有夏が呻いた。
呼吸はまだ荒い。
ベッドに横たわったまま、相手の体重を感じるのが心地良いのか、声が甘い。
そんな彼の整った顔を至近距離で見つめながら、幾ヶ瀬がいつものように髪を撫でる
「抜いてるよ」
「んぁ?」
訝し気な表情。
折り重なって互いの息遣いを感じながら、蜜のような時間を過ごす──これは明らかに事後の光景だ。
「ホントに?」
顔を赤らめ、尚も念を押す有夏。
成程。ふたりの身体はぴたりとくっ付いてはいるが、幾ヶ瀬のソレは有夏の腿にやわらかく触れている。
どうやら満足した様子で、挿入時の硬さは失われていた。
「なんかまだナカに入ってるみたい。感覚が……」
感触を確認するように目をとじる。
唇を舐めると、有夏は微笑した。
「どうしたの、有夏」
「や、何でも……」
微笑はニヤニヤに変わっている。
「有夏? 顔、赤いよ?」
「う……いや、だからさ……初めての時は……フフッ」
照れ笑いがこぼれる。
耳だけでなく、有夏は目元まで赤く染めていた。
耳だけでなく、有夏は目元まで赤く染めていた。
「……初めてシタとき。あの時は3日くらい腹ん中火事で。ずっと何か入ってる感触が残ってて……」
「有夏……」
ニヤニヤが幾ヶ瀬にも移る。
「あの時は可愛かったな、有夏。感じるのに声出すの我慢して、目うるうるさせて。可愛かったぁ……」
「過去形かよ」
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