅキさん知ってた?」
ヒトミ「……ええ。」
恭介「友達にも、よく意外だって言われるって・・はは、たしかに意外だよね」
ヒトミ「……」
彼女もクラシックがお好きなようですから…」
恭介「! そうだよね! さやかはすごくクラシックが好きなんだ!
とくにアヴェマリアが好きで、いろんな演奏者のCDを持って来てくれた・・」
ヒトミ「…」
恭介「僕の知らなかった演奏者のCDも聴かせてくれて……。 すごく勉強になったな」
ヒトミ「…」
恭介「彼女はああ見えて、クラシックに関してはすごく詳しいんだ!シヅキさん知ってた?」
ヒトミ「……ええ。」
恭介「友達にも、よく意外だって言われるって・・はは、たしかに意外だよね」
ヒトミ「……」
46: 2011/05/01(日) 03:13:24.46 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「…ならわたくし、ぜひ、さやかさんもお誘いしなきゃですわね、上条くんの出場するコンクール。」
恭介「ああ。ぜひ聴きにきてほしいな! うわ、緊張するよ! ちゃんと指動くかな。」
ヒトミ「……。ふふ。恭介さんなら、きっと大丈夫。さやかさんもお喜びになりますわ。」
恭介「そうかな! あんな大曲仕上げるには、もっともっと練習しないとな」
ヒトミ「ふふ。恭介さん楽しそうですわね」
恭介「いや、これでもけっこう焦ってるんだよ!」
ヒトミ「くれぐれも無理はなさらないでくださいね。ふふ」
――――――――――
~夜~
さやか「ヒトミに、恭介を取られちゃうよぉっ…」
まどか「さやかちゃん…」
・・・
恭介「ああ。ぜひ聴きにきてほしいな! うわ、緊張するよ! ちゃんと指動くかな。」
ヒトミ「……。ふふ。恭介さんなら、きっと大丈夫。さやかさんもお喜びになりますわ。」
恭介「そうかな! あんな大曲仕上げるには、もっともっと練習しないとな」
ヒトミ「ふふ。恭介さん楽しそうですわね」
恭介「いや、これでもけっこう焦ってるんだよ!」
ヒトミ「くれぐれも無理はなさらないでくださいね。ふふ」
――――――――――
~夜~
さやか「ヒトミに、恭介を取られちゃうよぉっ…」
まどか「さやかちゃん…」
・・・
49: 2011/05/01(日) 03:18:52.18 ID:uSo3F/Hx0
「美樹さんが、遺体で見つかったって…」
「発見現場、ホテルだったんだろ?」
「事件に巻き込まれたとか…」
「何かいかがわしいことしてたんじゃない?」
「最近、夜な夜な 外に出ていたって…」
「シヅキさんと もめたとか…」
「水商売の女の人を擁護しているのを聞いた人がいるって…」
恭介「さやか…………」
58: 2011/05/01(日) 03:29:54.99 ID:uSo3F/Hx0
恭介(何で…どうして、さやかが…)
上条母「美樹さんて子の噂、聞いたわよ。」
恭介(腕が治って…演奏も聴かせることができるようになって…やっと、これからだったのに…)
上条母「亡くなったのは気の毒だけど…あの子ずいぶんと素行が悪かったのねぇ。母さん驚いたわ。」
恭介(…)
59: 2011/05/01(日) 03:34:39.44 ID:uSo3F/Hx0
上条母「夜中になるたびに出歩いて、家にも戻らなかったらしいじゃない。いったい何をしていたんだか……」
恭介「…」
上条母「恭介、あなた、悪いお友達にだまされたりしないように気を付けるのよ。」
恭介「・・」
上条母「聞いてるの? ただでさえあなたは世間を知らないんだから…」
恭介「…」
上条母「恭介、あなた、悪いお友達にだまされたりしないように気を付けるのよ。」
恭介「・・」
上条母「聞いてるの? ただでさえあなたは世間を知らないんだから…」
61: 2011/05/01(日) 03:39:24.23 ID:uSo3F/Hx0
上条父「そんなことよりも恭介、ヴァイオリンはちゃんと弾いてるのか。」
恭介(…)
上条父「コンクールは目前だぞ。シヅキ家の御嬢さんも聴きに来られるらしいじゃないか。」
上条母「恭介、お友達が亡くなってショックだろうけど、あなたはあなたのやるべき事をやればいいのよ。」
恭介(さやか…………)
恭介(…)
上条父「コンクールは目前だぞ。シヅキ家の御嬢さんも聴きに来られるらしいじゃないか。」
上条母「恭介、お友達が亡くなってショックだろうけど、あなたはあなたのやるべき事をやればいいのよ。」
恭介(さやか…………)
63: 2011/05/01(日) 03:43:34.51 ID:uSo3F/Hx0
~学校~
ヒトミ「…」
恭介「シヅキさん」
ヒトミ「か、上条くん」
恭介「あのさ、さやかのことなんだけど」
ヒトミ「ええ……」
恭介「ちょっといいかな」
ヒトミ「…」
恭介「シヅキさん」
ヒトミ「か、上条くん」
恭介「あのさ、さやかのことなんだけど」
ヒトミ「ええ……」
恭介「ちょっといいかな」
65: 2011/05/01(日) 03:47:00.10 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「さやかさんのこと……」
恭介「ああ。何か知ってることがあれば、教えてほしいんだ」
ヒトミ「知ってること…。」
恭介「そう、君がさやかと もめたって、皆噂してる」
ヒトミ「……」
恭介「ああ。何か知ってることがあれば、教えてほしいんだ」
ヒトミ「知ってること…。」
恭介「そう、君がさやかと もめたって、皆噂してる」
ヒトミ「……」
66: 2011/05/01(日) 03:52:15.20 ID:uSo3F/Hx0
恭介「それに、さやかが夜中に出歩いていたって…。君なら何か知っているんじゃないか?」
ヒトミ「…知りませんわ。」
恭介「頼むよ、何でもいいから、教えてくれ!」
ヒトミ「……本当に、わからないんです。あの日、上条くんと帰り道でご一緒した日。あの日、たしかにわたくしはさやかさんとお話をしました。」
恭介「いったいどんな話を・・」
ヒトミ「恋の相談ですわ」
恭介「…」
ヒトミ「…知りませんわ。」
恭介「頼むよ、何でもいいから、教えてくれ!」
ヒトミ「……本当に、わからないんです。あの日、上条くんと帰り道でご一緒した日。あの日、たしかにわたくしはさやかさんとお話をしました。」
恭介「いったいどんな話を・・」
ヒトミ「恋の相談ですわ」
恭介「…」
69: 2011/05/01(日) 03:56:18.35 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「恋の相談。あの日わたくし、さやかさんに打ちあけましたの。」
恭介「…」
ヒトミ「……お気付きのとおり、あなたへの恋心についてですわ。」
恭介「…」
恭介「…」
ヒトミ「……お気付きのとおり、あなたへの恋心についてですわ。」
恭介「…」
70: 2011/05/01(日) 04:01:52.65 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「ある決意について、さやかさんに相談しました。…これは上条くんには言う必要がない事です。」
恭介「…もめたって言うのは」
ヒトミ「わたくし、あの時の話し合いでもめたつもりはありませんでした……さやかさんを追い詰めるようなことも…言ってはいない、つもりです…」
恭介「…」
恭介「…もめたって言うのは」
ヒトミ「わたくし、あの時の話し合いでもめたつもりはありませんでした……さやかさんを追い詰めるようなことも…言ってはいない、つもりです…」
恭介「…」
71: 2011/05/01(日) 04:07:53.26 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「ただ、こんなことになってしまっては、それもどうだったのか判らなくなってしまいましたけど・・」
恭介「…」
ヒトミ「…。彼女が夜中に出歩いていたことは、本当に知りませんでした。何かの間違いじゃないかとさえ思っています」
恭介「…そうか。」
恭介「…」
ヒトミ「…。彼女が夜中に出歩いていたことは、本当に知りませんでした。何かの間違いじゃないかとさえ思っています」
恭介「…そうか。」
72: 2011/05/01(日) 04:13:18.51 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「本当にこんなことになるなんて………………」
恭介「…」
ヒトミ「さやかさん…………」
恭介「……ありがとう。時間とってしまってすまなかったね。」
ヒトミ「いえ・・」
恭介「…」
ヒトミ「さやかさん…………」
恭介「……ありがとう。時間とってしまってすまなかったね。」
ヒトミ「いえ・・」
76: 2011/05/01(日) 04:22:05.07 ID:uSo3F/Hx0
恭介(ヒトミさんが嘘をついてるようには見えない)
恭介(……夜中に出歩いてた……)
恭介(……いいや、さやかに限って、皆が噂しているような事をしていたわけがないじゃないか!!)
恭介(………)
恭介(さやか、君にいったい何があったんだ…………)
恭介(……夜中に出歩いてた……)
恭介(……いいや、さやかに限って、皆が噂しているような事をしていたわけがないじゃないか!!)
恭介(………)
恭介(さやか、君にいったい何があったんだ…………)
80: 2011/05/01(日) 04:30:43.55 ID:uSo3F/Hx0
~上条家~
~♪
恭介(…)
~♪
上条父「恭介もやっと練習を再開したか」
上条母「ええ。コンクールまで時間がないのにあの子ったら余計な事に気を取られて……」
~♪
恭介(……僕はなんのためにこんなこと…)
♪
・・・
杏子「おい」
恭介「!」
~♪
恭介(…)
~♪
上条父「恭介もやっと練習を再開したか」
上条母「ええ。コンクールまで時間がないのにあの子ったら余計な事に気を取られて……」
~♪
恭介(……僕はなんのためにこんなこと…)
♪
・・・
杏子「おい」
恭介「!」
85: 2011/05/01(日) 04:34:48.87 ID:uSo3F/Hx0
杏子「おい、おまえ」
恭介「だ、誰だ!どこから入ってきた・」
杏子「なんでやめるんだよ」
恭介「え?」
杏子「なんで弾くのやめるんだ」
恭介「だ、誰だ!どこから入ってきた・」
杏子「なんでやめるんだよ」
恭介「え?」
杏子「なんで弾くのやめるんだ」
87: 2011/05/01(日) 04:43:37.24 ID:uSo3F/Hx0
恭介「君、何言って」
杏子「ずっと見てたぞ。おまえそのヴァイオリン、今日までずっと弾かなかったな」
恭介「…」
杏子「ちょっと弾いたかと思えばすぐにやめやがって」
恭介「………。」
杏子「なんなんだよおまえ」
恭介「………。もう、弾く意味がないから」
杏子「ずっと見てたぞ。おまえそのヴァイオリン、今日までずっと弾かなかったな」
恭介「…」
杏子「ちょっと弾いたかと思えばすぐにやめやがって」
恭介「………。」
杏子「なんなんだよおまえ」
恭介「………。もう、弾く意味がないから」
88: 2011/05/01(日) 04:49:58.29 ID:uSo3F/Hx0
杏子「・・」
恭介「誰よりも聴かせたかった相手がいなくなったんだ」
杏子「…」
恭介「僕はその人のために、再び演奏できることをずっと夢見てきた」
恭介「やっと腕が治って…。だけどその人がいなくなって…。
…今日弾いてみてわかったよ。…僕に、もう、音楽は必要なくなってしまったみたいだ」
恭介「こんな腕、一生治らなくても良かったのかもしれない」
恭介「誰よりも聴かせたかった相手がいなくなったんだ」
杏子「…」
恭介「僕はその人のために、再び演奏できることをずっと夢見てきた」
恭介「やっと腕が治って…。だけどその人がいなくなって…。
…今日弾いてみてわかったよ。…僕に、もう、音楽は必要なくなってしまったみたいだ」
恭介「こんな腕、一生治らなくても良かったのかもしれない」
90: 2011/05/01(日) 04:56:11.68 ID:uSo3F/Hx0
杏子「……そうかよ」
恭介「…。」
杏子「ならおまえのその両腕、二度と使えないようにしてやろうか」
恭介「………」
杏子「と言いたいところだけどアイツが浮かばれねぇ…なんでこんなやつのために…」
恭介「………。きみは誰なんだい?」
恭介「…。」
杏子「ならおまえのその両腕、二度と使えないようにしてやろうか」
恭介「………」
杏子「と言いたいところだけどアイツが浮かばれねぇ…なんでこんなやつのために…」
恭介「………。きみは誰なんだい?」
93: 2011/05/01(日) 05:08:54.90 ID:uSo3F/Hx0
杏子「あたしは」
杏子「さやかの友達だよ」
恭介「!」
杏子「さやかのことを思うのなら、ヴァイオリンをやめようなんて考えるな」
恭介「何か知ってるのか!さやかのこと!」
杏子「…知らねえよ!結局わからなかったよ…あいつの気持ちが、あたしには…」
杏子「せっかく友達になれたのに…」
杏子「さやかの友達だよ」
恭介「!」
杏子「さやかのことを思うのなら、ヴァイオリンをやめようなんて考えるな」
恭介「何か知ってるのか!さやかのこと!」
杏子「…知らねえよ!結局わからなかったよ…あいつの気持ちが、あたしには…」
杏子「せっかく友達になれたのに…」
96: 2011/05/01(日) 05:25:19.41 ID:uSo3F/Hx0
恭介「お願いだ、教えてくれ!さやかのこと!」
杏子「…あたしにわかるのは」
杏子「おまえが音楽をやめたら、誰よりもあいつは悲しむってことくらいさ」
恭介「…」
杏子「あいつのために、音楽を続けてくれよ。頼むよ」
恭介「さやかのため・・?」
杏子「それだけをどうしても伝えたかった。じゃあな」
恭介「!待ってくれ!・・・」
恭介「さやかのために音楽を続ける・・」
杏子「…あたしにわかるのは」
杏子「おまえが音楽をやめたら、誰よりもあいつは悲しむってことくらいさ」
恭介「…」
杏子「あいつのために、音楽を続けてくれよ。頼むよ」
恭介「さやかのため・・?」
杏子「それだけをどうしても伝えたかった。じゃあな」
恭介「!待ってくれ!・・・」
恭介「さやかのために音楽を続ける・・」
97: 2011/05/01(日) 05:27:32.13 ID:uSo3F/Hx0
ねむい・・
104: 2011/05/01(日) 05:35:38.47 ID:uSo3F/Hx0
~コンクール当日~
ヒトミ「上条くん……。さやかさんとは一緒に聴きに来れなかったけども、わたくしがついてますわ…!」
恭介「ああ……」
ヒトミ「このコンクールの主催の方と、わたくしのお父様が知り合いですの。
舞台袖から応援させていただいていいかしら…」
恭介「ああ……」
ヒトミ「…」
ヒトミ「上条くん……。さやかさんとは一緒に聴きに来れなかったけども、わたくしがついてますわ…!」
恭介「ああ……」
ヒトミ「このコンクールの主催の方と、わたくしのお父様が知り合いですの。
舞台袖から応援させていただいていいかしら…」
恭介「ああ……」
ヒトミ「…」
106: 2011/05/01(日) 05:38:21.59 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「……た、大曲ですもの!緊張するのもわかりますわ!!でも、上条くんなら大丈夫!! きっとうまくやれますわ!!」
恭介「…………」
ヒトミ「わ…わたくし、本当にチャイコフスキー大好きですの!上条くんの演奏、楽しみですわ!」
恭介「…………」
ヒトミ「演奏が終わりましたら、あの日さやかさんに相談したお話を、上条くんにお伝えしたいと思って、わたくし・・」
恭介「…………」
ヒトミ「わ…わたくし、本当にチャイコフスキー大好きですの!上条くんの演奏、楽しみですわ!」
恭介「…………」
ヒトミ「演奏が終わりましたら、あの日さやかさんに相談したお話を、上条くんにお伝えしたいと思って、わたくし・・」
107: 2011/05/01(日) 05:42:21.03 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「上条くん・・」
(杏子『あいつのために、音楽を続けてくれよ。頼むよ」』)
恭介「(さやかのために…………)」
ヒトミ「……上条くん、もうそろそろ出番ですわ。しっかり・・」
恭介「(…)」
(杏子『あいつのために、音楽を続けてくれよ。頼むよ」』)
恭介「(さやかのために…………)」
ヒトミ「……上条くん、もうそろそろ出番ですわ。しっかり・・」
恭介「(…)」
108: 2011/05/01(日) 05:51:22.08 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「がんばって!上条くん!ファイトですわ!」
恭介「ああ・・」
―――――さやか『奇跡も、魔法も、あるんだよ』
恭介「(…誰よりも僕の回復を願ってくれたさやか………)」
(さやかの言うような 奇跡や、魔法が もしあるのなら)
(きっとどこかで僕の演奏を聴いてくれる)
(……そんなふうに思えるんじゃないだろうか…)
恭介「25番、上条 恭介です。」
「……曲目は、アヴェ マリア。」
ヒトミ「え…!?」
恭介「ああ・・」
―――――さやか『奇跡も、魔法も、あるんだよ』
恭介「(…誰よりも僕の回復を願ってくれたさやか………)」
(さやかの言うような 奇跡や、魔法が もしあるのなら)
(きっとどこかで僕の演奏を聴いてくれる)
(……そんなふうに思えるんじゃないだろうか…)
恭介「25番、上条 恭介です。」
「……曲目は、アヴェ マリア。」
ヒトミ「え…!?」
109: 2011/05/01(日) 05:53:24.15 ID:uSo3F/Hx0
「なっ……」
「いきなりの曲目変更なんて」
「なんだ、どういうつもりだあの子」
「評価できないぞこれじゃ」
上条母「恭介どういうつもり!!!」
上条父「何をやってるんだあの馬鹿は…!」
「いきなりの曲目変更なんて」
「なんだ、どういうつもりだあの子」
「評価できないぞこれじゃ」
上条母「恭介どういうつもり!!!」
上条父「何をやってるんだあの馬鹿は…!」
111: 2011/05/01(日) 05:56:38.17 ID:uSo3F/Hx0
~♪
ヒトミ「………さやかさんの好きだった曲ね……」 (じっ・・)
~♪
さやか『~~ヒトミじゃあ、しかたないやっ・・恭介にはもったいないくらいいい子だし…』
まどか『…』
さやか『…幸せになって……くれるよね。』
まどか『……』
ヒトミ「………さやかさんの好きだった曲ね……」 (じっ・・)
~♪
さやか『~~ヒトミじゃあ、しかたないやっ・・恭介にはもったいないくらいいい子だし…』
まどか『…』
さやか『…幸せになって……くれるよね。』
まどか『……』
119: 2011/05/01(日) 06:04:46.29 ID:uSo3F/Hx0
恭介「(奇跡がもしあるなら……)」
「(さやか、聴いてくれてるかい)」
~~♪
まどか『………。じゃあ、行こっか。さやかちゃん』
さやか『……うん……』
♪………
恭介「さやか………?…………」
「(さやか、聴いてくれてるかい)」
~~♪
まどか『………。じゃあ、行こっか。さやかちゃん』
さやか『……うん……』
♪………
恭介「さやか………?…………」
124: 2011/05/01(日) 06:09:07.51 ID:uSo3F/Hx0
~数日後~
ヒトミ「……海外留学?」
恭介「ああ。この間のコンクール、審査からは結局除外されちゃったけど…
あの審査員の中で、僕の演奏を気に入って弟子にしてくれるっていう人がいてね。
その人についてウィーンに行くことにしたんだ。
日本人向けの住み込みのバイトも紹介してくれるそうだよ。」
ヒトミ「……海外留学?」
恭介「ああ。この間のコンクール、審査からは結局除外されちゃったけど…
あの審査員の中で、僕の演奏を気に入って弟子にしてくれるっていう人がいてね。
その人についてウィーンに行くことにしたんだ。
日本人向けの住み込みのバイトも紹介してくれるそうだよ。」
126: 2011/05/01(日) 06:16:19.35 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「もうお決めになられたんですわね…」
恭介「ああ。両親からは勘当だって言われちゃったけどね」
ヒトミ「…はぁ。」
恭介「でもね、これで良かったかな、なんて思っているんだ。両親とはその……色々な面で価値観も合わなかったし、ね。
彼らは僕の身体のことで苦しい思いもしてきたんだろう…」
ヒトミ「そうですの…」
恭介「…それと、シヅキさん」
ヒトミ「はい」
恭介「こないだの話だけれど。
きみの気持ちは嬉しいけど、それに答える事はできない。ごめん。」
ヒトミ「…」
恭介「ああ。両親からは勘当だって言われちゃったけどね」
ヒトミ「…はぁ。」
恭介「でもね、これで良かったかな、なんて思っているんだ。両親とはその……色々な面で価値観も合わなかったし、ね。
彼らは僕の身体のことで苦しい思いもしてきたんだろう…」
ヒトミ「そうですの…」
恭介「…それと、シヅキさん」
ヒトミ「はい」
恭介「こないだの話だけれど。
きみの気持ちは嬉しいけど、それに答える事はできない。ごめん。」
ヒトミ「…」
128: 2011/05/01(日) 06:28:43.59 ID:uSo3F/Hx0
恭介「僕は、さやかの事が、今でも好きだ」
ヒトミ「…………………知っていましたわ。」
恭介「そうか。
自分自身と、そしてさやかの為に、演奏を続けていきたい…、それが僕の今の気持ちだよ。」
ヒトミ「……。わかりました。残念ですが、仕方ないです。
さやかさんに向けて弾いたあのアヴェマリア…
とても素晴らしかった…
悔しいけれど、さやかさんには完敗です。」
恭介「…」
ヒトミ「…………………知っていましたわ。」
恭介「そうか。
自分自身と、そしてさやかの為に、演奏を続けていきたい…、それが僕の今の気持ちだよ。」
ヒトミ「……。わかりました。残念ですが、仕方ないです。
さやかさんに向けて弾いたあのアヴェマリア…
とても素晴らしかった…
悔しいけれど、さやかさんには完敗です。」
恭介「…」
129: 2011/05/01(日) 06:31:15.80 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ「おそらく………さやかさんも、上条くんのことが好きだったんじゃないかなと思いますわ」
恭介「…さやかが…?」
ヒトミ「ええ。女性としての勘…というだけですけれども。ふふ」
恭介「…そう。…もしそうだったなら、嬉しいな。…もっと色んなこと話せば良かった……」
ヒトミ「…」
恭介「でも、そういうふうに言ってくれてありがとう。向こうに行っても頑張れそうだよ」
ヒトミ「………。では、失礼しますわね。」
恭介「ああ、さようなら。」
恭介「…さやかが…?」
ヒトミ「ええ。女性としての勘…というだけですけれども。ふふ」
恭介「…そう。…もしそうだったなら、嬉しいな。…もっと色んなこと話せば良かった……」
ヒトミ「…」
恭介「でも、そういうふうに言ってくれてありがとう。向こうに行っても頑張れそうだよ」
ヒトミ「………。では、失礼しますわね。」
恭介「ああ、さようなら。」
134: 2011/05/01(日) 06:42:20.29 ID:uSo3F/Hx0
ヒトミ(さやかさん、…わたくし振られちゃいました)
ヒトミ(最初からわたくしの出る幕なんて、なかったんですわ)
ヒトミ(わたくしのかわりに、上条くんのそばについててあげてくださいね)
ヒトミ「…ぐすっ」
まどか『ヒトミちゃん、上条くん、がんばれ』
『大丈夫、きっと大丈夫だよ』
『わたしには見える』
『誰も絶望なんてする必要がないこの世界で』
『2人とも、それぞれに素敵な未来が待っているの』
『だからきっと大丈夫だよ!』
ヒトミ(最初からわたくしの出る幕なんて、なかったんですわ)
ヒトミ(わたくしのかわりに、上条くんのそばについててあげてくださいね)
ヒトミ「…ぐすっ」
まどか『ヒトミちゃん、上条くん、がんばれ』
『大丈夫、きっと大丈夫だよ』
『わたしには見える』
『誰も絶望なんてする必要がないこの世界で』
『2人とも、それぞれに素敵な未来が待っているの』
『だからきっと大丈夫だよ!』
135: 2011/05/01(日) 06:44:30.29 ID:uSo3F/Hx0
おしまい!!!ごめんねむい!!!!
136: 2011/05/01(日) 06:45:31.76 ID:FeuuBOIs0
改変後の世界だったのか
137: 2011/05/01(日) 06:45:43.32 ID:Rvnj6S2e0
乙!!いい話だった
145: 2011/05/01(日) 07:01:59.51 ID:uSo3F/Hx0
けっこう起きてる人いたんですね
お付き合いいただいてありがとうでした
おやすみなさい!
お付き合いいただいてありがとうでした
おやすみなさい!
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