【レビュー】『龍が如く7外伝 名を消した男』をクリアしたにわかファンの感想
『龍が如く7外伝 名を消した男』とは?
龍が如くシリーズの外伝作品。
コマンドRPGへとシステムが刷新された「7」とは異なり、本作は再びシリーズ伝統のアクションアドベンチャーに回帰して登場。
物語としては、桐生一馬側の視点で「7」と「8」の中間にあった出来事が描かれている。
RPG化で食わず嫌いをしていた「7」に意外にもハマってしまい、龍が如く熱が再燃したのがプレイのキッカケに。
ちなみに筆者は本作のPS5版を選択し、プラチナトロフィーを取得済み。
シリーズのプレイ歴としては「4」、「5」、「OF THE END」、「0」、「7」をクリア済みのにわかファンだ。
以下からは早速、本作についてのレビューを本音で書いていく。勿論ストーリーの重大なネタバレは避けて語るので、未プレイユーザーでもご安心。
システム
システム面はかなり好感触。
龍が如くユーザーにはお馴染みのアクション戦闘だが、リアリティを感じさせる適度な重み、爽快感、モーションの滑らかさ、攻撃のヒット感など細部まで申し分なく作り込まれており、本作のアクションはシリーズ中で最も洗練された触り心地になっている。
これまで龍が如くを「アクションゲーム」として楽しんできたファンも納得できるクオリティだと思う。
育成
育成に関しては好評だった「0」と同様に金を使ってステータスを購入するシステムになっている。
街で絡んでくる敵も経験値の代わりに「金」をドロップするようになった。
非常にわかりやすくはあるものの、個人的な趣味で言えば「戦闘を通して経験値を得て成長する」という古典的な成長システムの方がリアリティと達成感をより強く感じられて好みだ。
難易度
・ビギナー(易しい)
・スタンダード(普通)
・プロフェッショナル(難しい)
三段階が用意されており、ゲーム開始後も設定画面から自由に変更可能。
これまでのように「難易度スタンダードから下げずにクリアする」といった難易度指定トロフィーが存在しておらず、ビギナー以上に上げる意味が無いのは味気なく、数少ない本作の欠点だと思う。
結局、個人的なこだわりからスタンダードで完走したが、金欠の序盤では苦戦し、中盤からは資金に余裕が出てきて楽になるといった程よい塩梅だった。
恒例の「隠しボス」はなかなか歯応えがあるが、何度か挑むうちに突破口が見いだせてくる。筆者は難易度「スタンダード」しかプレイしていないが、特に理不尽だったりダレるような調整も無く、シリーズで見ても平均的な遊びやすい難易度だった。
キャバクラ
シリーズ恒例だったキャバクラが本作ではまさかの実写化。
これまで龍が如くをプレイしてきたユーザーほど衝撃を受ける、ある意味でのファンサービスのようにも感じた。
システムとしては「店を出入りして最も好感度が上がる選択肢を選び続ける」というこれまでの通りの単調なものではあるものの、映像が生になったことによって段違いの臨場感が出ている。人前でプレイするのが恥ずかしくなった程。
合計5人のキャストは、それぞれ最大レベルまで攻略することによって「アフター発生→微エロ映像」という流れを辿る。エロさで言えば龍が如く0の「イメージビデオ」の方が上だった気がする。
その他のミニゲーム
本作はレトロゲー推し。
シリーズで恒例だった闘技場、ビリヤード、ダーツ、カラオケ、ポケサー、カジノや賭博など基本的なミニゲームを抑えつつ、ゲームセンターで遊べるアーケードゲームの種類が変化していたり、マスターシステム(セガのレトロゲーム)を遊べるなど主に"ゲーム内ゲーム"という意味で本作はかなり充実している。
特にマスターシステムには12種類ものゲームが収録されており、もし好きなレトロゲームがあれば本編そっちのけで遊び続けられると思う。
グラフィック
龍が如く7と同等か、それ以上。
本作では大阪・蒼天堀がメインの舞台となるが、街並みや空気感に感心する瞬間が度々あったとしても、グラフィックの粗を感じるような瞬間は無かった。
人物のグラフィックやモーションに関しても、PS5でプレイする限り文句の付けようも無く丁寧に作り込まれている。
「7」に引き続き一人称視点で街を眺め歩いているだけでも楽しめるゲームになっており、満足度が高い。
ストーリー
良くも悪くもいつもの龍が如くだが、空気感は頭一つ分飛びぬけている。
今回は導入部分のやけに深刻な雰囲気、設定からストーリーにはいつも以上に期待していたが、ある程度進めてからはいかにもゲームらしいご都合主義やぶっ飛んだ展開が起きて来るのでやや肩透かしを喰らう部分もあった。
とはいえ、それらはある意味で龍が如くシリーズのお約束とも言える要素なので、過度な期待さえしなければいつも通り楽しめるストーリーになっている。キャラクター達も作品の世界によく馴染んでおり魅力的だ。
テンポが良く、先が読めない展開に気付けば熱中してしまっているという良い意味でもいつも通り。外伝とは言え本筋のストーリーに関わる話が幾つも登場するので、シリーズファンであれば迷わず買うべきだし、逆にシリーズをあまり知らない人でも映像の迫力や息をつかせぬ展開によって十分楽しめるものになっていると思う。
また、本作はゲームを遊び終えた後の"クリア後感"がシリーズ中でも屈指の味わい深さだった。
各シーンに現実さながらの「濃密な空気」が生じているので、背景を始め、キャラクター達の挙動やセリフの間など細部までこだわって作り込まれていることがわかる。
主題がオトナの世界ということもあり、喜怒哀楽をあまり表に出さない日本人らしいキャラクターが多いが、彼らの感情が直接的なセリフではなく「空気」に乗って画面越しに伝わってくるほどだった。
サウンド
良曲揃い。
サウンドに関しても「7」に引き続き、聴いていて小気味良いBGMで揃えられており、全て場面に合っていたし、聴いていて飽きたり物足りなさを感じることは一度も無かった。
特に本作の拠点メニューである「赤目ネットワーク」を利用している際のBGMはノリが良く、耳に残っている。
パフォーマンス
かなり良好。
PS5版を約30時間ほどプレイしたが、フレームレートは60fpsで安定しており、オブジェクトの多い街を走っている時や、集団戦の場面でも「表示の遅れ」や「処理落ち」が気になることは全く無かった。バグやフリーズ、アプリケーションエラーの発生も一度も無し。
マップ移動やタクシーを使う際のロードも早く、パフォーマンス面での満足度も高い。
ボリューム
ボリュームは「豪華なDLC」と言ったところ。
元々本作は「龍が如く7のDLC」として開発されていたという話もあり、ストーリーだけに集中して進めれば10時間程度でクリア出来てしまうボリュームである。トロフィーコンプリートを狙う場合でも30時間ほどで完了する。
しかし内容の密度が高さもあって実際にプレイしてみると時間分以上の満足感があり、約6000円の定価で買う場合でも「買って損をした」という感想に行き着くとはまず無いと思う。
トロフィー条件に指定されていないやり込み要素も豊富に用意されている為、本当の意味での「コンプリート」を狙う場合は50時間以上は遊べるボリュームになっている。
総評
ポイント
・「龍が如く8」に至るまでの桐生側の物語、事件の裏側が描かれた作品。・操作感が良く、アクションの龍が如くとしてはシリーズ最高峰。
・ストーリー、バトル、ミニゲームなどシリーズの醍醐味が抑えられている正統派の新作。
・トロフィーコンプリートまでは約30時間。更にやり込む場合は50時間以上遊べる。
・今回は「量よりも質」といった印象。
・ボリュームは少なめだが、密度が高くプレイ時間以上の満足感がある。
・キャラクター達の感情が画面越しに伝わってくるような「空気」の表現が凄い。
そういうわけで、本作『龍が如く7外伝 名を消した男』の個人的なおすすめ度は…
80点/100点満点中
外伝作品でありながら、「龍が如く」シリーズの中でも平均以上の面白さだと判断した。
ボリュームは少ないが「量より質」といった具合に引き締まった良ゲー。
プレイ時間に対しての満足度が高く、定価で買っても損はしないクオリティになっているので、シリーズファンは当然として、プレイ動画を見て興味を持った人でもとりあえず手を出してみて良いと思う。
その他
珍しくイジられまくる桐生。
「桐生の衣装を部位ごとにカスタマイズできる」という意味でもレアな作品。
龍が如くのNPCもだいぶ進化したなと改めて。
サブストーリーはどれも面白くハズレがなかった。しかも社会風刺が効いていて笑える。
マップの隅っこにある張り紙などもちゃんと読める狂気の作り込みなので、街を見て回るだけでも相変わらず楽しい。
龍が如く7外伝 名を消した男 - PS5
龍が如く7外伝 名を消した男 - PS4
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