冬のあさ4【完】

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「ありかー……ふふっ」


 幾ヶ瀬は笑う。


 耳たぶに噛みついて首筋に舌を這わし、服をはぎ取ってやろうかと思う反面、この寝顔を見ていたいと願ってしまう。


 雪は不思議だ。欲望を白に覆って隠してくれるのかもしれない──柄にもなくそんなことを考えながら、彼はベッドにもぐりこんだ。


 布団と、傍らの人のあたたかさから、すぐに瞼が重くなる。


 寝ちゃったら勿体ないと思うものの、抗える筈もなく。


 有夏の腰に手を回し、その背に顔を埋めて。

 ゆっくりと眠りに落ちていく。


 幸せな時間だと──そう思っていることを有夏に伝えたくて僅かに開かれた唇は、しかしすぐに寝息をこぼしはじめた。


「冬のあさ」完

【予告】「本日のリア充」につづく

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