アメリカ合衆国と中国による「関税の応酬」が「深刻などつき合い」となっています。
2025年04月08～09日に「中国共産党中央委員会周辺工作会議」が緊急で開催されました。
結果、09日に中国の国務院は「关于中美经贸关系若干问题的中方立场（中国と米国の経済貿易関係における特定の課題に関する中国の立場）」という白書を出しました。
これが日本語訳してみると4万文字を超える文書で、眺めるだけでもうんざりするのものです（90KBもあるテキストファイルになります）。
どれだけニーズがあるか分かりませんが、中国当局がいかに危機感を持っているのかの証明になりますので、このうんざりするほど長い文書の全文和訳を以下に貼ります。
読者の皆さまも、中国の「泣き」がいかに深刻か、（ひまがあるときに）ご確認ください。
中国と米国の経済貿易関係における特定の課題に関する中国の立場
2025年04月09日 15:33｜情報源：新華社通信
小文字国務院新聞弁公室は09日、「中国と米国の経済貿易関係における特定の課題に関する中国の立場」と題する白書を発表した。全文は以下のとおり。
中国と米国の経済貿易関係における特定の課題に関する中国の立場
（2025年4月
中華人民共和国
国務院新聞弁公室目次
序文
1. 中国と米国の経済貿易関係の性質は互恵・Win-Winである
(1) 中国と米国は重要な貿易パートナーである
(2) 中米間のサービス貿易は急速な成長を維持している
(3) 中国は意図的に貿易黒字を追求したことはない
(4) 中国と米国は重要な双方向投資パートナーである
(5) 中国と米国は双方の経済貿易協力から利益を得ている2. 中国は中米経済貿易第一段階協定を誠実に履行している
(1) 知的財産権保護の継続的な改善
(2) 強制的技術移転の禁止
(3) 食品および農産物の市場アクセスの拡大
(4) 金融サービス産業の市場アクセスの拡大
(5) 人民元為替レートを合理的な均衡水準で基本的に安定させる
(6) 貿易規模を積極的に拡大する
(7) 協定に関連する問題について米国側と実務的な意思疎通を維持する3. 米国側は、中国・米国第一段階経済貿易協定の義務に違反している
(1) 協定の技術移転章における約束を履行していない
(2) 協定の食料および農産物貿易章における約束を完全に履行していない
(3) 協定の金融サービスおよび為替レートに関する約束を完全に履行していない
(4) 中国が調達と輸入を拡大するために合理的な条件を提供していない4. 中国は自由貿易の概念を実践し、世界貿易機関の規則を誠実に遵守する
(1) 貿易政策の順守を全面的に強化する
(2) 世界貿易機関への加盟時に約束した関税引き下げを誠実に履行する
(3) 世界貿易機関の規則の範囲内で、順守し、合理的な方法で補助金を提供する
(4) ビジネス環境の最適化を継続する5. 単独主義と保護主義は二国間の経済貿易関係の発展を損なう
(1) 中国の恒久的正常貿易関係の地位を無効にすることは、中国と米国の経済貿易関係の基盤を損なう
(2) 米国側の国家安全保障概念の一般化は、両国の正常な経済貿易協力の妨げとなる
(3) 米国の輸出規制の乱用は、グローバルなサプライチェーンの安定性を損なう
(4) 米国の301条に基づく関税措置は、典型的な単独主義的行為である
(5) 米国の232条に基づく調査は、多国間経済貿易ルールに違反する
(6) 米国の貿易救済措置の乱用と違反は、貿易の不確実性を高める
(7) 米国がフェンタニルを理由に中国に経済貿易制限を課すことは、問題の解決に役立たない
(8) 米国が「報復関税」を課すことは、双方に損害を与える6. 中国と米国は平等な対話と互恵的な協力により、経済貿易上の相違を解決することができる
(1) 平等な対話は、問題解決に当たって主要国が取るべき基本姿勢である
(2) 互恵的な協力は、中国と米国がそれぞれの発展目標を達成するのに役立つ
(3) 世界は、米中協力がもたらすさらなる発展の機会を期待している結論
＜＜序文＞＞
中国は世界最大の途上国であり、世界経済の年次成長に最も貢献している国である。米国は世界最大の先進国であり、世界最大の経済大国である。米中経済貿易関係は、両国にとってだけでなく、世界経済の安定と発展にとっても非常に重要である。
46年前に中国と米国が国交を樹立して以来、両国の経済貿易関係は絶えず発展を続けている。中米貿易額は1979年の25億ドル弱から2024年には6,883億ドル近くにまで急増した。中米経済貿易協力分野は絶えず拡大し、水準も絶えず向上し、両国の経済社会発展と国民福祉に重要な貢献をしてきた。
しかし、近年、米国の一国主義と保護主義の高まりにより、正常な中米経済貿易協力は深刻な打撃を受けている。
2018年の中米経済貿易摩擦以来、米国は中国から米国に輸出される5000億ドル以上の中国製品に高関税を課し、中国を封じ込め、抑制するための政策を次々と打ち出している。
中国は断固として自国の国益を守るために強力な反撃措置を取らざるを得なくなった。
同時に、中国は常に、対話と協議を通じて紛争を解決するという基本的な立場を堅持し、米国と複数回にわたる経済貿易協議を行い、両国間の経済貿易関係の安定化に努めてきた。
2020年01月15日、中国と米国は「中華人民共和国政府とアメリカ合衆国政府との間の経済貿易協定」（すなわち、中米経済貿易協定の第1段階）に署名した。
協定発効後、中国は契約の精神を堅持し、新型コロナウイルス感染症の突発的影響とそれに伴うサプライチェーンの混乱、世界経済の低迷、その他の不利な要因を克服し、協定の実施を推進してきた。
米国は、中国が協定を効果的に実施していることを認める声明を繰り返し発表している。それに対し、米国は輸出規制を強化し続け、中国企業に制裁を課しており、協定上の義務を何度も違反している。
米国は最近、「アメリカ・ファースト」貿易・投資政策覚書および「アメリカ・ファースト」貿易政策報告書の要旨を発表し、フェンタニルなどの問題に対する中国への関税、相互関税の課税、さらには50％の関税引き上げなど、中国製品全般に追加関税を課している。
また、中国の海洋、物流、造船産業に対する港湾使用料などの301条調査制限も提案している。
関税による威嚇と強要を伴うこれらの制限措置は、誤りの上に誤りを重ねるものであり、米国の典型的な単独主義的で横暴な本性を改めて明らかにしている。
これらは市場経済の法則に違反するだけでなく、多国間主義にも反しており、中米経済貿易関係に深刻な影響を及ぼすだろう。
中国は国際法の基本原則と法規範に基づき、必要な反制措置を取った。
米国が貿易相手国に対して課している関税などの経済貿易制限措置は、本来成熟したグローバルなサプライチェーンを人為的に断ち切り、市場志向型の自由貿易ルールを破壊し、各国の経済発展を深刻に妨げている。
これは米国を含む各国の人々の幸福と経済のグローバル化に害を及ぼしている。
中国は常に、中米経済貿易関係の本質は互恵・Win-Winであると信じてきた。
発展段階や経済体制が異なる2つの大国である以上、中米両国が経済貿易協力において相違や摩擦が生じるのは当然である。
重要なのは、互いの核心的利益と重大な関心事を尊重し、対話と協議を通じて問題の適切な解決策を見出すことである。
中国と米国の経済貿易関係に関する事実を明らかにし、関連問題における中国の政策方針を説明するために、中国政府は本白書を発表する。
1. 中国と米国の経済貿易関係の性質は互恵・Win-Winである
中国と米国の国交樹立以来、両国は二国間貿易・投資協力において実りある成果を達成し、互いの長所を補い合い、互恵・Win-Winの結果を得てきた。中国と米国には広範な共通の利益と協力の余地がある。中国と米国の経済貿易関係の安定した発展を維持することは、両国と両国民の根本的利益にかなうものであり、また世界経済の発展にも寄与する。
事実が証明しているように、中国と米国は協力から利益を得、対立から苦しむ。中国と米国の経済貿易協力は、互恵的であり、必然的な選択である。
（1）中国と米国は重要な貿易パートナーである
両国の貿易は急速に成長している。国連の統計によると、2024年の中国と米国の貿易額は6,882.8億米ドルに達し、国交樹立の1979年と比べると275倍、中国が世界貿易機関に加盟した2001年と比べると8倍以上に増加した。
現在、米国は中国にとって最大の輸出相手国であり、2番目に大きな輸入元である。
2024年には、米国への中国の輸出と米国からの輸入は、それぞれ中国の輸出入総額の14.7％と6.3％を占めることになる。
中国は米国にとって3番目に大きな輸出相手国であり、2番目に大きな輸入元である。
2024年には、米国の中国への輸出と米国からの輸入は、それぞれ米国の輸出入総額の7.0％と13.8％を占めることになる。
米国の対中輸出の成長率は、世界全体への輸出の成長率を大幅に上回っている。
中国が世界貿易機関（WTO）に加盟して以来、米国の対中輸出は急速に成長し、中国は米国にとって重要な輸出市場となっている。
国連の統計によると、2024年には米国の対中輸出額は1,435.5億米ドルに達し、2001年の191.8億米ドルから648.4％増加した。
これは同期間の米国の世界全体への輸出増加率183.1％を大幅に上回っている（図1）。
中国は米国の農産物、集積回路、石炭、石油ガス、医薬品、自動車にとって重要な輸出市場である。
中国は米国の大豆と綿花にとって最大の輸出市場であり、集積回路と石炭にとっては2番目に大きな輸出市場、医療機器、石油ガス、自動車にとっては3番目に大きな輸出市場である。
国連のデータによると、2024年には、米国の大豆輸出の51.7％、綿花輸出の29.7％、集積回路輸出の17.2％、石炭輸出の10.7％、石油ガス輸出の10.0％、医療機器輸出の9.4％、有人モーター車両輸出の8.3％が中国向けであった。
米中二国間の貿易は高度に補完的である。両国はそれぞれの比較優位性を活用しており、二国間貿易は補完的である（表1）。
中国の税関データによると、2024年に中国から米国に輸出された商品のトップ5は、電気機械および設備とその部品・付属品、機械および設備とその部品、家具、玩具およびプラスチック製品であり、合計で57.2％を占めている。
中国が米国から輸入する上位5品目は、鉱物燃料、機械および部品、電気・電子機器および部品、光学機器、大豆などの油分を含む種子・ナッツ類であり、合計で52.8％を占めている。
電気機械製品は、中米二国間貿易において比較的重要であり、産業内貿易の特徴がより顕著である。
(2) 中米間のサービス貿易は急速な成長を維持している
米国のサービス産業は充実しており、国際競争力も高い。全体として、経済が発展し、人々の生活水準が向上するにつれ、中国のサービスに対する需要は大幅に拡大し、中国と米国のサービス貿易は急速に成長している。
米国商務省の統計によると、2001年から2023年にかけて、中国と米国のサービス貿易額は89.5億米ドルから668.6億米ドルへと6倍に拡大した（図2）。
中国の統計によると、2023年には米国が中国のサービス貿易における第2位のパートナーとなる見込みである。
米国の統計によると、中国は米国のサービス輸出の第5位の相手国となる。
米国は中国にとって最大のサービス貿易赤字の相手国であり、全体的な赤字規模は拡大傾向にある。
米国商務省によると、2001年から2023年にかけて、米国の対中サービス輸出は56.3億米ドルから467.1億米ドルに拡大し、 7.3倍の増加となり、米国の対中サービス貿易の年間黒字額は11.5倍の265.7億米ドルに拡大し（図2）、2019年には397億米ドルに達した。
2023年には、中国は依然として米国のサービス貿易における最大の黒字国であり、米国のサービス貿易の黒字総額の約9.5％を占めている。
中国と米国のサービス貿易における中国の赤字は主に、旅行（教育を含む）、知的財産権使用料、運輸サービスの3分野に集中している（表2）。
米国との旅行サービス貿易赤字は拡大を続けている。
米国商務省のデータによると、2023年には米国を訪れる中国人観光客は約110万人に達し、彼らの米国での消費額は中国への米国のサービス輸出総額の14％を占めることになる。
米国では、観光、医療、留学が引き続きサービス貿易消費の主な項目となる。
米国商務省の統計によると、米国の中国への旅行サービス（教育を含む）輸出額は、2001年の23.1億米ドルから2023年には202.3億米ドルに増加し、7.8倍となった。
中国から米国への知的財産権使用料の支払いは増加を続けている。2023年には、知的財産権使用料は米国のサービス貿易の主な収入源であり続ける（13.1％を占める）。
統計によると、米国はアジア太平洋地域から知的財産権使用料の総額の5分の1を中国から得ており、これは米国が世界全体から得る知的財産権使用料の総額の5％を占めている。
（3）中国は貿易黒字を故意に追求したことはない
中国と米国の貿易収支は、米国経済の構造問題の自然な結果であると同時に、両国の比較優位性と国際分業のパターンによる結果でもある。
中国は意図的に黒字を追求しているわけではない。実際、中国のGDPに対する経常黒字の割合は、2007年の9.9％から2024年には2.2％に減少している。
中国と米国の経済貿易交流は、概して互恵的である。
中国と米国の二国間貿易が均衡しているかどうかを客観的に理解し評価するには、包括的かつ詳細な調査が必要であり、貿易収支のみに基づいて判断することはできない。
経済のグローバル化が深化し、国際生産が広く行われるようになった今日の国際社会では、二国間の経済貿易関係の内容は、すでに物品貿易の枠を超えている。
サービス貿易や、国内企業の海外支店による現地販売（すなわち、双方向投資における現地販売）も含まれるべきである。
物品貿易、サービス貿易、国内企業の海外支店による現地販売という3つの要素を考慮すると、中国と米国の経済貿易交流は概ね互恵的である（図3）。
米国商務省のデータによると、2023年の米国の対中サービス貿易黒字は265.7億米ドルに達し、米国はサービス貿易において大きな優位性を持っている。
2022年、中国における米国資本企業の売上高は4905.2億米ドルに達し、米国における中国資本企業の売上高786.4億米ドルを大きく上回り、その差は4118.8億米ドルであった。
米国企業の多国籍経営における優位性はさらに顕著である。
米国の対中貿易赤字の割合は減少しているが、世界貿易赤字は増加している。
米国商務省経済分析局のデータによると、中国が米国に対して抱える貿易赤字の割合は、2018年の47.5％から2024年には24.6％へと、6年連続で減少している。
同期間において、米国の他国・地域との貿易赤字は大幅に増加している。2024年には、米国の財貿易赤字総額は1兆2,000億米ドルに達し、前年比13％増となり、4年連続で1兆米ドルを超えた。
中国の対外貿易は輸出入の規模が大きいという特徴があり、中米貿易も例外ではない。
中国が多くの加工製造品を輸出することで得る付加価値は、商品の総価値に占める割合はわずかである。
現在の貿易統計は、中国の輸出を総価値（中国から米国に輸出された商品の全価値）で計算している。
貿易付加価値法で計算すれば、米国の対中赤字は大幅に減少するだろう。
中国は輸入を積極的に拡大するために、さまざまな措置を講じてきた。
輸入の積極的な拡大は、責任ある国のイニシアティブであり、世界経済の発展への重要な貢献である。
2018年11月より、中国国際輸入博覧会が上海で毎年開催されている。
参加国数と取引予定額は年々増加しており、累計額は5,000億米ドルを超えている。
2024年、中国の輸入総額は18兆4,000億元に達し、前年比2.3％増となった。
輸入規模は過去最高を更新し、中国は16年連続で世界第2位の輸入市場となっている。
中国は自主的かつ一方的な開放を秩序ある形で拡大しており、その超巨大市場の潜在力は引き続き開放され、世界各国にさらなるチャンスを提供している。
2024年には、一帯一路沿線諸国からの中国の輸入額は9兆8600億元に達し、前年比2.7％増となり、輸入総額の53.6％を占める。
2024年12月01日、 中国は、外交関係を樹立しているすべての後発開発途上国に対して、100％の関税品目について無税待遇を与え、その月のこれらの国からの輸入を18.1％増加させた。
現時点および今後しばらくの間、中国の輸入には大きな成長の可能性がある。
2030年までに、途上国からの累計輸入額は8兆米ドルを超えると予想されている。
輸入の積極的な拡大は、中国の高水準の開放を推進する取り組みの重要な一部でもある。
中国は、商品市場の開放を秩序ある形で拡大し、外交関係を樹立している後発開発途上国すべてについて、関税ラインの100％についてゼロ関税待遇を実施し、中国国際輸入博覧会、広州交易会、中国国際サービス貿易交易会、中国国際消費財博覧会などの重要な展示プラットフォームの役割を引き続き発揮し、国家輸入貿易促進・イノベーションモデルゾーンの育成を推進し、輸入貿易の円滑化を継続的に改善し、輸入の潜在力を掘り起こし、中国の超大型市場を世界と共有する大きな市場に変え、世界経済の発展に新たな活力を注ぐ。
（4）中国と米国は重要な双方向投資パートナーである
米国は中国にとって重要な海外投資元である。中国商務部のデータによると、2023年末までに、米国の対中投資実行額は982.3億米ドルに達する。
2023年、米国は中国で新たに1920社の投資企業を設立し、投資実行額は33.6億米ドルで、前年比52.0％増となった。
米国は中国にとって重要な投資先であり、中国企業の対米直接投資は急速かつ大幅に増加している。
中国商務部のデータによると、2023年現在、中国の対米直接投資残高は約836.9億米ドルに達し、国民経済の18の産業分野をカバーしている。
中国は米国で累計5,100社以上の海外企業を設立し、8万5,000人以上の外国人従業員を雇用している。
中国は米国で多数の金融投資も行っている。
米国財務省のデータによると、2024年12月現在、中国は米国債7590億米ドルを保有しており、米国債の保有額で外国第2位となっている。
（5）中国と米国は双方の経済貿易協力から利益を得ている
国際貿易関係において、各国は比較優位に基づく商品の交換を通じて、自国の価値を実現し、互いのニーズを満たし、共に発展を実現する。世界最大の2つの経済体である中米の経済貿易協力は双方に巨大な経済的利益をもたらした。
両国の企業と消費者は双方向の貿易と投資を通じて、目に見える利益を得ている。
中米の経済貿易協力は米国で多くの雇用を生み出している。
2024年04月に米中経済貿易協議会が発表した報告書によると、中国は米国の製品とサービスの輸出における主要市場である。
2022年の商品およびサービスの総輸出額では、中国は米国にとって最大の輸出市場であり、32州で輸出市場トップ3、43州で輸出市場トップ5に入っている。
米中ビジネス評議会の推計によると、2022年の米国の対中輸出は93万1000人の米国人の雇用を生み出し、カナダとメキシコに次いで3位となり、日本と韓国というアジアの2つの市場が支える米国の雇用総数を上回る。
米中経済貿易協力は、米国企業に多くのビジネスチャンスと利益をもたらした（表3）。
中国は巨大な市場と高まり続ける消費者の需要を抱えている。
例えば、テスラの中国での販売台数は増加を続けており、2024年には前年比8.8％増の65万7,000台超と過去最高を記録した。
米国資本の保険会社は10社以上が中国に支店を構えている。ゴールドマン・サックス、アメリカン・エキスプレス、バンク・オブ・アメリカ、メットライフなどの米国金融機関は、中国の金融機関への戦略的投資家として、いずれも大きな投資収益を上げている。
2024年8月の米国商務省の統計によると、2022年には中国に1961社の米国企業（過半数所有権および資産、売上高または純利益が2500万米ドル以上）が存在し、総売上高は4905.2億米ドルで、前年比4.3％増となった。
中米経済貿易協力は米国産業のアップグレードを促進した。
米国多国籍企業は中国との経済貿易協力において、両国の要素優位性を統合することで国際競争力を高めている。
アップルは米国で携帯電話の設計と開発を行い、中国で組み立てと生産を行い、世界市場で販売している。
テスラは生産能力の拡大と世界市場への輸出を目的として、中国に完全子会社のギガファクトリーを設立した。
中国は米国企業の一部の生産プロセスを引き継ぎ、米国は資本やその他の要素資源を革新や経営に投資し、ハイエンドの製造業や現代サービス業の発展に重点的に取り組み、産業の高度化や高付加価値・ハイテク分野への転換を推進し、国内のエネルギー資源消費や環境保護の圧力を軽減することが可能となった。
米中経済貿易協力は、米国の消費者にも目に見える利益をもたらしている。
米国は中国から大量の消費財、中間財、資本財を輸入しており、米国の製造業のサプライチェーンと産業チェーンの発展を支え、米国の消費者の選択肢を豊富にし、生活コストを削減し、米国国民、特に低・中所得層の実際の購買力を向上させている。
また、中米経済貿易協力は、中国企業に多くのビジネスチャンスと利益をもたらした。
米国は世界最大の消費市場であり、最も成熟した資本市場である。
中国企業は米国への投資を通じて、販売チャネルを拡大し、ブランドの国際的な影響力を高め、世界中の顧客やパートナーを引き付け、急速な企業発展を支える資金調達をより容易にすることができる。
中国に進出している米国企業は、中国企業に技術革新、市場管理、制度革新などの分野における経験を提供し、中国企業の変革とアップグレードの加速を促進し、産業効率と製品品質の向上に貢献している。
2.中国は、中米経済貿易協定の第一段階の義務を誠実に履行してきた
責任ある大国として、中国は同協定に基づく義務を誠実に履行し、知的財産権を保護し、輸入を拡大し、市場アクセスを拡大し、米国資本の企業を含む各国の投資家が中国の経済発展に参加し、その成果を共有できるような良好なビジネス環境を創出してきた。
(1) 知的財産権の保護を継続的に改善
イノベーションは発展の主要な原動力であり、知的財産権の保護はイノベーションの保護である。
中国は企業秘密の保護、医薬品の知的財産権の保護、オンライン侵害への対策、知的財産権の執行強化など、さまざまな措置を講じ、同協定の知的財産権章における関連の約束を誠実に履行してきた。
営業秘密の保護強化：
2020年9月、最高人民法院は「営業秘密侵害民事案件の審理における法律適用に関する若干の問題についての規定」を公布し、最高人民法院と最高人民検察院は「知的財産権侵害犯罪案件の取り扱いにおける法律の具体的な適用に関する若干の問題についての解釈（三）」を公布し、最高人民検察院と公安部は「公安部が管轄する刑事事件の立件・起訴基準に関する規定の改正に関する決定」を公布した。2020年12月、全国人民代表大会は刑法改正案を可決した。上記の規定は、営業秘密侵害を構成する禁止行為の範囲の定義、営業秘密窃盗罪の定義、営業秘密窃盗事件における仮処分申請、および刑事捜査開始の基準の調整をカバーしている。
医薬品に関する知的財産権保護制度を改善する。
2020年10月、全国人民代表大会常務委員会は、医薬品特許紛争の早期解決メカニズムおよび特許期間補償制度に関する関連規定を追加する特許法改正の決定を審議・可決した。
2021年07月、中国国家医療製品監督管理局と中国国家知的財産権局は共同で「医薬品特許紛争の早期解決メカニズム実施弁法（試行）」を公布し、中国国家知的財産権局は「医薬品特許紛争の早期解決メカニズム行政裁定弁法」を公布し、 最高人民法院は、「登録申請中の薬品特許紛争を伴う民事事件の審理における法律適用に関する若干問題の規定」を公布し、薬品特許紛争の早期解決メカニズムを構築し、制度の有効な実施を確保した。
2023年12月、国務院は特許法実施細則の改正を決定し、中国国家知識産権局は同時に特許審査指針の改正を完了し、特許期間補償制度に関する詳細な規定を定めた。
また、中国国家知識産権局は、2021年に完了した特許審査指針の改正において、補充実験データの提出に関する内容をさらに改善した。
商標および地理的表示の保護制度が改善された。
2019年04月、全国人民代表大会常務委員会は商標法改正に関する決定を審議・可決し、悪意のある商標登録の規制に関する内容が追加され、商標権侵害に対する罰則が強化され、登録商標の偽造を行った加害者に対する違法コストが大幅に増加した。
それ以来、中国国家知識産権局（CNIPA）は、「商標出願・登録の規範化に関する若干規定」、「商標権侵害の認定基準」、「商標権侵害行為の認定基準」などの規定を相次いで制定・公布し、悪意のある商標登録出願の取締りを継続的に強化している。
2023年12月には、CNIPAは「地理的表示製品の保護に関する弁法」と「団体商標・証明商標の登録・管理弁法」を制定・公布し、地理的表示の保護に関する法的ルールをさらに改善した。
中国は米国との知的財産権に関する交流と協力を積極的に推進している。
作業計画に関する協議や、米国の知的財産権当局との協力に関する覚書の締結を通じて、中国は知的財産権の審査、専門家の交流、意識向上など、さまざまな技術分野における互恵的かつ実質的な協力を深めてきた。
中国は米国資本の企業と積極的かつオープンに良好な意思疎通と交流を維持し、中国の知的財産権制度に関する意見や提案に耳を傾け、中国における米国資本の企業による合理的な知的財産権の主張の解決に向けた調整を行っている。
オンライン侵害対策の取り組みを強化する。
2020年09月、最高人民法院は「電子商取引プラットフォームにおける知的財産権を巡る民事事件の審理に関する指導意見」および「オンライン知的財産権侵害紛争における法律適用の諸問題に関する回答」を公布し、侵害コンテンツの迅速な削除、通知および反通知の有効性などの問題に対処した。
2020年11月、全国人民代表大会常務委員会は著作権法の改正案を可決し、 著作権侵害に対する民事救済を強化する規定を含んでいる。
2021年08月、国家市場監督管理総局（SAMR）は、「中華人民共和国電子商取引法改正に関する決定（意見募集稿）」を公布し、通知・削除システムの手続きおよび罰則規定を改正した。
知的財産権の執行強化。
2020年08月、SAMRなどは「侵害品および模倣品の廃棄強化に関する意見」を公布し、国務院は「行政法執行機関による刑事事件の疑いのある案件の移送に関する規定」を改正し、知的財産権犯罪に関する案件を行政法執行機関から公安機関に移送することを義務付けた。
中国はまた、侵害および偽造に対する執行措置を継続的に強化している。
2024年には、市場監督部門が知的財産権の執行などの特別行動を組織し実施し、重点分野、重点商品、重点市場におけるガバナンスをさらに強化した。
さまざまな特別行動において、合計で約67万5,000件の案件が調査および処理され、その中には商標権侵害および特許偽造の4万3,900件が含まれていた。
侵害および偽造の発生率が高い主要な実店舗市場に対して、執行措置が約8万8,000回実施された。
税関総署は、知的財産権保護のための法執行をさらに強化し、特別捜査に重点を置き、輸出入における侵害行為に対して高圧的な姿勢を維持した。
1年を通じて、侵害の疑いのある物品41,600バッチ、8,160万5,100点が差し止められた。
(2) 強制的技術移転の禁止
中国はあらゆる形態の強制的技術移転を断固として反対する。
中国は、互恵・Win-Winの根本的な価値観に基づいて、国際技術協力を常に追求してきた。
中国は、市場の原則に従って自主的に技術移転や技術ライセンスを行う中国企業や外国企業を奨励し尊重し、中国企業や外国の技術保有者が技術移転や技術ライセンスを通じて収入を得るための良好な市場環境を提供しており、これはまた、世界的な科学技術の進歩と国際経済貿易の発展を促進するための支援でもある。
米国側が、中国市場で商業的利益を共同で得るために技術協力を行う外商投資企業や中国企業の自主的な契約上の行動を「強制的技術移転」と表現していることは、事実と一致しない。
強制技術移転は法律で明確に禁止されている。
2019年03月に公布された外商投資法では、「行政機関およびその職員は、行政手段を用いて技術移転を強制してはならない」と規定されている。
2019年04月に改正・公布された行政許認可法では、「行政機関およびその職員は、行政許認可の実施過程において、直接または間接的に技術移転を要求してはならない」と規定されている。2019年12月に公布された外商投資法実施条例では、上記の規定がさらに明確化され、あらゆる形態の強制技術移転が禁止されている。
行政当局およびその職員の守秘義務は包括的に強化されている。
中国法では、行政当局およびその職員は、職務上知り得た外商投資者および外商投資企業の営業秘密を秘密として保持しなければならないことが明確に規定されている。
外商投資法では、「行政当局およびその職員は、職務上知り得た外商投資者および外商投資企業の営業秘密を秘密として保持し、他に漏洩したり、違法に提供したりしてはならない」と規定されており、「職務上知り得た営業秘密を他に漏洩したり、違法に提供したりした行政当局およびその職員は、法律に基づき懲戒処分を受けるものとし、犯罪を構成する場合は、法律に基づき刑事責任を追及する」と規定されている。
行政許可法にも同様の規定が含まれている。
中国は市場開放と投資へのアクセスを継続的に拡大してきた。
中国は市場環境の最適化、外国投資へのアクセスの拡大、外国企業による中国への投資の選択肢と自由の拡大に尽力しており、外国企業が市場の原則に従って中国企業と自主的に技術提携を行うための好ましい条件を整えている。
中国は外国投資に対する設立前の内国民待遇とネガティブリスト管理システムを確立し、外国投資企業の設立と変更に関する「個別承認」システムを、便利で効率的な情報報告システムに置き換えた。
中国はまた、外国投資を奨励するための一連の措置を相次いで導入し、外国投資環境の改善を継続している。
2024年には、中国共産党中央委員会弁公庁と国務院弁公庁が「市場アクセス制度の改善に関する意見」を発表し、市場アクセス制度の構築をさらに改善し、アクセス環境を最適化し、中央レベルでの市場アクセスの効率を向上させるために、「国内投資と外国投資の市場アクセス政策の調整を強化し、既存の事業体のアクセス機会を減らさないことを前提に、内国民待遇の原則を堅持する」ことを求めた。
(3) 食品および農産物の市場アクセス拡大
農産物は、米中二国間貿易の重要な一部であり、両国の多くの市場主体に影響を与えている。
中国は新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる困難を乗り越え、農産物の調達拡大という約束を守り続けてきた。
2020年11月、米国政府は、中国への米国の農産物輸出が正常に戻ったとする報告書を発表した。
米国農務省と通商代表部は2020年に評価報告書を発表し、米中経済貿易協定の第1段階が米国の農業に歴史的な成果をもたらしていると結論づけた。
協定の規定に基づき、中国は2020年02月以来、一部の米国産農産物に対する制限を解除する発表を行い、米国産牛肉、家禽類、乳製品などの貿易を条件付きで再開した。
具体的には、30カ月齢以上の米国産牛肉および牛肉製品の条件付き解禁により、600社以上の米国企業が中国に牛肉製品を輸出できるようになった。
また、反芻動物由来成分を含む米国産ペットフードの輸入制限が解除され、中国の法律および規制の要件を満たす反芻動物由来成分および家禽製品を含む米国産ペットフードの輸入が可能になった。
さらに、300社以上の米国企業が乳児用調製粉乳、 殺菌乳およびその他の乳製品の輸入許可、米国産の食用乳漿粉末の承認完了と輸入許可、検疫アクセス協定の締結による加工ポテト、アボカド、ネクタリン、ブルーベリー、大麦、アルファルファペレットおよびキューブ、アーモンド殻ペレットおよびティモシーヘイなど米国産8品目の中国への輸出許可が行われた。
(4) 金融サービス分野における市場アクセスの拡大
中国の自主的な開放政策は、米国資本を含む各国の金融機関に恩恵をもたらした。
多くの米国資本の金融機関が中国市場への参入に成功し、事業を拡大している。
JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスは、中国で外資100％出資の証券会社を設立し、モルガン・スタンレーは中国合弁証券会社の支配株（94％）を取得した。
JPモルガン・チェース先物とモルガン・スタンレー先物は、外資100％出資の先物会社となった。
ブラックロック、フィデリティ、ルミス・セイラス、J.P.モルガン、モルガン・スタンレー、アライアンス・バーンスタインなどの外国のファンド運用会社が、外資系企業として設立が承認された。
スタンダード＆プアーズやフィッチなどの国際格付け機関が、中国市場に参入し、格付け業務を開始した。
アメリカン・エキスプレスとマスターカードの中国合弁子会社である中国銀聯と中国聯通が、銀行カード決済サービスを提供することが承認され、業務を開始した。
中国は、金融業界向けに50以上の自主的な自由化措置を相次いで導入し、金融サービス業界への外国投資に対する市場参入制限を大幅に緩和した。
– 外国資本所有の制限を完全に撤廃。
2018年には、中国銀行および金融資産運用会社に対する外国資本所有の制限が撤廃され、国内投資家と外国投資家に対する同等の出資比率規定が実施された。
外商投資証券会社管理弁法、外商投資先物会社管理弁法、外商投資保険会社管理弁法実施細則などの法律が相次いで改正され、証券、ファンド運用、先物、生命保険の分野における外国資本所有の上限が51％に引き上げられ、2020年以降は制限がなくなる。
信用調査、格付け、決済などの分野における外国投資は明確に許可され、内国民待遇が与えられる。
— 外資の業務範囲を大幅に拡大する。
外資銀行は営業開始と同時に人民元業務を行うことが認められる。外資証券会社および保険仲介業者の業務範囲に対する制限は撤廃され、国内資本と外資の業務範囲が一致する。外資は保険代理業および保険鑑定業を行うことが認められる。
外資機関が非金融企業向け債券の主幹事やファンドのカストディアンなどの特定の業務資格を取得するための要件が緩和される。
外資株主の資格要件の緩和。外資銀行が総資産100億米ドルで中国国内に法人銀行を設立すること、および総資産200億米ドルで支店を設立することを求める要件の廃止、外資保険機関が代表事務所を2年間設置し、30年の営業経験を積むことを認める要件の廃止など。合弁証券会社の国内株主の少なくとも1社が証券会社であることを求める要件の廃止。
（5）人民元為替レートの合理的な均衡水準における基本的な安定性の維持
中国は多国間主義を支持し、多国間のコンセンサスを尊重している。
中国は常に多国間での約束を守り、競争的な切り下げを回避し、市場の需給に基づく管理フロート制を導入し、通貨バスケットを参照して調整するなど、合意事項を履行してきた。
市場志向の為替改革の方向性を堅持し、人民元為替レートの市場ベースでの形成メカニズムを絶えず改善してきた。
為替レートは主に市場の需給によって決定されるという原則を堅持し、定期的な為替介入を停止した。
為替レートの変動幅は秩序ある形で拡大され、人民元為替レートの柔軟性が高められた。
銀行間スポット外国為替市場における人民元対米ドル為替レートの1日当たりの変動幅は、2007年の300ベーシス・ポイントから現在の200ベーシス・ポイントへと徐々に拡大された。
中間価格提示の規則と市場志向性は改善された。
外国為替市場の主要参加銀行が価格提示銀行となり、提示価格は前日の銀行間外国為替市場の終値を参考に、外国為替の需給や主要国際通貨の為替レート変動を考慮して行われている。
外国為替市場は、引き続き深化している。
対外経済貿易関係企業および個人の国境を越えた貿易、投資、融資の利便性を高め、外国為替市場の商品体系を充実させ、外国為替市場の主要参加者を拡大し、外国為替市場の開放を推進し、外国為替市場のインフラを改善し、段階的に多層的で機能が充実した外国為替市場システムを形成するために、多くの措置が導入されている。
市場主体の多様な外国為替ニーズにより良く対応している。
現在、中国の銀行間外国為替市場では40種類以上の通貨を取引することができ、取引の種類は先物、為替スワップ、通貨スワップ、オプションなど、国際的な外国為替市場の主流商品システムをカバーしている。
2024年には、銀行間外国為替市場の取引高は41兆1,400億米ドルに達した。
外国為替市場の弾力性は大幅に高まり、市場参加者の人民元為替レートの双方向変動への適応能力は引き続き向上した。
2024年には、為替レートリスクを管理するために先物やオプションなどの外国為替デリバティブを利用した企業の外国為替ヘッジの割合は27％に達している。
為替レート政策のスタンスは明確かつ透明性が高い。
中国の金融政策スタンスは、記者会見、金融政策委員会の定例会議議事録、金融政策実施報告書など、さまざまなチャンネルを通じて明確に発表されている。
国際慣行に従い、中央銀行のバランスシート、外貨準備高、国際収支、国際投資ポジションなどのデータは定期的に発表され、為替レート政策の透明性を高めている。
人民元為替レートの市場化改革は顕著な成果を収めている。
人民元為替レートは市場化を継続し、柔軟性が増し、双方向の変動が常態化している。
人民元為替レートは合理的な均衡水準で基本的に安定しており、中国の国際収支はより均衡化している。
2020年以降、中国外貨取引センターが発表する人民元為替レート指数は、バスケット通貨に対する人民元為替レートを測定するもので、概ね100前後で推移しており、主要国際通貨の中では比較的高い水準を維持しており、競争的な切り下げは行われていない。
人民元為替レートの年率換算変動率は3％～4％程度で推移しており、これは基本的に主要国際通貨の変動率とほぼ同等である。
人民元為替レートはマクロ経済と国際収支の自動安定装置として良好な役割を果たしている。
2024年、中国の経常黒字はGDPの2.2％を占め、これは国際的に認められた合理的な範囲内である。
(6) 貿易規模の積極的な拡大
中国は、国内市場のニーズ、市場志向および商業原則、世界貿易機関の規則に従って、合意の実施における問題を積極的に解決し、関連企業による米国からの輸入拡大を支援する。
関連する合意に基づく調達義務は、2021年末までに当然に失効する。
米国に課された追加関税の対象となる商品の市場ベースの調達を除外する。
中国は、国内企業からの申請に基づき、市場ベースおよび商業原則に従って米国から調達された対象輸入品に対して、一定期間、301条に基づく追加の対抗関税を課さないことで、関連企業が米国から輸入を行うための有利な条件を創出する。
例えば、石油・ガス、石炭、その他の商品も除外申請の対象商品に含めることで、関連企業による米国からの関連エネルギー製品の輸入を支援することができる。
2020年と2021年には、米国から中国へのエネルギー製品の輸入額はそれぞれ前年比で144.5％、114.7％増加した。
米国からの輸入拡大に向けた中国の努力は成果を上げている。
中国の統計によると、2020年には、米ドル建ての中国の全体的な商品輸入額は前年比で0.6％減少した一方で、米国からの商品輸入額は10.1％の増加を達成した。
2021年には、米国からの商品輸入額は前年比で31.9％増加し、これは全体の輸入増加率30％を上回るものであった。
米国からの商品輸入額が中国の全体的な商品輸入額に占める割合は、2019年の5.9％から2021年には6.7％に増加した。
米国の統計によると、2020年には、米国の全体的な物品輸出は前年比で13.4％減少した一方で、対中輸出は15.9％増加した。
2021年には、対中輸出も21.9％の高い成長を達成した。米国の全体的な物品輸出に占める対中輸出の割合は、2019年の6.5％から2021年には8.6％に増加した。
義務を果たす過程において、中国は米国による複数の障害に直面した。
米国関連製品の生産能力が限られており、中国への輸出能力が不足している。
2020年、米国におけるボーイング航空機の生産量は2019年の約40％にとどまり、中国への納入に大きな影響を与えた。
2019年、米国産小麦の生育・収穫期に悪天候に見舞われ、麦角菌や嘔吐毒素が基準値を超えるという比較的重度の問題が発生した。
中国の食品衛生・検疫基準を満たす小麦の量は限られており、2020年の中国への小麦輸出に影響を与えた。
米国のインフラ不足により、輸送コストが上昇している。
例えば、米国のメキシコ湾岸のほとんどの港では、超大型原油タンカー（30万トンのVLCC）を直接接岸できず、中型タンカー（10万～20万トン）による積み替えと燃料補給が必要であるため、米国産原油を中国に輸送するコストは中東産原油の2倍となり、価格面で国際的に相対的に競争力が低下している。
米国産製品の価格と安全性における競争力はそれほど強くなく、中国企業の輸入意欲に影響を与えている。
米国産大豆と比較すると、南米産大豆は価格面でより明確な優位性がある。
米国産牛肉は南米産牛肉よりも約50％高く、米国産米は品質、外観、味、価格の面で東南アジア諸国の米ほど競争力がない。
2020年02月、米国産米の輸入価格は、タイ米とベトナム米と比較してそれぞれ1トンあたり約3,000元、3,500元高かった。
例えば、2018年と2019年には、ボーイング社の主力機種B737MAXが墜落事故を含む一連の深刻な事故を起こし、中国や米国を含む世界のほとんどの国がこの機種の飛行停止措置を講じたため、航空機貿易に大きな影響を与えた。
米国関連の要因は、中米国際物流に影響を与えた。
米国の港湾などのインフラは、均衡のとれた厳しい状態にある。
パンデミックの影響を受け、鉄道、港湾、コンテナトラックなどのサプライチェーンの多くのリンクが適応に困難をきたしている。
米国の主要港湾は深刻な混雑を経験し、内陸の集配システムが滞り、商品の大量の滞留が発生している。
上海海運取引所が発表した世界の主要コンテナ港の運営データによると、2021年、米国のロサンゼルス港とロングビーチ港におけるコンテナ船の平均滞在時間（停泊時間とドック時間を含む）はそれぞれ11.1日と10.6日であった（新型コロナウイルス感染症の流行前はそれぞれ4.3日と4.7日であった）。
一方、同期間における中国の上海港と深セン港における船舶の平均滞在時間はそれぞれ2.96日と2.33日であった。
（7）協定に関連する事項について米国側と実務的な意思疎通を維持
2020年から2021年にかけて、中国は米国側とあらゆるレベルで二国間の経済貿易関係および協定の実施に関連する具体的な問題について緊密な意思疎通を維持し、関連業務を効率的に推進し、義務履行における中国の誠意を十分に示した。双方は上記期間において紛争解決メカニズムを発動しなかった。
協定に基づき、ハイレベルの意思疎通の面では、中国と米国は6回にわたって電話会談を行い、マクロ経済情勢、二国間の経済貿易関係、多国間・二国間協力などに関する意見交換を行い、協定の状況を総合的に把握した。
日常業務に関しては、中国と米国は四半期ごとに5回の次官級会合と、毎月14回の局長級会合および協議を行い、貿易の拡大、食糧および農業貿易、知的財産権、金融サービスなどの事項に関する意思疎通に重点的に取り組んだ。
また、実務者レベルの協議や電子メールを通じて定期的に連絡を取り合い、双方が関心を持つ問題の解決を具体的に推進した。
合意内容によると、2020年02月15日に正式に発効した。同時に、中国は合意内容を実施するためのすべての提案された措置について、45日以上のパブリックコメント期間を設け、国内外の意見や提案を十分に吸収し、各分野の合理的な懸念に適切に対応した。
3. 米国は第1段階の中国・米国経済貿易合意の義務に違反した
中国・米国経済貿易協議の第1段階の署名後、米国は引き続き中国に対する経済貿易およびその他の形での圧力をエスカレートさせ、輸出規制や投資制限など一連の対中制限措置を導入し、協議の精神に違反した。
同時に、米国は人権、香港、台湾、新疆、新型コロナウイルス感染症などの問題を引き続き煽り立て、米中関係および米中経済貿易関係に深刻な影響を与え、正常な二国間貿易・投資活動を妨げ、協議の実施の雰囲気と条件を損なった。
（1）協議の技術移転章における約束の履行の失敗
協定の技術移転章では、「買収、合弁事業、その他の投資取引において、いずれの当事者も相手側の個人に対して、自国の個人に技術移転を行うよう要求したり、圧力をかけたりしてはならない」と規定されている。
米国は「米国国民を外国の敵対者の申請管理から保護する法律」を導入し、「米国の国家安全保障を保護する」という口実で、TikTokに売却または分離を強制的に要求し、企業の正常な運営を妨害し、投資家の技術的安全と商業的利益を脅かしている。
米国側は市場経済の基本原則に違反し、企業に対する正当な合法的な利益を尊重せず、損なっている。
同時に、米国は「国家安全保障」の名の下に外国投資制限を発動し、米国企業の正常な対外投資を制限し、半導体・マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、人工知能などの分野における中国企業と米国企業の投資協力に困難をもたらしている。
2025年02月、米国は「アメリカ・ファースト」の投資政策覚書を発布し、米国の投資政策を調整し、対中双方向投資をさらに制限することに重点を置くと発表し、これにより中米の投資協力に深刻な混乱をもたらすことになった。
（2）協定の食糧・農産物貿易章における約束の完全な履行の失敗
協定は「中国から正式に提出された家きんの病不在地区の認定評価の要請および関連資料を受領した後、米国農務省動植物衛生検査局は30日以内に評価を開始する」と規定しているが、 しかし、米国側は、山東省が米国の無病認定の条件を満たしていないことを理由に、同省を高病原性鳥インフルエンザの無発生地域として認定することを常に拒否してきた。
2020年11月02日、中国側は正式に「膠東半島を高病原性鳥インフルエンザの無発生地域とする証明資料」を米国側に提出した。
世界動物保健機関（OIE）の陸生動物衛生規約第10.4章によると、ある国または地域が鳥インフルエンザ非発生地域となる手段には、ワクチン接種と非ワクチン接種の両方が含まれる。
2022年08月、中国山東省は高病原性鳥インフルエンザ非発生地域となり、その建設と管理は陸生動物衛生規約の関連規定に準拠している。
中国は設立以来、鳥インフルエンザ非発生状態を維持していることを証明できる病理学を含む、さまざまなモニタリング作業を継続的に実施している。
中国はまた、発生後、米国を清浄国と認定し、米国から中国に輸出される家禽および家禽製品に対する完全な貿易禁止措置を講じないことで、効果的に合意を履行している。
しかし、米国は、高病原性鳥インフルエンザ免疫無発生地域は清浄地域ではないという理由で、清浄国としての認定を拒否した。これは、相互に合意を履行するものではなく、鳥インフルエンザの清浄国に関する国際獣疫事務局（OIE）の原則に沿ったものではない。
協定では、「双方は、農薬登録や試験データを含む農薬に関する協力の潜在的な分野について技術協議を行い、最大残留基準値の設定について協議する意向である」と規定しているが、米国は、中国が提案した農薬分野での協力の共同推進に積極的な反応を示していない。
中国は米国にとって最大の農薬輸入元であり、米国は中国農薬にとって世界第2位の輸出市場である。
農薬登録試験データの相互認証を早期に実現することは、貿易円滑化のニーズに沿うものであり、不必要な繰り返し試験を減らし、農薬登録コストを削減し、中国と米国の農薬企業の共通の願いであり、中国と米国における農薬の革新的な発展を促進するものである。
中国は米国側との意思疎通を継続的に強化し、中国と米国の農薬分野における技術協議をできるだけ早く開始できるよう努めてきた。
2020年12月以来、中国は米国大使館を通じて米国側に、できるだけ早くフィードバックを提供し、中国との意思疎通メカニズムを確立して農薬分野における協力を共同で推進するよう希望を繰り返し伝えてきた。
しかし、米国側は一度も応答していない。
米国側は協定で、中国産の家禽類、柑橘類、生ナツメ、香り梨、その他の農産物に対する輸入監督・通知手続きをできるだけ早く完了させることを約束した。
しかし、米国は同協定の対象となる農産物に対して関税撤廃措置を講じることで報いることはなく、中国農産物の米国への実質的な輸出を妨げている。
関連製品は米国の追加関税の対象外製品リストには含まれていない。
2025年、米国はフェンタニルなどの問題を理由に、米国に輸出される中国製品すべてに20％の追加関税を課し、さらに34％のいわゆる「相互関税」と50％の追加関税を課し、関連製品の米国への輸出をさらに制限した。
米国に輸出される中国水産品と乳製品は米国により自動的に留置されている。
中国税関総署は、自動保留措置を早急に解除し、作業を早急に進めるため、米食品医薬品局（FDA）に両国間の協力の方向性を明確にするよう繰り返し要請したが、米国側は解決策の次のステップを明確にしたことは一度もない。
（3）合意の完全な履行の失敗 金融サービスおよび為替レート関連の約束
近年、米国側は国家安全保障の概念を一般化し、中国への投資および融資に関する一連の制限措置を導入したため、米中経済貿易関係の緊張が高まり、両国の正常な経済貿易協力が妨げられ、中国の金融機関が米国への投資や事業を行う意欲に深刻な影響を与えた。
同時に、一部の中国金融機関は依然として米国で差別的な扱いを受けており、米国のやり方は公平な競争の原則に違反している。
協定では、為替レート問題の解決について双方の意見が一致しない場合、中国人民銀行と米国財務省の協議で確立された二国間評価および紛争解決の枠組み内で解決すべきであると規定されている。
解決できない場合は、国際通貨基金（IMF）がその責任の範囲内で解決を支援することが求められている。
これらの規定は、双方の相違点を解決するための明確な道筋を提供している。
しかし、協定が締結された後、米国商務省は新たな規制を打ち出し、相殺調査に為替レートの過小評価を含め、一部の製品の相殺案件にいわゆる「人民元為替レートの過小評価」項目を導入した。
米国のこの動きは、世界貿易機関の規則に合致しないだけでなく、協定に基づく米国の約束にも合致しない。
（4）中国による調達と輸入の拡大に合理的な条件を提供していない
米国が中国に対して実施した輸出規制や制裁などの理不尽な措置は、協定の実施に深刻な悪影響を及ぼした。
2020年以降、米国は中国に対して多くの理不尽な経済貿易制限措置を導入し、中国に対して一連の不適切な輸出規制措置を実施し、実体リストなどを通じて多くの中国企業に理不尽な制裁を頻繁に課し、米中経済貿易協力の雰囲気を深刻に損ね、中国の米国からの関連商品・サービスの輸入に大きな影響を与えた。
例えば、2022年10月、米国は中国へのチップと半導体設備の輸出管理を全面的に強化する措置を打ち出した。
同年、米国からの中国による半導体と半導体製造設備の輸入額（米ドルベース）はそれぞれ23％、17.9％減少した。
米国は、いわゆる「強制労働」問題をでっち上げ、「ウイグル強制労働防止法」を可決し、中国企業と中国製品を誹謗中傷し、関連する中国綿製品の輸入を制限し、中国企業の米国からの綿花輸入に間接的な影響を与えた。
近年、米国による中国への封じ込めと圧力が継続する中、また、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）のパンデミックが世界経済と貿易活動に深刻な影響を与えていることを背景に、中国は実際には米国に書面で通知し、協定第7.4条（4）項に従って協定から脱退することも可能であった。
また、同協定第7.6条（1）項に従って、不可抗力条項に関する米国との協議を開始することも可能であった。
しかし、中国はこのような行動を起こさず、その代わりに約束を守り、さまざまな困難を克服して協定の取り決めを実施し、誠意を十分に示してきた。
協定の締結以来、米国は紛争解決メカニズムを通じて中国に対する申し立てを行っていない。
4.中国は自由貿易の理念を実践し、世界貿易機関の規則を誠実に遵守している
2001年の世界貿易機関（WTO）加盟以来、中国は経済グローバル化への参加を深めるプロセスに着手し、改革開放は新たな歴史的段階に入った。
中国は自由貿易の理念を積極的に実践し、貿易政策の安定性、透明性、予測可能性を効果的に高め、市場を大幅に開放し、多国間貿易システムの有効性と権威の維持に積極的な貢献をしてきた。
（1）貿易政策の遵守を全面的に強化
中国はWTOに加盟して以来、加盟時の約束を完全に履行し、WTOの規則を遵守・実施し、ルールに基づく市場経済の法律法規を改善し、多国間貿易規則に適合する法制度を確立してきた。
WTO加盟後、中国は法律法規の全面的な見直しと改正を行う大規模なキャンペーンを開始した。
中央政府は2,300以上の法律法規と部門規則を見直し、地方政府は19万以上の地方規則を見直し、貿易、投資、知的財産権保護などあらゆる側面をカバーした。
世界貿易システムのルールを遵守し、開放型経済の新体制を構築するという中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議の要求を実行に移すため、2014年に国務院弁公庁は「貿易政策のコンプライアンス業務をさらに強化する通知」を、商務部は「貿易政策のコンプライアンス業務実施方法（試行）」を公布し、各レベルの政府が貿易政策を策定する際に、世界貿易機関協定および中国の加盟時の公約に対するコンプライアンス評価を行うことを要求した。
2024年、中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議は、国際的に受け入れられているルールに一致するコンプライアンスメカニズムを確立し、 開放と協力のための環境を最適化する。
2025年03月、国務院弁公庁は「貿易政策のコンプライアンスをさらに強化することに関する意見」を公布し、貿易政策の導入に先立ってコンプライアンス評価を行うことを提案した。
国務院の各部門、県レベル以上の人民政府およびその各部門は、「策定する者が評価する」という原則に従い、貿易政策の策定中に提案された政策措置のコンプライアンス評価を行い、WTOの規則および中国の加盟時の公約に合致していることを確保すべきである。
(2) WTO加盟時に約束した関税引き下げを効果的に履行する
中国がWTOに加盟した際、広範かつ大幅な関税削減を約束した。中国政府は、その約束を履行してきた。2010年現在、中国は物品の関税削減の約束を完全に履行しており、全体的な関税率は2001年の15.3％から9.8％に引き下げられた。
WTOの約束税率でみると、中国の全体的な関税率9.8％は、先進加盟国の平均的な約束税率（9.4％）に非常に近い。
中国は互恵・Win-Winの開放戦略を堅持している。
近年、中国は輸入を自主的に拡大し、輸入関税を繰り返し大幅に引き下げている。
2023年07月には、情報技術協定（ITA）対象製品の関税引き下げの第8段階が完了し、中国の全体的な関税率は7.3％にさらに引き下げられる。
2024年には、中国はさらに、中国と国交のある後発開発途上国を原産地とする100％の関税品目について、ゼロ関税の優遇関税を適用すると発表した。
これは、中国が対外開放と世界経済への統合に確固として取り組んでいることを十分に示している。
中国の相対的に低い関税率水準は、世界各国の高品質な商品に巨大な市場機会を提供するだけでなく、国内消費者に幅広い選択肢を提供し、グローバルな産業チェーンとサプライチェーンの発展を促進し、グローバルな貿易と投資の自由化と経済のグローバル化のプロセスを推進する。
（3）世界貿易機関の規則に準拠し、合理的な方法で提供される補助金
補助金は、途上加盟国が国連の持続可能な開発目標と、包括的な発展の促進と生活水準の向上という世界貿易機関の全体的な目標を達成するための重要な政策手段である。
2022年04月にWTO事務局とその他の国際機関が共同で発表した報告書では、補助金はあらゆる産業分野で広く普及しており、あらゆる発展段階にある国々によって利用されていると指摘されている。
中国はWTO加盟時に、農産物に対するいかなる輸出補助金の維持または提供も行わないことを約束し、また農業国内支援および産業補助金分野においても、一般の開発途上加盟国を上回る約束を行った。
中国はWTO加盟以来、WTOの補助金規律を厳格に遵守し、適時にWTOに補助金通知を提出している。
2023年06月には、 中国は2021年から2022年までの補助金政策に関する通知を提出し、中央の補助金政策69件、地方の補助金政策385件をカバーし、省レベルの行政区域を完全にカバーした。
2024年07月、中国は2022年の農業に対する国内支援に関する通知を提出し、これは米国（米国の市場年度2022／2023、欧州連合の市場年度2021／2022）などの主要先進国の通知年度と基本的に同じである。
中国は、国際慣行に沿った財政補助制度の確立と改善に尽力し、産業政策の転換を促進し、差別化と選択性から普遍性と機能性へと転換を図っている。
中国政府は、技術研究開発やイノベーション、中小企業の発展、グリーンエネルギーの保全、公共サービスシステムの構築などの分野における市場の失敗を支援することに重点を置き、公共サービス、技術標準、技能訓練などの市場志向型かつ誘導的な間接的手段をますます活用している。
これにより、業界内の企業に対する普遍的な支援が実現し、事業体の活力が刺激され、公正な競争が促進され、社会主義市場経済体制が改善される。
例えば、個人所得税、企業所得税、資源税、不動産税、都市土地使用税などにおいて、条件を満たす工業・商業個人経営世帯や利益率の低い小規模企業に対して優遇政策を実施している。
補助金が発展を促進する役割をより効果的に発揮させるため、中国は世界貿易機関の枠組み内で産業補助金の協議を行うことに前向きである。
同時に、関連する協議の方向性、目的、形式、範囲を明確に定め、国家介入や産業政策に関するマクロ的な協議に一般化させないようにする必要がある。
ましてや、加盟国の経済体制や発展モデルに触れることなどあってはならない。
一部の人々は、いわゆる「中国過剰生産能力論」を誇張し、マクロ経済の不均衡や補助金などの「非市場経済的行動」により中国が「過剰生産能力」を抱え、それが国際市場に影響を与え、他国の雇用やサプライチェーンの回復力を損なっていると非難している。
中国は、いわゆる「中国過剰生産能力論」は常識や共通認識に反するものであると考えている。
市場経済の原則から見ると、供給と需要は市場経済の本質的な関係における2つの基本的な側面である。
供給と需要のバランスは短期的かつ相対的なものであり、不均衡は一般的かつ動的なものである。
国際貿易の観点から見ると、国際貿易の誕生と発展は各国の比較優位を基礎としており、国際分業と協力が行われ、それによって世界経済の効率と幸福が効果的に改善されている。
「生産能力過剰」などを理由に、中国の輸出と投資協力に制限を課すことは、実際には露骨な貿易保護主義であり、世界市場への人為的な介入と断片化であり、世界的な生産と供給チェーンの安定性を損ない、余剰建設と生産能力過剰を招くことは必至である。
「ラベリング」や「タグ付け」による制限を課すことは、協力の妨げになるだけであり、最終的には望ましい結果は得られないだろう。
(4) ビジネス環境の継続的な最適化
中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議では、資源配分における市場の決定的な役割を十分に発揮し、政府の役割をより良く活用すること、各種所有経済が法律に基づき平等に生産要素を利用し、公平に市場競争に参加し、法律に基づき平等に保護されることを確保すること、各種所有経済の優位性を相互補完し、共同発展を促進すること、統一された国内市場と公平な競争を妨げるあらゆる規則や慣行を整理・廃止することを強調した。
中国政府は、体系的な改革を通じて国際ルールに歩調を合わせ、ビジネス環境の継続的な最適化を図り、グローバル企業に対してより透明性が高く、公平で予測可能なビジネス環境を提供している。
政府は外国投資へのアクセスを拡大し続けている。
2017年07月には、外国投資へのアクセスに関する全国的なネガティブリスト管理制度が実施された。
2019年には、外国投資に関する事前設立時における内国民待遇プラスネガティブリスト方式の実施を規定し、「国内投資と外国投資の平等な待遇」の原則を立法形式で確立する一方、強制的技術移転を禁止し、知的財産権保護を強化し、外資系企業に法的確実性を提供する外国投資法が公布された。
対外投資環境はさらに最適化され、対外投資誘致の取り組みは強化され、外商投資企業は政府調達活動への参加が保証され、外商投資企業が対等な立場で標準設定に参加できるよう支援され、外商投資企業は支援政策への平等なアクセスが保証され、中国への投資に対する信頼がさらに高まった。
2017年から2024年にかけて、外商投資参入のネガティブリストは93項目から29項目に削減され、製造業における外商投資参入の制限は完全に撤廃された。
2024年には、中国は付加価値通信、医療、その他の分野における開放試験を相次いで拡大し、サービス業における外商投資参入の自由化を継続した。
外商投資安定化のための2025行動計画の実施は、対外開放をさらに進めるというポジティブなシグナルを発信した。
同時に、外商投資促進に向けた取り組みも積極的に行われ、外商投資企業の懸念に効果的に対処している。
公平かつ競争的な市場環境を構築する。
2022年、中国は統一国家市場の建設を加速させる意見を発表し、外資系企業や非地元企業を差別する優遇政策を全面的に廃止し、地方保護を撤廃することを明確に提案した。
2024年06月、中国国務院は公平な競争審査に関する規定を発表し、政策措置には承認なしに生産コストや営業コストに影響を与える内容を含んではならないことを明確に規定し、特定の事業者に対する税制優遇措置、特別な金融優遇措置や補助金、要素へのアクセス、行政手数料、政府資金、社会保険料などの面での優遇措置を禁止した。
中国政府は、特別金融優遇や補助金などの優遇政策の整理を継続し、国際ルールに沿った体制の構築を加速させ、質の高い社会経済発展を促進していく。
税制面における内外資系企業の公平な取り扱い。
近年、中国は秩序ある税制改革を推進し、税制の合法性の原則の実施を加速させ、税制構造の最適化と改善を図り、質の高い発展と社会の公平性・公正性の促進における税制の重要な役割をより効果的に発揮させている。
——内外資系企業は「差別なく」課税される。
所有形態に関わらず、国内企業すべてに統一的な税法が適用され、同じ税率が適用される。条件を満たす外商投資企業およびプロジェクトは、規定に従って関連の優遇税制支援政策を享受することができる。
——輸入品と国内生産品は平等に扱われる。
世界貿易機関の関連規定および国内の関連法律法規に基づき、中国は輸入品に対して一定の関税を課している。また、公平な税負担の原則を反映させるため、輸入品には付加価値税が課され、一部の消費財には消費税が課されている。
このうち、付加価値税は後の取引チェーンで控除することができ、税負担は下流に段階的に移転される。
国内生産品については、生産・流通の各段階で付加価値税が課税され、一部の消費財については生産・流通の各段階で消費税が課税される。輸入品と国内生産品の課税範囲と税率はまったく同じであり、差別はない。
中国、EU、日本、韓国など多くの国が売上税制度を採用しており、輸入段階で付加価値税または消費税を課税している。
これは課税原則に合致するだけでなく、国際ルールにも合致しており、関連国では一般的な慣行である。
米国は売上税制度を実施しておらず、代わりに取引の最終段階で消費者に直接課税する売上税などの直接税を主に採用している。
当然、輸入者は支払う必要がない。このような相違は各国の税制の違いによるものであり、中国、EU、日本、韓国などが輸入品に対して「差別的」な「域外適用」の追加税を課していることを意味するものではない。
——個人所得税の面では、中国国民と外国籍の国民は平等に扱われている。
自国で働く外国籍の国民の所得に個人所得税を課すのは国際的な慣行である。
中国の個人所得税法では、居住者は国内外で得た所得に課税されるが、非居住者は国内で得た所得にのみ課税される。
居住者と非居住者の区別は、中国国籍であるかどうかではなく、中国に住所があるか、住所はないが課税年度に183日以上中国に滞在したかによって決められる。
同時に、中国は外国人個人に対する支援政策も実施しており、手当や補助金に対する免税措置などが含まれる。
中国はデジタル貿易の発展を積極的に推進している。
全国に12の国家デジタルサービス輸出基地を設立し、その革新的な発展を支援する政策措置を導入した。
2015年以降、全国31の省にまたがる165の越境電子商取引総合試験区が設立され、産業のデジタル化と貿易のデジタル化の統合的な発展が実現されている。
中国は、法律に基づきインターネットを管理しており、中国の法律や規則を遵守し、安全で信頼性の高い製品やサービスを中国で提供する各国のインターネット企業を歓迎し、中国での発展を歓迎している。
2024年、中国はデジタル貿易の改革、イノベーション、発展に関する意見を発表し、デジタル分野における市場アクセスの自由化、国境を越えたデータフローの促進と規制、デジタル貿易のためのハイレベルなオープンなプラットフォームの構築など、デジタル貿易の制度開放をさらに推進した。
国境を越えるデータフローの分野において、中国は2024年に、国外へのデータ持ち出し時のデータセキュリティ管理の実際の状況を踏まえて、「国境を越えるデータフローの促進と規制に関する規定」を公布し、国境を越えるデータフローの規制環境をさらに最適化し、試験的な自由貿易区が国境を越えるデータフローに関する独自のネガティブリストを策定することを認める。
天津、上海、北京の試験的な自由貿易区は、国境を越えるデータフローに関するネガティブリストの実施を率先して行い、制限されるデータの境界を明確にし、企業のコンプライアンスコストを削減し、政策の予測可能性を向上させる。
5. 単独主義と保護主義は二国間の経済貿易関係の発展を損なう
第二次世界大戦後の国際経済秩序と多国間貿易体制の主要な創設者および参加者として、米国は多国間貿易ルールを率先して遵守し、世界貿易機関（WTO）の枠組みの下で紛争解決メカニズムを通じて他のWTO加盟国との貿易摩擦を適切に処理すべきであった。
しかし、近年、米国は単独主義と経済覇権主義を追求し、いわゆる「小庭園と高壁」、「デカップリングとディスコネクト」に走り、各方面に攻撃を仕掛けて経済貿易摩擦を引き起こしており、これは中国や他のWTO加盟国の利益を損なうだけでなく、 米国自身の国際的なイメージを傷つけ、グローバルな多国間貿易体制の基盤を揺るがし、最終的には米国の長期的な利益を損なうことになるだろう。
（1）中国の恒久的正常貿易関係の地位を剥奪することは、中米経済貿易関係の基盤を損なう
2025年04月、ホワイトハウスは「アメリカ・ファースト」貿易政策報告書の要旨を発表し、中国が恒久的正常貿易関係の地位を剥奪する法案を議会が可決したことを徹底的に評価し、それに応じて大統領に提言を行ったと述べた。
実際、永久的な正常貿易関係（すなわち永久的最恵国待遇）は、中米経済貿易関係の核心的な基礎である。
米国が中国の最恵国待遇の取り消しを推し進めるのであれば、それは世界貿易機関の規則に違反し、中米関係と世界経済貿易秩序に深刻な損害を与えるものであり、典型的な単独主義と保護主義の行為である。
最恵国待遇の取り消しはWTO規則の重大な違反である。
WTO規則はWTO加盟国に対して、他のWTO加盟国に無条件で最恵国待遇を与えることを要求しており、この要求は法的拘束力がある。
2018年、米国政府は国内法に基づき、関連する中国製品に301条関税を課すことを一方的に発表した。
その後、投資と技術輸出の分野で中国に対して一連の厳格な一方的な制限措置を相次いで採択した。
米国の関連行為は、世界貿易機関の最恵国待遇の要求に違反している。
そのうち、301条関税引き上げ措置は、世界貿易機関の専門家グループにより違反と裁定されている。
米国議会による立法またはその他の国内法手段によるかを問わず、最恵国待遇の取り消しは、米国が世界貿易機関で負う義務に直接違反するものであり、露骨な一国主義と貿易保護主義である。
最恵国待遇の取り消しは、米中経済貿易関係と世界経済貿易秩序の安定に深刻な打撃を与えるだろう。
20年以上にわたって、恒久的かつ正常な貿易関係は、安定した米中経済貿易関係の基盤であり、両国の経済貿易交流、さらには世界経済の発展に深いかつ積極的な影響を与えてきた。
恒久的かつ正常な貿易関係の取り消しは、米中経済貿易関係を2001年の中国のWTO加盟前の不確実かつ予測不可能な状態に戻すことになり、米中経済の「デカップリング」につながる可能性さえある。
最恵国待遇の取り消しは、中米の経済貿易環境を大幅に悪化させるだけでなく、サービス貿易、知的財産権、双方向投資、技術規制、人材交流などのその他の経済貿易分野にも影響を及ぼすことになる。
さらに、WTO加盟国に対する最恵国待遇の取り消しは、WTOの最恵国待遇原則を根本から損ない、非差別という基本価値に基づく多国間貿易体制の基礎を揺るがすことになる。
これは多国間貿易体制と世界経済貿易秩序に深刻な損害を与えることになる。
中国は、多国間貿易体制を弱体化させるための一国主義や保護主義の使用に断固として反対する。
WTOを中核とする多国間貿易体制は、国際貿易の礎であり、人類文明の重要な成果の一つである。
最恵国待遇は多国間貿易体制の基本原則である。中国は常に多国間貿易体制を断固として支持し、擁護してきた。
歴史と現実が示しているように、ルールに基づく多国間貿易体制は各国の共通利益である。
一国主義や保護主義は、世界の産業、供給、価値の連鎖を混乱させ、世界経済の安定と発展を脅かす。
中国は、多国間貿易体制を損なう一国主義や保護主義に常に反対してきた。
中国は米国が最恵国待遇の取り消しがもたらす悪影響を直視し、WTO加盟国の大多数と協力して、公正かつ合理的な国際経済貿易秩序と国際貿易環境を共に守ることを望んでいる。
（2）米国の国家安全保障概念の一般化は、両国の正常な経済貿易協力の妨げとなっている
米国政府は、国家安全保障を口実に経済貿易問題を政治化し、さまざまな制限的な経済貿易政策・措置を導入し続けている。
制限の範囲は拡大し続け、制裁の厳しさは増し続けている。
2024年09月、米中ビジネス協議会は「2024年中国ビジネス環境調査」を発表し、米国の輸出規制、制裁、投資審査が、中国に進出する米国企業が直面する主な課題の一つとなっていることを示した。
貿易面では、米国は持続的な貿易赤字が米国経済と国家安全保障に深刻な脅威をもたらしていると主張している。
米国はまた、安全保障上の理由から、輸出管理の強化、対中制裁の拡大、米国市場の閉鎖など、さまざまな一方的な措置を通じて、中国の集積回路および通信企業に対する制限を強化することも頻繁に行っている。
2025年01月、米国商務省は最終規則「情報通信技術およびサービスのサプライチェーンの確保：コネクテッドカー」を発表し、中国の接続車両のハードウェア、ソフトウェア、車両は「安全でない」とし、米国市場への参入を制限した。
同月、米国商務省は、中国およびその他の国からの無人航空機システムの情報通信技術およびサービスに対する国家安全保障リスク調査の開始を発表した。
また、米国は情報通信技術およびサービスに関する調査の範囲を拡大し、いわゆる「ライバル国」が管理する先進技術も対象に含めると発表した。
投資面では、米国は「外国投資リスク評価近代化法」およびその支援行政システムを導入し、米国外国投資委員会の審査権限を拡大し、中国企業の米国における重要技術、重要インフラ、機密データおよびその他の分野への投資を制限した。
2025年1月、米国の外国投資審査に関する最終規則が施行され、米国の資金および企業による中国の半導体およびマイクロエレクトロニクス、 人工知能、量子情報技術などへの米国の資金と企業の投資を全面的に制限する内容となっている。
02月には、米国は「アメリカ・ファースト」の投資政策覚書を発行し、米国の対中投資制限分野を半導体、マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、人工知能から、バイオテクノロジー、極超音速、航空宇宙、先進製造、指向性エネルギーに拡大し、米国の「戦略的産業」への中国からの投資に対する制限をさらに強化することを提案した。
米国が相次いで発動した貿易・投資制限措置は、企業のコンプライアンスコストを増大させ、両国の正常な経済・貿易協力に深刻な障害をもたらすだけでなく、グローバルな産業チェーンとサプライチェーンの安定性にも影響を及ぼし、国際経済・貿易秩序を深刻に乱している。
（3）米国は輸出規制を悪用し、グローバルなサプライチェーンの安定性を損なっている
近年、米国は国家安全保障を一般化し、長大な管轄権を乱用し、輸出規制を政治化、武器化、道具化し続け、他国の産業や企業に制裁を課して抑制し、正常なグローバルな経済・貿易交流を深刻に妨げ、グローバルな産業チェーンとサプライチェーンの安定性を乱している。
米国は、国家安全保障と人権を口実に他国を弾圧し封じ込めている。
2022年以降、米国は、いわゆる国家安全保障を理由に、中国に対する半導体と人工知能の輸出規制を繰り返しエスカレートさせ、集積回路の製造から製造、ファウンドリ、ソフトウェアまで制限し、半導体産業のサプライチェーン全体をほぼ抑圧している。
米国は、人工知能モデルと、その基礎となるコンピューティングパワーを支える集積回路に対して差別的な管理措置を採用している。
本質的には、人工知能分野で「階級」を作り出し、「親密な関係」と「遠い関係」を区別し、中国を含む発展途上国が科学技術進歩を実現する権利を奪っている。
近年、米国は強制労働を理由に、多くの中国企業を「ウイグル人強制労働防止法の対象企業リスト」に列挙し、人権を理由に、関連する中国企業に対して輸出規制制裁を継続的に実施している。
制裁を受けた企業には、いわゆる「強制労働」の問題はない。
一部の企業は無人生産を完全に実現しており、一部の企業は第三者機関の監査を受け、「強制労働」の証拠は発見されていない。
制裁により、中国企業は供給、資金、協力が断たれるという深刻な結果に直面し、その正当な権益が深刻な損害を受けている。
米国は輸出規制を悪用し、多くの中国企業を不当に制裁している。
米国は長年にわたり、中国に対して厳格な輸出規制政策を実施しており、「ブラックリスト」という手段を用いて、ロシア、イラン、テロ、麻薬などに関与しているという理由で中国企業を弾圧し、封じ込めてきた。
制裁を受けた中国企業は、サプライチェーンの混乱や技術協力の遮断などの困難に直面している。
近年、米国による対中制裁の頻度と厳しさは大幅に増加している。
米国のシンクタンクの研究では、「米国の制裁リストの策定には透明性と公平性が欠けている。輸出管理リストに企業を追加する手続きは機密情報に依存しており、透明性に欠けている。
追加基準は曖昧で明確な定義がなく、削除基準は極めて厳しく、企業が司法手続きを通じて名前を削除することは困難である」と結論づけている。
米国の措置は、自国に利益をもたらすことなく他国に損害を与え、グローバルな産業チェーン・サプライチェーンの安定性を乱している。
米国は最低コンテンツ規則と外国直接生産規則を採用することで、長大な管轄権を乱用し、人為的に「壁」を築き、「切り離し」を行い、経済法と市場ルールに違反している。
これは両国の産業協力に大きな不確実性をもたらすだけでなく、国際貿易秩序とグローバルな産業チェーンとサプライチェーンの安全と安定を深刻に損なう。
例えば、2023年に公布された米国の「1017」半導体規則は初めて最低コンテンツ規則を適用した。
特定のリソグラフィ装置については、米国製部品が含まれている限り、米国から輸出許可を取得しなければならない。
2024年に公布された米国の「1202」半導体措置では、24種類の半導体設備に制限が課され、外国直接製品規則が追加され、他国で生産された関連半導体製造設備が中国に輸出される場合、特定の米国製部品が含まれている限り、米国からライセンスを取得しなければならない。
その目的は、米国製品が中国市場に参入することを禁止し、また他国の類似製品が参入することも禁止することである。
米国のチップ大手NVIDIAは、この新規制は実際にはグローバルなイノベーションと経済成長を脅かすものであり、中国市場を奪われ、競争上不利な立場に置かれると述べた。
ニューヨーク連銀の研究によると、米国による対中制裁措置により、米国企業の市場価値は約1,300億米ドル減少した。
(4) 米国の301条関税措置は典型的な単独主義的アプローチである
米国の301条関税措置は、典型的な単独主義的かつ保護主義的なやり方である。
それは国際貿易秩序とグローバルな産業チェーンおよびサプライチェーンの安全と安定を深刻に乱しただけでなく、米国自身の貿易赤字と産業競争力の問題に対処することもできなかった。
また、米国製品の輸入価格を押し上げ、そのコストは最終的に米国企業と消費者が負担することとなった。
最近、米国は既存の301条調査を終了させるどころか、さらに間違った方向にどんどん進んでおり、いわゆる非市場政策と慣行を理由に、中国に対して新たな301条調査を開始することを提案している。
セクション301関税は多国間経済貿易ルールに合致しない。
セクション301関税は、最恵国待遇や約束関税など、世界貿易機関の最も基本的な核心的ルールを深刻に侵害している。
2018年04月、中国は世界貿易機関の紛争解決メカニズムにおいて、米国の関税措置に対して案件を提起した。
2020年09月15日、世界貿易機関は正式に案件の裁定を発表した。
パネルは中国の主張を全面的に支持し、米国が中国製品のみに追加関税を課すことは、1994年の関税貿易一般協定第1条の最恵国待遇義務に違反していると裁定した。
米国は2020年10月26日に上訴した。
しかし、米国のこれまでの妨害により、上訴機関は機能停止に陥り、この案件は上訴待ちの状態となっている。
第301条関税では米国の貿易赤字は解決できない。
2018年以降、米国は7年連続で中国に対して第301条関税を維持している。この期間中、米国の貿易赤字は全体として減少するどころか、2018年の9,502億米ドルから2024年には1兆2,117.5億米ドルに増加した。
米国は中国に追加関税を課すことで、中国への貿易依存度を減らし、輸入元を多様化することを期待している。
中国は米国にとって最大の輸入元の一つであり、米国にとって悪いことではない。
新型コロナウイルス感染症（COVID-19）のパンデミック発生時、中国から米国への大量の個人用防護具の輸出は米国の防疫ニーズを満たし、多くの防疫製品の関税免除は現在まで続いている。301条関税は、米国企業の競争力と消費者の福祉を深刻に損なっている。
301条関税は、関連商品の価格を上昇させ、関連コストのほとんどは米国の輸入業者、卸売・小売業者、消費者が負担している。
2023年03月、米国国際貿易委員会は、232条・301条関税が国内産業に与えた経済的影響に関する報告書を発表し、米国が中国に課した追加関税のコストのほぼ100％が輸入業者によって負担されていることを示した。
（5）米国の232条調査は多国間の経済・貿易ルールに違反している
2017年以降、米国は232条調査を貿易保護と交渉圧力の手段として頻繁に利用している。
2017年から2021年にかけて、鉄鋼、アルミニウム、自動車および部品、移動式クレーンなど、合計8件の232条調査が開始された。調査の頻度と対象となる製品の広範さは前例がない。
2017年04月、米国商務省は米国に輸入される鉄鋼とアルミニウム製品に対するセクション232調査の開始を発表した。
2018年03月、米国は国家安全保障を理由に、輸入鉄鋼とアルミニウム製品にそれぞれ25％と10％の追加関税を課すことを発表した。
この案件の調査中、米国国防総省は米国商務省に書簡を送り、輸入鉄鋼とアルミニウム製品は国防総省が国防ニーズを満たす鉄鋼とアルミニウム製品を入手する能力に影響を与えていないと述べた。
事実が証明しているように、鉄鋼・アルミニウム232条関税は米国の国家安全保障問題を解決するものではなく、交渉における圧力行使に用いられている。
北米自由貿易区の再交渉において、米国はカナダとメキシコからの鉄鋼・アルミニウム製品に対する関税を、自国の望む条件を得た後にのみ取り消した。韓国との自由貿易協定の再交渉において、米国は韓国が自動車貿易で譲歩した後にのみ、鉄鋼・アルミニウム製品に対する232条措置を関税から関税割当に転換した。
EUとの交渉において、 米国はEUに対して鉄鋼とアルミニウムに関する232条措置を関税から関税割当に転換したが、これはEUが米国製品に対する制限を撤廃し、米国と共同でいわゆる「非市場経済的行動」に対処することに合意した後であった。
米国の232条調査は、国家安全保障の名の下に貿易制限と交渉圧力を用いており、他国・地域の正当な権利と利益を損なうだけでなく、米国の国際的義務に違反し、多国間貿易体制を損なうものである。
中国や欧州連合（EU）を含む世界貿易機関（WTO）の多くの加盟国は、米国の輸入鉄鋼・アルミニウム製品に対する232条制限措置について、WTOの紛争解決メカニズムに提訴した。
紛争解決プロセスにおいて、WTOパネルは、米国の232条に基づく鉄鋼・アルミニウム措置が、1994年の関税貿易一般協定（GATT）第1条に基づく最恵国待遇義務や第2条に基づく約束税率義務など、WTO加盟国が遵守すべき中核的義務に違反していることを明確に認定した。
2025年02月10日、米国は輸入鉄鋼・アルミニウム製品に対する232条措置の再開を公表する公告を発表し、アルミニウム製品に対する関税率を引き上げ、関連国に対する関税免除措置を廃止した。
03月10日、米国はそれぞれ輸入銅と木材に対して232条調査を開始した。
「アメリカ・ファースト」貿易政策報告書の要旨によると、米国は医薬品、半導体、一部の主要鉱物に対しても新たな232条調査を開始する可能性がある。
(6) 米国による貿易救済措置の乱用は貿易の不確実性を高めている
「アメリカ・ファースト」貿易政策覚書は、米国商務省に対して、反ダンピングおよび相殺関税政策および規制の実施状況を再検討することを求めており、これには国境を越える補助金および「ゼロイング」¹も含まれている。
国境を越えた補助金や「ゼロイング」の慣行を調査することは、世界貿易機関（WTO）の規則に対する明白な違反行為です。
これをアンチダンピングや相殺関税の調査に適用することは、米国への他国からの輸出品のダンピングや補助金マージンを人為的に誇張し、国際貿易や経済協力の正常な秩序を乱し、米国、米国企業、米国消費者を含むすべての関係者の利益を損なうことになります。
国境を越えた補助金を調査することは、関連規則に違反します。
米国は長い間、世界貿易機関（WTO）の補助金および相殺関税措置に関する協定（SCM協定）は国境を越えた補助金には適用されないという基本原則を認識しており、国境を越えた補助金の調査には制限的なアプローチを取ってきました。
米国連邦規則集は、法令上の例外がない限り、補助金が、補助金対象企業が所在する国の政府以外の政府によって提供される場合、または国際金融機関または開発機関によって提供される場合には、補助金は存在しないものとみなすと規定している。
2024年4月、米国商務省は相殺関税規則を改正し、連邦規則集の前述の規定を廃止し、国境を越える補助金に対する調査を完全に自由化した。
それ以来、米国商務省は数多くの相殺関税案件において国境を越える補助金に対する調査を開始している。
前述の米国の規制および調査慣行の改正は、明らかに世界貿易機関（WTO）の規則に違反しています。
補助金協定では、補助金とは「加盟国の領域内において政府または公的機関により提供される」財政支援と規定されており、第2条では、特定の目的を持つ補助金とは、補助金交付機関の管轄下にある1つまたは複数の企業または産業に交付される補助金と規定されています。
これらはすべて、補助金交付機関と補助金受領者は同一の管轄下にあるべきであることを示しています。
実際、協定では「補助金を受領する企業は、補助金を提供する加盟国の領域内の企業でなければならない」と明確に規定されています。
したがって、WTO加盟国が自国の領域内に所在する企業に提供する補助金のみが、相殺関税調査を開始するSCM協定の適用対象となる。
米国の上記規則および調査実務の改正も、米国の法律に合致していない。
1930年米国関税法では、補助金とは、ある国の領域内で政府または公共機関がその管轄内の企業または産業に提供する補助金であると規定している。
したがって、米国商務省による関連規則改正、調査、裁定は、米国国内法上の根拠も権限も有していない。
「ゼロイング」手法の違法使用によるダンピングマージンの人為的な拡大
WTOの歴史において、「ゼロイング」手法はダンピングマージンを誇張するとして広く疑問視され、批判されてきた。
2025年02月07日現在、WTOの紛争解決メカニズムは「ゼロイング」の遵守問題に関する少なくとも27件の案件を受理している。
そのうち、初期の2件の案件の被請求国は欧州連合であり、残りの25件の案件の被請求国は米国であった。
米国は、審理された関連案件すべてにおいてWTO規則違反と裁定されている。
米国は「ゼロイング」を放棄することを拒否しているが、連戦連敗の圧力に迫られ、「ゼロイング」のやり方を徐々に調整せざるを得なくなっている。
しかし、米国は依然としてアンチダンピング協定の曖昧性を利用して、「対象を絞ったダンピング」があると考える案件において「ゼロイング」を主張している。
米国が「アメリカ・ファースト」通商政策覚書に基づく審査を経て、非標的型ダンピングにおける「ゼロイング」慣行を「復活」させるのであれば、それは世界貿易機関の規則に違反し、過去20年間にわたり世界貿易機関の紛争解決メカニズムが下した「ゼロイング」に関する裁定を数多く露骨に侵害することになる。
「ゼロイング」の復活と拡大は、ダンピングを人為的に「創出」したり、ダンピングマージンを拡大したりすることになり、それによって、他のWTO加盟国が米国に輸出する調査対象製品が不当に高いアンチダンピング関税の対象となり、WTO加盟国および加盟企業の利益が損なわれることになる。
（7）米国がフェンタニルを理由に中国に経済貿易制限措置を課すことは、問題の解決に役立たない
2025年02月と03月、米国はフェンタニルなどを理由に、米国に輸出される中国製品に対して2度にわたり包括的な関税を課し、中国からの小包に対する免税政策を中止すると威嚇した。
04月02日、米国は05月02日より中国からの小包に対する免税政策を中止すると発表した。
これは、自らの問題を解決できないばかりか、中米経済貿易協力と正常な国際貿易秩序を損なう根拠のないやり方である。
米国の中国に対する非難は根拠のないものだ。
中国は世界で最も厳格かつ徹底した薬物管理政策を実施している。
フェンタニル系麻薬は麻薬類目録に含まれており、その生産、経営、使用、輸出には厳格な管理が課されている。
これまで、生産や流通過程でこうした麻薬が紛失した事例は発見されていない。
国家麻薬取締局はフェンタニル系麻薬の輸出に対して許可証制度を実施している。
厳格な審査に基づき、輸出許可証を発行する前に、輸入国の主管部門と国際的な確認を行う。麻薬の輸出許可証を発行する前に、輸出貿易の各ロットは輸入国の主管部門により合法であることが確認されなければならない。
2023年、中国はフェンタニル系麻薬を計9.766kg輸出し、主にアジアでは韓国、ベトナム、マレーシア、フィリピン、中南米ではチリ、パナマ、コロンビア、パラグアイ、欧州ではポーランド、ドイツ、フランスなどへ輸出された。
北米には、いかなる種類や剤形のフェンタニル系麻薬も輸出されていない。
中国と米国は薬物取締りについて広範かつ深い協力を実施し、顕著な成果を収めている。
2019年04月01日、米国側の要請を受け、中国は国内で大規模な乱用が起きていないフェンタニル物質の全類型について、人道的善意に沿って取締りの通知を発布した。
通知は同年05月01日に発効し、中国は世界で初めてフェンタニル物質の全類型について永久的な取締りを実施した国となった。
それ以来、中国公安部はフェンタニルおよびその他の新型麻薬の製造と密売を取り締まる特別作戦を3年連続で実施している。
フェンタニル物質の全クラスがリストに追加されてから、中国は米国から中国からの同物質の押収に関する通知を受けていない。
米国の小包免税政策に対する懸念は正当化されない。
米国は、小包免税政策と関連する簡素化された通関手続きが国内産業に影響を与え、税収の損失や商品の品質と安全性の監督不足などの問題を引き起こす可能性があると主張している。
この懸念は現実に基づかない。
第一に、小包免税政策が国内市場に与える影響は限定的である。
海外からの個人使用目的の商品の購入は、個人消費の有益な補完である。近年、小包輸入の小売総額は急速に増加しているが、全体的な規模は比較的小さい。世界貿易と小売総額に占める割合は依然として小さく、支配的な存在にはほど遠い。
第二に、小包免税政策を実施することで、管理コストを削減できる。
小包免税政策の下では、税関はより多くのリソースを価値の高い商品やリスクの高い商品の監督に集中させることができ、全体的な監督効率が向上する。小包免税政策が廃止された場合、小包を一つひとつ検査し課税することになり、莫大な監督コストが発生し、企業の物流コストと通関コストが大幅に増加することになる。
第三に、小包の品質と安全性が保証される。
中国の越境ECプラットフォームのほとんどは、30日以上の無条件返品ポリシーを設けており、その間、消費者は商品を返品して返金を受けるか、あるいは商品を返送せずに返金を受けることもできる。
これは消費者保護の条項であるだけでなく、越境ECの販売業者に対して、商品の品質を厳格に管理するよう促す規定でもある。
第四に、高リスク商品の効果的な管理がある。
中国から輸出される小包には主に衣類、電子製品、玩具などが含まれますが、各国の監督管理の継続的な強化と技術手段の改善により、中国からの小包に禁止品が含まれていたという証拠はない。
小包の免税政策は、国際貿易の発展傾向に沿ったものです。世界税関機構は、税関当局が関税の最低基準を設定することを推奨している。
世界貿易機関の貿易円滑化協定は、加盟国に対して、関税および国内税が免除される免税点または課税最低限度額を設定することを奨励している。
世界の大半の国が小包の免税政策を実施しており、関連商品の通関手続きを簡素化している。
中国政府は、国内に持ち込まれる個人所有の物品に対して、関税、付加価値税、消費税をまとめて課税しているが、課税対象となる物品であっても、その金額が50元未満の場合は免税となる。
——消費市場の多様化を促進する。
消費者は世界中の商品をより低価格で購入でき、ショッピングの選択肢が豊富になる。この政策には、消費者の個々のニーズに応える、配送が迅速、コスト削減といった利点があり、消費体験の向上につながる。
中国のTmall Global輸入プラットフォームを例にとると、2024年現在、同プラットフォームは4,000以上のブランドと数百万点の商品をカバーしており、食品、マタニティ・ベビー用品、家庭用品、ファッション・アパレルなど、複数の分野をカバーしており、今も拡大を続けている。
——より多くの中小零細企業が国際貿易に参加できるよう支援する。
越境電子商取引は、新しい生産力の体現であり、貿易のリンクを減らし、貿易の敷居を下げる。
越境電子商取引の小売業は、中小零細企業と消費者を直接的に結びつけ、これらの事業体に多くの貿易機会を提供し、貿易規模を拡大し、貿易構造を最適化する。
現在、中国には12万社以上の越境電子商取引の取引主体があり、国際貿易に参加する重要な力となっている。
– グローバルな経済協力の推進。
越境電子商取引の急速な発展は、国際貿易に新たな活力をもたらした。
この政策は、デジタルプラットフォームと効率的な物流を通じて貿易コストを効果的に削減し、グローバルなサプライチェーンがより柔軟に資源を配分することを助け、世界経済の相互接続をさらに促進する。
中国の越境電子商取引プラットフォームであるアリババドットコムは、世界200以上の国と地域の2,600万人のアクティブなビジネスバイヤーにサービスを提供している。
このプラットフォームを通じて、企業は世界中のサプライヤーとつながり、調達戦略を柔軟に調整し、さまざまな市場のニーズを分析し、オンデマンド生産を実現し、資源利用の効率性を向上させることができる。
（8）米国のいわゆる「報復関税」の賦課は、米国と中国双方に損害を与える
2025年04月02日、米国政府は貿易パートナーに対して、いわゆる「報復関税」を賦課すると発表した。
中国に対しては34％の関税を課し、中国の正当な対抗措置に対してはさらに50％の関税を課す。
米国のやり方は、長年の多国間貿易交渉で達成された利益のバランスを無視し、米国が国際貿易から長年にわたって多大な利益を得てきた事実を無視し、「産業保護」と「国家安全保障」の名の下に高い貿易障壁を築こうとしている。
これは世界貿易機関の規則を深刻に違反し、多国間貿易システムに深刻な影響を与え、関係者の正当な権利と利益を深刻に損なうだけでなく、国内の経済問題の解決にも役立たない。
それは確実に裏目に出るだろうし、米国はその結果に苦しむことになるだろう。
「相互関税」は米国のインフレ圧力を高める。
イェール大学予算研究所の予測によると、「相互関税」実施後、他国が対抗措置を取った場合、米国の個人消費支出（PCE）の物価上昇率は2.1％に拡大する。
米国の低・中・高所得世帯はそれぞれ平均1,300ドル、2,100ドル、5,400ドルの損失を被り、関税の最終的な「支払い手」となる。
新たな関税引き上げの影響を受け、米国における食品、衣類、電子製品、生活必需品などの消費財の小売価格への圧力は大幅に高まるだろう。
「相互関税」は米国の産業基盤を弱体化させる。
トランプ政権は関税によって製造業の回帰を迫ろうとしているが、実際には関税が産業チェーンのサプライチェーンを通じて伝達され、サプライチェーンの混乱と産業の空洞化のリスクを深刻化させ、製造業の発展を難しくする。
ピーターソン国際経済研究所のデータによると、関税コストの90％以上が米国の輸入業者、下流企業、最終消費者に転嫁される。
「相互関税」は金融市場のパニックを悪化させた。
米国の「相互関税」発表の翌日、米国の主要株価指数は5％以上急落した。
同時に、米ドルの対ユーロ為替レートは大幅に下落し、関税が経済運営を混乱させることへの市場の懸念が強まり、信頼感が深刻な打撃を受けたことを示している。
「相互関税」は米国経済の景気後退リスクを高める。JPMorgan Chaseやゴールドマン・サックスなどの機関は、米国経済が景気後退に陥る可能性を大幅に引き上げた。
関連研究では、「相互関税」と米国に対する関連国の対抗措置により、米国の実質GDP成長率が約1ポイント低下する可能性があると見ている。
同時に、「相互関税」は世界市場における資源配分を歪め、世界的な協力の基盤を弱体化させ、世界経済の長期的な安定成長にも影響を及ぼす。
米国の「相互関税」の実施は、世界的な産業チェーン・サプライチェーンの安定性を乱し、世界経済の循環に深刻な影響を与えた。
世界貿易機関（WTO）のアゼベド事務局長は、米国の関税は世界貿易と経済成長の見通しに大きな影響を与え、2025年までに世界商品貿易を約1％縮小させる可能性があると述べた。
これは、以前の予測から4ポイント近く下方修正されたものである。
歴史的な慣行は、貿易保護主義が国の経済を改善するのに役立つことはなく、むしろ世界貿易と投資システムに深刻な損害を与え、世界的な経済・金融危機を引き起こす可能性があり、最終的には双方に損害を与えることを繰り返し証明している。
6.中国と米国は、平等な対話と互恵的な協力により、経済・貿易上の相違を解決できる
中国と米国は世界最大の2つの経済体であり、両国間の経済・貿易関係は巨大かつ多面的で、互恵的なものである。
相違点があるのは当然である。
問題を解決し、相違点を埋める最善の方法は、対等な立場で対話し、互恵的な協力を追求することである。
中国と米国の協力は両国国民の福祉に影響を与えるだけでなく、世界の平和と発展にも重大な影響を及ぼす。
(1) 主要国間の問題解決には、対等な立場で対話することが基本的なアプローチであるべきである
歴史的に見ると、国と国との間に紛争や意見の相違があることは珍しいことではありませんが、その解決方法はさまざまです。
対話と協議を通じて紛争を解決することは、より効率的であるだけでなく、国際社会に不必要なコストをかけずに済むのです。
中国と米国はそれぞれ独自の国情を抱え、発展段階も異なります。
両国は、反ファシズム、テロ対策、公衆衛生上の緊急事態への対応といった課題に協力して取り組んできた歴史があり、また、多国間貿易体制の確立を推進し、アジア太平洋地域の開放と繁栄を促進する上で実りある協力関係を築いてきました。
平等な対話メカニズムを通じて、中国と米国は互いの主要な関心事に対する態度を明確に表明し、関連する事実を明らかにし、懸念の理由を説明し、関連する問題を引き起こす要因を探り、可能な解決策について話し合うことができる。
発展の過程で生じる問題は発展を通じて解決すべきであり、短期的に生じる問題は中長期的にはもはや問題ではなくなる可能性がある。
実際、どの国も他国の理不尽な要求に応じるために自国の正当な発展の利益を放棄することはないが、これは両国が平等な対話を通じて可能な解決策を見出すことを妨げるものではない。
（2）互恵的な協力は、中国と米国がそれぞれの発展目標を達成するのに役立つ
中国と米国は、それぞれ独自の開発ビジョンと目標を持っている。
資源配分の最適化、革新的な技術の継続的な出現による開発モデルの変化へのより良い適応、安定した世界的な開発環境の創出といった観点から見ても、中国と米国は同じ方向に向かって共に発展する必要がある。
相互利益的な協力は、投入と産出の比率の改善に役立つ。
相互利益的な協力により、不必要な重複した投入を削減し、限られた資源をより必要とされている分野で活用し、開発効率を改善することができる。
相互利益的な協力は、国際貿易の不均衡を是正し、効果的な市場競争を通じて消費者に幅広い製品とサービスを提供することにも役立つ。
互恵的な協力は、新たな変化へのより迅速な適応を促す。歴史的経験から、新技術の出現は生産効率を向上させるだけでなく、元の社会経済モデルにも影響を与えることが分かる。
人工知能を含む技術進歩は経済生態を再構築しており、エネルギー構造の転換も各当事者が迅速に対応することを求めている。
中国と米国は、革新、生産、サービス、消費などの各分野における協力を強化し、技術アップグレードへの対応速度と対応能力を向上させ、より大きな発展の利益を得ることができる。
互恵的な協力は、発展の持続可能性を高めるのに役立つ。
かつて米国は現在の多国間経済貿易ルールの提唱者であり、中国は積極的な参加者であった。すべての当事者が受け入れた多国間ルールは、国際経済貿易協力のコストを大幅に削減した。
中国と米国の互恵的な協力は、不確実性に対する市場の懸念を軽減し、世界経済の加速的な回復を支えることができる。
(3) 世界は、米中協力がより多くの発展のチャンスをもたらすことを期待している
中国と米国は、グローバル経済システムにおいて重要な役割を担っている。
両国の経済総生産額は世界の3分の1以上を占め、人口は世界の4分の1近くを占め、二国間貿易額は世界の5分の1を占めている。
米国は世界最大の消費市場であり、中国は世界第2位の消費市場である。
グローバル・サプライ・チェーンを通じて、中国と米国は、すべての利害関係者に幅広い機会を提供し、関連諸国の原材料の輸出、中間財の生産、サービス産業の発展を促進し、グローバル・バリュー・チェーンの効率性と有効性を高めている。
健全で安定した持続可能な米中経済貿易関係は、両国と世界にとって有益である。
中国と米国は協力し、生産性の発展に歩調を合わせる形で、国際経済ガバナンスの合理的な改革を推進することができる。
世界貿易機関（WTO）を中核とする多国間貿易体制と二国間自由貿易協定に代表される地域貿易協定は、いずれも経済ガバナンスの重要なプラットフォームである。
理想的な多国間経済貿易ガバナンスの仕組みに対する期待は異なるかもしれないが、非難や消極的な抵抗は問題の解決にはつながらない。より積極的なアプローチを採用し、コンセンサスを模索し、多国間経済ガバナンスシステムの改善策を模索すべきである。
＜＜結論＞＞
歴史が示しているように、中米が協力すれば双方に利益をもたらし、対立すれば共に傷つくことになる。中米が協力を強化することは、全世界の期待に応えるものである。世界経済がより早く発展するためには、公平で、開かれた、透明性があり、ルールに基づいた世界市場が必要だ。
そしてそのような世界市場の形成には、中米の協力が不可欠である。
国際貿易のルールは、世界経済の変化に対応するために不断の更新が必要であり、それを導くためにも中米の協力が求められる。人工知能、バイオテクノロジー、量子コンピューティングなど、新しい技術や製品が次々と出現し進化を続ける中で、潜在的な安全リスクを予防・管理し、技術が平和的に利用され、乱用されないようにするには、中米が協力して関連するルールや秩序を確立する必要がある。
貿易戦争に勝者はいない。保護主義に活路はない。
中米それぞれの成功は、相手にとって脅威ではなくチャンスであるべきだ。
米国側が中国側と共に歩み、両国首脳の電話会談で示された方向に従い、相互尊重・平和共存・協力と共栄の原則に基づいて、対等な対話と協議を通じてそれぞれの懸念を解決し、中米経済貿易関係の健全で安定的かつ持続可能な発展を共に推進することを望む。
①：ダンピング・マージン（輸出価格と正常価値の差）の算出過程において、正の値のみを採用し、すべての負の値はゼロとみなして正の値と相殺しない。この「ゼロ化」方式は、通常の方法と比較してダンピング・マージンの計算結果を大幅に増加させる傾向があり、それによって反ダンピング税率も高くなる。
⇒参照・引用元：『人民日報』「关于中美经贸关系若干问题的中方立场」
――というわけで、長い長い文書ですが、要するに、アメリカ合衆国の相互関税について批判し、米中が協力すれば……と希望を述べています。
中国の台頭を抑え、できれば石器時代に戻してしまいたいですから、中国が泣こうが喚こうが、合衆国は（中国に対しては）手を緩めない方が良いですね。
（吉田ハンチング＠ｄｃｐ）
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