中央日報/中央日報日本語版2024.07.18 08:55
17日、釜山(プサン)の中央洞(チュンアンドン)にある山口銀行のシャッターは堅く閉じられていた。1986年に釜山に支店を設立して韓国に進出したこの銀行は先月末に韓国での営業を終了した。現在は少数の韓国人と日本人の社員が残って事務所を整理している。山口銀行関係者は「住宅・伝貰・信用貸付中心の韓国市場で日系銀行として収益を出すのが難しかった。世界的金融ハブに育てるという釜山の成長が停滞し外資系銀行の生き残りも難しくなった」と話した。
金融監督院の金融統計情報システムによると、2013年以降に韓国からの撤退を決めた外資系銀行だけで11社に達する。韓国に支店を置いて営業している外資系銀行は33社が残った。英国の大手4行のひとつであるバークレイズ銀行は2017年に韓国での銀行営業をやめ、2020年にはカナダ3位のノバスコシア銀行がソウル支店を閉じた。
◇金融規制に収益源も少ない
韓国に残った銀行もその規模を減らしている。韓国内に11支店を展開していた香港上海銀行(HSBC)の韓国内支店はいまではソウル1カ所しか残っていない。韓国シティバンクはリテール事業から撤退し企業金融中心に運営する。2013年末に57店あった外資系銀行の国内支店数は現在39店で、31.6%減少した。
外資系銀行の収益源が十分でないというのが金融機関の相次ぐ撤退の主な理由に挙げられる。外資系金融機関が韓国に進出するのは主にファンドなどの商品を販売したり金融市場調査と投資の拠点とするためだ。しかし米国などと比較して韓国の株式市場の収益率は振るわない。与信・受信中心の収益構造も限界と指摘される。
メリルリンチ韓国共同代表を務めた延世(ヨンセ)大学国際大学院の李南雨(イ・ナムウ)教授は「外資系銀行・証券会社どちらも韓国を魅力のない市場とみている。成長率が振るわない状況で利子商売以外に明確な収益源がない。韓国株式もやはり先進国水準の成長の可能性を見せられずにいる」と話した。続けて「外国は高額資産家の資産管理(WM)が普遍化されているが韓国はそれさえも進んでいない状況」と付け加えた。
金融当局の過度な介入と規制も「韓国離れ」の原因に挙げられる。例えば韓国政府は昨年11月から上場株式に対する空売りを全面禁止した。先進国の株式市場で空売りを禁止するのは異例だ。最近クレディスイス(現UBS)に違法空売り容疑で271億ウォンの課徴金支払いを命じた。クレディスイスは金融当局に「海外では認められる範囲での空売り行為だった」と主張したが、「韓国では違法」という理由で受け入れられなかった。韓国は規制の予測可能性が落ちるというのが外資系銀行の認識だ。
ある外資系金融会社関係者は「昨年は利益が多く出たという理由で共生金融に超過利潤税をめぐる議論があり、今年は香港ELS賠償など金融当局の圧力が多い。本社に韓国の規制を説明し理解させるのに困っている。米国などは言うまでもなくアジア諸国と比較しても当局の影響力は強い方だ」と話す。
◇シンガポールは金融ハブとして規模拡大
韓国政府はソウルを香港やシンガポールのようなアジア金融の中心地に育てるとして2003年に北東アジア金融ハブロードマップを策定した。フィンテック企業に対する支援強化と外国為替市場の取引開始時間拡大などだ。しかしシンガポールとの格差は縮まらないでいる。シンガポールはキャピタルゲインや譲渡所得に対しては課税しないだけでなく、英国やカナダなど100カ国以上と源泉所得に対する二重課税防止条約まで締結している。外資系金融機関と役員社員を呼び込むためにインフラ全体を動員する格好だ。
元フィデリティ資産運用アナリストのペク・ジュンスン氏は「最近世界的金融機関のアジア拠点がシンガポールに大挙移った。シンガポールは規制がほとんどなく、政策が突然変わることもなく予測可能性も高い。法人税や所得税率ともに低く金融圏のインセンティブが確実だ」と説明した。続けて「韓国がこうしたシンガポールの特徴に追いつき、株式市場も先進国水準と評価されるならば、来るなと言っても外資系金融機関がやってくるだろう」と付け加えた。
◇米国株式保有額5年間で12.6倍に増える
韓国を離れるのは銀行だけではない。KOSPIやKOSDAQなど韓国株に投資した個人投資家は外国株に投資をシフトしている。韓国取引所によると今年に入り15日までで個人投資家は有価証券市場で11兆3157億ウォン(約1兆2758億円)を売り越した。同じ期間に彼らの米国株式買い越し規模は78億2126万ドル(約1兆2183億円)に達する。
米国株に対する投資需要が急増したことから、今月に入り韓国人投資家の米国株保有額は過去最大を記録した。韓国預託決済院によると、12日基準で韓国の投資家は米国株を合計932億5065万ドル保有していると集計された。7月末基準で米国株式保有額は5年前の2019年には73億8933万ドルで、現在の10分の1にも満たなかった。
ハイ投資証券エコノミストのパク・サンヒョン氏は「米S&P500とナスダック指数とも今年だけで過去最高値を何度も塗り換えるほど上昇が続いている。これに対し韓国株は年初来高値水準にとどまっている。収益率の差を考慮すると米国株式にシフトするのが合理的と考えただろう」と話した。また、政府が企業バリューアッププログラムを発表したりしたが税制優遇規模が大きくない上に、相続税や金融投資所得税など主要税目の不確実性が大きく、株価を上げる効果は大きくなかったというのが市場の評価だ。
2:ななしさん
そりゃ逃げる一方に決まってる