サヴァンブラタンナ
はたまた、500年の月日を越え、紡がれる愛の物語。
物語の始まりは、人ならざる者たち寄り合うサーカス一座より。
そこに少年がただ一人。
遠い昔に思いを馳せる抜け殻のような彼。色素が落ちた髪や肌の様はさながら亡霊のよう。何をするのでもなく、彼は日々をただ呆然とやり過ごしてきた。やがて、夜な夜な繰り広げられる狂乱渦巻く曲芸の中、とある男が訪ねてくるまで。
運命に誘われた長い旅が始まる。
人と人ならざる者たちの袂が分かたれ、魔術の浸透する世界。
幾度となく冒険を繰り広げ、少年は多くを目にしていく。
何故、彼は歩き出したのか。何が彼を突き動かしたのか。何を望んだのか。果たして彼の旅路の果てに待ち受けるものとは。
確かにそこにいた今は亡き者たち。いずれ忘れ去られゆく栄光。
時代とともに移ろいゆく景色。
決して語られることのない一節。