ジャニーズ事務所公式サイトより
故・ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、ジャニーズ事務所が重大局面を迎えている。
ジャニーズ事務所が設けた「外部専門家による再発防止特別チーム」は8月29日、ジャニー喜多川氏について「1970年代前半から 2010 年代半ばまでの間、多数のジャニーズ Jr.に対し、性加害を長期間にわたり繰り返していたことが認められる」とする調査報告書を公表。さらに、この調査結果を受け、ジャニーズ事務所は明日9月7日に記者会見を開くと発表した。
会見に先駆けて「文春オンライン」は、「少年隊の東山紀之が新社長就任、ジュリー氏は代表取締役で役員留任」と報道しているが、明日の会見ではこんなふざけた対応が現実となるのか──。世間からは高い関心を集めていることは間違いないが、注目度に反して対照的なのがメディアの報道姿勢、とりわけテレビの扱いの小ささだ。
再発防止特別チームによる調査報告書が公表されたあと、報道番組やワイドショーでもこの話題は取り上げられたが、その扱いには濃淡がくっきり。また、継続的な報道をつづけている『報道特集』(TBS)や、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」による会見を中継した『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)など問題を掘り下げようとする番組も一部あったが、ほとんどの番組がダンマリを決め込んでいる。
いまさら言うまでもないことだが、日本の芸能界をリードし、「名プロデューサー」と名声を得てきた人物が、約60年間にもわたって未成年者に対して性加害をおこなってきたという事実は、国内のみならず世界を震撼させる重大事だ。その上、前検事総長が陣頭指揮を取った専門家チームも、これを事実だと認定したのである。ジャニー氏を擁護した山下達郎が口にした「憶測」などではないのだ。当然、報道番組もワイドショーも連日、報じつづけるべき大問題であることは論を俟たない。
しかも、調査報告書では、「マスメディアの沈黙」によってジャニーズ事務所の隠蔽体質が強化され、ジャニー氏による性加害を拡大させたと断じている。ところが、調査報告書の公表を受けてNHKと民放キー局が相次いで発表したコメントは、まるで各局で申し合わせたかのようなシロモノで、加害当事者としての責任などまったく感じられない内容だった。
ようするに、テレビ各局はこの期に及んでも、メディアとしての最低限の責務を果たそうともしていないのである。