フロム・ソフトウェア宮崎英高、『Escape From Tarkov』のようなマルチプレイゲーム要素に関心を寄せていると明かす

『ELDEN RING』は1人でプレイすることも可能だが、PvPやPvEのマルチプレイ機能が非常におもしろい。プレイヤーがお互いに残したメッセージは、ネットミームにもなっている。こうしたマルチプレイの交流にはユニークな性質があるため、ディレクターの宮崎英高氏が、マルチプレイの技術やそれがほかのゲームでどのように活用されているかについて考えるのは当然のことだ。

第26回DICE Awardsで『ELDEN RING』がゲーム・オブ・ザ・イヤーを含む5部門を受賞したことを受け、宮崎氏はIGNの取材に応じた。そのなかで、今、ゲーム分野における新技術やトレンド、テーマで刺激的だと思うものについて尋ねると、マルチプレイの話題を挙げた。

「これが最新のトレンドかはわかりませんが、技術的にもゲームデザイン的にも、常にアップデートされていくマルチプレイ要素ですね。ファンのひとりとして、クリエイターのひとりとして、非常に興味があります。特に『Escape From Tarkov』には関心を寄せています。クリエイター兼ファンとして、こうした要素に注目していますね」

「ほかの業界人たちは、マルチプレイのネットワーク機能やゲームデザインをアップデートし続けて、プレイヤーのゲームプレイへの関わり方や、ゲームプレイのリソースのひとつとしてプレイヤーを活用する方法を変化させているんです。ですから、こうした要素に注目しています」

2017年に発売された『Escape From Tarkov』は、FPSとMMO要素を融合させたサバイバルFPSだ。Twitchの配信を視聴したプレイヤーにゲーム内アイテムを提供するプロモーションの効果もあってか、早期アクセス版がリリースされてから数年で爆発的な人気を博した。2023年現在も高い人気を維持しており、先日には、開発元のBattlestate Gamesが次々出現するチーターに対して公式ブログで「クズども」と非難し、再び厳しい取り締まりを行った。

「私たちは作りたいゲームを作り続けます」

宮崎氏に対し、『ELDEN RING』が数々の賞を受賞して批評的にも商業的にも大きく成功したことを受けて、今後、新たな『ELDEN RING』が登場する可能性が高くなったのではないかと尋ねたところ、フロム・ソフトウェアが次に手がける作品を決める上で、この成功は重要な要素ではないと答えた。

「『ELDEN RING』は商業的に成功したのは明らかです。それは誰もがわかっていることですが、次に作るものにはそれほど影響を与えません。私たちは作りたいゲームを作り続けます。それがポリシーです。とてもシンプルなことです」

「私自身や『ELDEN RING』の開発チームにとって、非常にいい経験でした。自分たちの仕事に大いに興奮することもありましたし、ゲームに何かを導入する際に失敗することもありました。ですが、いずれにせよとてもいい経験でしたし、壮大な世界観を持ち、プレイヤーに冒険心を感じてもらえるようなゲームを作り続けていきたいと思っています」

フロム・ソフトウェアとバンダイナムコにとって、『ELDEN RING』が非常に高い利益を上げた作品であることは間違いないだろう。先日は販売本数が2000万本を突破したことを発表、DICE AwardsだけでなくNew York Game AwardsやThe Game Awardsでもゲーム・オブ・ザ・イヤーに輝いており、IGN JAPANのゲーム・オブ・ザ・イヤー2022にも選ばれている。

こうした成功が宮崎氏やフロム・ソフトウェアに影響を与えないとしても、過去には同氏が何らかの形で新コンテンツを配信する可能性があることを示唆していたため、開発チームは立ち戻りたいと思うほどにこの世界に気に入っているようだ。そして『ELDEN RING』のDLC「Shadow of the Erdtree」の開発が発表されている。