意識調査でわかった7割の人が活用したい「オンライン診療」 送迎や付き添いなど介護者の仕事の負担軽減に期待
日本では高齢化が進み、団塊世代が75才以上の後期高齢者となる「2025年問題」が迫っていると、言われている。医療、介護人材の不足などの問題を抱えながら、これから多くの働く世代が両親の介護と仕事の両立問題に直面することになるだろう。
突然始まる親の介護。仕事との両立は可能?
病気や怪我をして通院が必要になったり、もの忘れや認知症が悪化するなどして突然始まる親の介護。「適切に対応できるのか」「時間や体力、金銭面などは大丈夫なのか」といった不安や、不慣れなことばかりでストレスが溜まるということも多いだろう。
オンライン診療・服薬指導サービス「クロン」を提供するMICIN(マイシン)が働きながら親や尊属(自分より上の世代の血族)の介護を行っている方を対象に、介護による仕事への影響の有無や、介護でのオンライン診療の利用に関する意識調査を、インターネットで実施した結果が公開されたのでご紹介します。
6割が負担に感じている「病院の送迎と付き添い」
現在働きながら介護を行っている500人を対象に行った意識調査結果を見てみると、働きながら介護をしている人が、日々どんなことに時間を割いているかが見えてきた。
まず、介護で具体的に行っていることに関する問いに対して一番多かった回答は、「通院の送り迎えや付き添い」(60%)だった。次に「食事の準備や食事介助」(53.6%)、「日常生活(買い物等)の送り迎え」(49.2%)が続いた。
「通院の送り迎えや付き添い」と回答した300人を対象に、通院付き添いで仕事への負担や影響はあるかを複数回答形式で質問したところ、「勤務時間の短縮」(48.3%)が最も多かった。
次いで「業務量の減少」(34%)、「オフィスワークから在宅勤務への変更」(32%)となり、勤務時間や業務内容をやりくりしながら対応していることが分かった。また、約8割の人が「自身の仕事への負担や影響がある」と感じながら介護をしている実情が浮き彫りとなった。
「通院の送り迎えや付き添いをしている人で、自身の仕事への負担や影響がある」と回答した238人に対し、介護でオンライン診療を活用しようと考えたことがあるかという質問をしたところ、「現在活用している・過去に活用したことがある」と回答した人は20.2%にとどまった。しかし、45.4%が今後活用を予定していると回答した。
介護でオンライン診療を「活用したことがある」、「今後活用を予定している」「活用を検討したことがある」と回答した238人に、「介護でオンライン診療を活用する/活用したい具体的な理由」を質問した。
「勤務時間への影響を少なくするため」(56.1%)、次いで「仕事と介護を両立するため」(52.0%)、「待ち時間がなくなるため」(49.1%)と時間に関する回答が多かった中、「親やその他尊属の体力的/精神的負担を軽減するため」(45.6%)と介護される親の負担を軽減する目的で活用する意図も見られた。
また、働きながら介護をしている500人に「今後、親やその他尊属の診察の付き添いがある場合に、オンライン診療を活用してみたいか」と質問。全体の66.6%が活用したい(とても利用したい/やや利用したい)ことが分かった。
では実際に、オンライン診療を活用している人に話を聞いてみよう。
仕事を休まなくても先生に診てもらえる! テレビ通話で母も安心
母(80代・要介護3)は現在自力で歩くことができない状況で、車椅子で生活をしています。10年以上東京都内のかかりつけ医に診てもらっており、2年ほど前から母の定期的な検診や、咳などの症状が出た際に、オンライン診療を活用するようになりました。
私自身は、フルタイムで働いており、基本は在宅勤務で週一回出社しています。今まで母の通院付き添いの場合は、会社を休むか、土曜日しか連れていくことができませんでした。母がオンライン診療を受けるようになってからは、自宅で診察時間にスマートフォンで繋ぐだけなので、仕事を休まずに済むようになりました。
母は、オンライン診療になることに特に抵抗感はなく、長年診ていただいている先生とビデオ通話で繋がれるので、安心した表情を見せています。私自身は、母が通院する場合は時間的な負担以外に、母を持ち上げるのに体力的に辛く、車いすを押して電車の乗り降りがスムーズにできるかというプレッシャーもありました。そのような体力的、精神的な負担もオンライン診療を活用してからは無くなりました。
介護しながら働き続けるには便利なサービスをどんどん活用すべし
今回の調査で、通院送り迎えや付き添いが介護者の仕事に影響を与えており、仕事に影響があると答えた人の5人に3人は、勤務時間を短縮するなどの対応に追われていることが分かった。
オンライン診療は、介護離職なども懸念されている現代において、介護者と被介護者双方の通院する体力の負担軽減や、通院のための移動時間がかからないという点から、忙しい人達のサポートになるだろう。
MICINが手がけるオンライン診療サービス「クロン」は2016年からサービスを開始しており、クロンを導入する医療機関数は全国で6,000以上。医師の診察後は、オンラインで薬剤師から服薬指導を受けられるほか、薬は郵送で受け取ることができるため、利用者は外出の必要がないという。
介護の形は、十人十色と言われる。だからこそ、介護する人もされる人も頑張り過ぎず、少しでも楽になる方法を選びたい。そのためにも、オンライン診療のような便利なサービスを上手に取り入れていって欲しい。
【データ】
<MICIN「介護に関する意識調査」の概要>
調査対象:親やその他尊属の介護を行っている有職者(15歳以上の男女)
調査方法:インターネット調査
調査日:2024年5月31日~6月3日
有効回答数:500件
オンライン診療サービス『クロン』
https://app.curon.co/
※MICINの発表したプレスリリース(2024年6月17日)を元に記事を作成
図表/MICIN提供 構成・文/松藤浩一
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