奇跡の担い手
「イエスは舟に乗って湖を渡り、自分の町に帰って来られた。すると、人々が中風の人を床に寝かせたまま、イエスのところへ連れて来た。」
今日の福音(マタイ9.1-8)には、イエスが中風で伏せっていた人を癒やす様子が描かれています。しかし、この奇跡は、イエスと中風の人の二人だけのものではないのだと思います。
中風とは卒中の後遺症の身体麻痺症状のことです。「床に寝かせたまま」と書かれていますから、この人は全身麻痺の寝たきり状態だったのでしょう。当然、どんなに願っても、自分一人でイエスに会いに行くことはできません。
それで、この人は、他の人々の手によってイエスの前に運ばれてきます。彼らがどんな関係性なのかは、聖書には書かれていません。「家族」と書かれていないので、友人や知人だったのではないかと思います。
いずれにしても、中風の人本人だけではなく、この人の周りには、共に回復を願い、イエスにところに運んでくれる仲間がいたわけです。
運んでくれる人なしではイエスとこの人の出会いはなかった、この癒やしの奇跡は起こらなかったのですから、中風の人を運んだ人々もまた、この奇跡の担い手なのです。