黒木瞳が泊まるホテルの部屋に「菊の花」を1本持って訪れた武豊
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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(12月19日放送)に調教師の矢作芳人が出演。競馬における調教師の仕事について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。12月18日(月)~12月22日(金)のゲストは調教師の矢作芳人。2日目は、調教師になるまでの経緯について---
黒木)競馬については30年くらい前に少しかじった程度なのですが、私が京都の撮影所で撮影しているときに、武豊さんが撮影を見にいらしたのです。その翌週が初めてG1に出場された菊花賞でした。そして優勝なさったのです。
矢作)そうですね。あのとき優勝されましたね。
黒木)それで私が泊まっているホテルに菊の花を1本持ってきて、「黒木さんに会ったから勝ちました」と言っていただいたのです。
矢作)カッコいいですね。その武豊君がまだ現役で、しかも一流として頑張っているところが、彼の偉大なところだと思います。
黒木)競馬ファンなら誰もが知っているリスグラシュー。
矢作)年度代表馬ですね。
黒木)そしてコントレイル。
矢作)これは三冠馬ですね。
黒木)ラヴズオンリーユー。
矢作)日本の調教馬として、初めてアメリカのブリーダーズカップで勝った馬です。
黒木)マルシュロレーヌをアメリカに連れて行ったのも、地方競馬で見てアメリカに行こうと思われたのですか?
矢作)もちろん私が最初から管理していたのですが、地方競馬である北海道の門別競馬場で1着を獲ったので、次のレースはアメリカだなと。
黒木)その閃きは何なのですか?
矢作)経験などいろいろなものに裏打ちされてはいますが、最後はインスピレーションですし、夢だと思っています。夢を持っていないと挑戦できないので。
黒木)ハナ差で勝ったのですよね。私もそのレースをYouTubeで拝見しました。勝つと思っていましたか?
矢作)正直に言って、レース前は勝てると思っていませんでした。ただ、その前にラヴズオンリーユーが同じ日に勝ってくれたので、周りのみんなも「こっちも勝ってしまうのではないか?」という雰囲気になり、その勢いのまま勝ったという感じですね。
黒木)海外遠征には2頭一緒に行くそうですね?
矢作)1頭だと寂しくなってしまうのです。馬は集団生活する動物なので、(2頭いれば)安心して精神的にも落ち着きます。
黒木)馬同士の相性もよかったのですか?
矢作)どちらも女の子だったので。男の子と女の子だと、少し難しいところもあります。女の子同士だったのでよかったですね。
黒木)お互いの相乗効果で勝ったのですか?
矢作)それは間違いないと思います。どちらが欠けていても、どちらも勝てなかったと思います。
黒木)そのようなこともあるのですね。どの馬を連れて行くかというのもありますよね?
矢作)それは調教師としての計算があります。
黒木)やはり調教師の方はすごいのですね。競馬をテレビで観ていると、優勝したときにスタッフの方たちも含めた写真撮影がありますが、「この方たちは何をなさっているのだろう?」と思っていました。騎手以外の方が何をしているのか、よくわかりませんでした。
矢作)裏方と言えば裏方なのですが、裏方のなかで全体を総括しているのが調教師です。
黒木)矢作さんのプロフィールを拝見すると、中学・高校と超名門の開成に通い、大学には進学せず調教師の道に行くのですよね?
矢作)劣等生だったのです。開成高校では下から数えた方が早い成績しか取れませんでした。
黒木)弁護士か政治家を目指していたと聞きました。
矢作)最初はそうだったのですが、ある意味で挫折したのかなということと、好きなことを一生の職業にしたいと思ったとき、馬や競馬が大好きなので、それを仕事にできたらいいなと思っていました。少し変わっているのですね。人と違うことをやりたいという思いがあった。それがいま、調教師の仕事に活きている部分もあるのかなと思います。
黒木)最初の挫折がいい結果に結びついたのですね。
矢作)そうですね。ツイている人生だと思います。
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矢作芳人(やはぎ・よしと)/調教師
■日本中央競馬会(JRA)栗東(りっとう)トレーニングセンター・調教師。
■1961年3月20日生まれ。東京都出身。
■開成高校卒業後、1年余りオーストラリアの厩舎、牧場で修行。
■帰国後、大井競馬場の父・矢作和人厩舎を経て、1984年・栗東で厩務員、1986年からは調教助手を務める。
■2004年2月、調教師試験に合格。2005年3月、厩舎を開業。
■2005年3月26日、テンザンチーフで初勝利。2014年、JRA賞(最多勝利調教師)など表彰多数。
■2018年以降、国内外で歴史的活躍馬を送り出し、“世界のヤハギ”と称される。
・国内G1レース4勝、オーストラリア屈指の大レース「コックスプレート」を日本調教馬として初めて制した2019年JRA年度代表馬『リスグラシュー』。
・2020年、史上8頭目の無敗の3冠馬『コントレイル』。
・日本調教馬として世界最高峰のレース「米ブリーダーズカップ フィリー&メアターフ」を初めて制し、日本競馬界の歴史的快挙を成し遂げるなど、海外G1・3勝を達成した『ラヴズオンリーユー』。アメリカの年度表彰で最優秀芝牝馬を受賞。
・日本調教馬として史上初めて「米ブリーダーズカップ ディスタフ」で優勝した『マルシュロレーヌ』。
・世界最高の1着賞金1000万ドル(約13億6000万円)を誇るサウジアラビアのレース「サウジカップ」を日本調教馬として初めて制した『パンサラッサ』(*日本G1の最高賞金は有馬記念とジャパンカップの5億円)。
……など、海外G1をはじめ、日本のホースマンの夢と言われる数々のビッグレースを制してきた日本を代表する調教師。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳