慣れないマルシェ

2023年05月27日

別院で開催されたののさまマルシェに行ってきた。
好天に恵まれたこの日、バスを降りて別院の門の前へ来ると、もう人だかりが見える。
境内の大きな建物と建物の間がマルシェの会場だった。個性的なキッチンカーが密集する方へ足を向けたところで、拡声器からマルシェの開会を告げるアナウンス。
僕は、開会時間ちょうどに会場を訪れたのだった。
マルシェの雰囲気がよく分からないからとりあえずお店を回ろうとしたら、会場の中程に朝から行列のできているブースが。慣れないラブソングだ。
説明するほどもないくらい有名な、地元のパン屋さん。診療所へ行くと時々行列を見かけることがあったが、出張先でも事情は変わらないらしい。
まさかこんなことになっているとは思わないから、何十組も並んだ列の最後尾について待つ気にはならなかった。何が買えるかもよく分からないし。
それより僕の目的は、マルシェに出店しているはずの作業所のブース。見回してみたらそれらしい入口があったから入ろうとするが、ここで少し躊躇する。外履きを脱がなければならないのか。
スロープはあっても、椅子はない。それに出入り客がけっこう多い。ここで考えていても仕方ないから、ほとんど段差のない上がり框に腰掛けて大胆にソケットを外した。
どうしても、こうしないと義足での靴の脱ぎ履きはできない。少し気まずい気持ちはあったが、それよりも初めてのマルシェへの期待感が勝って人目があまり気にならなかった。
よいしょ、と立って移動しようとしたら、ここでばったりお母さんと出会った。別院に掃除に来ていたから、何も不思議な話ではなかった。
屋内にも外と同じくらいの店が出店していた。大広間の他に広めの廊下も使ってかなり区割りに苦心した感じ。
我が作業所がどこに出店しているかは、探すまでもなかった。大広間に足を踏み入れるなり、
「おーい、〇〇さん」
と、馴染みのスタッフから声をかけられたからだ。
作業所のブースにはB型の女性スタッフが2名と、お金の管理のために男性スタッフ1名が来ていた。ここを覗くのが目的だったのに、いざ対面してみるとなんだか気恥ずかしい。
長机半分ほどの広さのブースには、作業所で制作した商品が所狭しと陳列されていた。刺し子、ポチ袋、雑巾、ポップコーン、アクセサリー類、ボカシ、石鹸など。みんなが制作しているのを実際に見てはいるが、それらを集めて販売する光景は初めてだからとても新鮮だった。但し、僕はほとんど関わってないけどね。
一回そこを離れて他のブースを回ってまた戻ってきた時はお母さんと一緒だった。まだ帰っていなくて合流したから、連れてきてスタッフに紹介した。お母さんは挨拶を済ますと、義理を感じたらしく、ポップコーンを二つ購入してくれた。
ありがたい。これで僕の面目も立つというものだ。
僕は建物を出るとお母さんとも別れ、一人で外のキッチンカーを見て回った。パンか軽食ばかりで、ちゃんとした食事ができそうではない。それに、一つ一つが高いと感じる。
やはり、あの店か。慣れないラブソングの行列はかなり短くなっていたが、店頭で買えるものも少なくなっていた。そして、ついに最後の食パンが目の前でお客さんの手に渡ってしまい、店はすっからかんに。
この状態になるまで一時間はかかっていないだろう。ラスクはあっても買う気にならないので、結局何も買わなかった。
慣れないマルシェで慣れないことをしたら、どっと疲れた。こういう時に休める場所は用意されていないようだった。そこで他の人がしているように外縁の石垣に腰掛けてしばらく休んだ後、早めに会場を辞した。
全体的に義足では厳しい面があったのは否めない。せっかく寺院で開催するんだから、もっと配慮が欲しかった。
とはいえ、久しぶりに大勢の人が集まってのイベントは楽しかった。これからは、街の催事にも積極性に参加してみよう。
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