明日(あす)に向って走れ (youtube.com)



台風あけの国立医大病院は1500人の人たちであふれかえっていた
先月末の予約を台風のせいで延期したぼくは
かなり予定時刻よりも早く病院についていた
ところが院内は冷房も効かぬほど人があふれ
ぼくはうろたえ
ただ順番を待つしかない

受付で待つだけに30分
そして内科外来で待つこと2時間半
ようやく番号が

医者は前回五月と同じ若い医師
どうするそうするのやったとったがあり
「で、結局ぼくは肺がんなんですか?」
「いや、肺がんじゃありません。しかしのちのちうんぬん:::」
「それが聴きたかったから来たのです、それがわかったらもう用はない帰ります」
「じゃ、じゃああちらの先生には定期的にCPを取るよう申しておきます」
「よろしくね」

料金支払いに向かったらまた行列
やっと番号をもらうと
支払いのために70人も待っている

私は隣接するローソン、郵便局、スーパーで用事を済ますことにして、
戻ったらちょうど順番だった

支払って、くそ暑い外を全行程5000歩歩いてうちにかえり
一服し
冷房でほてった体を冷やしながらつぶやく

病院に行くと病気になるぜ

冷蔵庫に向かい
キンキンの氷で水割りをぐいっと飲み干し
吸ってませんとさっき答えたはずの煙草を
たてつづけに10本すぱってやった

冷凍庫のむね肉を取り出してほったらかす
タンドリーチキンで今日はしこたま祝杯だ

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テレビをつけると篤姫再放送
あおいちゃんが輝くほどきれいだ

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できあがる


妻を思い出す

妻よ

別れの日

ぼくはどれほど迷っただろう

一晩中、そうするべきかを考えた

たどりついたのはぼくには生活するだけの根性がない

出ていくしかない



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それは今も同じことだ

ヒトは根性か才能か

どちらかひとつしか与えられない

そして根性は勝ち取るべきものだ

ぼくは肺がんではないかった

それは先祖の遺伝子が天性にぼくにくれたさずかりものだ


だが、考えようによっては
ぼくはガンでは死ねないってことでもある


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もう死ぬまで君に会うこともないだろう


サイモンとガーファンクルが歌い始めた


二人はもはや再びの邂逅ものぞめないだろう



もうはやぼくは
天涯の孤独


さようならすみちゃん

たのしい青春をありがとう



ぼくはひとりで死んでいくことをいよいよ決心した
それが今日の黄昏だ



ほかにどうにも生き方はなかった


ギターをピッキングし
まだ呑む

それぐらいは自分で決したい
いいだろ?


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