庵野秀明監督の映画「シン・仮面ライダー」を観ました。
現代の日本が舞台。本郷猛(池松壮亮)は頭脳明晰でスポーツ万能であったが心に傷を抱え、大学卒業後は職に就かず、バイクでツーリングをして過ごしていた。ある時、本郷は大学時代の恩師緑川弘(塚本晋也)によりバッタオーグへ改造される。緑川は秘密結社SHOCKERに属し、人類の為に人間と昆虫を合成するオーグメントの研究を行っていたが、SHOCKERがオーグメントを個人のエゴに利用している事を知り、SHOCKERを倒す為にオーグメントの最高傑作として本郷を改造したのだった。本郷は専用のヘルメット、防護服、ベルト、サイクロン号というバイクを使い、人間からバッタオーグへ自由に変身する事が出来た。緑川は娘のルリ子(浜辺美波)と本郷と共にSHOCKERを抜け出したが、クモオーグ(声:大森南朋)に見付かり、自身は殺され、ルリ子を拉致されてしまう。本郷はバッタオーグに変身してクモオーグに立ち向かい、自らを仮面ライダーと名乗る。クモオーグを倒しSHOCKERから逃れた本郷とルリ子の前に、政府の男(竹野内豊)と情報機関の男(斎藤工)が現れる。政府は既にSHOCKER対策に動き出しており、本郷とルリ子は政府機関と共闘する事と成った。本郷とルリ子は政府機関からの情報を元に、SHOCKERのオーグメントと戦っていく、といったあらすじです。
石ノ森章太郎の漫画及び原作のテレビドラマ「仮面ライダー」を元にした作品です。私は漫画は未読なのですが、本作はテレビドラマよりも漫画寄りの内容になっているそうです。同じく庵野が手がけた「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」が素晴らしかったですし、特撮好きの次男(中1)の熱い希望もあり、公開間もない祝日の昼間に劇場に観に行きましたが、あまりに客入りが悪かったのに驚きました。しかも僅かな客は、リアルタイムでテレビドラマを観ていた様な年代の人ばかり・・・
さて、期待して観ましたが、絵的には素晴らしかったです。絵として無駄なシーンは無く、何処で止めても絵に成る映画です。そして造形も良かったです。仮面ライダーは隅々まで格好良いですし、対する各オーグも格好良いのです。中には見た目がコミカルというか、原作の怪人に近いコウモリオーグ(手塚とおる)やサソリオーグ(長澤まさみ)も居ましたが、仮面ライダーと同じく、少し人外的になった顔を隠す様に仮面をかぶるというアイデアが良かったです。
しかし物語としては、せわしないというか詰め込み過ぎな感じがしました。最近、ドラマや映画を台詞が聞き取れる程度に速度を上げて見る人が少なくないそうですが、本作はそうやって観させられている感覚がありました。2時間の映画ですが、テンポを落として2時間半くらいにしていれば物語に重みが出たのではないかと思います。そして、出演者達は演技が下手な人達では無いと思うのですが、本作での演技は殆どの人が軽薄に感じました。台詞には無いキャラクターの背景を演技で醸し出すのが役者の仕事だと思っているのですが、そういうものが感じられ無かったのが残念です。特にルリ子とハチオーグ(西野七瀬)の関係性は伝わって来ず、事の顛末にも白けるばかりでした。
まぁ、アクションシーンは見事(CGや特撮も多く使われているそうです)ですし、出演者はやたら豪華(中にはエンドロールで名前を見て、何処に出てたの?と驚く人達も)なので、一度は観る価値があると思います。