初物七十五日
娘の彼氏、ねすたが東京に帰省する。福岡を離れる前のねすたに、好きな料理を食べてもらおうと、夕食の献立を考えた。ねすたは魚好き。秋の味覚を代表する魚、サンマはどうだろうか。ここ数年、不漁で高値が続いていたサンマだが、報道によると、今年は豊漁らしい。
スーパーの魚売り場をのぞくと、昨年の半値以下だった。即購入した。
グリルで焼くと、サンマの焦げた香りに食欲をそそられる。皮はパリパリ。身はふっくら。脂がのっており、予想していた以上にうまかった。
食卓で、娘が「初物七十五日」の話をした。初物を食べると寿命が75日延びるという昔からの言い伝えだ。旬のものは栄養価が高く、その季節の人間の体調に必要な栄養素を含んでいる。四季に恵まれた日本ならではの理にかなった考え方である。
そういえば、闘病中の妻も、この時期にサンマを食べながら、「パパもママも、はなのために長生きしなきゃね」とつぶやいていた。
ねすたは、驚くほどきれいにサンマを食べてくれた。
身や内臓は、ひとかけらも残っていなかった。
美しい、というか芸術の域である。
きっと、サンマもうれしかろう。
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