しらす干し9942匹の山と手前の58匹(ASDは1万人に対して僅か58人・ギルバーグ疫学調査より)
BSフジで奥田健二さんのドキュメンタリーがまた放映された。
10年前一番初めに放映された時は、自身の息子が自閉症の男性ディレクターが担当。
当時の放送内容は、特別妙な事も無く、誠実な番組作り。
ただ、過去の例を見ると華々しく登場する自閉症療育関係者は、
明らかに初めての試みをテレビで打ち上げるだけで、その後は皆尻すぼみ。
持続した成功実績も失敗に終わった事も放映する事など無かった。
その事もあり、壊れた自閉症者(失敗例)を取り上げない報道機関マスコミにも失望しているので、
何度かの放映も怖くて見る事が出来なかった。
テーブルに広げた正常な人(Not自閉症)9942匹とASD58匹(ギルバーグ疫学調査より)
奥田さんのABAは、ABAの中の【奥田メソッド】と言うべきモノ。
自閉症の世界には、時々こういう変な特殊な人がなぜか出て来る。
アスペルガーに仕えたシスタービクトリーネとか、イタールに雇われたゲラン夫人とかね。
ヘレン・ケラーがアスペルガーならアン・サリバンも含まれるね。
ABAも使う人次第で、米国当事者は盛んにABAを非難している。嫌な目に遭ったんだろう。
私はABAも奥田健二さんも非難してない。
逆に奥田さんにとってカウンセリングする相手が、自閉症だろうが知能の障害/知的障害だろうが、
どうでもイイ事のハズ。
カウンセラーとしてはその態度は正しいね。成長すれば表出する問題もどんどん変わるからね。
ところが、【ドキュメンタリー】と謳う番組を手掛ける制作会社コンパス、放映するフジTVは別だ。
番組前半に登場する2才3ヶ月で【自閉症診断】を受けた男の子。
最近、ネットに登場するのは皆2才で自閉症診断を受けた子供ばかり。今回も同様。
一体いつの間に2才や2才3ヶ月で自閉症診断を下すようになったのだろう。
その男の子は奥田健二のカウンセリングを受け、その後の様子も出て来る。
幼稚園入学前の頃か?自分の乗り物を触り、これがイイと主張。
さらに別の場面では、指差しまでしていた。
これは、【意図の共有】そのもので、この映像は知能に問題があり言葉を発する事が出来なくても
正常な子(Not自閉症)であれば、この様に「意図の共有」が出来るという貴重な映像。
その後、この子は奥田健二の幼稚園に入学。
さらに深刻なのは、その間の映像。
個別に区切られた場所で、個々に対応してくれる幼稚園。
子供達が理解しやすいように行動予定もキッチリ明示。 映像ではその事を伝えるのでは無く、
行動予定などの映像を利用し、あたかもこの子が自閉症であるかの解説。
卒園を迎え、すくすく成長した子供は、自分の気持ちも素直に表せる様になり、
また親子3人での暮らしに戻って行った。
番組全体からみると、初めの30分から急に表現が変わり、穿った見方をすれば、
【自閉症】の子が【ABA】の施術を受け【ABAに則った幼稚園】へ行き、
【飛躍的進歩】で【自分の気持ち】まで表現出来る程に成長した。
つまり【自閉症が治った】?と言う作りになっている。
ここで、元に戻るとそもそも2才3ヶ月の自閉症診断は本当にあったのだろうか。
仮にあったとしても、【意図の共有】が確認された時点で自閉症では無いし、
幼稚園入園時には「自閉症が治った」状態。つまり正常な人(Not自閉症)だ。
奥田健二にしてみれば、医者でも無いし診断名なんか関係無い。当然だろう。
しかし、報道機関としてのBSフジ。制作者としてのコンパスはどうだ?
無知による過ちであったとしても、私・当事者からみれば、何度もくり返された捏造報道だ。
自閉症児に賭けているのか、それとも知能障害を持つ子供達なのか人生を賭けている奥田健二さんに
泥を塗るような番組になってしまったと、私は考える。
つづく