「虎に翼」好演の小林涼子さん 農業と「二足のわらじ」を始めた理由

手伝いをしている新潟県内の田んぼでほほ笑む小林涼子さん=AGRIKO提供
手伝いをしている新潟県内の田んぼでほほ笑む小林涼子さん=AGRIKO提供

 NHK連続テレビ小説「虎に翼」で主人公・寅子の大学の先輩である久保田聡子を好演した小林涼子さん(34)は、俳優業の傍ら2021年に起業し、農園を運営している。少子高齢化に伴い農家が減少する中、大都会・東京のビルの屋上で挑む「循環型農業」と「おいしい」にかける思いを尋ねた。

 ――「虎に翼」の久保田先輩役では「仕事も家のことも満点を求められる」と苦しい心情を吐露する姿が印象的でした。

 ◆学生時代については、主要キャストやスタッフの皆さんと明治大学で実際に法学を学んだり、史実に基づいた本を読んだりして、あの時代に法律を学べた女性だという社会的な環境を含めて役の枠組みをつくりました。

 年齢を重ねて弁護士になり、自分が折れたら後進は育たないのではないかと思いながらも弱音を吐けずに必死に前を向くことは、やはり苦しいところがあっただろうと、胸が詰まるような思いでした。

 最初、台本を読んだ時は珍しい役をいただいたと思いました。私は割と亡くなる役が多かったし、「悲しい」役が多いので。びっくりしたのが正直な感想だったんです。でも実際に役に向き合うと、これは「私」だと思う瞬間がいっぱいありました。

 男子学生にからかわれうつむく仲間たちに「前を向け」と声をかけ、廊下を歩くシーンがあります。せりふはその一言だけでしたが、私も会社を立ち上げて、良い事も悪い事もある中で、後ろに社員がいる。本当に「前を向け」と思って毎日を過ごしていました。うまくいかない事もたくさんありますが、前を向かないとどうしようもない。

 慰めるでもなく闘うでもなく、前を向くんですね、彼女は。でも足音は怒っている。その姿勢がすごく好きで、共感しました。だからこそ、苦しさを吐露したせりふは自分の言葉のように感じて、逆に芝居がうまくできませんでした。

 ――俳優業の傍ら、21年に循環型農業を運営する「AGRIKO(アグリコ)」を起業しました。稲作の手伝いが契機となったそうですね。

 ◆10代、20代を俳優という仕事でガーッと頑張る中で、ふと疲れてしまった時期がありました。…

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