ウウウルトラC
2023.04.22 Sat
「ウウウルトラC」(PC)の感想です。
18禁BLゲーです。
「古書店街の橋姫 々」をプレイして面白かったので、
直ぐにこちらの作品も購入したのですが、
ちょっとプレイするまでに時間がかかってしまいました。
元々BL自体は苦手なんですが、
橋姫は奇抜な世界観、丁寧な文章、魅力的なキャラなどで
苦手な部分が霞むほどに良く出来た作品でした。
食わず嫌いで手を出さなかったのが勿体無いと
改めて気づかせてくれた作品でもあるので、
同じサークルさんの作品という事で手を出してみました。
※BL苦手・そういう系統の作品初心者の感想なのでご了承ください※
【システム】
BLのノベルゲー。
昭和のレトロな雰囲気がたまらないです。
ヒーローショー、怪獣、特撮などのテーマもあってか
作品の勢いだとか、演出に力を入れてます。
地の文はあるのですが、
勢いやノリ、インパクトを重視する為か、
文章の詳細はなるべく削られて書かれてます。
目まぐるしくシーンが変わっていき、
ちょっと何が起こってるのか分かりにくい作りになってます。
どちらかというと抽象的な作品。アーティスティックです。
敵に飛びかかったと思ったら、
すぐ次のシーンで血まみれになってたり、
説明無しにキャラクターが突如現れたりします。
橋姫では凄く丁寧な文体だったので対照的です。
このサークルさんの他の作品には手を出した事が無いので、
今作の「ウウウルトラC」で 実験的な試みだったのか分からないのですが、
全く違う印象を受けたのが面白かった。
「明日 仕事あるし、そろそろ終わりにするかな」と
キリの良い所で止めようと思って読み進めてたら
急展開が起きて先が気になり、止め時が分からなくなる時が多々ありました。
ADELTAさんの作品が映像化されるとしたら、
シャフトさんと凄く相性良さそう。
小学生レベル~アダルトな下ネタが結構飛び交うので苦手な人はご注意を。
私は大丈夫な下ネタとそうじゃない奴とかあるんですが、
大丈夫じゃないのが割と多かった印象です。
橋姫は割とBL苦手な人に対してもおすすめは出来るんですが、
今作は癖が凄く強いので人は選ぶかも。
私はどちらかというと文体が丁寧な橋姫の方が好みです。
※ネタバレを含むので畳みます※
第一話「若き太陽」
正太郎と狐塚君メインのエピソード。
「正太郎」と「鉄人」って「鉄人28号」のオマージュかな。
三話の中で一般人目線。
ヒーロー戦隊物が世間から愛されてて、
怪獣とかてっきりこの物語のテレビ番組内の事なのかと思ってたら、
「怪獣」自体は存在する世界設定。
他の人とは変わらなくて、感染症扱いっていうのが面白いなって思いました。
昔は病の事を悪霊だとか魔物の仕業と扱われてたみたいですが、
今作では何かの揶揄も含まれてるのかな。
正太郎が不慮の事故で怪獣と接触して、
陰性反応出たのに世間から迫害されて、
蝶番さんとかに振り回されて行くシナリオなのかと思いきや、
実は正太郎は小さい頃に既に感染してて自覚済み。
ヒーローに憧れてるのに、怪獣だから慣れない劣等感だとか、
狐塚君が自分に色々隠し事してる事に不安を募らせて、謎を追っていくお話し。
狐塚君がイカロスだって事で素性を隠さないといけないのは分かるけど、
しっかり話し合いをすればこんなすれ違いなんて起こらなかったし、
糾弾されると逃げてしまう所にモヤっとしてしまいました。
別次元の世界のお話しだとか、
怪獣大戦争やら、ヒーロー、ロボットとか色々バトルしていくんですが、
表現が抽象的過ぎてちょっと追い付いていけなかった。
なんだかんだあって世界が一つに戻って
怪獣も居ない、平和な世界に戻ってハッピーエンド。
蝶番さんが何故 鞘師さんを恨んでるのか、
タロウという謎の生き物の存在などまだ判明してません。
第二話「水晶の夜」
蝶番さんと一色さんメインのエピソード。
三話の中では悪役目線。
第一話で正太郎くんをことある事に巻き込んだ
狂言回しな役割の蝶番さん。
過去に怪獣に襲われた時にヒーローは助けてくれなかった事から
イカロスと怪獣の攻防劇に疑問を感じ、「やらせ」を証明する為に
正太郎くんを利用します。
正太郎くんへの風評被害で仕事をクビにまで追い込んだりと
自分の目的の為ならば手段を択ばない上に
自分が受けた仕事・依頼を果たそうとする義務を放棄して
お金だけ懐にしまい込もうとする クズい要素あり。
だけど、何故かちょっと憎めない。
なんか、ねずみ男みたいな 小憎らしいけど嫌いにはなれないキャラ。
蝶番の記憶の中の少女「ベルちゃん」と
一色さんが同一人物である事を仄めかしてて
どうして蝶番さんの記憶の中のベルちゃんの性別が逆転してるのか、
再開する前の空白の時間に何があったのかが気になるお話しでした。
サクラちゃんに「オネェのあんちゃん」を略せと促して
「おねえちゃん」って呼ばれるシーンは好きw
「鬼のお兄ちゃん」略して「鬼いちゃん」みたいな
某アニメの会話を彷彿とさせます。
一色さんお友達になりたい。
一色さんの目的は「人類全員を怪獣に変える事」。
幼少期に枕営業や闇営業をさせられた事を仄めかしてます。
蝶番さんとは違った角度で目的の為なら手段を択ばないタイプ。
第三話「ダスクマン」
十郎さんと夜美さんメインのエピソード。
三話の中ではイカロス目線。
ヒーローと怪獣がどうやって誕生したか、
どうして世界線が二つに分かれたかが判明するルート。
夜美さんは地球を侵略しに来た異星人で
通販サイトで地球を複製してたら なんか不時着してしまい
更に体は致命傷。回復したら自分を目覚めさせる為に分身を生み出す。
その分身が十郎さんのお父さんと恋に落ちて十郎さんを生む。
厳密に言えば十郎さんって
夜美さんの分身の子供って事だからある意味 近親・・・?
他のルートでは堅実なイメージを抱いてましたが、
十郎さんはかなりのヤンデレです。
夜美さんを拾った時なんて 「逃げようとしたら足を折る」と脅したりして
イカロスになったのも 物語後半で悪役に変わってしまったのも
全部 夜美さんに執着して拗れてしまったから。
夜美さんも夜美さんで
異星人で長寿だから十郎さんが寿命を全うした後の寂しさに耐えられ無いから
地球を滅ぼそうと計画し始めたりと、すごくはた迷惑な痴話喧嘩。
最後のエピソードで「主人公では無くエキストラとして生きる」って
フェードアウトしたのは面白かった。
オマケで二人の顔が黒く塗りつぶされてたのも細かい演出だと思いました。
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「こういう作品が作りたかったんだ!」というのが伝わってくる位に
プレイしてて 製作者さんの愛が伝わる作品でした。
このサークルさんの次回作も、もし出るなら手を出したいな、と思ってます。
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