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「次世代コンビニ」始動、ローソンに新技術取り入れ課題解決 KDDIなど3社

 KDDIと三菱商事、ローソンの3社が「未来のコンビニ」の実現を目指して動き出した。その一環として、2025年春にKDDI新本社(東京都港区)にテクノロジーを活用したコンビニが誕生する。同店で実証されたテクノロジーがほかのローソン店舗にも還元される。

コンビニ×テクノロジー

 ローソン 竹増貞信 代表取締役社長は、来店者に評価される店舗を目指すとしてそのためには「お客様に見に来ていただかなくては、実感してもらえない」と語る。ローソンでは品揃えの充実などを通じて顧客満足度の向上を図る。

 そのための施策のひとつが「Ponta パス」。同氏は「(以前は)auスマートパスと少し長い名前だったので、お客様にやや勧めにくかった。しかしPonta パスという非常にわかりやすい名前になった」として、効果に期待を寄せた。

 KDDIは、ローソンが描く未来のコンビニ像をテクノロジー面でサポートする。KDDI 髙橋誠社長はECの感覚をリアルに持ち込む「新しいコンビニの体験」「AIロボティクス店舗業務支援」「クイックコマース」、さらに暮らしにまつわることがらを相談できる「よろず相談」などをスタートアップ企業とともに実現していくことを説明。

 構想のなかでは、レジに並ばずにスマートフォンで決済できたり、サイネージが来店者に最適な商品をおすすめしたりといった仕組みのほか、街と連動する演出などを描く。ロボットで人手不足を解決するほか、最短で15分のデリバリーサービスを目指す。店内での相談業務にはリモートでの対応を想定する。デジタルツイン上にコンビニを作り上げて、その後に街にも拡大していく考えが示された。

 1店目は、KDDIの高輪新本社にオープンする。店内のオペレーションにはロボットを多用し、陳列や品出しのほか店内調理も担う。その後の展開としては、高輪と同様の形態の店舗を増やしていくのではなく、実証されたテクノロジーを部分的に他店舗に展開していく。

auスマパスはPonta パスに

 サービス面でもKDDIとローソンの親和性が高まることになる。「auスマートパス」が「Ponta パス」にリニューアルされる。月額利用料金は548円で、ローソン商品に使えるクーポンやポイント還元率のアップで3000円以上お得になるとするサービス。ローソン関連だけでも1100円程度も得になるという。ローソンの店舗システムである「AICO」(アイコ)とKDDIが持つデータや在庫、SNSのトレンド情報を組み合わせてユーザーにクーポンを届ける。

 さらにローソン店舗では2024年度内を目途に「povo2.0」の「ギガチャージ専用eSIM」を販売する。予備回線としての利用を見込んでおり、ユーザー自身が持つ他社のメイン回線の障害発生時などの利用を想定する。

 このほかにも「povo Data Oasis」を2024年内に始める。ローソン店舗に行き、アプリを操作すれば1回につき100MBのデータ容量がもらえる。月に1GBまでもらえる。髙橋社長は「通信がコンビニにうまく埋め込まれたかたち」と説明。店舗での買い物などは条件に含まれないとみられるが、ローソンへの来店機会の増加が見込める。髙橋社長は「(データ容量を)チャージしたらなにか商品を買わないと申し訳ないな、というふうになるんじゃないかなと。ぜひともお買い求めいただければ」と発言した。

ローソンタウン実現に向けて動く

 ローソンが描く「ローソンタウン」は、ローソン 竹増社長によれば構想発表以来、複数の自治体から声がけがあったとして具体的な場所も見えてきているという。3社では、少子高齢化などの社会課題解決に街作りを通じて取り組む。KDDIでは「Starlink」や通信環境の整備、ドローンの拠点などを活用した災害対策も同様に備える。

 ほかに石川県と災害対策として、コンビニにドローンやStarlinkの配置などを見据えて協定を結ぶ。沖縄県では、すでに移動課題を解消するために店舗を停留所としたオンデマンド交通サービスを始めた。今後、日立製作所と共同で日立市内でサービス実証を検討している。髙橋社長はこうした動きを全国に広めていく考えを示した。

 髙橋社長は、ローソンとの取り組みにおいて「コンビニエンスストアは日本が誇る社会インフラ。これからの課題を解決できる。リアルテックを活用して、コンビニの未来に貢献していきたい」と話した。