2025年04月11日、韓国の企画財政部は「マクロ経済・金融懸案懇談会」を開催しました。毎度おなじみF4のメンバーがそろいましたが、米中の「関税戦争」が深化し、韓国経済の先行きが不透明感を増す中での開催となりました。
崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官(←頑張っている人)
李昌鏞(イ・チャンヨン)『韓国銀行』総裁(←韓国にはもったいない切れ者)
金秉煥(キム・ビョンファン)『金融委員会』委員長(←モブキャラ)
李卜鉉(イ・ボクヒョン)『金融監督院』院長(←ボンクラ)
注目すべきは、崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官が「合衆国政府の相互関税90日猶予措置にもかかわらず、米中関税紛争の深化、品目別関税持続などで不確実性は相変わらず」と述べたことです。
また、同日行われた「第247回対外経済大臣会」では、関税戦争、合衆国による相互関税に関して、以下のような対策を打ち出しています。
【輸出支援金を設定】
・年間9兆ウォン規模の輸出金融を追加支援。
・中小・中堅企業には3兆ウォン、最大2%pの金利優遇で融資。
・輸出大企業にも2兆ウォンを追加供給。
・大企業に納品する中小企業への「共生支援資金」3兆ウォンも供給、金利優遇。
・「輸出多角化金融プログラム」新設(1兆ウォン)で、地域・品目の多様化支援。
・サプライチェーン安定化のため「供給網安定化ファンド」も1兆ウォン規模で上半期中に組成予定。
相互関税に実施は、90日間のモラトリアム期間が設けられましたが、そのまま実施されれば、貿易に依存する韓国で輸出が急減する可能性があります。
韓国にとってはまさに死命を分けることになります。そのため、輸出が減らないように支援を厚くするとしたのです。9兆ウォンというのは、韓国にとっては大き目な額ですが、果たしてそんなもので足りるかね――というところです。
注目したいのは、崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官の以下の言葉です。
「経常収支は22か月連続の黒字だが、今後の成長の持続性は保証されてはいない」
「これまでは安定した通商環境とグローバル・バリューチェーンにより成長してきたが、今後は複雑で緊迫した新たなルールの下で、生存と成長の戦略を見出さねばならない」
「政府は企業など経済主体と緊密に連携し、対外リスクを賢明に克服し、新たな飛躍の機会を切り拓くため最善を尽くす」
崔副首相の言葉は悲壮感すら与えるものとなっています。
貿易黒字に依存し続けたツケが今回ってきたのだ――と見ることもできるでしょう。
とりあえずは、おなじみの「格別の警戒心を持って状況別対応計画を点検・準備し、株式・国債・外国為替・資金など市場別モニタリングを強化する」も出ました。
モニタリングは大事ですし、早期警戒のためには役立つでしょうが、根本的な問題解決にはならないのです。
『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁が指摘するとおり、10年間構造改革を放置し、新たな産業を生み出せなかったのが原因であり、韓国の落日――そんな感じすらあります。
(吉田ハンチング@dcp)