◯ファーストと排除
自分と同じ考えでない人たちは、自分が共感できず、
それは感情ですから当然のこととしても、
そこで反感を持つ人たちを認めない
ということにつながりかねないのです。
たとえば、安倍晋三元首相が、仲間内を大切にしたのは、
周知のことですが、
それだけでなく、彼の場合は、
同時に反対者を敵視し排除する姿勢を
露わとすることになりました。
アメリカでも東京都政でも、掲げられる「ファースト」
これこそ、仲間内共感重視、の姿勢です。
それは、全世界に蔓延り始め、力を持つようになりつつあります。
仲間以外を排除、つまり、分断化ということです。
<2017年7月1日の秋葉原駅前。都議選の投開票前日、安倍が演説を始めると、批判の声は大きくなる。安倍は横断幕を揺らす一団を指さして言った。
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」
支持者は、日の丸の小旗を振りながら「そうだ」と賛同の声を上げた。
しかし、テレビやSNSでこの場面が拡散されると
「総理大臣は国民と戦う立場じゃない」
「あなたがバカにしている『こんな人たち』も、あなたが守らねばならない国民なんです」
などと批判が広がった。
翌日の投開票日。都知事の小池百合子率いる「都民ファーストの会」が躍進する一方、
異論に不寛容で、批判を敵視する姿勢は安倍政権の特徴の一つだった。
前日から党職員が場所取りをし、正面に400人入る「応援団」のスペースを鉄柵で作り、動員した聴衆を立たせた。反対派の集まる場所に安倍が乗る街宣車のスピーカーを向け、安倍の耳に批判の声が届かなくなる「工夫」。実は1年前にも、安倍は同じ秋葉原で「こんな人たち」と口にしている(朝日デジタル編纂2021/3/17)>
そして、それに打ち勝ったかの様に見えた小池百合子氏もまた、
「排除」という言葉で、力を削がれました。
日本人らしい、曖昧なままにみえて、強く働くバランス感覚です。
これもまた、感情、排斥という言葉が共感を得られなかったということを示しているのでしょう。
<希望の党は、衆院定数の過半数(233議席)を上回る235人を擁立したが、小池氏の「排除の論理」に批判が集中し、失速した。2017/10/22中日新聞>