三井公一の「スマホカメラでブラブラ」
プロ設定搭載のグーグル「Pixel 8 Pro」、パワーアップした3眼カメラを徹底的に試す!
2023年10月12日 02:00
コンピュテーショナルフォトグラフィーのパイオニア、グーグルから「Pixel」シリーズの最新モデルが登場した。「Pixel 8 Pro」と「Pixel 8」だ。今回はフラッグシップ端末「Pixel 8 Pro」の静止画撮影機能をインプレッションする。ライバル機を圧倒する写りに注目だ。
なお端末の詳細スペックや価格などは本誌の別記事を参照していただきたい。
グーグル「Pixel 8 Pro」カメラの特徴
オリジナルの最新チップセット「Google Tensor G3」を搭載した「Pixel 8 Pro」。3つの背面カメラはこのような構成になっている。
- 広角カメラ:5000万画素 35mm版換算12mm相当 F1.68
- 超広角カメラ:4800万画素 35mm版換算24mm相当 F1.95
- 望遠カメラ:4800万画素 35mm版換算110mm相当 F2.8
超広角カメラも高画素化を果たし、各カメラのレンズも明るくなっていてうれしいアップデートと言える。通常はピクセルビニングによって1200万画素の出力になっている。
なお同時発売の「Pixel 8」は2眼カメラ構成で、後述の「プロ設定」は搭載されていない。
各カメラの写りを見ていこう。
「Pixel 8 Pro」独自の撮影機能とは?
「Pixel 8 Pro」には「Pixel 8」にはない「プロ設定」が搭載されているのだ。画面左下の歯車アイコンをタップすると「写真の設定」が表示される。基本的な機能設定をする「全般」メニューの右側にある「プロ」メニューがそれだ。
- 解像度:12MPと50MPを切り換える設定。50MP撮影時は夜景モードと同じような長秒レリーズになる。
- RAW/JPEG:RAWとJPEGの同時記録をオンオフする。
- レンズの選択:ニクいのがこの設定だ。これを「手動」に設定すると「UW」「W」「T」の超広角カメラ、広角カメラ、望遠カメラの光学的な3つの画角(カメラ)のみ使用可能になる。デジタルズームを使用不可にして、画質的においしい焦点距離だけを使うことができるのだ。
画面右下に表示されるメニューをタップすると下のような設定項目が現れる。スライダーを操作もしくは左右のアイコンをタップすることによってマニュアル感覚で撮影ができるというわけだ(パノラマ、動画撮影時は異なる)。
- 「明るさ」:ハイライト部分を中心とした明るさを調整できる。
- 「シャドウ」:シャドウ部分を中心とした明るさを調整できる。
- 「ホワイトバランス」:色温度の調整が可能。
- 「フォーカス」:マニュアルフォーカスが使えるようになる。超望遠撮影時と同じく小窓によるターゲット表示とピーキング表示が可能なので撮影が快適になっている。
- 「ISO」:ISO 50〜ISO 3200 までの設定ができる。
ここら辺のUIはもうちょっと使いやすくなる余地があると思う。アップデートに期待したい。ちなみに「Pixel 8」では「明るさ」「シャドウ」「ホワイトバランス」のみとなる。
5000万画素の超高解像度撮影
50MPによる高解像度撮影も楽しめる。ライバル機では高画素撮影は広角カメラだけだが、「Pixel 8 Pro」なら超広角カメラ、望遠カメラでの撮影もできるのがうれしい。作品作りに大いに役立つだろう。
夜景モード(Night Sight)
「夜景番長」の異名をとる「Pixel」の夜景モード。向こうでは「Night Sight」と呼ばれているが、その素晴らしさはもちろん健在である。どのレンズを使ってもシャープかつ鮮やかで印象的な夜景を撮影できた。さすが「Pixel」である。
「Pixel Watch 2」との連携
同時にリリースとなる「Pixel Watch 2」とのコンビネーションも「Pixel 7 Pro」と「Pixel Watch」同様だ。「Pixel 8 Pro」の遠隔ファインダーとして活用できた。
「Pixel Watch 2」でシャッターを切ると、3秒間のカウントダウン後に「Pixel 8 Pro」で撮影が完了した。
グーグル「Pixel 8 Pro」でブラブラ撮影を楽しむ
超広角から超望遠まで見事な写りが楽しめる「Pixel 8 Pro」。カメラの起動も確実で速く、シャッターチャンスにも強い。日中から夜間まであらゆるシチュエーションで写真撮影が楽しめる最新AIスマートフォンであった。
夜の街をブラブラ中、動物病院のロビーで診察を待つネコを発見。ネットに包まれたその様子を撮影した。観念した様子と病院の雰囲気を瞬時に撮ることができた。早くよくなるといいね。
「Pixel 8 Pro」はディスプレイも明るくて見やすく、バッテリーの保ちもよかった。一日中撮り歩いてもバッテリー残量はかなりあった。それでいて写りがいいのだから申し分ないではないか。
先代からしっかりと性能アップ!
「Pixel 8 Pro」は先代「Pixel 7 Pro」からしっかりと性能アップした端末だった。3つの背面カメラは全て高画素となり、レンズも明るくなって、プロ設定も備えた。ふだんは端末任せにしてイージーに撮り、いざというときはデジタルカメラのように自分のイメージどおりに設定をして表現を楽しむことができる。
「Pixel」はコンピュテーショナルフォトグラフィーのパイオニアだが、撮影者の「意図」を反映する手段を用意してくれたのがニクいと感じる。
「写真」と「カメラ」機能に重きを置く人ならば、選ぶべき最新Androidスマートフォンと言えよう。