被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
そのボタン、偽物かも? ウェブページ内の「次へ」をクリックしたらウイルスが検出されたと警告が出た
2024年9月13日 06:00
ウェブ閲覧中に、いきなりウイルスが検出されたと警告画面が表示され、アラームが鳴ったり、画面が操作できなくなることがあります。これは、ウイルスの駆除をサポートすると嘘をつき、手数料を盗み取る“サポート詐欺”という手口です。古くからあるネット詐欺で、本連載で何度も取り上げています。
※ウェブ閲覧中に表示される「ウイルスが検出されました」などの警告画面は、ウェブページのさまざまな演出を行う機能を悪用して表示される、いわば偽の警告です。表示中のページを閉じる(またはウェブブラウザーごと終了させてしまう)ことで、消すことができます。本当にウイルスが検出されたか気になる場合は、PCにインストールしているセキュリティソフトを起動し、スキャンしてみてください。偽の警告が表示されただけなので、実際には何も検出されないはずです。
サポート詐欺のウェブサイトへのリンクは巧妙に偽装されています。アダルトサイトなどの動画再生ボタンに偽装していることもありますが、多くはネット広告が入り口になっています。以前は、「台風が接近しています」といった興味を引きそうな画像や意味不明な画像を表示して「上の画像をクリック」などと誘導していました。
本連載でも、2024年5月31日付記事『Google広告からの誘導が6割」との分析結果。より巧妙化し、高齢者を狙う「サポート詐欺」に注意!』で、コーヒーが体に与える影響といった広告をクリックさせようとしているケースを紹介しました。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開している情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況(2024年1月~3月)によると、サポート詐欺に関する相談が前四半期から約4.6%増の1385件寄せられました。そして、このころからウェブページのネット広告枠に、「次へ」や「続く」などとだけ書かれたボタンが表示されるケースが報告されるようになりました。このボタンをクリックすると、サポート詐欺の画面が開くのです。
ウェブサイトで記事を読んでいて、途中に「次へ」などと表示されていると、続きを読むためにクリックしてしまう人もいるでしょう。そのウェブサイトを普段から読んでいるなら、「次へ」ボタンのデザインがいつもと違うことに気が付くかもしれませんが、初見ではどうしようもありません。さらに下にスクロールしていけば、本物の「次へ」ボタンが現れます。
本来であれば、広告の配信プラットフォーム側がきちんと審査して、詐欺広告を遮断すべきです。しかし、ネット詐欺師側も賢いもので、まずは普通のウェブページを作成し、そのページで審査を受けます。審査中はおとなしくしていて、広告の配信が始まったらそのウェブページからサポート詐欺のページに転送する仕組みにしているのです。
この手の被害に遭わないためには、まず、「次に」「続けて」といったボタンが偽物である可能性がある、ということを知っておくと万一のときに慌てずに済みます。また、筆者が遭遇したケースでは、オンラインソフトのダウンロードサイトに「ダウンロード」という偽ボタンが用意されていて、詐欺サイトに誘導されたこともありました。
前述のとおり、初めて訪れるウェブサイトでは判断しきれないことがあるでしょう。もし、広告枠の偽ボタンをクリックしてサポート詐欺の画面が表示されてしまった場合でも、決して、電話を掛けたり、電子マネーのコードを送ったりしないようにしましょう。サポート詐欺の警告画面は閉じてしまえばいいのです。もし、ブラウザーの「×」ボタンが押せなくなってしまったなら、Windowsなら「Ctrl」+「Alt」+「Del」キーを押してブラウザーを強制終了させましょう。
ネット詐欺師は次から次へとよく新しい手口を考え付くものです。詐欺に遭って悔しい思いをしないようにデジタルリテラシーを身に付けましょう。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと