2023年 09月 01日
安心院 地形に見えた二つの比売神信仰の変遷
安心院の謎に、
①妻垣神社(足一騰宮)に祀られている比売神が三女神ではなく玉依姫だという点、
②三女神社の神額が二女神社と書き換えられている点が挙げられます。
まずは①の比売神とはだれかについて
妻垣神社の社伝によれば、神武天皇が来て、側近の天種子命に自分の母の玉依姫を祀らせたことから、比売神とは玉依姫だという事が分かりました。
それまでは当社の比売神は三女神となっていたのですが、神殿の奥から祭神は玉依姫だという書が出て来て、本来の形に戻されたという話を当社で伺いました。
何故、玉依姫が隠されていたかは、推測するに、妻垣神社が宇佐八幡宮の八社の一つになったので、三女神に上書きされたと考えられます。
足一騰宮を建てて神武天皇を歓待したのが宇佐津彦と宇佐津媛ですが、二人は三女神を祖としていました。
もともと宇佐津彦らによる三女神信仰があった所に、神武天皇による指示で玉依姫に置き換わった。
それから千年以上経って、宇佐八幡宮が成立したことにより、三女神に戻り、近年発見された書によって、玉依姫となったという変遷が伺えます。
簡単に記すと、三女神⇒玉依姫⇒三女神⇒玉依姫
となります。
②は、三女神社の神額が三女神となっているのに、わざわざ「一」が削られているという謎です。
「三」か「二」かという点については、今回のバスハイクで気づいた安心院にある特殊な地形が関わっているのではないか、と考えるようになりました。
それは、安心院に海(かい)神社があることを知ったことから始まりました。
海神社には八大龍王(ワダツミの神)と豊玉姫が祀られています。
当然ながら安曇族が来て祖神を祀った証しです。氏神を祀るのは氏族でないと出来ないからです。
海神社の山を見てから妻垣神社のある山に向かった時、この二つの山が並んでいることが分かりました。
つまり、豊玉姫を祀る山と玉依姫を祀る山が並んでいるのです。
これをよく確認できるのが、三女神社でした。
三女神社の神殿を背にして正面を見ると、先ほどの玉依姫の山と豊玉姫の山が並んでいました。そして、その中央に火山がそびえていたのです。
それは草も木も生えない荒涼とした火山でした。富士山よりも尖っています。
残念ながら、正面に木があってそれが見えません。
もし、景観を邪魔する木が無かったら、荒涼とした火山が正面にあり、その左右に、緑色をした穏やかな姿の二つの山が見えているのです。
その穏やかな姿の二つの山に豊玉姫と玉依姫が祀られているのでした。
そうすると、神話的なストーリーは海神と二人の姫神に見立てたと考えられます。
これは神武天皇の時代の祭祀ですから、さらに古層を考えると、
「大国主命と二女神(田心姫と湍津姫)」という組み合わせが浮かびます。
大国主命が二女神と結婚した話は福岡に多く語られる話です。記紀では田心姫とだけ結婚したようになっています。
そして、三女神社と三つの山を結ぶライン上に水沼井がありました。
驚愕する偶然の地形。
これを発見した水沼君はまさに神計らいを感じたことでしょう。
この地形は一見すれば分かるのですが、三女神社からは写真が撮れないので、9月17日の再訪の時に、運転手さんにお願いして、何処か、写真を撮る場所を探そうと思います。
(チェリーさんなら、簡単に画像が造れると思う。
しかも、火山が由布岳っぽいのですが。鶴見岳なのか、他の山なのか、知りたい……謎かけ 強制 笑)
<20230901>
そして、10月のバスハイクの資料を作っていたら、さらに驚きの話に遭遇するのでした。