インタビュー

「SFL 2024」REJECT・SS熊本にインタビュー。ウメハラ2年ぶりの参戦! 「豪鬼の扱いに関してはかなり自信がある」

【ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2024】

8月 開幕予定

 8月より、「ストリートファイター6」のプロが集う公式リーグ「ストリートファイターリーグ: Pro-JP」(以下SFL)の2024年シーズンが幕を開ける。国内最高峰の戦いが見られると評判の本リーグも、今年で7回目の開催だ。特に昨年は、「ストリートファイター6」の成功も相まって大きな盛り上がりを見せた。SFLの配信を心待ちに日々を過ごしていたファンも多いことだろう。

 今年のSFLは、昨シーズンからさらにパワーアップしており、新たにCrazy Raccoon、Yogibo REJECT、FUKUSHIMA IBUSHIGINの3チームが加わり、過去最多の計12チームが参戦する。ほかにも昨年と異なるのが、12のチームが2つのディビジョンに分かれ、それぞれから上位3チームがプレイオフに進出する新ルールだ。この変更により、予選からハイレベルな戦いが繰り広げられることが期待される。

 本稿では、SFLの開幕に先立って催された記者会見から、Yogibo REJECTとSaishunkan Sol 熊本のインタビューをお届けする。Year 2になって新たな調整が加えられた「ストリートファイター6」で戦われる「SFL 2024」を前に、プロプレイヤーたちはなにを思うのか(取材収録日は6月中旬)。

【SFL 2024】

初参戦から優勝を目指すYogibo REJECT

 REJECTは2018年に設立され、これまでモバイルeスポーツ競技で多くの実績を残してきたクラブチームだ。最近では格闘ゲームシーンへの参入にも積極的で、世界でも屈指の人気と実力を誇るときど選手の獲得にはじまり、ハイタニさんやこく兄さんといったベテランプレイヤーをストリーマー部門に招き入れることで、大きな存在感を放つようになった。

 SFLには初参加でありながら、ときど選手、鶏めし選手、あきら選手、Leshar選手と豪華な面々を揃えている。昨シーズンJPリーグの優勝を飾ったときど選手は言わずもがな、鶏めし選手、あきら選手もこれまでのリーグ戦をくぐり抜けてきた猛者だ。

 そして注目すべきは韓国人プレイヤーのLeshar選手である。これまで比較的無名だったLeshar選手だが、「CAPCOM CUP X」で5位タイの成績を残して以来、その正確無比なプレイスタイルで一躍有名となった。海外在住のプレイヤーとしてSFLに参加するのはLeshar選手が初となるが、どんな戦いを見せてくれるのか。それぞれの選手に、リーグへの意気込みやYear 2ゲームバランスの感想などを聞いた。

ときど選手:昨シーズンのSFLには助っ人という立ち位置で参戦しましたが、今年はリーダーとして、メンバー構成を考える段階からチームに関わっています。優勝を目指すにあたってベストなメンバーを揃えられたと言っていいでしょう。

 Year 2のアップデートを触ってみて、これまで存在感の薄かったキャラクターに大幅な調整が加えられている点に新鮮さを感じました。過去作品では、安定感のあるキャラクターを使い続けていれば高い勝率を保てたのですが、「スト6」ではそうはいかないでしょう。

 豪鬼も試してはみたのですが、自分が過去作品で使っていた豪鬼とはスタイルが違うという感想です。自分は勝利だけを目指して活動するタイプではありませんが、今回のSFLではリーダーとして、責任をもってチームの勝利に貢献したい。なので今後の使用キャラクターに関しては、チーム内のバランスを見ながら、欠けているところを補えるようなキャラクターを模索するつもりです。

 それから今年のSFLには、昨年不参加だったウメハラさんが戻ってきます。いつかウメハラさんと話していたとき、「この業界では一度でも前線を離れるとついていけなくなる」と言っていたのをよく覚えています。ウメハラさん自身としては、海外大会などに出場することで実力を保っていた感覚だと思いますが、そうはいってもSFLに出るのと出ないのとでは大きな差がある。ブランクを跳ね除けて活躍できるのかどうか、注目したいです。

【Yogibo REJECT】
左から、鶏めし選手、ときど選手、Leshar選手、あきら選手

Leshar選手:初の海外在住プレイヤーとしてSFLに参加できることを光栄に思っています。ときどさんの推薦がきっかけとなり、REJECTから参戦することになりました。以前から日本のSFLを観戦していて、そのレベルの高さに驚かされていました。自分の実力は周りの選手に比べるとまだまだだと思うのですが、精一杯頑張って優勝を目指したいです。使用キャラクターは春麗、エドを予定しています。

あきら選手:自分は今年で33歳です。人生このままでいいのだろうか、などと考えることが多くなってきていたのですが、先日友人の訃報に接し、それがきっかけとなって人生観が変わりました。これまでは大きな選択を目の前にすると慎重になる傾向があったのですが、もっと自分のやりたいことを追い求めて生きたいと思うようになりました。昨年までは兼業プロとしての参加でしたが、今年はフルタイムでプロとして活動していきます。

 使用キャラクターは昨シーズンに引き続きキャミィの予定です。昨年のSFLではかずのこ選手との同キャラ戦で苦汁を飲んだので、今年は特にかずのこ選手を意識して、キャミィの練度を高めていきたいです。とはいえ、「King of Fighters」シリーズがきっかけで格闘ゲームを始めた身としては、テリー・ボガードと不知火 舞の参戦には心が躍りますね。少し気持ちが揺らいでいるというのが正直なところです(笑)。

 しかし、SFLは何と言ってもチーム戦なので、チームにいかに貢献できるかを常に考えていきたい。まだ顔を合わせて間もないこのチームですが、既にたくさんコミュニケーションを取れているので、このままの調子で頑張っていきたいです。

インタビューの前日はメンバー同士で夕食を共にしたという

鶏めし選手:自分が使うダルシムというキャラクターは非常にピーキーな性能をしていて、強い組み合わせと弱い組み合わせがはっきりと分かれています。このチームは他の3人のキャラクターが非常に高い安定性をもっているので、そこに信頼を置きつつ、相手の虚を突くような戦い方をしたいと思っています。

 ダルシム使いとしては、新たに起き上がりのドライブリバーサルが追加されたことが良い追い風となっています。これまでのダルシムは、画面端の猛攻に晒されると一方的に倒されてしまうことが多かったのですが、今シーズンは研究次第でうまく切り返せるはず。積極的にドライブリバーサルの使い道を開発して、新たな境地を目指して行きます。

貫禄あるベテランが揃ったSaishunkan Sol 熊本

 再春館システムが運営母体となるSaishunkan Sol 熊本は、チームオーナー制が導入された2021年シーズンから継続してSFLに出場している。2年連続のプレイオフ進出を達成した昨シーズンのパフォーマンスを見ればわかるように、全体のなかで最もアベレージの高いチームのひとつであり、他チームからの評価も非常に高い。チームリーダーは4年連続でネモ選手が務め、その懐刀であるひぐち選手も3年連続で同チームのメンバーとなった。

 そして注目すべきは、ウメハラ選手、ふ~ど選手の加入だ。ウメハラ選手は格闘ゲームの黎明期からシーンを牽引してきたカリスマで、もはや説明は不要だろう。昨シーズンは大会運営や配信業に尽力するためSFLから身を引いていたが、ファンの期待に応えて戻ってきたかたちとなる。ふ〜ど選手はウメハラ選手の腹心とも言える存在で、過去のSFLで幾度もウメハラ選手とチームを共にしている。プライベートの親交も深いという両名だが、今年もその名コンビぶりが発揮されるのか。それぞれの選手に、リーグへの意気込みやYear 2ゲームバランスの感想などを聞いた。

【Saishunkan Sol 熊本】
左から、ネモ選手、ひぐち選手、ウメハラ選手、ふ~ど選手

ウメハラ選手:今回Saishunkan Sol 熊本に声をかけてもらえて、非常に光栄です。SFLに参戦する大変さは知っているので、正直なところ憂鬱な気持ちもありますが、リーダーというよりは傭兵という立場での参戦なので、そのぶん気楽にやっていこうと思っています。SFLは年を追うごとに新しい選手をどんどん発掘していて、レベルも確実に上がっている。しかし出場するからには、勝ちたいですね。

 使用キャラクターは豪鬼を予定しています。豪鬼はプレイの幅がとても広く、十人十色の動きができるキャラクターです。若いプレイヤーの間では空中からの攻めを駆使する人が多いですが、自分は「ストII」的な地上戦が得意なので、そのあたりを活かしていきたい。正直、豪鬼の扱いに関してはかなり自信があります。

 昨年はSFLに出場しない代わりに、コミュニティ大会を積極的に開催するなどして、シーンの盛り上がりに貢献できたと思っています。前線から身を引いたのだと思った人もいるだろうけれど、自分としては良い充電期間だったと捉えています。もちろんSFLに出場するからには、チームに迷惑をかけるようなことはできないし、苦しい思いもするでしょう。それでも、今まで通りゲームに打ち込むのみです。

ネモ選手:このチームはメンバー全員が数々の大会を経験していて、申し分ない実力をもっている。これから練習をしていくにあたっても特に心配はなく、各人がいつも通りの取り組みをしていれば確実に結果が残せると思っています。いままでのSFLでは、優勝に一歩届かず悔しい思いをしてきたので、今年こそは優勝したいですね。使用キャラクターはいまのところブランカですが、今後はベガに変更するかもしれないですね。

チームの雰囲気は極めて良好だ

ふ〜ど選手:自分はやっぱりウメハラさんと一緒のチームで戦いたいという想いが強くありました。そんななか、ちょうどSaishunkan Sol 熊本は2名の枠が空いていると聞き、渡りに船だと思って加入しました。昨年のSFL期間中は辛い思いもしたのですが、最終的には良い結果を残せたので、今年も精一杯取り組みたいです。使用キャラクターはエド、ディージェイを予定しています。

 他のチームで注目しているプレイヤーはLeshar選手ですね。Leshar選手はプレイヤーとしての実力はもちろん、日本語が非常に達者で、「CAPCOM CUP X」開催期間中は毎日のように会話していました。もしLeshar選手がきっかけとなって、これから海外からの選手がたくさん参戦するようになれば、SFLがより刺激的になるのではないでしょうか。どんな活躍を見せてくれるのか楽しみです。

ひぐち選手:「スト6」がリリースされてから、格闘ゲームシーンが非常に盛り上がってきているのを肌で感じています。これまでの格闘ゲームコミュニティは比較的狭かったのですが、最近になって色々な界隈の方から声をかけていただくようになりました。

 自分の使用キャラクターであるガイルは、昨シーズンに引き続き非常に強力なので、チームに貢献できるよう頑張りたいです。今年のSFLは、いままで切磋琢磨してきた同世代の選手たちが「忍ism」や「IBUSHIGIN」から参戦しているので、絶対に負けられないですね。