カズオ・イシグロ氏の作品 『あの大企業』が生まれるキッカケになった!?
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2017年のノーベル文学賞を受賞した日系英国人作家のカズオ・イシグロさん。
イシグロさんは1954年に長崎で生まれ、5歳の時に渡英、後に英国籍を取得しました。
『日本』と『イギリス』という2つの文化を背景に育ったイシグロさんとは、どのような作家なのでしょう。その人柄と、作品の魅力に迫ります。
イシグロ文学がAmazonを生んだ!?
世界的作家としての地位を確立していたイシグロさん。彼の小説を読み、感銘を受けた人物は世界中に数多くいます。
Amazonの創始者であるジェフ・ベゾスさんもその1人です。
ジェフさんは、Amazonを創立する以前に勤めていた会社で、将来を約束された地位にのぼりつめていたといいます。
「仕事を辞めて、起業をすべきか」と悩んでいたジェフさんは、ある1冊の本と、運命的な出会いを果たします。
なんと、ジェフさんの背中を押したのが、イシグロさんの代表作である『日の名残り』だったのです!
また、熱心な読書家のジェフさんは、Amazonを立ち上げ、会社を形作っていくにあたり、自身の愛読書を幹部や社員に広く薦めてきました。
ジェフさんの伝記『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』の巻末に掲載された愛読書の中にも『日の名残り』は挙げられ、次のように記されています。
『日の名残り』あらすじ
品格ある執事の道を歩んできたスティーブンスによって語られる、在りし日の伝統的な英国の姿。
英国最高の文学賞である『ブッカー賞』受賞作。
『日の名残り』は、12冊挙げられた愛読書の中で、唯一選ばれたフィクションの小説です。
ジェフさんにとって、とても大きな存在だということがうかがえますね。
映像化された作品も
イシグロさんの作品には、映像化されたものもいくつかあります。
中でも話題を呼んだのは、2016年に綾瀬はるかさん主演でTVドラマ化された『わたしを離さないで』(TBS系)。
ショッキングな設定と、続きの読めない展開に、毎週ハラハラとしながらドラマを観ていた人もいるのではないでしょうか。
『わたしを離さないで』あらすじ
謎めいた寮・ヘールシャムで、保護官と呼ばれる大人たちに見守られながら暮らす子どもたち。
毎週行われる健康診断や、特に図画工作に力を入れた教育を施されるのは、一体なぜなのか…。
キャシーという女性の独白で物語が展開していく本書には、謎がいっぱい。不思議な魅力にひきこまれ、ページをめくる手が止まらなくなる人もいるでしょう。
解説を担当した英米文学研究者の柴田元幸さんは、本書で次のように述べています。
次から次へと予期せぬ展開が用意されている物語『わたしを離さないで』。興味がわいた人は、ぜひ読んでみてください。
2つの文化で育った稀有な作家
受賞理由として、情緒ある表現で『世界とのつながり』を幻想的に描いている点を挙げられたイシグロ文学。
イシグロさんは、2017年10月5日に行われた会見で、次のような発言をしています。
続けて「日本に感謝したい」と述べたイシグロさん。小説を執筆する際に、日本文化の持つ繊細な感性やものの見方は大いに役立ったと語ります。
受賞に対して謙虚な姿勢を見せるイシグロさんは、元来穏やかで優しい性格なのだそう。
イシグロさんの人柄をよく知る親族の人は、次のように語っています。
大企業を創った経営者を始め、多くの人々に影響をもたらしたイシグロ文学。
ノーベル文学賞作家として、今後ますます『誰か』の背中を押すような、心に響く作品が生まれていくことでしょう。
[文・構成/grape編集部]