今日は、午前中雨模様だったので、「元気村DIY(笑)」を優先させて作業を行いました。元来手先が器用とは言えないので、あまり進んでDIYをしようとは思ったことはなかったのですが、なにせ時間はたっぷりありますので、重い腰を上げました。自宅ではなく、元気村事務所ですので、失敗しても何の痛みもありません。やりたい放題ですので、やってみれば、なかなか面白いものですね。(笑)
ところで、私たちの年代になると「親の介護」のことが問題になります。今日も親が具合悪くなったという話を聞きました。親の介護で自分の生活が狂いだしたという話もよく聞きます。ではどうすればいいのか。
産業医で精神科医の井上智介さんが、『「餅は餅屋」に任せ、自分は手を出さず、地域包括支援センターと連携を取りながら「遠距離介護」をする。そして、ときどき顔を見に行って優しくしてあげる。こうした親孝行の形もあるのです。介護をすることだけが、家族の愛情を示す形ではないはずです。』と提唱しています。読むと気持ちが軽くなります。抜粋して引用します。
・・ここで多くの人が失敗するのが、いきなり親を自分の家に呼び寄せたり、自分が仕事を辞めて親と同居したりして、自分で親の面倒を見ようとすることです。「自分で何とかしなくては」と、誰かに相談することなく、一人で抱え込んでしまう。しかしそれは、自分のためにも親のためにもなりません。
親の方は、ヘルパーなどの他人が家に入ることに抵抗を示すことが多いので、子どもの方は気持ちを揺さぶられてしまい、「親の最後の望みを優先させよう」と、親孝行の気持ちで「それなら自分が一緒に生活して親の面倒を見よう」と考えてしまいます。
最初から、自分が親の身の回りの世話などの介護を担うことを前提にして考え始めてしまう。初手で間違えてしまうのです。
では、なぜ子どもが直接手を出して、親を介護しない方がいいのでしょうか。理由は大きく2つあり、離職して介護に専念する場合は、さらに大きなデメリットが生まれます。
1つ目は、親が元気だった頃を知っているために、現実が受け入れられず、双方がストレスを抱えてしまうということがあります。
親が元気だったころの様子を知っているのは、子どもの特権でもありますが、介護では完全に裏目に出てしまいます。今の衰えた状態をなかなか受け入れられないのです。
前にできていたことが、できなくなる親を見ていらだってしまい、ストレスを抱えたり、「何でそんなことができないんだ」と親にきつく当たって、虐待につながる可能性もあります。また、何とか元の元気な状態に戻そうとして、「もっと足腰を鍛えた方がいい」と長時間歩く練習をさせたり、無理やり外に連れ出そうとしたりすることもあります。
介護は子育てとは違い、何かができるようになったりすることはなかなかありませんし、「もとに戻る」ことはありません。叱咤激励しても、できないことはできません。子どもの方は、よかれと思ってやっているのですが、自分の認識と現実にズレがあるので、摩擦が生じてしまいます。結局、本人も親もつらい思いをして、関係が悪くなりますし、お互い精神的に疲弊してしまいます。
・・2つ目は、自分だけで責任を抱え込み、孤立しやすくなることです。
介護は医療にも関係しますし、非常に専門的な領域です。飲み込む力が弱くなっている高齢者でも食べやすい、バランスの良い食事を毎食出すことだけでも大変なことですし、介護する側にもされる側にも体の負担にならないよう、安全に入浴させるにもコツが要ります。それを素人がいきなり一人でやろうとするのは大きな負担になります。
しかし、「自分の親なのだから、子どもの自分がやらなくては」と抱え込むと、親の体が弱ってきて負担がどんどん増えていきます。家の中で転んでけがをしたり、認知症が進んだり、病気になったりすると「自分がちゃんと見ていないから転んでしまったのではないか」「コミュニケーションが足りないから認知症が進んだのではないか」と自分を責めてしまいます。
また、親の方も、体が弱っていくほど、そういう姿をほかの人に知られたくない気持ちが強くなり、ヘルパーなどの他人が家に入ることにも抵抗することが多いので、子どもの方も、外部に助けを求めるタイミングを逸して、余計に孤立しがちになります。
・・だからこそ、初手を間違えないようにしてほしいと思います。「親の様子がおかしい」と思ったとき、すぐに「自分が一緒に住んで、介護をしなくては」と考えないでほしいのです。そして、「自分で直接介護しない」という強い意志を持ってください。親が暮らす地域の公的サービスを活用し、プロの手を借りながら、「親が快適に暮らせるようにするにはどうしたらいいか」を考えてください。
まだ足りないところはありますが、日本の介護制度はよくできています。子どもが一緒に住んでいなくても回るようになっています。直接の介護はプロに任せ、自分は仕事を辞めずに今の生活を続けながら、司令塔の役目を担い、時々親の顔を見に行って親孝行するというスタンスの方がうまくいきます。