in居間
鬼「よいしょ、よいしょ。おばあさん、またこたつで寝ちゃった……もう、こんなところで寝たら風邪ひいちゃうよ」
福の神「母上、俺が運ぼう」すっ
鬼「っあ、福の神様!大丈夫ですよ、こう見えて俺は力持ちなので」ひょい
鬼は……本当に力だけは本気で見た目によらず力持ちだよ!
福の神「はやり母は強しだな。しかし俺は良い息子故、日頃から親孝行を怠らぬ。その老婦を貸せ」
鬼「福の神様、ありがとうございます。では、お言葉に甘えて。おばあさんをお布団までよろしくお願いします」
福の神「ああ、任せよ!」
福の神は意気揚々とおばあさんを部屋まで運んで行ったよ!
鬼「それじゃあ俺は、居間の掃除を……」
ブブッ
鬼「ん?」
鬼が居間の掃除しようとしたら何か見つけたみたい!なんだろう!
鬼「こ、これは……!」
鬼はこたつ机の上に置かれた四角くて小さな何かを見つけたよ!
鬼「らっくちゃん!?」
どうやらお婆さんのスマホみたい!
ちょうど何かの通知が来たみたいで、待受けになってる孫の写真が映し出されたよ!
鬼「らっくちゃん、笑ってる。あの後どうなったかと思ったけど、無事にお家に帰ったんだね。良かった」にこ
鬼は画面に映ったにっこり笑顔のらっくちゃんに思わずにっこりしたよ。
鬼「ふふ、可愛いなぁ。らっくちゃん、また来てくれるかな」
鬼にとってもらっくちゃんと過ごした数日間は、福の神も居なかった寂しい時間を埋めてくれる大切な思い出なんだよね。
だけど——!
福の神「あ、あ……母上」わなわな
鬼「あ、福の神様。おばあさんを部屋に運んでくださってありがとうござ……どうかしましたか?」
そこには、顔をわなわなと震える福の神が居たよ!どうしたんだろう?
福の神「だ、誰だ!ソイツは!まさか、俺の他に子を産んだのではないだろうな!?」
鬼「えぇっ!?いえ、この子はお婆さんの孫で、名前をらっくちゃんて言うんですよ!」
福の神「ええい、信用できぬ!なにせ母上は俺を産んだ事も無自覚だったではないか!知らぬ間に俺以外を産んだに違いないッ!」
鬼「いや、さすがにそんな事は!というか俺は雄鬼なので子供はそもそも産めなくて……」おろおろ
鬼が弁明するけど、福の神はみるみるうちに目をウルウルにしていったよ!そして、大きかった体はみるみるうちに小さく小さくなっていって——!
福の神「お、おれの、ははうえは、ははうえだけなのに……ははうえは、おれいがいにも子がおるのだ。おれは、ははうえだけなのに……あ”ーーーー!」
鬼「あぁっ、福ちゃん!ごめんね、ごめん。よしよし。福ちゃんが一番可愛いよ」
福の神「いっ、い、いちばんが、あるということはっ!にばんが、おると、いうことではないのかーーーー!あ”ーーー!」
福ちゃん、なんだか癇癪玉が弾け過ぎて、めんどくさい彼女みたいな事を言い出したよ!
鬼「あっ、あっ!俺には福ちゃんだけだよーー!」
その後、癇癪で泣き喚く福ちゃんを泣き止ませるために、鬼は三日三晩かけて福ちゃんと戯れ合いました。
福の神「……ぁぁうえ」
鬼(はぁ、今回の癇癪は長かったなぁ)よしよし
鬼、力と体力は凄まじくあるので三日三晩だろうが全然平気なのでした。
福の神(あの童、一体何なんだ……)むす
ラックちゃん、またおいでね!