2025年04月03日、『韓国銀行』から「Potential Growth of Korea and Its Outlook [BOK Issue Note 2024-33]」という論文が公表されました。
『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁の薫陶が及んでいるのだと思われますが、「韓国に必要な構造改革の必要性」に言及するものです。
この論文はPotential Growth(潜在成長率)についての分析です。Money1でもご紹介してきたとおり、韓国はこれが低下の一途をたどっています。
潜在成長率とは――、
「労働力・資本・生産性を活用して、インフレ(物価上昇)を誘発することなく、最大限に達成できる経済成長率の見通し」
――をいいます。これが下がると、当たり前ですが経済成長を達成しにくいことを意味します。では、この潜在成長率がどのくらいと『韓国銀行』は読んでいるのかというと――以下がベースラインの予測です。
グラフにすると以下のようになります。
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「BOK Issue Note Potential Growth of Korea and Its Outlook [BOK Issue Note 2024-33]」
この論文の分析では2025~2029年の5年間は潜在成長率は「1.8%」ですが、これが5年期ごとにどんどん下がるよ――という予測です。これはあくまでもベースラインの予測で条件によってはさらに悪化します。
どのくらい悪化するのかについては、上掲のURLにアクセスして実際の論文でご確認ください。とても興味深い論文なので、面白いですよ。
上掲の定義どおり、パラメーターは労働力・資本・生産性の3つです。
韓国の人口はこれから急減していきますので、労働力の増加には期待せきません。また「資本力」が豊かな国でないことも確かです。さらには、強権労組が幅を利かせるような国で生産性が高くもありません。
論文を読まなくても、うっすら予測できるかもしれませんね。
――で、この論文の結論は以下です。
IV. 結論
本稿では、構造的な変化をより適切に反映させるために推計手法を改善し、韓国の潜在成長率を推計した。その結果、潜在成長率は着実に低下していることが示された。
シナリオ分析においては、女性の相対的な生産性および雇用率が改善されるような代替シナリオが必要だ。
そのようなシナリオでは、長期的な潜在成長の改善がより顕著になる可能性がある。
この分析については将来の研究に委ねる。
さらに、今後の経済構造の変化に先んじて対応しながら、経済全体にわたる構造改革を通じて生産性を向上させることが不可欠だ。
生産性向上のためには、以下の点に重点を置くべきである:
労働市場の効率性の改善
資源の効率的な配分の促進
企業投資のためのビジネス環境の強化
革新的企業の育成また、女性や高齢労働者の生産性を高めるための多面的な政策努力も必要だ。
最後に、潜在GDPは本質的に観測できない変数であるため、推計には限界と不確実性が伴うことを考慮する必要がある。
今後に向けては、国内外の経済環境の変化――例えば:
デジタル変革
人工知能(AI)
サプライチェーンの再構築
気候変動といった要素が成長ポテンシャルに与える影響を綿密に検証しながら、潜在GDPの推計手法を継続的に改善していくことが重要である。
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「BOK Issue Note Potential Growth of Korea and Its Outlook [BOK Issue Note 2024-33]」
李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁の任期も徐々に迫ってきています。韓国にはもったいないくらいの切れ者ですが、この人は自分の任期が終わるまでに韓国経済の処方箋となるよう、多くの論文を書かせ、残していくつもりかもしれません。
問題は、韓国の政治家が政争しかしないバカばかりで、ちっともその処方箋を実行に移さないことです。
こうして韓国は、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁率いる『韓国銀行』の言うことに耳も貸さず、経済的に沈んでいくのでありました。……おしまい。
(吉田ハンチング@dcp)