複数のレストランを経営する日本を代表するフレンチの帝王・日野勝利は山奥にある招待客のみしか訪れることのできない、 美食を楽しむために作られたオーベルジュに親しい友人や仕事の関係者らを招き、くつろいだひと時を過ごしていた。 集まったのは、彼の共同経営者であり、このオーベルジュの持ち主・神宮寺直也、日野と神宮寺の共通の友人であり、IT関連のカリスマ経営者・久米田レオ、 日野の元弟子で現在は、自分でレストランを経営する近藤篤志、神宮寺の秘書・谷優紀、日野が目をかけている気鋭のグルメライター・南瑛人、 そして、日野の妻で元アイドルの村島あいの7人だ。 そのオーベルジュの周りには、建造物は何もなく、人もいない。大自然に囲まれながら味わう極上の料理とワイン…。最高の贅沢である。 やがて宴もたけなわとなり、夜の21時ごろ、一同はそれぞれに割り当てられた部屋へと引きあげていった。
深夜0時、招待客の一人、久米田レオの悲鳴が響き渡った。 一同が駆けつけたところ、ワインセラーで、フレンチの帝王・日野勝利が死んでいるではないか! 彼はうつ伏せの状態で何者かに頭部を叩かれ命を絶っていた。 南瑛人が転がっていた暖炉用のスコップを見つける。 先端にはどっぷりと血がついていた。 神宮寺が警察に通報すると、荒天でこの山奥のオーベルジュへの到着は朝方になると返答が返ってきた。 死体を前に立ちすくむ一同。
なぜ、日野勝利は死んだのか?殺人なのか?殺人なら警察が来るまで犯人が野放しになる。 この建物には、招待された6人以外の人間が侵入することはほぼ不可能だ。 だとしたら、この6人の中に、日野を殺した犯人がいる。 一同は、昨夜からの行動を追った。 21時まで、日野も入れた7人全員で、食事とワインを楽しんだ。そしてそれぞれの部屋に戻った。 だとしたら、21時から深夜0時の間で殺されたのか? 南瑛人が口を開いた「私たちで犯人を見つけませんか?」その言葉に反論するものは誰もいなかった。
シアターコンプレックス
ゲスト解説者
北乃颯希