「ドラゴンエイジ」シリーズのライター、AI生成によるストーリーテリングを「精彩を欠き、魂のこもっていない」ものだと断じる

「多くの努力が無駄になることだろう」

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「ドラゴンエイジ」シリーズのライター、デヴィッド・ゲイダーが、AIによりプロシージャル生成(アルゴリズムによって自動生成する手法)された会話の性質について、「精彩を欠いた」、「魂のこもっていない」ものだと評した。現時点におけるこの技術の限界を理解していない開発者は失敗するだろうと予想している。

ゲイダーはThe Guardianの記事に触れつつ、「ああ、そうだ。プロシージャルコンテンツ生成の夢だ」とツイート。将来のビデオゲームにおいてAI脚本が採用される可能性について論じた。「BioWareでさえ、これを何度か繰り返したことがある。『すべての会話をオーダーメイドで作る必要がなくなったらどうなるだろう?』とね。セリフがプロシージャル生成になり、プロシージャル生成のクエストがあれば、無限にプレイできる!」

The Guardianの記事では、『Smallville』というゲームのデモ版に焦点を当てた箇所がある。このゲームではChatGPTを駆使し、25人のNPCをサンドボックスの世界で一緒に生活させ、会話を生成している。

記事中で紹介されている研究者Joon Sung Parkの考えでは、早ければ1年半で小規模なインディー開発者がChatGPTのようなAIを開発プロセスに採用できるようになり始め、約5年でこの技術を広く普及させることができるという。現状では、ビデオゲームの重要な部分にAIを取り入れることは潜在的な問題をはらむほか、コストも高い。

しかしながら、長大なTwitterのスレッドで、ゲイダーはゲームにおけるAIの短期的な採用に懐疑を示している。この技術を扱った自身の経験を説明しながら、ベテラン開発者の彼はBioWareのチームが、プロシージャル生成AIの会話やコンテンツが機能しうると何度も信じたのだという。ところがゲイダーは、何度試しても最終的な結果は「精彩を欠いた」、「魂がこもっていない」ものになったと説明している。

将来の開発者が、正しいインプットを与えれば、状況に応じた適切なコンテンツを生成できるという結論に達する可能性もあると言及したが、彼自身はそう思っていないようだ。「問題はセリフではなかった。プロシージャル生成によるクエストが、クエスト然としたものに形作られることが問題だった。確かに、クエストに必要な要素こそ揃っているが、最終的な結果は、MMOのクエストにありがちな『カブトムシの頭を20個持ってこい』といったものに過ぎなかった」

続けて彼は、自身が言うところの「ベースこそ守っているが深みのない表面的なコンテンツ」とは違って、AIが実際に深いオーダーメイドの物語を作れると思いこんでいる開発者は、失敗する恐れがあると語った。

こうした開発チームが失敗するという事実は、彼らが挑戦をやめることを意味するものではない

「そういったAIも、私たちが使ったものとまったく同じことをするだろう。蓄えられた要素から、物語のような『形をした』何かを作る……それがAIの仕事だからだ」とゲイダー。「しかし、それでも多くの開発チームは、AIがもっと上手くやれると思うのをやめないだろう。そして、彼らは失敗する」

一方で彼は、AIによるプロシージャル生成コンテンツの魅力は、特定のジャンルに取り組む開発者にとっては抗いがたいものだとも考えているようだ。「こうした開発チームが失敗するという事実は、彼らが挑戦をやめることを意味するものではない」とゲイダーは予想する。「とりわけMMOのように、プレイヤーが深いナラティブのために遊んでいるわけではないと考えられているようなタイトルにおいては、AIは活用せずにおくには魅力的すぎるものだ。これによって多くの努力が無駄になることだろう」

最近ではディズニーのCEOが言及したように、エンターテインメント業界の大手やゲームデベロッパーの中には、すでにAIの活用へ意欲を示しているものもある。しかしながら、ゲイダーのように単純な失敗を予測する声のほか、芸術性や盗作の可能性といった観点からAIの活用に抵抗を示す意見も多い。 

※本記事はIGNの英語記事にもとづいて作成されています。

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