義足は消耗品
2023年07月16日
このところ、右足の膝裏に傷ができて治らない。明らかに義足が原因だ。
診療所の定期検査で先生に診てもらったら、写真に撮って僕に見せてくれた。それは、米粒ほどの小さな傷。床擦れのよう、と表現されたのが自分でもしっくりくる。
傷は小さいながらも液体が染み出しており、絆創膏は良くないと言われた。代わりにガーゼを処置してもらい、しばらくは自分でできるようにシートでもらって手当ては終了した。
「このままでは治らんで、装具士に相談してくれ」
それが先生の答えだった。
先生のその言葉を受けて、月曜日、早速病院へ出向いて装具士さんに会ってきた。翌週は連休のため装具士さんは出向してこない。この機を逃すとかなり遅れてしまうので、タイミングはその日しかなかった。
待ち合いの長椅子には誰の姿もなく、すぐにギプスルームへ入室できた。いつもの装具士さんが、明るく出迎えてくれた。
傷を見せて一通り説明すると、彼はすぐに前向きな提案を出してくれた。緩くなったライナーを交換する、というものだった。
ライナーは外側のソケットと一対で、切断した足に被せて使う。密着性が高ければならないのに、使ううちに緩んで膝裏に無数の皺が連なるようになった。関節を曲げるとそれらの皺が皮膚を擦るのは容易に想像できる。
装具士さんによれば、とりあえず試してみる、とのことだった。ライナーを新しくして傷が治らなければソケットを修理に出すことも検討する、と彼は言った。
調べてみると、前回義足を一式新調してから1年半が経過していた。義足の修理や交換では、前回からどれだけ時間が経ったかが問題になるらしい。僕の場合はセーフだった。
ソケットは5年。ライナーは1年を経過していれば障害者手帳で交換ができる。条件を満たさないのなら一部修理か、実費での対応しかできないようだ。
装具士さんがすぐに動いてくれて、数日後には僕の元へライナーの見積もりが届いた。僕は、自分で市役所の福祉課に出向き、その見積書を提出した。製品が届くのはそう早くはないはずだから、自分のすることを週内に済ませることができたのは良かった。
それにしても。
届いた見積書を確認すると、ライナーだけで金額は8万円弱。これ、実は先端のピンを抜いての金額だ。たった1年半で交換するような消耗品なので、これはかなり高額と言える。
ソケットについてもいずれは不具合が起きて交換が必要になるだろう。義足は全てが消耗品だ。
身体側の変化や製品の劣化など、義足が使えなくなる要素はとても多い。それらを一つ一つ解決しながら、義足と向き合っていくことになるわけだ。
やはり、義足で歩くというのはそんなに甘くない。
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