『あなたの言葉を』という辻村深月さんが書いたエッセイ本を読みました。
筆者が月に一度毎日小学生新聞に連載していた記事をまとめたものです。
読者として想定されるのは小学生なのでしょうね。
「辻村さんは大人なのに、どうしてこんなにぼくたち子どもの気持ちがわかるんですか」
彼女のもとには、こんな感想が届くそうです。
そして、辻村さんの返事は「私も昔、子どもだったから」。
そうですよね、大人も昔はみんな子どもだったのですよね。
だから、大人はみんな子どもの気持ちがわかるはず。
でも、実際は違っていて、「大人はわかってくれない」と子どもは思っているわけです。
辻村さんが子どもの気持ちがわかるのは、
彼女が「たくさんの物語を通じて、『他者になる体験』をたくさんして」きたからです。
「自分とは違う立場、考え方、理解できないはずだった人の人生を、読むことで自分のものにすると、それは確実に『他者について想像する力』になります。」
ワタシはこれだと思います。
辻村さんはこの力をつけたから子どもの気持ちがわかる大人なんです。
多くの人は自分の人生を歩むことで精一杯です。
大人だからって、なんでもわかっているわけじゃないのです。
でも、大人になるとバカにされたくないから「おとなづら(大人面)」しちゃうんですよね。
辻村さんのメッセージが若者に届くのはそういうズルさがないからだと思います。
わからないことだらけ。
人生も同じですね、やってみなけりゃわからない。
だからこそおもしろい!
こんなふうに言えたら最高です。
ワタシもそんなふうになれるよう、せめて本をいっぱい読もう!と思ったのでした。