2025年04月09日、アメリカ合衆国のトランプ大統領は、関税ラッシュを突然一時停止しました。
関税賦課が「最高:125%」まで積み上がった中国に対しては、そのまま「やる」としましたが、その他の国には、90日間の一時停止を宣言しました。
なぜまた急に止めたのかというと、合衆国公債の金利が急上昇したのが効いたと見られます。以下は米国債10年物利回り曲線ですが、09日は急騰して、大きな上ヒゲが出ています(チャートは『Investing.com』より引用:以下同)。
ヒゲということは、上がって戻ったというわけですが、一時は「高値:4.515%」まで達しています。
債券の利回りが上昇するというのは、債券が売り込まれていることを意味します。
トランプ政権は、利回りを下げないといけません。
なぜなら、借り換え用の大量の国債を発行しなければならず、利回りが上昇すると利払いの額が増加して、財政がさらに苦しくなるからです。
読者の皆さまもすでにご存じかもしれませんが、またぞろ政府の国債発行上限、シーリング問題が注目されており、デフォルトが……なのです。
毎度のプロレスがまた展開されるかもしれませんが、ことはそれだけではなく、合衆国公債に対する信用が失われれば、国債が売られて、さらに金利が上昇するかもしれません。
しかし、信用が失われるのは当然です。
「同盟国に巨額の関税をかけるわけね、合衆国という国は。そんな味方でもない国の国債なんか持っててもしゃあないよなあ」となっても、当然のことではないでしょうか。
忘れてはならないのは、合衆国は金融収支が巨額の黒字で、資金が入ってくるから国が成立しているという点です。リスクフリーとされる米国債にお金が入ってこなくなったら、おしまいです。
トランプ政権が「ちょっと待て、90日は様子見よう」となったのは、合衆国に対する信頼、もっといえば「米国債に対する信用」が低下したことにとビビったからです。
――といってるうちに、本日11日も利回りは上昇しています。
面白いのはCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の数字も急騰していることです。以下は米国債5年物のCDSの推移です。直近では「41.87bp」まで上昇しています。
さて、どうなりますやら。眠っているヒマもありませんね。
(吉田ハンチング@dcp)