Minimal&Pops

孤独とその楽しみ

【書評】「ふつうの暮らし」を美学する がとても良い本でした。感性を磨きたい人へ

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「ふつうの暮らし」を美学する 家から考える「日常美学」入門 の表紙

とても良い内容だったので、ぜひ多くの人に読んで欲しいです。

 

わたしたちの「暮らし」を「美学」の視点で見る。

 

その態度は、ミニマリストとも遠からず近からずだと思います。

頭でっかちの処方箋

わたしはインターネットを生業としてきたばっかりに、情報ばかりを求めすぎて、頭でっかちになってしまう傾向がありました。

 

わたしがこの本を手に取った理由は、その頭でっかちの処方箋としての役割を期待したところが大きい。

 

頭でっかちとは、行き過ぎた知性の末路である。

 

養老孟司さんはこれを脳化社会と呼びました。

 

すべてが情報と概念をベースに構築、処理される世の中。

 

しかしその社会は、生身の人間にはいささか激しすぎます。

 

脳化社会と生身の人間とのギャップが「生きづらさ」や「燃え尽き」を生んでいるように思えるし、頭でっかち VS 頭でっかちによる無用な軋轢を生んでいるように感じる。

 

しかし人は、知性の他に感性も有しています。

 

知性は悪者ではないけれど、行き過ぎたバランスを是正するには、意識して感性を働かせる必要がある。

 

そのための方法として、養老孟司さんはしばしば「自然に帰れ」ということを提案されます。

 

自然はまさに感性(五感)をフルに発揮せざるを得ない場所だから。

 

とは言え、その提案はわたし含む多くの人にとって現実的でないかもしれません。

 

生活を抜本的に変えずとも、感性を働かせる機会を創出できるのではないか?

 

それがここ最近のわたしの興味でした。

 

そしてそれはまさに「日常美学」であったと思います。

 

ちょっと変な言い方をすると、わたしはこの本を読んで「仲間だ!」と感じました。

 

脳化社会に対する問題意識は、著者と共通するところではないかもしれません。

 

しかし、美学とは美を発見する技法であり、日常に美を発見することは、間違いなく感性を鍛えることにつながると思います。

 

そして感性を鍛えることは、行き過ぎた知性を緩めることにもなるはず。

 

感性を鍛えることの有用性は、頭でっかちの解毒薬に留まりません。

 

特に日常美学であれば、生活=人生に直結するのだから、納得感のある幸福を感じるための手助けになる。

 

また俗に言う「センスの良い人」は、おそらく感性を鍛える習慣を日常的に持っているのではないでしょうか。

 

この本は美学という学問でもって生活を分解・再構築することで、おぼろげながら感性を鍛える習慣のヒントをくれました。

読みやすさも◯

美学は学問であるから、なんだかんだ分かりにくい言葉もあります。

 

それでも本書は「入門」と銘打っているだけあって、特別な知識がなくとも読んで楽しむことはできそうです。

 

この本ではマンガ『凪のお暇』『作りたい女と食べたい女』や、映画『海街diary』『PERFECT DAYS』など、エンタメ作品が引き合いに出される部分があります。

 

またYouTubeのVlogなどへの言及も。

 

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また著者の料理・子育ての経験もふんだんに盛り込まれており、学問と言えど自分と関係ないとは思わず、リアリティをもって読める工夫がなされています。

 

そもそも”日常”美学なのだから、関係ない人はいないはず。

 

なので、多くの人に読んでほしいし、多くの人が読める本になっているのではないかと思います。

 

全体のボリュームも程よいので、ぜひ手にとって見て下さい。

 

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