8月20日にドイツで開催される第26回目の【ベーメル・サイクラシックス】。ワールドツアーの中では比較的新しいレースであり、スプリンター向けのワールドツアーでは今年最後のワンデーレースになる。ということで、各チームともスピード自慢をきっちり集めてきた。トップクラスのエース対決といっていいメンバーで、見応えのあるスプリント勝負を期待したい。
*有力選手は、上位10人(本命3人:★3つ)と、その他に分けています。*情報は8月19日現在。出場選手は変更の可能性あり。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。
◎レース概要
ハンブルグの市街地をスタートし郊外の平坦路をぐるりと回って、ゴールはスタート地にほど近いハンブルグ市街地周辺をもう1周するコース。総走行距離は205.6kmで、7つの山(丘)を越えても獲得標高は1004mしかなく、中盤まではほぼ真っ平ら。中盤から終盤にかけて変則的に3回登る70mほどのヴァーゼベルグが勝負どころ。道も狭く勾配は最大12%を超える1km程の急坂を乗り越えれば、最終的にはスプリンターが追いつき、スプリントで決着することが多いが、昨年は劇的な逃げ切り勝利が決まっている。
◎優勝候補
優勝候補にあげた10人は誰が勝ってもおかしくないと言えるメンバー。今年の調子良さがそのままレース結果に反映されるならば、ティム・メルリール(今季10勝/チームTT含む)とオラフ・コーイ(今季7勝/総合含む)の一騎打ちになりそうだが、ゴール前はゴチャゴチャしたスプリントになりそうなので、多くの選手にチャンスはあるだろう。
二人以外では今年の成績では今季6勝のフルーネウェーヘンと同じく6勝(総合含む)のMピーダスンが続く。勢いと成長ぶりではジョナサン・ミランは楽しみな存在。どれだけトップスプリンターたちに対抗できるか見ものである。先日怪我から復帰したばかりのアルノー・ドゥリーは8月は1クラスとはいえ2連勝中。とうとうユアンを押しのけて実質チームのエースになり、鼻息も荒い。アルノー・デマールはアルケアから出場。グルパマを見返したいと思っているだろうが、勝てるかというと少々疑問。先日移籍後初レースでは1クラスにもかかわらず18位で終え苦戦している。
個人的に応援したいのはサム・ベネット。今季は苦戦が続き、おそらくボーラで出場するレースも多くはないだろう(AG2Rに移籍という噂)。今季3勝しているとはいえ、プロトン1といってもいいDファンポッペルのリードアウトを生かしきれていない。ボーラにとっては母国レースでもあり、ここで勝てばかなり印象は良い。もう一人応援したいのはマッズ・ピーダスン。前日までデンマークのレースに出ていて最終日のTTでは圧巻の走りで総合でも逆転優勝してしまった。春のクラシックでは3つのモニュメントで全てトップ10に入り、ジロもツールもステージ優勝し、世界選手権は惜しくも表彰台を逃したが、多くのレースに出場しほぼ全てで好成績を残している、今年一番の働き者である。連戦の疲労もあるだろうし正直なところピュアスプリントでは他のスプリンターたちには届かないと思うが、ピーダスンの活躍を願っている。
他にはヴァルシャドとカンターはなんとなくトップ10予想に入れてみた。特に根拠はない・笑 しいていえばコフィディスとモビスターは今年スプリントを頑張っている印象なので、応援の意味も込めて、というかんじ。その他は下記表を参照。
◎その他の注目選手
上記優勝候補から漏れた有力スプリンター(リードアウト含む)とその他の実力者たちを分けて表にした。スプリンターではヴィヴィアーニとアッカーマンはトップクラスの実績があるが、ともに現チームでは成績を残せていない。ヴィヴィアーニはイネオスに移籍後小さいレースで昨年2勝したのみ(トラックでは無双に近い成績を残している)で、過去3連覇した相性のいいレースとはいえ、勝てるイメージがわかず、イネオスは怪我明けのヘイターで勝負するようにも思える。アッカーマンは先日のツールでステージ優勝をあげるなどうまくはまれば表彰台も狙えそう。ただしUAEはチームとしては強い選手は多いがスプリントのトレインという意味では他より劣る。同様にニッツォーロもイスラエルに移籍後ここ2年ではわずか2勝と苦しい状態が続いている。ジェイク・スチュワート、マリウス・マイヤーホファー、アルネ・マーリッツはまだまだ伸びる若手スプリンター。先輩たちの胸を借りるつもりで頑張ってほしい。
アーリーアタックで逃げて勝機がありそうなのは、ヘルマンス、ベッティオル、スクインシュ、コーヴィ。ポリッツ、ツィマーマン、ヒルシあたりも逃げる自由が与えられたら面白い。また完全にアシスト役になるだろうけど、先日の世界選手権個人TTで一気に知名度と人気を獲得したジョシュア・ターリングも出場。新城幸也も今年も出場する。彼は次第にステージレースよりもクラシック中心に出場している印象で(昨年パリ〜ルーベに初出場するなど)、この年齢になっても新たな役割でチームに貢献しているのはほんとに素晴らしい。
◎過去の結果(2022年、2019年、2018年)
参考までに過去3年分の上位10位を入れておく。所属チームは今季との比較も。なお2021、2020年は中止された。スポンサーの変更に伴い以前とレース名は変わっている。またほとんどは集団スプリントで決着している。
出場選手中、過去の優勝経験者は、ハラー(2022年)、ヴィヴィアーニ(2019、2018、2017年)、デマール(2012年)、ボアッソンハーゲン(2011年)。
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